開業の基礎知識

自動販売機は個人でも設置できる?かかる費用・利益・始め方を紹介

監修 北田 悠策 公認会計士・税理士

自動販売機は個人でも設置できる?かかる費用・利益・始め方を紹介

個人でも自宅の前などにスペースがあれば、自動販売機を設置して飲料などの販売を始められます。自動販売機ビジネスは、比較的手間が少なく、仕組み次第で収入を得やすいサイドビジネスのひとつです。

自動販売機は自分で購入・管理する方法のほかに、設置から管理まで運営会社(オペレーター)に任せる方法もあります。運用形態によっては、初期費用を運営会社が負担するものもあり、導入コストを少なく抑えて始めることも可能です。

本記事では、個人の自動販売機ビジネスにおける費用や利益のシミュレーション、メリット・デメリット、始めるときの流れなどを紹介します。

目次

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個人も自動販売機を設置できる?

個人でも自動販売機を設置して運用することは可能です。たばこや酒類を扱う場合は特別な許可が必要ですが、清涼飲料水を販売する自動販売機であれば、原則として許可や免許は必要ありません。

自宅の敷地の一角や駐車場の片隅などに小さなスペースがあれば、自動販売機を設置してビジネスを始められます。


出典:一般社団法人日本自動販売システム機械工業会「よくあるご質問」

自動販売機の運用方法の種類

自動販売機の運用方法は、運営会社に管理を委托する「フルオペレーションタイプ」と、オーナー自身が管理を行う「セミオペレーションタイプ」の2種類があります。


項目フルオペレーションタイプセミオペレーションタイプ
管理主体運営会社オーナー本人
初期費用原則なし(運営会社が負担)自己負担(本体購入・設置工事など)
商品補充・現金回収運営会社が対応オーナーが対応
売上の取り分オーナーは約20〜30%売上の全額がオーナー収入
運用の手間少ない多い(全て自己管理)
向いている人手間をかけずに始めたい人収益性を重視したい人、自分で管理できる人

フルオペレーションタイプ

フルオペレーションタイプは、設置スペースの土地を貸し、自動販売機の管理を運営会社に任せる方法です。

設置や工事の費用は運営会社が負担することが多く、初期費用をかけずに自動販売機ビジネスをスタートできます。また、商品補充や金銭管理も運営会社が行うため、少ない手間で運用が可能です。

売上のうち、20〜30%をオーナーの取り分として受け取ることができます。

セミオペレーションタイプ

セミオペレーションタイプは、商品補充や金銭回収などの自動販売機の管理を全てオーナー自身が行う運用方法です。

自動販売機本体を自分で購入(またはリース/レンタル)し、設置から商品選定・価格設定・仕入れ・補充・売上管理・故障対応までオーナー自身が行います。

初期費用やランニングコストは自己負担ですが、売上の全てがオーナーの取り分になります。

自動販売機の設置にかかる費用

フルオペレーションタイプでは、初期費用は運営会社が負担し、オーナーの負担は原則としてありません。

一方、セミオペレーションタイプでは、初期費用として自動販売機の購入費用(またはリース代/レンタル代)や配送・工事の費用がかかります。

項目ごとのセミオペレーションタイプの初期費用の目安は、以下の通りです。


項目費用の目安
自動販売機の購入費用
(またはリース/レンタル代)
新品:約70万~100万円
中古:約20万~40万円
(リース/レンタルは約2万~5万円/月)
自動販売機の配送料約3万~5万円
設置工事費約1万円
土台工事費約1万円
電気工事費約2万円~

フルオペレーションタイプ/セミオペレーションタイプ問わず、電気代はオーナー自身が負担します。自動販売機の電気代は気候や設置場所によっても異なりますが、1,000円~4,000円/月程度が目安です。

自動販売機を個人で設置するとどれくらい儲かる?

自動販売機を個人で設置するとどれくらい儲かるのか、以下の条件でシミュレーションしてみます。

  • 自動販売機で販売する飲料の価格:150円/本
  • 売り上げた本数:200本/月
  • 電気代:2,000円/月

このケースでは、150(円) × 200(本)= 30,000円 が月の売上となります。

フルオペレーションタイプで売上の20%がオーナーの取り分となる場合、受け取れる金額は以下の通りです。

フルオペレーションタイプの利益計算

  • 取り分:30,000円 × 0.2 = 6,000円/月
  • 利益:6,000円(取り分)- 2,000円(電気代)= 4,000円/月

一方、セミオペレーションタイプの場合、売上の全額がオーナーの取り分になりますが、仕入れ価格を考慮する必要があります。仕入れ価格が1本あたり75円だとすると、オーナーの利益は以下の通りです。

