人事労務の基礎知識

嘱託(嘱託社員)とは?契約社員やパートとの雇用形態の違いなどを解説

監修 北 光太郎 きた社労士事務所

嘱託(嘱託社員)とは?契約社員やパートとの雇用形態の違いなどを解説

嘱託とは、正社員とは異なる労働契約で働く非正規雇用の一種です。法律上の明確な定義はありませんが、一般的に非正規の中でも、とくに定年後再雇用(継続雇用)で働く人 を「嘱託社員」と呼ぶケースが一般的です。

本記事では、嘱託社員とは具体的にどのような雇用形態を指すのか、正社員や契約社員、パートタイマーと法的に何が違うのか、企業が雇用する際のメリット・デメリットなどを解説します。

目次

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嘱託とは

嘱託とは、正社員とは異なる労働契約で働く非正規雇用の一種です。法律上の明確な定義はありませんが、一般的に非正規の中でも、とくに定年後再雇用(継続雇用)で働く人 を「嘱託社員」と呼ぶケースが一般的です。

委嘱との違い

嘱託と似た言葉に「委嘱(いしょく)」があります。両者の主な違いは以下のとおりです。


項目嘱託委嘱
法的性質雇用契約(労働基準法が適用)請負・準委任契約(民法が適用)
業務内容企業内の特定の業務、雇用契約に基づく労働を含む幅広い範囲法律、医療、芸術など専門性の高い業務の依頼が多い
指揮命令あり(企業の指示に従う)なし(独立して業務を行う)
対価給与(賃金)報酬(ギャランティ)

「委嘱」は、顧問弁護士への法律相談や、外部の専門家への講演依頼など、企業とは独立した立場で高度な専門知識を提供してもらう場合に使われます。

委嘱契約の場合は、両者の間に雇用関係は発生せず、受託者は労働基準法などの労働法規の適用対象外となります。

嘱託社員とは

一般的に「嘱託社員」とは、企業と期間の定めがある雇用契約(有期労働契約)を結んで働く社員を指し、日本のビジネス慣習における呼称です。

法律上で明確に定義された用語ではなく、実態としては労働契約法上の「有期労働契約者」に該当します。

多くの場合、フルタイムの正社員とは異なる労働時間や賃金体系が適用され、その使われ方は主に以下の2つのケースに分けられます。

  • 定年後に再雇用されるケース
  • 再雇用以外のケース

定年後に再雇用されるケース

嘱託社員という呼称が使われる最も一般的なケースは、企業の定年を迎えた社員が引き続き同じ企業で働くために再雇用される場合です。

嘱託社員が雇用される背景には、高年齢者雇用安定法により、企業には希望する社員を65歳まで雇用する義務(高年齢者雇用確保措置)が課されていることにあります。

多くの企業では、高年齢者雇用確保措置に対応するために「継続雇用制度(再雇用制度)」を導入しています。

継続雇用制度とは、定年に達した社員は一度退職扱いとなり、その後「嘱託社員」として企業と新たに有期雇用契約を結び直す制度です。嘱託社員の場合、賃金や職務内容、勤務時間などの労働条件は、定年前(正社員時代)とは異なる内容で見直されるケースが多く見られます。

再雇用以外のケース

定年後の再雇用以外にも、以下のようなケースで「嘱託社員」の呼称が使われることがあります。

  • 高度な専門性を持つ人材を、特定のプロジェクトや短期間の業務のために採用する場合
  • フルタイムでは働けない、特別な事情を持つ人(例:子育てや介護との両立)を、期間を定めて雇用する場合

特定のプロジェクトの遂行や、短期間の専門的業務のために高度なスキルや資格を持つ人材を期間を定めて採用する場合も、嘱託社員として雇用するケースもあります。また、子育て・介護との両立、健康上の理由などでフルタイム勤務が難しい人を期間を定めて雇用する場合なども嘱託社員として雇用する企業もあります。

これらのケースは、いずれも企業と契約社員やパート・アルバイトと同様に有期労働契約を結んだ社員となるのが一般的です。

嘱託社員の雇用形態とその他の雇用形態との違い

嘱託社員は、法律上「期間の定めのある労働契約(有期雇用契約)」を締結した労働者に分類されます。契約社員やパート、アルバイトといった呼称の雇用形態と同様になるということです。

