人事労務の基礎知識

人事労務管理の従業員規模別のポイント

会社の成長においては営業や制作、開発などに目が行きがちですが、健全な運営管理には人事労務管理が大前提です。
労務トラブルの最大のリスクは、経営者のリソースが割かれてしまうことです。採用の停滞だけではなく、事業成長も停滞(場合によっては倒産)してしまいます。

人事労務管理を行なう上では、従業員規模に応じて新たな業務や視点が必要となります。今回は、従業員規模別でありがちな問題点とおさえるべき人事労務管理の対応を、社労士シグナル代表で特定社会保険労務士の有馬美帆先生に伺いました。

労務管理をラクにする方法

freee人事労務

freee人事労務なら、従業員データや勤怠データから給与を自動で計算、給与明細を自動で作成。社会保険料や雇用保険料、所得税などの計算も自動化し、給与振込も効率化します。

人事労務管理とは

人事労務の業務は大きく「採用」「教育」「評価」「人員配置」「労務」「働き方改革」の6つで構成されており、従業員が1人でもいれば人事労務管理が発生することになります。

6つの業務は、業務毎に考え語られることが多く見られますが、実際はそれぞれが互いに関連しており、同時並行で考えていかねばなりません。

たとえば、従業員の誕生日の時に特別休暇を付与する「バースデー休暇制度」を導入するとしましょう。採用場面でのアピールをまず考えがちですが、就業規則の変更や評価項目の調整などにも目を配る必要があります。

このように、人事労務管理では全方位的な取り組みが必要となります。規模の小さいうちでも、将来の成長を見込んで体制や環境を備えていくことが大切です。

以下では 採用以外の人事労務管理について、従業員規模別に行なうべき業務を見ていきます。

人事部の業務

1~10人規模の人事労務

会社を立ち上げたばかりのフェーズでは、基本をおさえていくことが重要です。

1〜10人未満規模での人事労務にありがちな問題点

社内に人事労務を分かる人がいない

立ち上げ期にありがちな問題として、「社内に人事労務を分かる人がいない」点が挙げられます。この時期から人事労務経験者がいることはあまりなく、本やインターネットなどの情報を勉強しながら経営者が片手間に行なうケースが多く見られます。

業務に間違いや抜け漏れがないよう、社内でしっかりと勉強時間を確保し知識を得たり、ソフトウェアや社会保険労務士の活用したりなど、低コストで正しく人事労務を行い社内のリソースを本業に集中させましょう。

9割の企業で給与計算を間違えている

その他のありがちな問題としては、人事労務の重要な業務である給与計算において「計算を間違えている」点が挙げられます。社労士として見てきた企業の中でも、実に9割の企業が給与計算を間違えていました。給与計算は、労働時間の集計や計算式、保険料率・税率など、どれか1つでも間違えると正しく計算することができません。

給与計算に間違いが見つかった場合には、従業員に対する未払い分や未納となってしまった保険料・税金などを清算する手間がかかります。そして、何よりも社員からの信用を失うことは痛手となります。

会社規模が小さいうちに正しく給与計算を行う体制を整えるようにしましょう。

1〜10人未満規模で必要な人事労務の業務

次の表は、1〜10人規模で必要な人事労務の業務の一覧です。立ち上げ後まもない会社規模では、業務のほとんどが労務に関するものとなります。以下では、代表的な業務について、詳細をみていきます。

ジャンル人事労務業務
労務労働条件通知書や雇用契約書作成
労務労働保険(労災・雇用)手続き
労務社会保険手続き
労務勤怠管理
労務給与計算
労務36協定
労務有給休暇管理
労務健康診断実施・管理
労務法改正対応

はじめての従業員雇用

従業員を雇用する際には、必ず労働条件通知書や雇用契約書上で、労働時間や賃金を明確にせねばなりません。会社規模の小さいうちは、身内や知り合いなどの採用が多いかと思いますが、雇用する際に明示することが義務付けられています。必要に応じて、36協定などの整備も行います。

社会保険・労働保険(労災・雇用)の加入

従業員を雇用したら、社会保険・労働保険(労災・雇用)の加入も必要となります。各被保険者の資格取得届の他に、事業所が初めて各保険に加入する際には事業所の登録も必要となりますので、あわせて準備を行いましょう。

