開業の基礎知識

クリニックを開業するには?必要な資金の目安な準備をロードマップとあわせて解説

クリニックを開業するには?必要な資金の目安な準備をロードマップとあわせて解説

クリニックは開業する診療科目によって必要な設備や人材、資格などに大きな違いがあります。自身が開業したいクリニックにかかる開業費用や手続きなど、開業時に必要なことを把握することが大切です。

本記事では、クリニック開業に必要な資金の目安から具体的なロードマップ、開業後に失敗しないための注意点まで網羅的に解説します。

目次

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クリニック開業に必要な資金の目安

クリニックの開業資金は診療科や物件の形態、導入する医療機器などによって大きく変動します。その内訳を正しく理解し、計画を立てることが重要です。

ここでは、クリニック開業に必要な資金の目安を種類別に解説します。

物件費と内装工事費

物件費と内装工事費は、開業資金の中で大きな割合を占める費用であり、立地や物件の種類によって大きく変動します。

費用を抑える選択肢として、以前のクリニックの設備が残っている「居抜き物件」を活用するのもひとつの方法です。ただし、レイアウトの自由度が低いなど、居抜き物件ならではのデメリットが存在する点は理解しておきましょう。

なお、物件契約時は「用途・構造・面積」が医療法の構造設備基準を満たせるかが前提となります。物件の契約前に、設計図面を持って管轄の保健所に相談し、基準をクリアできるか確認しながら進めるのが安心です。

医療機器費

診療科ごとに必要な機器が大きく異なるため、まず必要な機器をリストアップすることからはじめましょう。

たとえば、内科なら電子カルテ・心電計・超音波画像診断装置などが、整形外科ならレントゲン装置・リハビリ機器などが必要となります。

購入方法には、新品購入・中古購入・リースの3つの選択肢があります。それぞれのメリット・デメリットは以下のとおりです。


 メリットデメリット
新品購入最新機能が備わっている
長期保証がある
高額になりやすい
中古購入新品購入よりも初期費用を抑えられる故障リスクがある
保証期間が短い
リース初期費用を抑えられる総支払い額が割高になりやすい

それぞれの特徴を理解し、自分の資金計画に合わせて選択することが重要です。

人件費

クリニック運営には、看護師・医療事務・受付などの人件費が発生します。

スタッフ採用時には、社会保険の加入が必須になるため、給与だけでなくこれらの社会保険料も含めて計画しましょう。

たとえば、給与30万円の看護師1名と給与20万円の医療事務2名を雇用するのであれば、給与の合計金額70万円+必要な社会保険料が人件費となります。

開業当初は、クリニックの規模にあった最小限の人員でスタートし、経営が軌道に乗ってから増員を検討するのが経営の基本です。

クリニック開業までの5つのステップ【ロードマップ】

クリニックの開業は具体的な計画を立て、段階的に準備を進めることが重要です。

以下のロードマップを例に、クリニック開業までを段階ごとに解説します。


クリニック開業までのロードマップ

STEP1.診療科・事業計画書の策定

クリニック開業の最初のステップは、「どのようなクリニックにしたいか」というコンセプトを固め、それを事業計画書に落とし込むことです。

まずは、自身の専門性や地域の医療ニーズを踏まえ、診療科や診療方針を明確にしましょう。

そのうえで、診療圏調査で地域のニーズや競合を分析し、設備・人員・収支計画を盛り込んだ具体的な事業計画書を作成します。

東京都医師会のように開業指針を公開しているケースもあるため、この段階で内容を確認しておくのもよいでしょう。

診療圏調査や事業計画書作成に不安がある場合は、税理士やコンサルタントに相談するのもひとつの方法です。

STEP2.資金調達と物件契約

事業計画が固まったら、具体的に必要な資金調達とクリニックの物件探しを始めましょう。

資金調達の主な方法としては融資があります。日本政策金融公庫や地方銀行などに事業計画書を提示し、融資の申し込みを行います。融資の審査をスムーズに進められるよう、設備資金と運転資金の内訳、返済計画を明確にしておきましょう。