嘱託社員の雇用形態の特徴をまとめると、以下のとおりです。


項目詳細
雇用主との関係企業と雇用契約を締結するため、労働者として労働基準法などの保護の対象となる
契約期間契約期間は1年と定められるケースが一般的だが、企業によって異なる。契約は期間満了時に双方の合意があれば更新される
業務内容・勤務時間業務内容や勤務時間は、正社員時代と比べて軽減・短縮されることが多く、特に定年後の再雇用では専門性の高い業務や後進の指導などを任されるケースが見られる

嘱託社員と正社員の違い

嘱託社員と正社員の最も大きな違いは、「雇用契約の期間」にあります。

正社員は無期雇用であるため、企業側から一方的に解雇することは法律で厳しく制限されています。一方、嘱託社員は有期雇用契約であるため、契約期間が満了して企業が契約を更新しなければ「雇止め」となる可能性があります。

また、正社員は企業の基幹人材として業務内容や勤務地が広範囲にわたり、転勤や配置転換、昇進など、重い責任を負うのが一般的です。待遇は基本的には月給制となり、賞与(ボーナス)や昇給、退職金などが手厚く保障されています。

一方、嘱託社員は正社員に比べて業務内容が限定され、責任も軽減されることが多くなります。給与体系も時給制や日給制となったり、月給制であっても賞与や退職金の支給がなくなる、もしくは大幅に低減されたりするのが一般的です。

加えて、定年後に再雇用で勤務する嘱託社員は、体力的な負担を考慮して勤務時間や日数を短縮した柔軟な働き方を選択するケースも見られます。

嘱託社員と契約社員の違い

法律上は、嘱託社員や契約社員も「有期雇用契約を結んだ労働者」という点では同じです。両者の違いは、法律上の定義ではなく、企業の実務上の「呼称(呼び方)」の違いに過ぎません。

契約社員は主に定年再雇用以外の理由で、最初から有期雇用として採用された人に対して使われることが多い雇用形態です。一方で嘱託社員は主に定年後の再雇用者に対して使われることが多い傾向にあります。

企業が、社員の入社経緯や役割に応じて、便宜的に名称を使い分けているのが実態です。

嘱託社員とパート・アルバイトとの違い

嘱託社員とパート・アルバイトは、どちらも法的には「有期雇用契約を締結した労働者」であり、同じカテゴリーに分類されます。

パート・アルバイトは、一般的に正社員よりも短い労働時間や勤務日数で勤務し、補助的な業務や定型的な業務を担う労働者を指します。一方の嘱託社員は、定年後の再雇用の場合、正社員時代に培った経験や専門性を活かした業務を担うことが期待されます。

そのため、パート・アルバイトよりも責任の重い業務を担当したり、フルタイムに近い労働時間で働いたりするケースも珍しくありません。

なお、有期雇用者と正社員を雇用する場合は、同一労働同一賃金の原則に注意する必要があります。同一労働同一賃金とは、「嘱託社員だから」「パートだから」といった呼称の違いだけで待遇に差を設けることを禁止し、同じ仕事内容・責任であれば、正社員と非正規社員の間で不合理な待遇差を設けてはならないというルールです。

そのため、業務内容や責任の重さや転勤の有無などが実質的に同じであるにもかかわらず、基本給や賞与、各種手当において不合理な格差を設けることは違法となります。

企業は、雇用形態の名称にかかわらず、職務の実態に応じた公正な待遇を設定する必要があり、もし待遇に差がある場合は合理的な理由を労働者に対して明確に説明する責任を負います。

嘱託社員の労働条件

嘱託社員の具体的な労働条件は、基本的には企業が定める就業規則や個別の労働契約によって決定されます。

ただし、就業規則や個別の労働契約が法律(労働基準法等)で定めた基準に達しない場合は、その条件は無効となり、法律で定める基準に従うことになります。

ここでは、特に嘱託社員の労働条件として特徴的な4つの項目について解説します。

賞与・ボーナスの支給

嘱託社員に対する賞与(ボーナス)の支給は、企業の規定や労働契約の内容次第です。

定年後の再雇用の場合、正社員に比べて支給額が大幅に減額されたり、支給そのものがなくなったりするケースが一般的です。契約によっては、業績に応じた一時金が支給されることもあります。