勤怠管理

事業を軌道にのせるために働き詰めで労働時間の把握をしていない、といったケースも聞かれますが、正しい給与計算や健康管理を行なうためには、勤怠管理が必要となります。勤怠管理の方法は、タイムカードの利用や手書きによる記録でも構いませんが、勤怠情報を保管しておくことが大切です。勤怠管理を行なっていないことで、後々会社が不利になるケースも出てくる可能性があります。

給与計算

従業員情報や勤怠情報にもとづいて、毎月の基本給や残業代の計算や、所得税・住民税、社会保険料等の控除を行うことも、基本的な人事労務業務の一つです。

給与計算は、各種法律に則って行なうことが大前提ですが、正しく給与計算されていないケースも見受けられます。正しくない原因としては、そもそも勤怠管理がなされていなかったり、保険料・税金の対象となる賃金や、料率・税率を間違えてしまったりなどが挙げられます。

計算ミスには、単純なミス以外にも、計算に関連する各種法律の改正情報を反映できていないことが原因の場合もあります。各種保険料率や税率の改正や適用範囲の変更などは、毎年のように起きていますので、逐次情報をキャッチアップするようにしましょう。

まとめ: 身内感覚からは早めに脱却し、優秀な人材を迎え入れられる環境整備を

会社規模が小さいときに必要な労務管理業務は、勤怠管理や給与計算、行政手続きなどの基本的な業務になります。専任の担当者がまだおらず、経営者が片手間に行うケースも少なくありません。従業員も元同僚や友人、知り合いであることが多く、ルールなどが明文化されていなくとも上手く回っていることも多くあります。

社長としては、資金繰りやキャッシュフローの管理で頭がいっぱいになりやすい時期かとは思いますが、将来を見据え、基本的な業務を適切に行なう体制を整備しましょう。

10~50人規模の人事労務

会社が成長すると、立ち上げ期にはなかった問題が出てくるようになります。

10〜50人未満規模での人事労務にありがちな問題点

労務トラブル発生

労務トラブルが発生し始めるのもこの時期です。知り合い以外への採用が増え、価値観が多様化した結果、共通のルールや基準がなく不公平な判断・評価があった場合に不満の声が上がりやすくなります。

また従業員数30人を超えると、1人はメンタルヘルス不調者が出てくる傾向があります。その場合、早急に産業医の選定や休業期間や復帰のスケジュールの調整などを行なう必要があります。

元から在籍する従業員の不満が爆発し、退職者が立て続けに出てくるのもこのフェーズです。その背景には、不満の蓄積があります。一つ一つは小さい不満かもしれませんが、蓄積すると退職原因にもなりえます。不満の例として次のものがあげられます。

  • 残業未払いや有給休暇管理が行われていないなど、法令違反に対する不満
  • 強い口調で説教をしたり、イライラが募ると机を蹴ったりするなどのパワハラに対する不満
  • 昇給の基準が曖昧であることに対する不満

就業規則や人事評価制度がない

上述の労務トラブルを起こさないために、就業規則や人事評価制度を整備をしておく必要があるのですが、整備されていないことが多々見られます。また、就業規則や人事評価制度が形としては存在するものの、実態に即さず不足があったり、うまく運用がなされていないこともあります。

10〜50人未満規模で必要な人事労務の業務

以下は、10〜50人規模で必要な人事労務の業務です。会社が成長すると、既存の労務業務に加えて労務以外の業務も入ってくるようになります。以下では代表的な業務について、詳細をみていきます。

ジャンル人事労務業務
労務1〜10人規模の人事労務業務に加えて
労務労務トラブル対応
労務メンタルヘルス対策
労務就業規則の策定
人員配置業務担当者を配置
人員配置部門を設置
評価人事評価制度の策定
教育マネジメント層の育成
働き方改革フレックス制度の導入を検討
働き方改革在宅勤務制度の導入を検討

従業員10人を超えたら就業規則の作成と届け出

従業員10人以上の事業所では、就業規則を作成・届出し、事業所ごとに設置・周知することが必要です。当初は雛形をベースに作成するケースが多く見られますが、一度作成したあとも、会社の実情に合わせて随時アップデートしていきましょう。