クリニックの物件選びでは、立地のよさだけでなく、病床面積の広さや機械換気設備など医療法の構造設備基準を満たすかどうかも重要なポイントです。

すべての構造設備基準を確実に確認するのは難しいため、契約前には設計図面を持って保健所に行き相談しておくとよいでしょう。

また、集患には駐車場の有無も大きく影響します。車での来院が多い地域では十分な駐車スペースを確保できる物件を選ぶことも大切です。

STEP3.内装工事と医療機器導入

物件が決まったら、内装工事と医療機器の導入を進めます。

内装工事を依頼する際は、医療施設特有の要件(医療ガス配管・感染対策・バリアフリー対応など)を理解している業者を選ぶことが大切です。

クリニックのコンセプトや患者の動線を考慮した内装プランを固め、詳細な見積もりを取った上で工事契約を結びます。

同時に、事業計画に基づいて必要な医療機器や電子カルテ、待合室の椅子やデスクなどの什器の選定・発注を行います。

医療機器によっては到着まで数週間〜数ヶ月かかることもあるため、納期を確認しながら早めの発注を心掛けるようにしましょう。

STEP4.人材採用〜研修・集患戦略

クリニックには資格を有する人材の確保が必要です。看護師や医療事務など、必要な人材の募集を開始し、面接・選考を進めていきます。

採用後は、開業までに電子カルテの操作や接遇マナーなど、必要なスキルの研修を行いましょう。

同時に、集患戦略として地域情報誌への広告掲載やHPの作成、SNSでの情報発信などに取り組みましょう。

また、地域の医療機関や薬局、介護施設などを訪問し、紹介患者の獲得にもつながる連携体制を構築しておくことも大切です。

STEP5.開設届の提出

いよいよ開業の最終段階、行政への手続きです。クリニックを開業する際は以下の手続きが必要です。

  • 「診療所開設届」を管轄の保健所に提出
  • 「保険医療機関指定申請書」を管轄の厚生局へ提出※保険診療を行う場合

個人がクリニックを開設する場合は、開設後10日以内に管轄の保健所へ「診療所開設届」を提出します。

この届出に先立ち、内装工事完了後に保健所の担当者による立入検査を受け、構造設備が基準を満たしているかどうか確認するのが一般的です。

なお、保険診療を行うのであれば「保険医療機関指定申請書」を管轄の地方厚生局へ提出し、指定を受ける必要があります。

また、法人ではなく、個人事業主としてクリニック開業する場合には、開業してから1ヶ月以内に所轄の税務署へ「開業届」も提出しましょう。

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クリニック開業のよくある失敗例と回避法

クリニック開業が失敗してしまう原因としては、事前の準備不足や見通しの甘さが考えられます。

ここでは、よくある失敗例とその回避法について解説します。

失敗例1. 立地・診療科のミスマッチが起きる

賃料の安さだけで立地を選んだ結果、クリニック周辺にターゲットとする患者層がおらず、集患に苦労するケースです。

たとえば、小児科を開業したのに周辺に高齢者しか住んでいない、駅から遠くアクセスが悪いため来院数が伸びない、などの失敗例があります。

このような失敗を回避するためには、現地の調査や政府統計の分析が欠かせません。

開業候補地の人口動態や、昼間と夜間の人口、競合クリニックの状況を徹底的に調査し、そのエリアが自身のクリニックにマッチしているかを見極めましょう。

失敗例2. スタッフマネジメントが機能しない

院長が臨床に専念するあまり、労働環境の改善やスタッフとのコミュニケーションを怠り、人間関係が悪化してしまうケースもあります。それによりスタッフの離職が相次ぎ、診療の質低下につながりかねません。

スタッフの働きやすい環境を整備するために、院長は定期的な面談(月1回程度)を実施し、意見や悩みを聞く機会を設けるなどの対策を検討しましょう。

失敗例3.マーケティング不足で患者が集まらない

クリニック開業の失敗例として、開業前の集患戦略を怠ってしまうケースも考えられます。

どんなに優れた医療技術があっても、クリニックの存在が地域住民に認知されなければ患者は来院しません。特に開業初期には積極的な情報発信が必要です。

このような失敗を防ぐには、開業前から以下のようなマーケティングを計画的に実行することが有効です。

  • ホームページの開設
  • チラシの配布
  • 地域情報誌への広告掲載
  • 地域住民向け内覧会の実施

開業前からのマーケティング施策によって来院した患者の満足度を高められれば、開業後の継続的な集患も期待できます。

クリニックの開業資金に使える補助金と融資

クリニックを開業するには、多額の資金が必要です。自己負担を軽減したい場合は、融資や補助金の制度の活用も検討しましょう。

クリニック開業の資金調達で代表的なのは、日本政策金融公庫の「新規開業・スタートアップ支援資金」です。民間の金融機関に比べて金利が低いなど多くのメリットがあります。

また、返済不要の資金としては補助金や助成金も存在します。ただし、クリニック開業そのものを対象としたものというより、ITツールや医療機器の導入など、特定の目的に対して支給されるものが中心です。

補助金は、自治体ごとに公募の有無や要件が異なるため、開業する地域の自治体のHPをこまめに確認しておくとよいでしょう。

よくある質問

クリニックは何科が一番儲かりますか?

一概に「〇〇科が儲かる」とは断定できません。

ただ、自由診療の比率が高い美容皮膚科や矯正歯科は、収益性が高い傾向にあるとされています。

とはいえ、これらの診療科は、高額な医療機器の導入費用や広告宣伝費が必要であり、競争が激しいのが実情です。

クリニック開業で成功するには、「儲かる科」を追求するのではなく、自身の専門性を最大限に活かせ、かつ地域の医療ニーズに応えられる診療科を選ぶことが大切です。

クリニック開業の手順に関してはクリニック開業までの5つのステップ【ロードマップ】を参考にしてください。

クリニックを開業するにはいくら必要ですか?

