給与計算・労務管理の基礎知識

年次有給休暇の管理にまつわる疑問と正しい対応例

年次有給休暇は、個人別に管理表を用いて運用を行っている事業所が多いでしょう。しかし、ときには十分に取得できないことを理由に、買い上げや欠勤時の振替を求められることもあるかもしれません。そんなときは、どうしたらよいのでしょうか。また、時間単位付与とはどのような制度でしょうか。労務に携わる方の疑問と正しい対処法をまとめました。

年次有給休暇の付与のしくみは?

そもそも、年次有給休暇はどのように付与されていくのでしょうか。
年次有給休暇は、入社日から6か月継続勤続し、かつ出勤率が労働日の8割となった労働者に付与されます。付与日数は10日ですが、その1年後から1年ごとに1日、初めての付与日から3年以上になれば1年ごとに2日が追加され、6年後には最大で年間20日間の有休が付与されるしくみです。
労働基準法に定める基準では、4月1日入社の場合、6か月後の10月1日に10日が付与され、以降、毎年10月1日を基準日として付与されます。


ただし、パートタイマーなど、週所定労働時間が30時間未満かつ週所定労働日数が4日(または年間所定労働日数が216日)以下の場合には、所定労働日数に比例した日数の付与となります。
付与された年次有給休暇の有効期限(時効)は付与後2年となっており、期限に到達すると取得権利は消滅します。ただし、取得時は前年度付与分から使用するか、今年度付与分から使用するかは労働基準法に規定がないため、就業規則での取り決めと労働者への周知が必要です。

時間単位の年次有給休暇とは?

年次有給休暇は、事前に労使協定を締結しておくことにより、年5日間までは1時間単位での付与が可能です。なお、労働基準監督署への届出は必要ありません。 この時間単位の年次有給休暇制度により、就業時間中に事業所を一時的に離れて自分の予定を消化することもできるようになります。
ただし、分単位の取得はできないため、1時間未満の端数が発生した場合は切り上げ計算です。
パートタイマーなど、所定の労働時間が少ない労働者の場合は、1日の所定労働時間以下の時間単位での取得となります。
ただし、1時間未満の端数は切り上げとなるため、たとえば1日の所定労働時間が4時間30分の人は、1日あたりの年次有給休暇に相当する時間数は「5時間」で計算します。

また、時季変更権の行使は可能ですが、「時間単位」の請求を「日単位」に変更するといった、取得単位の変更を求めることはできません。時間単位の年次有給休暇は、労働者の請求によるものですので、計画的付与の対象外とされます。前年度分の繰越しがある場合にも、時間単位の消化は繰越し分も含めて最大で年5日分に限られるという点に注意が必要です。

このほか、年次有給休暇は、労働者が希望して使用者の同意があれば半日でも取得可能ですが、こちらは別の制度となり、労使協定は不要です。

詳しくは厚生労働省のページをご確認ください。

休日出勤命令に対して年次有給休暇へ変更を求められたら?

休日出勤を命令した日に対して、労働者が出勤できないからといって年次有給休暇への変更を希望したとしても、使用者は応じる必要はありません。
なぜなら、年次有給休暇は労働しなくてはならない日に対して取得する権利が発生するしくみであり、もともと労働義務のない休日は対象とならないからです。また、休日出勤をしたとしても、有休付与条件となる「全労働日」にも算入されません。

なお、就業規則に休日出勤の規定がある場合、基本的に労働者は休日出勤を拒否できません。その日に休みたい場合には、正当な理由が必要とされます。正当な理由がない拒否の場合には、懲戒処分等不利益な扱いを受けても仕方がない、ということになります。

欠勤を年次有給休暇へ変更できる?

年次有給休暇は事前に請求することが原則です。したがって、欠勤後に労働者から年次有給休暇への変更を希望されたとしても、使用者は申出に応じる義務は原則としてありません。
逆に、使用者側が欠勤分を年次有給休暇扱いにしたいと考えたとしても、年次有給休暇は労働者の権利によって使用されるものですので、勝手に変更することはできません。労働者は、年次有給休暇を確保しておきたいので欠勤扱いにしてもらう、ということも可能なのです。

しかし、欠勤を年次有給休暇に変更すること自体は禁じられているわけではないため、労使ともに承諾している場合には例外となり、変更が可能です。このような運用を行いたい場合には、就業規則にて欠勤時の年次有給休暇の取り扱い方法について規定しておきましょう。

年次有給休暇の買い上げを求められたら?

年次有給休暇の付与目的は、勤務中の労働者の心身の健康を維持することですので、買い上げは原則として禁止とされています。
しかし、例外的に買い上げを行ってもよいとされている事例もあります。

法定付与日数以上の付与分

事業所によっては、労働基準法に定める日数以上の年次有給休暇を設定している場合もあります。その上回っている部分については、性格上買い取り原則禁止という規定は及びません。

未消化の有給が消滅する場合

また、取得後2年を経過して時効となった日数や、退職時に未消化のまま残った日数に関しては、その賃金に相当する額を支給することも可能です。
ただし、これらは使用者が任意に行うものであり、義務が生じるものではありません。会社都合の退職で日程上有休日数が消化できないという場合においては、慣習的に買い取りが行われる傾向にあります。

まとめ

年次有給休暇は事業所によっては取得が進んでいないという現状もあります。
しかし、年次有給休暇の消化促進は労働環境改善にもつながるものです。労働者からの取得に関する問い合わせには正しく答えられるようにしておきましょう。

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