就業規則の改定は、企業文化や風土を反映する

企業が大きくなるにつれ人材が多様化し、従業員の持つ価値観も多様化していきます。その中で、就業規則については、実際に起きた問題に対処する項目を加えたり、徐々に醸成されてくる企業文化や風土を反映することが大切です。

たとえば、フレックスタイム制度や在宅勤務制度を検討し、実際に導入することになれば、就業規則にその点を記載する必要があります。柔軟な働き方を選択する場合には、会社で貸与したノートパソコンを持ち帰っていいのかなどもあわせて記載します。

また後述の労務トラブルに対応するにあたり、休職者が出た場合は何か月間休職できるのか、その間の給与などはどうするか、といった事項も、検討します。

ルール違反をした従業員に始末書提出の要求や降級を行なってよいか

ルール違反をした従業員に対して始末書の提出を求める・降級をするときは、就業規則に前もって記載しておかなくてはいけません。たとえば、何日も無断欠勤をした従業員に対して始末書の提出を求める場合、その旨を就業規則に記載しておかなくてはいけません。

就業規則の改定時にとくに留意すべきは、罰則を科すのならば就業規則に記載が必要だという点です。

労務トラブルへの対応

従業員30名を超えると、それまでは起こらなかった労務トラブルへの対応が発生します。労務トラブルには、残業代未払いやパワハラなどが含まれます。

30人を境に発生する労務トラブル

従業員の5%程度の人数で労務トラブルが起きていると感じられます。従業員30人の場合は、1.5人の割合です。よく言われる30人の壁の原因には労務トラブルも含まれており、うつ病やパワハラなど何らかの人間関係トラブルが表に出て業務に影響を及ぼします。

メンタルヘルス不調は防止策と対応策の両輪で

メンタルヘルス不調対策には、発生の防止策と発生後の対応策の2つがあります。

メンタルヘルス不調の発生防止

メンタルヘルス不調の発生防止では、以下のような取り組みが具体的な策として挙げられます。

  • 長時間労働の削減・防止
  • パワハラが発生していないかなどのモニタリング

メンタルヘルス不調は、小さな出来事の積み重ねで起こるケースがほとんどです。その芽を早めにキャッチしフォローしておけば、社員にも会社にも負担の少ない形での解消を期待できます。

そのためには、1人1人に対するコミュニケーションを確保し、ちょっとした不調や小さなフィードバックを拾う体制を整えることをおすすめします。10-50人規模であれば、採用担当者が採用からの流れで、入社後もメンタル面のフォローアップを行なったり、チームリーダーなどがフォローアップを行ったりなどが考えられます。

メンタルヘルス不調の発生後の対応

メンタルヘルス不調をきたした社員がいる場合、本人の意向や主治医・産業医の判断をあわせて、休職もしくは退職といった対応が必要になります。休職する場合は、休職期間や復職のタイミング、その後の働き方、人員配置など、復帰後までを見据えて対応しましょう。

労務トラブルは、従業員以外からの通報もありうる

セクハラ・パワハラやメンタルヘルス不調、残業代未払いなどの労務トラブルは、直接関わる従業員の通報や労働基準監督署によって公になるケースもあります。

一方で最近の傾向として、従業員の家族の目が厳しく、ご家族から労働基準監督署に相談されるケースが増えています。たとえば 20代の若手社員がお盆や正月に帰省しないでいたり、毎晩遅い帰宅が続いたりすると、親御さんが「会社に過重に働かされているのではないか」と不審に思い労働基準監督署に相談してしまうケースがあります。

健康的な働き方に対する意識が高まってきているご時勢ですので、従業員だけではなくそのご家族や、将来入社する従業員などへの影響も考え、環境を整えていきましょう。

50人以上で設置が必要な「衛生管理者」の資格取得

従業員が常時50人以上の事業所では、国家資格の必要な「衛生管理者」の設置が義務付けられます(製造業や建設業では「安全管理者」も必要)。

衛生管理者の資格取得には、ある程度の勉強と受験の必要があります。退職リスクも考えて、管理者レベルと担当者の2人ほどの社員に取得させるのが理想でしょう。

資格試験は各地で年3-4回は実施されますが、企業の成長スピードや勉強時間の確保を考慮し、半年程度は余裕を持ったスケジュールで準備させましょう。

「産業医」の選定も早めに動く

メンタルヘルス不調の社員に対するアドバイスや回復後の職場復帰などには、産業医の判断が必要になります。従業員50名以上で選定が義務付けられてはいますが、30人規模の時点でメンタルヘルス不調の社員が発生する可能性を考え、早めに選定に動き出すことをおすすめします。 産業医の選定については、書面だけでなく、実際に候補者と面談を行い業界・業種や社風への理解がありフィットしそうかどうかを見ることをおすすめします。