診療科や内装デザイン、立地条件によって大きく変動しますが、一般的には5,000万円~1億円程度が必要と言われています。

主な内訳は、クリニック開業に必要な資金の目安で解説した「物件費と内装工事費」や「医療機器費」、開業当初の「人件費」を含む数ヶ月分の運転資金です。

正確な金額を知るためには、自身の事業計画に基づいて必要資金をひとつずつ具体的に見積る必要があります。

クリニックの経営者の年収はいくらですか?

2023年に厚生労働省が実施した「医療経済実態調査」によると、開業医(一般診療所院長)の平均年収は有床3,438万円、無床2,578万円でした。

しかし、これはあくまで全国平均のデータであり、実際には診療科や地域、経営手腕によって大きな差があります。

成功すれば平均以上の収入を得ることも可能ですが、経営が軌道に乗るまでは勤務医の収入を下回る可能性も十分にあるため、ひとつの目安と捉えるようにしましょう。

開業医は潰れるのでしょうか?

残念ながら、開業医も経営が立ち行かなくなれば潰れる可能性はあります。医師としていくら腕がよくても、経営者としてのスキルがなければクリニックを存続させることは難しいからです。

廃業にいたる理由としては、クリニック開業のよくある失敗例と回避法で紹介したような失敗例が挙げられます。

開業医として成功するには臨床スキルを磨くと同時に、経営に関する知識を学ぶことが重要です。

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個人事業を始める際には「開業届」を、青色申告をする際にはさらに「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。 記入項目はそれほど多くはありませんが、どうやって記入したらいいのかわからないという方も多いと思います。

そこでおすすめなのが「freee開業」です。ステップに沿って簡単な質問に答えていくだけで、必要な届出をすぐに完成することができます。

freee開業で作成可能な5つの届出

1. 個人事業の開業・廃業等届出書
開業届のことです。

2. 所得税の青色申告承認申請書
青色申告承認申請書は事業開始日から2ヶ月以内、もしくは1月1日から3月15日までに提出する必要があります。期限を過ぎた場合、青色申告できるのは翌年からになるため注意が必要です。

3. 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
家族や従業員に給与を支払うための申請書です。

4. 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
原則毎月支払う源泉所得税を年2回にまとめて納付するための手続です。毎月支払うのは手間ですので、ぜひ提出しましょう。

5. 青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書
青色申告をする場合に、家族に支払う給与を経費にするための手続です。青色申告をして家族に給与を支払う場合は必ず提出しましょう。

freee開業の使い方を徹底解説

freee開業を使った開業届の書き方は、準備→作成→提出の3ステップに沿って必要事項を記入していくだけです。

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Step1:準備編

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準備編では事業の基本情報を入力します。迷いやすい職業欄も多彩な選択肢のなかから選ぶだけ。


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事業の開始年月日、想定月収、仕事をする場所を記入します。
想定月収を記入すると青色申告、白色申告のどちらが、いくらお得かも自動で計算されます。

Step2:作成編

次に、作成編です。


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申請者の情報を入力します。
名前、住所、電話番号、生年月日を記入しましょう。


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給与を支払う人がいる場合は、上記のように入力をします。
今回は準備編で「家族」を選択しましたので、妻を例に記入を行いました。


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さらに、見込み納税金額のシミュレーションも可能。
※なお、売上の3割を経費とした場合の見込み額を表示しています。経費額やその他の控除によって実際の納税額は変化します。

今回は、青色申告65万円控除が一番おすすめの結果となりました。

Step3:提出編

最後のステップでは、開業に必要な書類をすべてプリントアウトし、税務署に提出します。


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入力した住所をもとに、提出候補の地区がプルダウンで出てきます。地区を選ぶと、提出先の税務署が表示されますので、そちらに開業届けを提出しましょう。


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届け出に関する説明とそれぞれの控えを含め、11枚のPDFが出来上がりました。印刷し、必要箇所に押印とマイナンバー(個人番号)の記載をしましょう。

郵送で提出したい方のために、宛先も1ページ目に記載されています。切り取って封筒に貼りつければ完了です。

いかがでしょう。
事業をスタートする際や、青色申告にしたい場合、切り替えたい場合など、届出の作成は意外と煩雑なものです。

しかし、freee開業を活用すれば、無料ですぐに届け出の作成が完了。

また、確定申告書の作成もfreee会計を使えば、ステップに沿ってすぐに完了します。
freee開業freee会計を使って、効率良く届出を作成しましょう。

まとめ

クリニック開業を成功に導く重要な要素は、情熱や臨床スキルに加え、周到で現実的な事前準備にあります。

診療圏調査による立地の選定や綿密な事業計画の策定だけでなく、適切な資金調達や効果的な集患戦略など、各ステップを着実に進めることが重要です。

医療技術はもちろん、経営スキルやマネジメント能力も身につけることで、安定したクリニック運営が可能となるでしょう。

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