セミオペレーションタイプの利益計算

  • 仕入れ価格:75(円)× 200(本)= 15,000円/月
  • 利益:30,000円(売上)- 15,000円(仕入れ価格)- 2,000円(電気代)= 13,000円/月

個人で自動販売機を設置するメリット

個人で自動販売機を設置するメリットは、以下の通りです。

個人で自動販売機を設置するメリット

  • 小さな土地で始められて移転もしやすい
  • 管理の手間が少ない
  • ほかの土地活用と組み合わせできる

それぞれのメリットを詳しく見ていきましょう。

小さな土地で始められて移転もしやすい

自動販売機本体のサイズは幅が約100~140cm、奥行きが約60~80cmです。本体が収まるスペースがあり、電源を確保できれば設置が可能です。

また、私有地で所有者の同意があり、設置条件を満たせば、設置場所の変更は比較的柔軟にできます。

管理の手間が少ない

管理や運営に手間がかからないのも、サイドビジネスとして継続するうえではひとつのメリットです。特にフルオペレーションタイプでは、商品補充・売上金や釣り銭の管理・不具合対応などの日々の業務は全て運営会社に任せることが可能です。

セミオペレーションタイプの場合は定期的な商品補充などが必要ですが、それでも一般的な土地活用と比べると、少ない手間で運用できます。

ほかの土地活用と組み合わせできる

自動販売機は、すでに活用している土地に設置することもできます。ほかの土地活用との組み合わせの一例として、以下が挙げられます。

ほかの土地活用との組み合わせの例

  • コインパーキングや月極駐車場の片隅に設置
  • アパートの入居者や通行人向けに建物の前に設置
  • コインランドリーの待ち時間に購入できる自動販売機を設置
  • 経営している店舗の前に来店者向けに設置

ほかの土地活用と自動販売機を組み合わせれば、メインの土地活用に収益を上乗せでき、集客面での相乗効果も期待できます。

個人で自動販売機を設置するデメリット

個人で自動販売機を設置しようと考えているなら、いくつかのデメリットも理解しておきましょう。主なデメリットは、以下の通りです。

個人で自動販売機を設置するデメリット

  • 大きな利益を上げることは難しい
  • 騒音・いたずら・故障などのトラブルのリスクがある
  • 設置場所や審査の制限がある

大きな利益を上げることは難しい

自動販売機ビジネスの利益は数千円~数万円程度に留まることもあり、自動販売機だけで大きな収益を上げるのは難しいといえます。

たとえば、飲料の自動販売機の場合、販売価格は1本あたり150円程度であるため、大きな利益を生み出すには相当な販売数量が必要です。

また、一定の利益が確保できていたとしても、近隣に自動販売機が新たに設置されたり、コンビニやスーパーができたりなど、競合が増えて利益が確保しづらくなるリスクもあります。

騒音・いたずら・故障などのトラブルのリスクがある

騒音・いたずら・故障などのトラブルが発生する可能性も少なくありません。

たとえば、硬貨投入口に異物を入れられたり、自動販売機自体を破壊して売上金を盗まれたりするリスクもあります。また、故障でおつりが出ないなど利用者からのクレームが発生した際には、その対応も必要です。

トラブルを防ぐためには、定期的な巡回・清掃、防犯カメラやアームロックの設置など各種対策の検討が求められます。

設置場所や審査の制限がある

自動販売機の設置の際には、土地の所有権があることのほか、私有地からはみ出さないなど道路交通法上の規定にしたがう必要があります。自治体によっては、条例による制限が設けられている場合もあります。

自動販売機を設置できる十分なスペースがあるのか、設置によって通行の妨げになったり、周辺住民に迷惑をかけたりしないかという点も考慮しなければなりません。

フルオペレーションタイプであれば、さらに運営会社によって設置の可否を判断する審査が行われます。人通りが少なく販売需要が見込めない場所では、審査に通過できない可能性があります。


出典:e-Gov法令検索「道路交通法(昭和三十五年法律第百五号)」

個人が自動販売機ビジネスを始めるときの流れ

以下は、フルオペレーションタイプで個人が自動販売機ビジネスを始めるときの基本的な流れです。

個人が自動販売機ビジネスを始めるときの流れ

  1. 運営会社を選ぶ
  2. 契約を結ぶ
  3. 販売を開始する

各ステップについて、詳しく見ていきましょう。

①運営会社を選ぶ

まずは、自動販売機の運営会社を選びましょう。フルオペレーションでは、自動販売機を設置・管理してくれる運営会社との契約が必要です。

運営会社は、主に以下の2種類があります。

自動販売機の運営会社の種類

  • 自社ブランドの飲料のみを扱う主要飲料メーカー
  • 複数ブランドの飲料を扱う会社

設置可能エリアや対応ブランドなどの基本的な条件から数社に候補を絞り込み、問い合わせ・相談を経て最終的に契約する運営会社を決定しましょう。

②契約を結ぶ

運営会社の担当者による設置予定場所の訪問があり、設置場所の状況や電気容量などを確認します。

担当者の訪問後には、要望や打ち合わせ内容をもとに自動販売機の設置プランについて提案を受けます。求める水準のサポートが得られそうか、費用面の問題がないかなどを確認するために、提案内容の以下の事項を確認しましょう。