ただし、前述の「同一労働同一賃金」の原則には注意が必要です。もし嘱託社員が、正社員とまったく同じ業務内容や責任の範囲を担っているにもかかわらず、賞与だけを不支給とすることは、不合理な待遇差として違法と判断される可能性があります。

有給休暇の取得

嘱託社員も正社員と同様に労働基準法に基づいて年次有給休暇を取得する権利があり、以下の要件を満たせば有給休暇が付与されます。

  • 雇入れの日から6ヶ月以上継続勤務している
  • 全労働日の8割以上出勤している

ただし、付与される日数は勤続年数や所定労働時間・所定労働日数に応じて異なります。

たとえば、週の所定労働時間が30時間以上、または所定労働日数が週5日以上(1年で217日以上)の場合は、正社員と同じ日数が付与されます。一方、週所定労働時間が30時間未満で、かつ週の所定労働日数が4日以下の場合は、労働条件に応じた日数が付与されます。

退職金の支給

嘱託社員に対する退職金は、支給されないケースが多く見られます。

とくに定年後の再雇用のケースでは、社員は定年退職した時点で正社員としての勤務期間に対する退職金をすでに受け取っているケースがほとんどです。そのため、再雇用後の嘱託社員としての勤務期間に対しては、退職金規定の適用外とされることが一般的です。

ただし、嘱託社員の退職金支給は企業次第であり、嘱託社員としての勤続年数に応じて別途一時金が支給される場合もあります。

社会保険への加入

嘱託社員も一定の要件を満たせば、社会保険(健康保険・厚生年金保険)や労働保険(雇用保険・労災保険)への加入が義務付けられています。ここでは、各種保険への加入条件を解説します。

健康保険・厚生年金保険

社会保険(健康保険・厚生年金保険)は、原則として所定労働時間や労働日数が正社員の「4分の3以上」である場合は、加入義務が発生します。

ただし、4分の3未満の場合でも以下の要件をすべて満たす短時間労働者は加入義務が生じます。

  • 従業員数(厚生年金保険の被保険者数)が51人以上
  • 週の所定労働時間が20時間以上
  • 月額賃金が8.8万円以上
  • 2ヶ月を超える雇用見込みがある
  • 学生ではない

なお、2027年10月以降には社会保険加入義務の対象となる企業の規模要件が従業員31人以上になり、2035年10月には企業規模要件を撤廃される予定です。


出典:厚生労働省「被用者保険の適用拡大について」

雇用保険

雇用保険については、以下の2つの要件を両方満たす場合に加入する必要があります。

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上
  • 31日以上の雇用見込みがある

なお、65歳以上で採用された場合も「高年齢被保険者」として加入対象となり、令和2年4月以降は保険料の徴収も対象となっています。

労災保険

労災保険は勤務時間や日数に関わらず、すべての労働者に加入が義務付けられています。労災保険は労働者の業務中や通勤中のケガ・病気を補償する労働保険です。

保険料率は企業の業種(事業の種類)によって異なり、保険料は全額企業が負担をします。

嘱託社員の雇用メリット

企業にとって、嘱託社員を雇用することは主に以下のメリットがあります。

専門知識や技能の維持・継承

長年にわたり企業の実務を支えてきたベテラン社員は、社内独自のノウハウや業界特有の専門知識、長年の顧客との信頼関係という、一朝一夕には得られない貴重な資産を有しています。

定年を迎えたからといって、これらの人材を即座に手放すことは企業にとって大きな知的財産の損失となりかねません。嘱託社員として雇用を継続することで、培ってきた高度な熟練技能や暗黙知を社内に留保し、安定した事業運営を維持することが可能になります。

また、若手社員への指導役やメンターとしての役割を担ってもらうことで、世代間の技能継承を円滑に進めることができます。

人件費の抑制

一般的に定年まで勤め上げた正社員は、年功序列型の賃金体系により給与水準が高くなっていますが、定年後の再雇用契約(嘱託契約)に切り替えるタイミングで、職務内容や責任の範囲に応じた給与体系へと再設定することができます。

