雇用保険被保険者証とは、自身が雇用保険に加入していることを示す証明書です。主に転職先への提出や失業給付の申請など、離職時に必要となります。多くの企業では紛失防止のため、在職中は従業員本人ではなく会社が保管しており、退職時にまとめて返却されるケースが一般的です。
本記事では、雇用保険被保険証の概要や、企業(雇用主)が従業員の入退社に伴って行う手続き、労働者(被保険者)が実際に雇用保険被保険者証を使用する機会、紛失した際の再発行手続きについて詳しく解説します。
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目次
- 雇用保険被保険者証とは
- 雇用保険被保険者証の記載事項
- 雇用保険の加入要件
- 離職票と雇用保険被保険者証の違い
- 健康保険証と雇用保険被保険者証の違い
- 雇用保険被保険者証はいつもらえる?
- 雇用保険被保険者証をもらっていない場合に考えられる理由
- 雇用保険の加入要件を満たしていない
- 会社が管理している
- 雇用保険被保険者証はいつ使う?
- 離職中
- 転職時
- 在職中
- 雇用保険被保険者証は教育訓練給付金を申請する際にも必要
- 雇用保険被保険者証を紛失した・もらっていない場合の再発行手続き
- 従業員本人が申請する場合
- 事業主が代理人として行う場合
- 【企業担当者向け】雇用保険被保険者証の手続き方法
- 初めて従業員を雇用する場合
- 新たに従業員を雇用する場合
- 従業員が退職する場合
- そのほかに手続きが必要な場合
- まとめ
- 社会保険の手続きや保険料の計算をラクにする方法
- よくある質問
雇用保険被保険者証とは
雇用保険被保険者証とは、自身が雇用保険に加入していることを示す証明書です。
雇用保険は一定の加入期間がある労働者に対し、退職や失業した際に手当を給付したり、教育訓練を受ける補助金を給付したりするなど、労働者の生活を支える保険制度です。雇用保険被保険者証は、初めて加入する場合も勤務先が手続きを進めるため、退職や転職などのタイミングを除けば目にする機会は多くありません。
加入手続きが完了すると、原則として雇用保険被保険者証は本人に交付されます。ただし、雇用保険被保険者証は、転職時も次の会社に雇用保険番号が引き継がれる重要書類であるため、退職まで会社が保管しているケースもあります。
雇用保険被保険者証の記載事項
雇用保険被保険者証は、横210mm、縦77mmの白地の用紙に黒インクで印刷されており、雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(被保険者通知用)と一体で交付されます。
発行元により若干の差はみられますが、雇用保険被保険者証には主に以下の内容が記載されています。
雇用保険被保険者証に記載されている情報
- 被保険者番号
- 被保険者の氏名
- 被保険者の生年月日
- 確認(受理)通知年月日
- 資格取得年月日
- 事業所名略称
被保険者番号は、加入者一人ひとりに割り当てられる番号で、被保険者期間の算出に必要です。雇用保険に未加入の期間が連続して7年を超えなければ、転職や氏名の変更に関係なく同じ番号が引き継がれます。
また、確認(受理)通知年月日は、ハローワークで資格取得手続きを完了した日、資格取得年月日は雇用保険の加入資格を得た日が記載されます。事業所名略称には、資格取得時の勤務先が書かれています。
雇用保険の加入要件
雇用保険は、加入期間など一定の要件を満たせば、失職時の手当や在職時の育児休暇などさまざまな支援が受けられる制度です。被保険者となるためには、以下の2つの要件を満たす必要があります。
雇用保険は正社員のためだけの制度ではなく、パートやアルバイト、派遣社員、契約社員など、農林水産業の一部を除くすべての雇用形態の労働者が対象です。ただし、労働時間が1週間に20時間未満の人や、31日未満の短期アルバイトの場合は加入できません。
また、被保険者となる要件を満たしていても、法人の取締役や役員など会社と委任関係にある人、家事使用人や昼間学生、臨時内職的に雇用される人などは雇用保険の適用外です。そのほか、4ヶ月以内の季節的事業における短期雇用や日雇い労働者、官公庁の一部職員も対象外とされています。