自動販売機の設置プランの提案内容の例

  • 自動販売機の種類・サイズ
  • 商品ラインアップ
  • 商品補充の頻度
  • 販売手数料の料率
  • 売上明細の受取方法
  • 電気代の想定金額
  • アフターフォローの体制

提案内容に同意する場合には、契約書の内容を確認のうえ契約を締結します。

③販売を開始する

契約後は、設置日を決め、運営会社による自動販売機の設置作業に立ち会います。設置作業は、通常1~2時間程度です。設置が完了し、自動販売機内の温度など本体の状態が整えば、販売開始となります。

販売開始後も、定期的に商品補充や金銭回収のために担当者が訪問します。商品ラインアップの見直しをしてくれることもあるので、サポートを受けながら販売を続けていきましょう。

まとめ

個人でも、管理を運営会社に任せるフルオペレーションタイプや、管理をオーナー自身が行うセミオペレーションタイプで自動販売機の設置・運用が可能です。

フルオペレーションタイプは基本的に初期費用0円で始められて、売上の20~30%程度がオーナーの取り分となります。一方、セミオペレーションタイプは売上の全額が取り分となりますが、仕入れ価格の負担があるほか、オーナー自身で商品補充や金銭回収などの管理が必要です。

自動販売機ビジネスは、小さなスペースがあれば少ない手間で始められます。所有地で使えるスペースがある人や、ほかの土地活用と組み合わせを考えている人は、自動販売機の導入もひとつのサイドビジネスとなるでしょう。

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Step1:準備編

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準備編では事業の基本情報を入力します。迷いやすい職業欄も多彩な選択肢のなかから選ぶだけ。


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事業の開始年月日、想定月収、仕事をする場所を記入します。
想定月収を記入すると青色申告、白色申告のどちらが、いくらお得かも自動で計算されます。

Step2:作成編

次に、作成編です。


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申請者の情報を入力します。
名前、住所、電話番号、生年月日を記入しましょう。


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給与を支払う人がいる場合は、上記のように入力をします。
今回は準備編で「家族」を選択しましたので、妻を例に記入を行いました。


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さらに、見込み納税金額のシミュレーションも可能。
※なお、売上の3割を経費とした場合の見込み額を表示しています。経費額やその他の控除によって実際の納税額は変化します。

今回は、青色申告65万円控除が一番おすすめの結果となりました。

Step3:提出編

最後のステップでは、開業に必要な書類をすべてプリントアウトし、税務署に提出します。


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入力した住所をもとに、提出候補の地区がプルダウンで出てきます。地区を選ぶと、提出先の税務署が表示されますので、そちらに開業届けを提出しましょう。


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届け出に関する説明とそれぞれの控えを含め、11枚のPDFが出来上がりました。印刷し、必要箇所に押印とマイナンバー(個人番号)の記載をしましょう。

郵送で提出したい方のために、宛先も1ページ目に記載されています。切り取って封筒に貼りつければ完了です。

いかがでしょう。
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よくある質問

自動販売機の運用方法の種類は?

自動販売機の運用方法には、フルオペレーションタイプとセミオペレーションタイプの2種類があります。

フルオペレーションタイプは、自動販売機の管理を全て運営会社に任せる運用方法です。一方、セミオペレーションタイプは、自動販売機の管理をオーナー自身が行う運用方法です。

詳しくは記事内「自動販売機の運用方法の種類」をご覧ください。

個人で自動販売機を設置するとどれくらいの利益が出る?

フルオペレーションタイプの場合、売上の20%~30%程度がオーナーの取り分です。一方、セミオペレーションタイプの場合、売上の全額がオーナーの取り分となります。いずれも電気代などを差し引いた金額が利益となります。

詳しくは記事内「自動販売機を個人で設置するとどれくらい儲かる?」をご覧ください。

監修 北田 悠策(きただ ゆうさく)

神戸大学経営学部卒業。2015年より有限責任監査法人トーマツ大阪事務所にて、製造業を中心に10数社の会社法監査及び金融商品取引法監査に従事する傍ら、スタートアップ向けの財務アドバイザリー業務に従事。その後、上場準備会社にて経理責任者として決算を推進。大企業からスタートアップまで様々なフェーズの企業に携わってきた経験を活かし、株式会社ARDOR/ARDOR税理士事務所を創業。

北田 悠策

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