これにより、フルタイムの正社員と同等の経験やスキルを持つ人材を、現役時代よりも抑えた賃金コストで確保することが可能になります。

また、新たな人材を外部から採用する場合に発生する求人広告費や紹介手数料、入社後の教育研修費といった採用・育成コストも不要になるため、費用対効果の面で経営に貢献します。

雇用の義務への対応

少子高齢化が進む現代の日本において、企業には「高年齢者雇用安定法」に基づき、希望する労働者を65歳まで雇用する措置を講じることが義務付けられています。さらに、70歳までの就業機会の確保も努力義務となっており、シニア層の雇用確保は避けて通れない経営課題です。

すべての対象者を現役時代と同じ正社員として雇用し続けることは、企業にとって重い負担となる場合があります。そこで多くの企業では定年退職者を一度退職扱いにした上で、有期契約の嘱託社員として再雇用する「継続雇用制度」を導入しています。

コンプライアンスを徹底しながら、企業の社会的責任を果たすことができるため、法的なリスクを回避しつつ、健全な労務管理体制をアピールすることができます。

労働条件の柔軟性

嘱託社員の労働条件は、正社員のような一律の働き方にとらわれず、企業と労働者双方のニーズに合わせた柔軟な労働条件を設定できます。

たとえば、体力的な衰えや親の介護、あるいは自身の趣味の時間を大切にしたいといったシニア層のライフスタイルに合わせて、「週3日勤務」や「1日6時間の短時間勤務」といったワークシェアリング的な働き方を導入することが可能です。

企業側としても、繁忙期に合わせた出勤日の調整や特定の専門業務のみに特化した契約を締結するなど、必要な労働力を必要な分だけ効率的に配置することができます。

嘱託社員の雇用デメリット

一方で、嘱託社員を雇用する際は、主に以下のデメリットがあります。

モチベーションの低下リスク

定年再雇用で嘱託社員として働く場合は、給与水準は大幅に低下することが多く、モチベーションや帰属意識の低下につながる可能性があります。

定年再雇用では、業務内容や責任の重さが現役時代とほとんど変わらないにもかかわらず、賃金だけが半分程度にまで減額されるケースもあります。処遇のギャップに対し、本人は「会社への貢献度に見合っていない」という不公平感を抱きやすく、モチベーションが著しく低下する恐れがあります。

また、かつての部下が上司になるといった立場の逆転もベテラン社員のプライドを傷つけ、やる気を削ぐ要因となり得ます。結果として、「給料分しか働かない」という消極的な姿勢が定着してしまうと、本人のモチベーション低下を招いてしまいます。

契約期間の制限

嘱託社員は一般的に「有期雇用契約」となるため、契約期間に関する制限があります。

通常は1年ごとの契約更新が行われますが、更新のたびに面談や契約書の取り交わしを行う事務手続きの手間は無視できません。また、契約社員であっても通算の契約期間が5年を超えると労働者の申し込みにより期間の定めのない契約(無期転換ルール)へ移行する権利が発生します。

企業側が将来的な人員計画を見据えて「5年以内で雇用を終了したい」と考えていても、不用意な更新を繰り返せば法的な縛りが生じ、雇用の柔軟性が損なわれる可能性があります。

ただし、労働局の認定を受けることで定年後の労働者に対しては無期転換の申込権を発生しないとする特例が設けられています。

法的な対応の必要性

近年の法改正により、有期雇用契約の雇用管理において企業が負うべき法的責任は年々重くなっています。とくに「パートタイム・有期雇用労働法(同一労働同一賃金)」への対応として、正社員と有期雇用契約社員の間で、業務内容や責任の範囲、配置転換の有無などが同じである場合、不合理な待遇差を設けることが禁止されています。

もし賃金や賞与、福利厚生に差をつけるのであれば、企業側は「なぜその差があるのか」を客観的かつ合理的に説明できる根拠を用意しておかなければなりません。企業は有期雇用特有の法的な対応が必須となり、適切な雇用管理が求められます。

世代交代の遅れ

経験豊富なベテラン社員が長く職場に留まり続けることは、裏を返せば組織の若返りを阻害する要因にもなり得ます。特定の業務に関するノウハウを嘱託社員が独占してしまい、いつまでも「あの人に聞かないと分からない」という属人化が解消されないままだと、次世代のリーダー候補が育ちません。