まとめ: 新たに必要となる労務対策の準備が大切

従業員数10〜50人未満規模になると、人事労務の基本はできあがりつつあるものの、新たに必要となる労務対策が後手に回りやすい時期です。もしこの時期までに基本的な労務事務を正しく行える体制がない場合には、早急に体制を整えることが一番大切です。

そして社員50人規模に向けては、会社をどの程度まで成長させるのかをイメージしながら、各業務の準備を行なっていきましょう。

50~100人未満規模の人事労務

50人規模を超えると、10人以上の規模になった際とはまた別の、新たな対応が必要な業務が出てきます。

50〜100人規模での人事労務にありがちなできごと

やるべき労務管理が増大

社員数が50人を超えてくると、法律で提出を求められる書類や組織として行なうべき業務が増えます。100人の壁を意識される経営者の方は多いのですが、実は人事労務の現場としては従業員50人を超えた時が最も負荷のかかるタイミングと言えます。

社員のライフステージ変化:結婚・初の出産

従業員50〜100人規模の会社になると、会社の成長に伴い従業員の平均年齢も20代後半~30代に差し掛かり、結婚や出産などを迎えライフステージも変化します。家族が増えれば付随する労務手続き件数も増えます。

ワークライフバランスの目的も、個人の時間への考慮からご家族との時間を過ごすことにシフトし要望も増しますので、しっかり対応できる体制を整えていくことが大切です。

労務トラブル噴出が続く

従業員30人頃から出始める労務トラブルですが、従業員数50人以降も人数の増加に伴いトラブル件数が増えていきます。その対応時間の増加からも、専任担当者を付ける必要性が増します。

その他の問題点としては、次のような点が挙げられます。

  • IPOに向けさらなる法令遵守が求められる
  • 法改正への対応不足

50〜100人未満規模で必要な人事労務の業務

以下は、50〜100人未満規模で必要な人事労務の業務です。従業員規模が50名を越えると、対応が必要な労務業務が増加するほか、教育業務なども入ってくるようになります。以下では代表的な業務について、詳細をみていきます。

ジャンル人事労務業務
労務11〜50人規模の人事労務業務に加えて
労務就業規則の改定
労務産休・育休制度の運用
労務パワハラ・セクハラ対策・対応
労務(安全)衛生管理者・委員会の設置
労務産業医の選任
労務健康診断報告書の提出
労務ストレスチェックの実施
労務障がい者の雇用
労務IPO準備
人員配置バックオフィスの強化
評価人事評価制度の改定
教育新卒・中途採用研修
教育コンプライアンス研修
働き方改革残業の削減

50人を超えると行なう必要のある労務業務

衛生管理者・委員会の設置、産業医の選定

前述のように、従業員が常時50人以上の事業所では、国家資格である「衛生管理者」の設置が義務付けられます(製造業や建設業では「安全管理者」も必要)。また産業医の選定が必要となります。50人未満のうちに設置や選定が済んでいない場合は、すみやかに行なうようにします。

産休・育休の運用を開始

産休・育休制度を初めて運用するようになるのも、社内で初の出産社員が出るこの時期です。最近では、女性社員に復帰を望まれる経営者が多いですが、形だけの制度ではなく実際の運用がカギとなります。

妊娠が分かった段階でまず面談を行い、本人に産休・育休取得希望の有無やスケジュール感まで確認しましょう。つわりなどによる体調変化に備えて、適宜面談を継続しつつ、妊娠した社員のバックアップ体制も整えます。
また復職後に、勤務時間の調整は必要など、他の社員も含めた配置や仕事配分を行いましょう。

コンプライアンスの徹底が必要

会社の規模が大きくなり多様な人材が増えるにつれ、コンプライアンス(法令遵守)をより徹底する必要があります。

コンプライアンス研修の実施

各事業部やチームのマネージャー陣を中心に、ハラスメントや情報漏洩の防止のために研修を行ない始めるのも、従業員50名を超えたあたりからです。研修の実施を外部企業に委託するケースもあります。

