給与計算・労務管理の基礎知識

従業員が退職する際の社会保険や税金などの手続き

従業員が退職するときには、「雇用保険被保険者喪失届」や「健康保険・厚生年金被保険者資格喪失届」、住民税異動届として「給与所得者異動届出書」といった書類の提出が必要です。こうした従業員が退職する際の社会保険や税金などの手続きについて解説していきます。

社会保険・雇用保険の脱退手続き

従業員が退職する際には、社会保険や雇用保険の脱退手続きを早急に行う必要があります。

社会保険の脱退手続きとは

社会保険の脱退手続きは、事業所を管轄する年金事務所に、退職から5日以内に「健康保険・厚生年金被保険者資格喪失届」を提出します。本人および扶養親族の分の健康保険証を添付することが必要です。

健康保険は、退職日まで2ヶ月以上継続して被保険者期間がある場合には、2年間を限度に任意継続をすることも可能です。ただし、任意継続をする場合には、事業所と従業員で折半となっていた保険料が全額従業員負担となります。健康保険組合の健康保険の任意継続を希望する場合は、退職する従業員本人が、資格喪失日である退職から20日以内に、健康保険組合に加入申請をします。

雇用保険の脱退手続きとは

雇用保険の脱退手続きは、事業所を管轄するハローワークに退職から10日以内に、「雇用保険被保険者資格喪失届」と「雇用保険被保険者離職証明書」を提出します。

「雇用保険被保険者離職証明書」は失業給付の給付額の決定に必要な書類のため、次の就職先が決まっているケースなど、従業員が離職票の交付を必要としない場合には、提出は不要です。ただし、退職する従業員が59歳以上の場合には、離職票の交付が義務付けられています。

「雇用保険被保険者離職証明書」は3枚つづりで複写式となっているため、ハローワークで入手しておきます。離職理由について確認を得て、退職する従業員が記名押印、あるいは、自署する欄がありますので、早めに準備しておくことが望ましいです。

従業員の記名押印や自署が得られなかった場合には、理由を記入したうえで、事業主が記名押印、または、自署します。

離職票の交付が不要な場合は、添付書類はありません。離職票の交付が必要な場合には、出勤簿や賃金台帳、退職理由を証明するための退職届などの書類の添付が必要です。

所得税・住民税関連の手続き

所得税は「源泉徴収票」に、給与や賞与の支払額や控除した社会保険料などとともに、退職月までに源泉徴収している所得税を記載します。

給与から住民税を天引きする特別徴収を行っていた場合には、「給与支払報告に係る給与所得異動届書」を退職する従業員が居住する市区町村に、退職日の翌月10日までに提出します。提出を怠ると、市町村から督促状が届くケースがあります。

従業員から回収/付与するもの

従業員の退職時に回収の必要があるものと、退職後に従業員へ送付する書類は以下のとおりです。

従業員から回収するもの

従業員が退職する際には、「社員証」のほか、会社の携帯電話など貸与物があれば回収します。健康保険証は前述のように扶養親族の分も含めて回収が必要です。健康保険の任意継続をする場合でも健康保険証は変更となり、任意継続の手続き後に新たな健康保険証が発行されます。

従業員に付与するもの

従業員が退職した後、退職月までに支払った給与や賞与、控除した社会保険料などを記載した「源泉徴収票」を作成し、1ヶ月以内に交付します。退職した従業員は、年内に新たな勤務先に就職する場合には、提出して年末調整を受けられます。年内に就職しない場合には、従業員側で確定申告が必要です。

「離職票-1」は雇用保険の脱退手続き後に、従業員が希望した場合に交付する「離職票-2」とともに送付します。

退職月の保険料や税金の計算

従業員の退職に伴う、給料から控除する社会保険料や税金の取り扱いについて解説します。

社会保険料(厚生年金保険料と健康保険料)

厚生年金保険と健康保険は退職日の翌日が資格喪失日であり、資格喪失日の前月まで保険料が発生します。そのため、月末に退職した場合には、給料計算の締め日によっては、最後の給料から2ヶ月分の保険料を控除することになるのです。

(社会保険料の取り扱い例)

退職日 社会保険料が必要な月
3/20 退職 2月分まで
3/31 退職 3月分まで





引用元:日本年金機構

雇用保険料

雇用保険の保険料は、毎月の報酬の額に応じて、保険料率を掛けた額を徴収しているため、退職月も通常と同様に徴収します。

所得税と住民税

所得税は給料のほかに、退職金の支給がある場合には源泉徴収を行います。退職金の源泉徴収額は、「退職所得の受給に関する申告書」の提出を受けている場合には、退職所得控除を適用した額となります。

住民税を特別徴収していた場合の取り扱いは、退職日によって異なりますので注意が必要です。特別徴収は、1年分の住民税を6月から翌年の5月までの期間で徴収するため、1月1日から4月30日までに退職する場合は、最後の給与、あるいは、退職金から、残額を一括徴収します。

5月中に退職する場合は、通常通り当月分を徴収する形となります。6月1日から12月31日の退職の場合には、退職する本人が最後の給与や退職金からの一括徴収か、普通徴収への切り替えのいずれかを選択します。

まとめ

従業員が退職する際には、社会保険や雇用保険、税金関係の手続きがあり、期限が決められています。手続きが遅れると退職する従業員の新たな生活に支障をきたす恐れもありますので、速やかに処理をしましょう。



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