監修 中村 桂太 特定社会保険労務士
復命書とは、上司などの監督者・責任者から命じられた業務や出張、研修などの任務について、その経過や結果を報告するために提出する文書のことです。
復命書を作成することで、指示された業務がどのように遂行されたのかを客観的に整理でき、あわせて経費の使途や判断の妥当性を明確に示すことができます。とくに、官公庁や自治体など、業務の正当性や説明責任が重視される組織では重要な役割を担います。
本記事では、復命書の基本的な役割や目的をはじめ、報告書・命令書との違い、具体的な書き方、実務でよく使われる場面などを解説します。
目次
復命書とは
復命書とは、上司などの監督者・責任者から命じられた業務や出張、研修などの任務について、その経過や結果を報告するために提出する文書のことです。
復命書は主に官公庁や自治体などの行政機関、特定の業界で用いられることが多く、一般企業ではあまり使用されません。
復命書の役割・目的
復命書の主な目的は、職務上の命令に対し、職務遂行に伴う顛末及び結果を報告することです。また、官公庁や自治体においては、財源の用途を示す公文書としても位置づけられます。
官公庁や自治体は税金を財源として活動する組織であるため、その目的や業務の必要性、判断根拠、経費負担の妥当性など、業務遂行の正当性を明確にすることが求められます。そのため、復命書を提出することで「指示された業務の中で経費が目的通りに使用されたか」という確認ができるのです。
そのほか組織の性質にかかわらず、復命書を作成することで、業務の遂行者が客観的に指示内容を振り返りやすくなり、自己成長を促す役割も期待できます。
復命書と報告書の違い
復命書は役割が似ていることから「報告書」と混同されがちですが、厳密には作成・提出の目的や、記載する内容に違いがあります。
先述のとおり、復命書は命令・指示のあった業務の遂行者や対象者、調査の内容、対象となった資料、遂行状況、判断根拠、理由、所感などを含めた結果を記載するものです。つまり、復命書は命令や指示と対になる文書といえます。
一方、報告書は業務の節目や完了時に作成・提出されるもので、対象となる業務の範囲は幅広く、必ずしも命令や指示があった業務に限りません。たとえば、営業活動やプロジェクト進捗、クレーム対応などの日常・定型業務の結果も、報告書の対象となります。
復命書と命令書の違い
命令書とは、上司が部下に対して業務を命令・指示するために、具体的な内容を記載する文書を指します。
上司が作成する命令書と、その命令を受けた業務遂行者が作成する復命書は、相互に対応する文書といえるでしょう。
復命書の書き方
復命書に厳密な統一フォーマットはありませんが、一定の項目を押さえて作成することで、業務内容や結果を正確かつ分かりやすく伝えることができます。
ここでは、実務でそのまま活用できる復命書の基本的な書き方を解説します。
表題
表題(件名)は、文書の目的を端的に示すタイトルです。どの業務についての復命書なのかが一目でわかるように記載します。たとえば、「〇〇商談出張復命書」「新人スキルアップ研修復命書」などのように具体的に記載するとよいでしょう。
また、文書の冒頭には、提出日や宛名(上司や部門長)、差出人(所属・氏名)をあわせて記載すると、文書としての体裁が整います。
期間・場所
「令和〇年〇月〇日~〇月〇日」といった形で、業務を遂行した具体的な日時と場所を正確に記載します。出張先の住所や研修会の名称、会場、訪問先の企業名なども省略せずに記載することが重要です。復命書は公的な文書としての性質が強いため、事実関係の正確性がとくに求められます。
業務の概要
実施した業務の目的や内容を簡潔にまとめます。あわせて、実際にどのような業務を行ったのか、その結果どうなったのかを整理して記載します。
業務の全体像を把握するための項目であり、詳細に入る前の要点整理として重要な役割を果たします。
本文
業務の活動内容やヒアリングの結果、具体的な判断の根拠や理由、ポイントなどを詳細に記載します。たとえば出張の復命書の場合は、以下のように時系列で記述するとわかりやすくなります。
- 午前10時 〇〇社を訪問
- 午後2時 〇〇に関する協議
また、最終的な結果や結論を先に記載し、その後に実際の作業や確認事項、理由や根拠を箇条書きに整理して記載すると読み手にとって理解しやすい構成になります。
所感
所感は、本文で記載した客観的な事実報告とは切り分けて、業務遂行者本人が得た気付きや反省点、改善点などを記載する欄です。単なる感想に留めず、次回以降の業務や組織全体の改善につながる視点を盛り込むことが望ましいでしょう。
添付資料
業務に関連する資料や、研修・会議で受け取った資料、経費の明細・領収書などの控えがある場合は、添付資料としてまとめます。
復命書の例文
ここでは、復命書の記載イメージを具体的につかめるよう、研修に参加した場合を想定した例文を紹介します。基本的な構成や文章の考え方を理解するための参考例としてご活用ください。
表題:○○年度 新規マーケティング戦略研修 復命書
作成日時:○○年○○月○○日
報告者:○○○○部 △△ △△
指示を実行した日時:○○年○○月○○日 9:00~17:00
実行場所:東京ビッグサイト 会議棟(主催:○○○○○)
目的:最新のデジタルマーケティング手法および市場トレンドの把握、次期戦略への応用可能性の調査
概要:外部講師による「最新デジタルマーケティング講座」に参加。特に、競合他社の最新動向、費用対効果(ROI)の算出方法、および効果測定のフレームワークについて重点的に聴講した。