雇用保険に加入していれば多くの援助を受けられるため、退職を予定している場合は、給付を受けられる要件を満たしているか、加入期間を確認しておくことが大切です。
離職票と雇用保険被保険者証の違い
離職票は正式名称を「雇用保険被保険者離職票」といい、労働者が退職した事実を証明する書類です。離職中に条件を満たせば受け取れる失業保険(求職者給付)を申請する際に必要となります。
一方、雇用保険被保険者証は雇用保険の加入を証明し、転職時に番号を引き継ぐために使用する書類です。転職先で求められることはありますが、離職票のように失業給付の申請に必須ではありません。
雇用保険被保険者証と離職票は別の目的で使用されるため、混同しないようにしましょう。
| 項目 | 雇用保険被保険者証 | 離職票 |
|---|---|---|
| 主な使用目的 | ・雇用保険の継続手続き ・教育訓練給付金の申請 ・失業保険の申請 | ・失業保険の申請 |
| 発行場所 | ハローワーク | ハローワーク |
| 保管方法 | 本人もしくは会社 | 本人 |
健康保険証と雇用保険被保険者証の違い
健康保険証(健康保険被保険者証)は、公的医療保険制度に加入していることを示す書類で、病院や薬局を利用する際に提示することで医療費の自己負担が原則3割になります。また、2024年12月2日には従来の健康保険証の新規発行が廃止されており、2025年12月2日には従来の健康保険証は無効となります。
一方、雇用保険被保険者証は、雇用保険への加入を証明するためのもので、転職時の手続きや失業保険の申請時に必要となる書類です。医療機関で使用する健康保険証とは役割も用途もまったく異なるため、それぞれの目的を正しく理解しておきましょう。
雇用保険被保険者証はいつもらえる?
雇用保険被保険者証は、原則交付されてからすぐに本人へ渡されます。ただし重要書類であることから、会社が紛失防止のために退職時まで保管しているケースも少なくありません。
雇用保険被保険者証は、転職時に新しい勤務先に提出したり、失業手当や職業訓練給付金をもらったりする場合に必要です。会社が保管していた場合は、離職票や源泉徴収票などとまとめて返却されます。
万が一退職時に雇用保険被保険者証が届かない場合は、返却漏れの可能性も考えられるため前職の人事労務部門に問い合わせましょう。転職時の提出期限に関わることも多いため、手元にあるかどうかはなるべく早い段階で確認しておくと安心です。
雇用保険被保険者証をもらっていない場合に考えられる理由
雇用保険被保険者証は、雇用保険の資格取得手続きが完了すると、原則すぐに従業員へ交付される書類です。「まだ手元にない」という場合は、いくつかの理由が考えられます。
代表的なケースは、以下のとおりです。
- 雇用保険の加入要件を満たしていない
- 会社が管理している
それぞれの理由を理解しておくと、必要な場面で慌てずに確認できます。
雇用保険の加入要件を満たしていない
雇用保険被保険者証は、雇用保険に加入している人だけが受け取れる書類です。正社員であれば基本的に加入対象となりますが、以下に当てはまる場合は、雇用保険の適用外となります。
雇用保険の適用外となるケース
- 会社の役員
- 会社代表者の同居の親族
- 雇用期間4ヶ月以内で、季節的業務に使用される人
- 学生、生徒(卒業後も継続雇用される予定の者など、一部の例外を除く)
- 家事使用人
- 海外で現地採用される者
- 臨時または内職的に日雇い労働を行う者
上記のいずれかに当てはまると雇用保険への加入資格が生じないため、雇用保険被保険者証も発行されません。
会社が管理している
雇用保険の制度上は、入社手続きが完了した段階で雇用保険被保険者証が従業員に渡されると決められています。しかし、雇用保険被保険者証は在職中に使う機会がほとんどなく、紛失を避けるためにも退職時に離職票などと一緒にまとめて返却される流れが一般的です。
入社後に一度も受け取っておらず、現在も在職中であれば、会社が管理している可能性が高いといえます。また、退職後にも手元に届かない場合は、単純な渡し忘れの可能性もあるため、早めに前職の人事労務部門へ確認しましょう。
雇用保険被保険者証はいつ使う?
