給与計算・労務管理の基礎知識

給与所得等にかかる復興特別所得税とは?その計算方法と納付方法

法人税や所得税など、以前から存在する税金と比較すると、意外とその詳細について知られていないのが「復興特別所得税」です。復興特別所得税に関して、給与担当者や給与所得を得ている人が知っておきたい基本事項をまとめて紹介します。

復興特別所得税の定義とその導入背景

復興特別所得税とは

復興特別所得税とは、源泉徴収義務者が支払う給与所得や退職所得等を対象として課される税金です。なお、課税対象期間が限定されており、具体的には2013年1月1日より2037年12月31日までの期間に支払った所得に対して課されます。つまり、最長で25年間、復興特別所得税を負担し続ける給与所得者等が存在することになります。

復興特別所得税が源泉徴収される所得の種類は、所得税法の規定により源泉徴収の対象となる所得と同一です。具体的には、「給与等」のほか、「退職手当等」や「利子等及び配当等」、「公的年金等」や「報酬・料金等」などが対象の所得となります。

さらに、租税特別措置法の規定に基づいて所得税が源泉徴収される所得も、復興特別所得税の源泉徴収の対象となる点に留意しておかなければなりません。その一例として、特定口座内に保管されている上場株式の譲渡によって得られる所得が挙げられます。

復興特別所得税が存在する背景

復興特別所得税が導入されたきっかけは、2011年3月11日の東日本大震災による被災地復興のための財源確保を目的とした特別措置法の制定となります。本法は、2011年12月2日に公布、2013年1月1日より施行されました。

この法律に基づき、所得税及び租税特別措置法の源泉徴収義務者に関しては、通常の源泉所得税と合わせて復興特別所得税を納付する義務を負っています。なお、租税条約の規定によって、租税特別措置法または所得税法に規定している税率以下の税率(限度税率)が適用される場合に限り、復興特別所得税の負担は不要です。

復興特別所得税の税率・計算方法及び納付方法

復興特別所得税の税額と計算方法

復興特別所得税の税額は、源泉徴収の対象となる所得税額の2.1%相当とされています。実際には、源泉徴収される所得税と復興特別所得税の金額を合算して納付することとなるため、「合計税率」として税率を算出するのが一般的です。すなわち、以下の計算式に基づいて、合計税率を算出することができます。

<計算式>

所得税と復興特別所得税の合計税率(%)= 所得税率(%)×102.1%
例えば、国税庁が発表している下記の所得税率表によれば、所得税率が5%の場合の合計税率は、5.105%となります。なお、実際に上記の計算式に各数値をあてはめて計算しても、同様の合計税率を算出できることが検証できます。

引用元:国税庁

納付方法と納付期限

各事業主は、源泉徴収した所得税と復興特別所得税の合計額を、指定の納付期限までに、所轄の税務署窓口か最寄りの金融機関窓口にて納付しなければなりません。なお、納付期限は、一般的には給与等を支払った日の翌月10日までとされています。ただし、納付期限の特例を受けている事業主は、半年分をまとめて納付することが可能です。すなわち、1月から6月分を7月10日までに納付、7月から12月分を翌年の1月20日までに納付することになります。

なお、源泉所得税の納付時に使用する様式(納付書)は、「給与所得・退職所得等の所得税徴収高計算書」1枚のみとなります。指定様式は、所轄の税務署窓口にて入手することが可能です。国税庁のページにて、様式と記載方法を確認することもできます。

源泉徴収税額の計算方法の具体例

源泉徴収義務者である事業主は、以下の方法により、源泉徴収すべき所得税と復興特別所得税について算出することができます。具体的な事例に基づき、説明していきましょう。なお、もし源泉徴収すべき税額が1円未満の端数となった場合には、端数は切り捨てます。

源泉徴収税額の計算の具体例1

<設定要件>
会社に勤務する従業員Aの課税所得額:600万円
所得税率:20%

※注:従業員Aの「課税所得額」とは、会社から支払われる給与等の所得から、保険料などの給与控除項目を差引した金額を意味します。

<ステップ1>
所得税と復興特別所得税の合計税率の計算

所得税率20%×102.1%=20.42%
<ステップ2>
会社が源泉徴収すべき所得税と復興特別所得税の算出
従業員Aの課税所得額600万円×合計税率20.42%=1,225,200円

源泉徴収税額の計算の具体例2

<設定要件>
会社より、創業記念の機関紙向け原稿料として、
著名な作家Bが得られる課税所得額:110万円
所得税率:100万円までは10%、100万円超の分は20%

<ステップ1>
それぞれの所得税と復興特別所得税の合計税率の計算

所得税率10%×102.1%=10.21%、所得税率20%×102.1%=20.42%
<ステップ2>
会社が源泉徴収すべき所得税と復興特別所得税の算出
(100万円×10.21%)+(10万円×20.42%)=102,100円+20,420円=122,520円

まとめ

復興特別所得税は、2037年12月31日までに支払われる給与等の所得に課される税金となります。給与担当者や給与所得者として、その仕組みや税率について理解しておくと安心です。特に、源泉所得税の納付にかかわる給与担当者にとっては、納付書の作成時に必要な知識ですので、疑問点があれば早めに解決しておきましょう。



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