本文:研修は以下の3部構成で実施された。
1. 市場トレンドとコンテンツ戦略:~~~
2. 成功事例とROI算出:~~~
3. 効果測定と改善サイクル:~~~
所感:今回の研修で得られた「△△△△」は、来期の施策立案に不可欠であると確信した。現在担当している「製品A」の広報について、ペルソナが抱える課題解決に特化した形式に転換することを提案する。
添付資料:研修テキスト一式、受講証明書は別紙参照。
復命書が使われるケース
復命書は、すべての業務で必ず作成される文書ではありませんが、業務の正当性や成果を明確に示す必要がある場面で多く活用されます。
ここでは、復命書が用いられる代表的な業務や業界について解説します。
研修・セミナーに参加した場合
社外研修やセミナーに参加した場合には、学習内容や成果を組織内で共有する目的で復命書が作成されることがあります。研修の復命書には、研修の概要に加え、業務にどう活かせるかといった所感を記載する点が特徴です。研修で使用されたレジュメや配布資料がある場合は、あわせて添付して提出します。
出張業務を行った場合
出張時にも、業務内容や成果を報告するために復命書が用いられることがあります。復命書には出張の目的や訪問先、実施した業務内容、得られた成果などを整理して記載します。
また、複数の場所を訪問した場合や、複数の業務を行った場合は、時系列に沿って記載することで内容を整理するとよいでしょう。
官公庁・自治体などの公的機関
官公庁や自治体などの公的機関では、復命書の提出が日常的に行われています。多くの場合、官公庁や自治体によってあらかじめ定められた書式や記載ルールが存在するため、それに従って作成します。
業務の正当性や税金の使途を明確にする目的が強いため、内容の記載方法も一定のルールが定められていることが多く、慣例が重視される傾向にあります。
介護業界での業務・研修
介護業界においても、業務の実施内容や外部研修の受講後に復命書の提出が求められるケースがあります。とくに介護研修は、座学だけでなく実習やグループワークが中心となることが多いため、復命書では実践内容や現場での気付き、今後のケアにどう活かすかといった点を具体的に記載するのが一般的です。
復命書を書くときのポイント
復命書は、業務の結果を伝えるだけでなく、その正当性や判断過程を共有する役割を持つ文書です。読み手に正確かつ分かりやすく内容を伝えるためには、いくつかの重要な観点を意識して記載する必要があります。
ここでは、復命書を作成する際に押さえておきたいポイントを解説します。
正確性を重視する
復命書は事実に基づいて正確に記載することが求められます。5W1H(「いつ」「どこで」「誰が」「何を」「なぜ」「どのように」 )を意識し、情報に漏れや誤りがないよう整理して記載しましょう。
また、「~と思う」「おそらく」といった推測や曖昧な表現はなるべく避け、客観的な事実を明確に記載することが重要です。とくに、会議での決定事項や商談における合意事項などは、事実と相違がないかを十分に確認したうえで正確に記載する必要があります。
時系列が理解できるように書く
復命書は、業務や活動の流れが一目で把握できるよう、時系列を意識して記載することが重要です。たとえば、出張の復命書であれば、「午前:〇〇社を訪問」「午後:〇〇について協議」といった形で、行動の順序が分かるように整理すると理解しやすくなります。
業務遂行のプロセスが明確になることで、読み手である上司も状況を把握しやすくなります。
所感を効果的に書く
所感の欄では、単なる感想にとどまらず、業務に生かせる具体的な示唆や提案を盛り込むことが重要です。経過や結果という事実と切り分けて、業務を通じて得られた教訓や反省点、関係者からの意見聴取があればその内容を踏まえて改善点をまとめます。
まとめ
復命書は、上司からの命令や指示にもとづいて行った業務について、その経過や結果を正確かつ明確に伝えるための文書です。内容の事実性や分かりやすさが重視されるため、曖昧な表現を避け、客観的な情報を整理して記載することが求められます。
書式や記載方法の細かなルールは組織によって異なりますが、本記事で解説した基本的な構成や記載のポイントを意識することで、読み手に意図が伝わりやすい復命書を作成しやすくなるでしょう。
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よくある質問
復命書は誰が書くものですか?
復命書は、業務の命令・指示を受けた、業務遂行者が書く文書です。
詳しくは記事内「復命書とは」をご覧ください。
復命書に記載する項目は何ですか?
復命書には次のような項目を記載します。
- 表題
- 期間・場所
- 業務の概要
- 本文
- 所感
また、必要に応じて配布資料や領収書なども添付します。
詳しくは記事内「復命書の書き方」をご覧ください。
復命書が使われる業種は何ですか?
復命書は、公務員や介護業界に従事する方によく用いられます。
詳しくは記事内「復命書が使われるケース」をご覧ください。
監修 中村 桂太
建設会社に長期在籍し法務、人事、労務を総括。特定社会保険労務士の資格を所持し、労務関連のコンサルタントを得意分野とする。 ISO9001及び内部統制等の企業内体制の構築に携わり、 仲介、任意売却、大規模開発等の不動産関連業務にも従事。1級土木施工管理技士として、土木建築全般のコンサルタント業務も行う。