雇用保険被保険者証は在職中はほとんど使用する機会がありませんが、離職時や転職時、各種給付を受けるときに必要となる重要な書類です。
また雇用保険被保険者証そのものは使用しませんが、雇用保険に加入している場合は在籍中に受け取れる給付があります。
離職中
離職中は、失業保険や職業訓練を受ける際に雇用保険被保険者証を使用します。離職中の手当とは一般的に「失業保険」や「失業給付金」などと呼ばれるもので、雇用保険の加入状況によって給付を受けられる制度です。
離職中に手当をもらうには、退職日以前の2年間に雇用保険加入期間が通算12ヶ月以上あることや、「就職の意思と能力があり、求職申し込みをしているにもかかわらず就職できない状態」であることが条件になります。
退職して家業や学業へ専念する場合や、すでに就職先が決まり転職活動を行っていないケースなどは給付対象外となるため注意しましょう。
手当を受け取る際に必要な書類は以下のとおりです。
離職中に手当てをもらう際の必要書類
- 雇用保険被保険者証
- 離職票
- 本人確認書類
- 縦3.0cm × 横2.4cmの写真2枚
- 本人名義の普通預金通帳
- 求職申込書
- 個人番号確認書類
また手当は必要書類を提出すれば受け取れるわけではなく、以下の流れで給付されます。
離職手当を受け取るまでの流れ
- ハローワークで離職票と受付票を提出する
- 7日間の待機期間を過ごす
- 雇用保険説明会へ出席する
- 4週間に一度の失業認定日に出向く
- 失業認定日後約1週間で給付される
この際、手当を受け取るまでに7日間の待機期間がある点や、雇用保険説明会に出席しなければならない点には注意が必要です。
さらに、手当受給までの流れは退職理由によって異なり、自己都合退職の場合には、7日間の待機期間に加えて2ヶ月間の給付制限があります。
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失業保険(失業給付金)の受給条件は?いくらもらえる?受給期間や手続きを徹底解説
転職時
雇用保険被保険者証は、転職先で雇用保険の引き継ぎ手続きを行う際にも必要です。転職先で提出を求められた際は、必ず期日までに会社に提出しましょう。
なお、雇用保険被保険者証には有効期限があります。雇用保険の適用外となってから7年以上経つと、被保険者番号がハローワークのデータから削除されるため、この場合は、転職先で新たに発行手続きを行い番号を取得する必要があります。
在職中
在職中に雇用保険被保険者証そのものを使う場面は、ほとんどありません。しかし、雇用保険に加入している労働者が育児休業や介護休業を取得する場合、一定の要件を満たしていれば給付を受けられます。
育児休業や介護休業を取得する場合には、被保険者番号が必要です。入社時に雇用保険被保険者証を自身で保管するよう事業主から渡されている場合は、紛失しないよう注意しましょう。
雇用保険被保険者証は教育訓練給付金を申請する際にも必要
雇用保険に加入している従業員が、厚生労働大臣の指定する一般教育訓練の講座を受講した場合、「教育訓練給付金」を受け取れる可能性があります。雇用保険被保険者証は、この教育訓練給付金を受け取る際に必要です。
給付金は、教育訓練施設に支払う教育訓練経費の一定割合に相当する額が、ハローワークより支給されます。なお、教育訓練給付金の手続きは、教育訓練修了後に従業員本人の住所を管轄するハローワークにて本人が申し込まなければなりません。
一般教育訓練で取得できる資格は、簿記検定や情報処理技術者、介護職員初任者研修課程など多岐にわたります。厚生労働大臣指定の講座の詳細は、厚生労働省のWebサイトで確認してください。
雇用保険被保険者証を紛失した・もらっていない場合の再発行手続き