また、過去の成功体験に固執するベテランが影響力を持ち続けることで、新しい技術の導入や業務プロセスの改革に対して抵抗勢力となり、組織のイノベーションや新陳代謝が停滞するリスクもあります。

嘱託社員を雇用する場合の注意点

嘱託社員を雇用する場合は徹底した法令遵守が求められます。特に企業は以下の2点に注意しましょう。

無期転換ルールの適用

嘱託社員(有期雇用契約社員)との契約において注意すべき法的要件の一つが、労働契約法第18条に定められた「無期転換ルール」です。「無期転換ルール」とは、有期労働契約が通算で5年を超えた場合に、労働者からの申し込みにより期間の定めのない労働契約(無期雇用)へ転換できるという制度です。

定年後の再雇用であっても、原則として無期転換ルールは適用されるため、契約更新を繰り返していると、企業が無期雇用の義務を負うリスクが生じます。

これを回避するためには、「有期雇用特別措置法」に基づき、都道府県労働局へ「第二種計画認定」の申請を行う必要があります。認定を受けることで、定年後再雇用者に限り、無期転換権が発生しない特例措置が適用されます。

企業は手続きを行う場合は、雇用契約書に特例の適用対象であることを明記し、本人に十分な説明を行いましょう。

雇止め法理の適用

契約期間が満了したことを理由に雇用を終了させる「雇止め」は、企業側が自由にできるものではありません。

労働契約法第19条の「雇止め法理」により、以下のいずれかのケースに該当する場合は、雇止めが無効となる可能性があります。

  1. 反復更新され、実質的に無期雇用と変わらない状態になっている場合
  2. 労働者が契約更新を期待することに合理的な理由がある場合

過去に何度も更新が繰り返されている場合や、労働者が「次も更新されるだろう」と期待することに合理的な理由がある場合には、契約期間の満了のみを理由とした終了が認められないケースがあります。

正当な理由のない雇止めは、法的に解雇と同等とみなされ無効となるリスクが高くなります。そのため、2024年4月から雇用契約書(労働条件通知書)において「更新回数は〇回を上限とする」といった更新上限を明確に定めておくことが求められました。

雇止めの際は安易に「契約社員だから」という理由で契約を終了させず、事前に労働者に対して事情を説明し、同意を得たうえで雇用契約書に次回更新をしない旨を定めるなど、適切な手順で雇止めの手続きをする必要があります。

まとめ

嘱託社員とは、主に定年後の再雇用者などを指す実務上の呼称であり、法的には有期雇用契約を結んだ労働者を意味します。

企業には熟練した技術の継承や人件費の抑制といったメリットがある反面、給与減額によるモチベーション低下や、雇止め法理などの法的リスクも伴います。

雇用にあたっては、正社員との不合理な待遇差を禁じる同一労働同一賃金の遵守や、無期転換ルールへの特例適用など、法規制に則った適切な労務管理が求められます。自社の状況に合わせて制度を設計し、トラブルのない雇用関係を築くことが重要です。

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よくある質問

嘱託社員とパート・アルバイトの違いは?

嘱託社員とパート・アルバイトは、どちらも法的には「有期雇用契約を締結した労働者」であり、同じカテゴリーに分類されます。

一般的には、嘱託社員が経験や専門性を活かした業務を担う一方、パート・アルバイトは正社員よりも短い労働時間や勤務日数で勤務し、補助的な業務や定型的な業務を担うことが多い傾向にあります。

詳しくは「嘱託社員とパート・アルバイトとの違い」をご参照ください。

嘱託社員のメリット・デメリットは?

嘱託社員雇用のメリットは、専門知識や技能を継承しつつ、人件費を抑制できる点にあります。

一方で、給与減額によるモチベーションの低下リスクや有期契約に伴う更新手続きの手間、同一労働同一賃金や無期転換ルールなどの法的対応が必須となります。

詳しくは「嘱託社員の雇用メリット」をご参照ください。

監修 北 光太郎

きた社労士事務所 代表
中小企業から上場企業まで様々な企業で労務に従事。計10年の労務経験を経て独立。独立後は労務コンサルのほか、Webメディアの記事執筆・監修を中心に人事労務に関する情報提供に注力。法人・個人問わず多くの記事執筆・監修をしながら、自身でも労務専門サイトを運営している。

北 光太郎

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