パワハラに該当するもの

厚生労働省がパワーハラスメントに当てはまるものとして以下の6つのタイプをあげています。

  • 身体的暴力
  • 精神的な攻撃
  • 人間関係からの切り離し
  • 過大な要求
  • 過小な要求
  • プライバシーの侵害

能力を超えた仕事を与える、またはレベルの低すぎる仕事しか与えない状況もパワハラに当たります。

なにがパワーハラスメントにあてはまるのか、具体例を含めてマネジメントを行う社員に周知を行い、防止を徹底しましょう。またパワハラが起きてしまった場合は、当事者の不信や怒りに真摯に向き合い対応しましょう。

50〜100人未満規模では、採用専任担当者だけではなく、労務専任担当者も配置しよう

企業規模が小さい企業で労務管理を行うのは、経営者や総務や経理、採用の担当者のケースが多いですが、さらなる成長を見込んでいる企業では、従業員50~100名規模で人事労務専任の担当者をおく目安とすることをおすすめします。

理由としては、上述の労務トラブルの対応や、従業員50名以上で必要となる業務の対応など、求められる業務量が増え、専門性のレベルも高まるためです。

また勤怠・給与計算・手続きのデータや従業員の様子を見て声がけをするといった日常の業務も、50人を超えると兼任担当者が行なうことが難しくなってきます。

50人超えしてから人員配置や採用に動き出すというよりは、準備も含めて早めに動き出しておきましょう。

IPO準備

会社がIPOを目指す場合、労務も法令遵守しなくてはいけません。たとえば、以下の項目を整えていく必要があります。

  • 法律に基づいた残業代の支給
  • 未払い残業代の精算
  • 36協定の提出
  • 36協定に基づいた残業管理
  • 適切な衛生委員会の実施
  • 労働条件通知書や雇用契約書の交付漏れの確認
  • 社会保険や雇用保険の加入漏れの有無確認
  • 適切な管理監督者の選任
  • 非正規社員まで含めた適切な有給休暇管理
  • 雇い入れ時も含めた適切な健康診断の実施
  • 裁量労働制やフレックスタイム制の導入をしている場合は運用状況

まずは労務監査を受け、社会保険労務士のアドバイスをもとに整備していきましょう。

まとめ: 社員ライフステージの変化や労務トラブルに対応できる体制の確立を

設立から数年が経った従業員50~100人未満規模の企業では、採用や評価・教育の業務量も増える一方、労務管理の業務量も増えます。企業によってはIPOを意識し、その準備が始まるフェーズでもあります。

先を見据えて、人事労務全般において体制を作っていきましょう。

100名以上規模の人事労務

100名以上規模になると、従来の対応を進めつつ、働き方の整備に務める時間が増えていきます。

100名以上規模での人事労務にありがちなできごと

100名以上規模での人事労務にありがちな点としては、次のような点が挙げられます。

  • 部署を超えたコミュニケーションの不足
  • ワークライフバランス要望
  • 子を持つ社員の増加
  • 男性社員の育休取得
  • 新規事業をできる者がいなくなる
  • 継続して労務トラブル噴出
  • 引き続き法令順守、法改正対応

100名以上規模で必要な人事労務の業務

以下は、100名以上規模で必要な人事労務の業務です。既存の業務をこなしながら、働き方改革関連の業務が多く出てくることとなります。以下では、代表的な業務について、詳細をみていきます。

ジャンル人事労務業務
労務50〜100人未満規模の労務業務に加えて
労務就業規則の改定
労務障がい者雇用(未達成の場合、納付金発生)
人員配置新規事業への配置転換
評価人事評価制度の改定
教育職種別・階層別研修
働き方改革一般事業主行動計画の提出
働き方改革副業を認めるかどうかの検討
働き方改革育児・妊活支援制度の検討
働き方改革時短制度の検討
働き方改革在宅勤務制度の再検討
働き方改革フリーアドレス制の検討
働き方改革健康経営に向けた労働環境整備

ワークライフバランスのとれる制度の充実

従業員100名以上の規模となると、従業員の大半は家庭を持っており、ワークライフバランスを意識した働き方をより求められるようになります。従業員が働きやすい環境になるよう、副業を認めるかどうか、時短制度、在宅勤務制度、フリーアドレス制などを検討していきましょう。