雇用保険被保険者証は、転職先への提出やハローワークで職業訓練給付金を申請する際に必要です。雇用保険被保険者証が手元にない場合は、早めに確認して再発行手続きを行いましょう。
ここでは、雇用保険被保険者証が手元にない場合の確認方法や、再発行手続きについて詳しく解説します。
従業員本人が申請する場合
雇用保険被保険者証は、基本的に本人が申請して再発行します。以下の順序で対応するとスムーズです。
まずは退職した会社に聞いてみる
雇用保険被保険者証は、一般的に転職先への提出やハローワークでの申請時にしか使用されないため、紛失防止のため会社が保管しているケースが多くあります。
会社が保管している場合は、通常退職時に離職票や源泉徴収票などとあわせて返送されます。もし雇用保険被保険者証が返送されていない場合は、会社が返し忘れている可能性も考えられるため、会社の人事労務部門に問い合わせましょう。
手続き1:即日再発行したい場合
雇用保険被保険者証を紛失してしまった場合、最寄りのハローワークで再発行できます。ハローワークが開庁している平日であれば、原則即日発行してもらえます。再発行の申請には以下の書類が必要です。
雇用保険被保険者証の再発行に必要な書類
- 雇用保険被保険者証再交付申請書
- 顔写真付きの本人確認書類1点(運転免許証やマイナンバーカード)
顔写真付きの本人確認書類がない場合は、以下の書類のうち2点が必要です。
- 国民健康保険被保険者証または健康保険被保険者証
- 住民票記載事項証明書(住民票の写しまたは印鑑証明書)
- 年金手帳
雇用保険被保険者証再交付申請書は、事前に印刷・記入した上で持参するとスムーズですが、ハローワークでも記入できます。なお、前職の正式名称や所在地、電話番号も聞かれるため、正確に答えられるようにしておきましょう。
即日再発行のメリットは、急ぎの場合でもすぐ発行してもらえる点です。転職先に早期提出が求められている場合や、早く職業訓練の給付金を申請したい場合に適しています。
手続き2:電子申請で再発行したい場合
雇用保険被保険者証は、インターネットから24時間いつでも再発行の申請が可能です。ただし、再発行までに約2~3日かかるため、すぐ再発行できない点には注意しましょう。申請の手順は以下のとおりです。
電子申請での再発行手順
- 「e-Gov」のアプリケーションをインストールしアカウント登録を済ませる
- 「e-Gov」起動後、マイページにて必要事項を入力し、提出ボタンを押す
- 再発行の準備が整い次第「e-Gov」からEメールが届く
- 「e-Gov」の状況紹介画面から「到達番号」と「問合せ番号」を入力し、メッセージに沿って書類をダウンロードする
電子申請での再発行を行うには、運転免許証などの本人確認書類の添付と電子署名が必要です。電子署名を利用する場合は、認定局に「電子証明書」を発行してもらわなければなりません。必要に応じて問い合わせてください。
手続き3:郵送で再発行したい場合
雇用保険被保険者証の再発行は、郵送でも申請できます。申請する際には以下の必要書類を揃えて、最寄りのハローワークへ送付してください。
郵送での再発行に必要な書類
- 雇用保険被保険者証再交付申請書
- 本人確認書類のコピー
- 切手を貼った返信用封筒(返送先住所・氏名を記入)
本人確認書類のコピーは、顔写真付きの運転免許証やマイナンバーカードがあればスムーズです。もし顔写真付きの本人確認書類がない場合は、以下の書類のうち2点の写しがあれば申請できます。
- 国民健康保険被保険者証または健康保険被保険者証
- 住民票記載事項証明書(住民票の写しまたは印鑑証明書)
- 年金手帳
申請後、不備がなければ雇用保険被保険者証が手元に届きます。ただし、申請から雇用保険被保険者証が届くまでに約2週間かかります。急ぎでない場合やハローワークに行く時間がない場合に適している方法です。
事業主が代理人として行う場合
雇用保険被保険者証は、従業員本人だけでなく、事業主が代理人としてハローワークで申請することも可能です。たとえば、退職後すぐに本人が手続きできない場合や、複数名分をまとめて再発行する場合などに利用されることがあります。
事業主による再発行の申請に必要な書類は、以下のとおりです。
事業主が代理人として再発行する場合の必要書類
- 雇用保険被保険者証再交付申請書
- 委任状
- 代理人の本人確認書類
- 申請者の本人確認書類の写し
委任状は、雇用保険被保険者証再交付申請書と同様に、ハローワークのWebサイトから印刷可能です。作成後は署名・押印を行い、申請時に提出します。委任状の有効期限は3ヶ月のため、期限内に手続きを行う必要があります。
なお、代理での手続きの場合もハローワーク窓口での手続きだけでなく、郵送による再発行申請も可能です。郵送の場合は、必要書類をまとめて送付し、返送用封筒を同封することで、事業主が代理で受け取ることができます。
【企業担当者向け】雇用保険被保険者証の手続き方法
雇用保険被保険者証の手続きは、基本的に従業員を雇用する企業が対応します。
ただし、初めて従業員を採用するケースや、すでに従業員がいる事業所で新たに採用するケース、退職時の手続きなど、状況によって必要な手続き方法が異なります。
ここからは、雇用主が押さえておくべき手続きをパターン別に整理して解説します。
初めて従業員を雇用する場合
初めて従業員を雇用する場合、雇用主は以下の流れで手続きが必要です。
初めて従業員を雇用した場合の雇用保険の手続き
- 「労働保険関係成立手続」を行う
- 所轄のハローワークに「事業所設置届」と「雇用保険被保険者資格取得届」を提出する
- ハローワークから交付された「雇用保険被保険者証」を従業員に渡す
出典:厚生労働省「事業主が行う雇用保険の手続き」
労働保険関係成立手続
「労働保険関係成立手続」は、事業所が雇用保険の対象となる従業員を1人でも雇用した際に行わなければならない手続きです。
具体的には事業者と対象従業員の間で保険関係が成立した日から10日以内に、「保険関係成立届」を所轄の労働基準監督署へ提出します。
事業所設置届と雇用保険被保険者資格取得届
保険関係成立届の提出が完了したら、次の手続きを行います。
- 事業所設置届:設置した翌日から起算して10日以内
- 雇用保険被保険者取得届:被保険者ごとに資格取得の事実があった日の翌月10日まで
すべての書類を同日に提出できれば問題ありませんが、「雇用保険関連届出書」の記入に必要な労働保険番号は、労働保険関係成立手続を済ませてからでないと確認できないため、別日での提出となる点は注意しておきましょう。
また、保険関係が成立した日から50日以内に、「労働保険概算保険料申告書」の提出と当該年度分12ヶ月の保険料の納付が必要です。
上記の手続きを経てハローワークから「雇用保険被保険者証」が交付されれば、手続きは完了します。
新たに従業員を雇用する場合
すでに雇用保険の対象となる従業員を雇っている状態で、新たに従業員を雇用する場合の雇用保険被保険者証の手続きは、以下のように行います。
新たに従業員を雇用する場合の雇用保険の手続き
- 所轄のハローワークに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出する
- ハローワークから交付された雇用保険被保険者証を従業員に渡す
新たに従業員を雇用する場合は「労働保険関係成立手続」や「事業所設置届」を提出する必要はありません。そのため雇い入れた労働者が、被保険者となった日の属する月の翌月10日までに「雇用保険被保険者資格取得届」を提出すれば、ハローワークから雇用保険被保険者証が交付されます。