制度があるだけではなくしっかりとはまって運用されることが重要です。そのため導入の際には制度の試用期間を設け、実際にテストしてみてフィットするかを見てから導入することをおすすめします。

また制度を導入することになったら、実態に即するよう就業規則の改定も忘れずに行いましょう。

労務トラブル対応・メンタルヘルス対策と防止のための取り組み

社員数に比例して労務トラブルやメンタルヘルス対応の比重が高くなるのも、この段階の特徴です。パレートの法則のように、労務トラブルは解決してもすぐまた別のケースが現れるといった具合になりがちです。

労務トラブルやメンタルヘルス対応の比重を軽くするためには、人員配置から教育・評価、企業文化の醸成までバランスよく、公平性や納得性のあるものにする全方位的な取り組みが大切です。そういった取り組みに時間を十分にとるためにも、ルーティンワークを効率的に行なう仕組みが必要です。

まとめ: 持続的な働き方を行えるような働き方改革を中心に

社員が100人を超える時というのは創業者から最近入社した社員まで皆が、会社の成長を実感するタイミングかもしれません。労務管理手続きの一通りの流れや人事制度の設置はできているので、働き方改革を意識した制度の見直しを考えていきましょう。

働きやすい環境の整備に時間をつかえるように

人事労務管理は、守りの色合いが強く、ルーティン業務も多くあります。多くの会社を見てきた中で、ルーティン業務に追われ、本当に行うべき制度づくりや環境づくりに時間を使えないという状況をよく見てきました。

正確性が求められる一方で時間のかかるルーティンの作業については、ソフトウェアやアウトソーシングを活用して低コストで行えるような体制にすることをおすすめします。

そして会社の成長のためにも、社内の担当者が制度づくりや環境づくりといった攻めの部分に集中できるようにしていきましょう。

※今回の記事は、平成29年6月1日の法令施行分までを対象としたものです。

arima-sama

監修: 有馬 美帆(特定社会保険労務士)

社会保険労務士法人シグナル代表。問題が起こるよりも前に先回りした提案、各フェーズにおける適切な支援をテーマとして、 企業の成長スピードを加速させるためのパートナーを目指しています。

勤怠管理をカンタンに行う方法

従業員の打刻情報の収集、勤怠情報の確認、休暇管理に毎日膨大な時間を割いていませんか?

こうした手続きはfreee人事労務を使うことで、効率良く行えます。

freee人事労務 イメージ図

freee人事労務は打刻、勤怠収集、勤怠・休暇管理を一つのサービスで管理可能

勤怠打刻はタイムカードやエクセルを利用し従業員に打刻作業を実施してもらったのちにエクセルなどに勤怠情報をまとめ勤怠・休暇管理を行なっていませんか?


freee人事労務を使用すればフローが簡略化できる

freee人事労務では、従業員に行なってもらった勤怠打刻情報を全て自動で収集し勤怠情報の一覧をリアルタイムで作成します。

そこから勤怠情報の確認・修正が行える他に休暇管理も同時に実施することができます。

さらにそこからワンクリックで給与計算・給与明細発行を実施することができるので、労務管理にかける時間を劇的に削減することが可能です。

豊富な勤怠打刻手段

豊富な勤怠打刻手段

freee人事労務は、オンライン上での打刻に加え、店舗やオフィス内に打刻機を設置しオフラインで打刻することができるよう様々な手段に対応できるよう整備されています。

打刻方法はワンクリックで出退勤ができるので、操作がシンプルなためどなたでもご利用いただきやすいように設計されています。

充実しているサポート体制

ご契約後は、有人のチャットサポートを受けることができます。また、細かい入力項目やアドバイスをわかりやすくまとめた手順動画を用意しています。そのため迷わずに入力を進めることができます。

人事労務freee  チャットボット画面人事労務freee 説明動画イメージ

企業の労務担当者のみなさん、freee人事労務を是非お試しください。

労務の悩みを解決するなら

freee人事労務は、使いやすい料金プランと、労務担当にうれしい機能が揃った人事労務ソフトです。

打刻履歴を元に、従業員ごとの保険料や税金を踏まえて、給与計算~給与明細の発行まで自動化します。

紹介資料をご用意していますので、ぜひ一度ご覧ください!