ハローワークでは、雇用保険被保険者資格取得等確認通知書と雇用保険被保険者証を本人に渡すよう通知しています。なお、雇用保険被保険者証と同時に交付される事業主通知用の確認通知書は、事業主がしっかりと保管しておきましょう。
また、雇用保険被保険者資格取得届の申請は、総務省が運営しているWebサイト「e-Gov」からも可能です。電子申請は手順に沿って申請書を作成すれば事業所にいながら手続きできるため、業務負担の軽減につながります。
従業員が退職する場合
従業員が離職する際にも雇用保険被保険者証の手続きが必要です。
離職する労働者は退職日以前の2年間において、「雇用保険の被保険者であった期間」が通算して12ヶ月以上あれば、失業給付を受け取れます。
退職者が失業給付を受け取れるよう、事業主は以下の書類を所轄のハローワークに提出し、雇用保険の資格喪失に関する手続きを行うことが必要です。
従業員の退職時にハローワークに提出する書類
- 雇用保険被保険者資格喪失届
- 離職証明書
雇用保険被保険者資格喪失届は、従業員が退職した日の翌々日から10日以内に提出しなければなりません。離職の日や資格喪失の原因などを記入する必要があるため、あらかじめ確認しておきましょう。
作成した雇用保険被保険者資格喪失届と離職証明書をハローワークに提出すると、離職票が交付されます。
退職した従業員は交付された離職票と雇用保険被保険者証をハローワークへ持参すると、失業認定を受けられます。
そのほかに手続きが必要な場合
従業員の雇用や離職のほかにも、以下の場合では雇用保険被保険者証の手続きが必要です。
そのほかに手続きが必要な場合
- 事業所の名称・所在地の変更があった場合
- 従業員の異動や転勤があった場合
事業所の名称や所在地に変更があった場合、変更のあった日の翌日から起算して10日以内に「雇用保険事業主事業所各種変更届」の提出が必要です。
また、従業員の異動や転勤も同様で、事実のあった日の翌日から10日以内に「雇用保険被保険者転勤届」を提出しなければなりません。
雇用保険被保険者証の手続きに関しても、「e-Gov」から電子申請が可能です。電子申請の際はあらかじめ電子署名が必要ですが、時間の節約などのメリットも多いため使えるようにしておきましょう。
まとめ
雇用保険被保険者証は、自身が雇用保険に加入していることを証明するための書類で、転職手続きや失業給付の申請時に必ず必要になります。入社時から会社(雇用主)が保管しているケースもあるため、退職する際は忘れず受け取るようにしましょう。
また自分で保管して紛失してしまった場合でも、ハローワークで即日発行が可能です。必要になってから慌てるより、紛失に気づいたタイミングで早めに手続きを済ませておくほうが安心です。
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よくある質問
雇用保険被保険者証とは?
雇用保険被保険者証とは、自身が雇用保険に加入していることを証明する書類です。雇用保険被保険者証に記載されている被保険者番号は、一度発行されれば転職した際も引き継がれます。
詳しくは記事内の「雇用保険被保険者証とは」で解説していますので、ご覧ください。
雇用保険被保険者証は再発行できる?
雇用保険被保険者証の再発行は可能です。再発行の方法はハローワークの窓口で行う方法と「e-Gov」での電子申請、郵便申請があります。
詳しくは記事内の「雇用保険被保険者証をもらっていない場合の再発行手続き」で解説していますので、ご覧ください。
雇用保険被保険者証はいつもらえる?
雇用保険被保険者証は、労働者が最初に就職した事業主の手続きによって発行される書類です。交付されれば原則すぐに労働者に手渡されることにはなっていますが、退職時まで事業主が保管している場合も多くあります。
詳しくは記事内の「雇用保険被保険者証はいつもらえる?」で解説していますので、ご覧ください。
