人事労務の基礎知識

コーポレート部門の役割とは?主な部署と業務内容、やりがい、課題などをわかりやすく解説

コーポレート部門の役割とは?主な部署と業務内容、やりがい、課題などをわかりやすく解説

コーポレート部門とは、企業全体を支え、組織のインフラを整備・運用する部門の総称です。企業の経営資源であるヒト・モノ・カネ・情報を支える不可欠な存在といえるでしょう。

本記事では、経理や人事といったコーポレート部門の各部署の役割から、働くやりがい、課題や求められることについてわかりやすく解説します。

目次

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コーポレート部門の役割とは?

コーポレート部門とは、企業全体を支え、組織のインフラを整備・運用する部門の総称です。「管理部門」や「バックオフィス」とも呼ばれます。

営業部門や製造部門などの事業部門(フロントオフィス)が直接的に売上や利益を生み出すのに対し、コーポレート部門はそれらの活動を支える「守り」と、企業価値を最大化させるための「攻め」の両面を担います。具体的な役割は以下のとおりです。

経営資源の最適化

企業経営には「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」という4つの経営資源が不可欠です。コーポレート部門の最大の役割は、これらの資源を適切に管理・分配し、組織全体のパフォーマンスを最大化することにあります。

リスクマネジメントとガバナンスの維持

企業が社会の一員として存続するためには、法令遵守(コンプライアンス)や内部統制が欠かせません。法務や経理、総務といった部署が中心となり、不正の防止や法的トラブルの回避、情報の適切な管理を行うことで、企業の信頼性を守ります。

事業部門の活動支援

営業や開発といった現場の社員が、本来の業務に集中できる環境を整えることもコーポレート部門の重要な役割です。ITツールの導入による効率化、オフィス環境の整備、給与計算や福利厚生の充実など、社員のパフォーマンスを最大化させるための土台づくりを行います。

経営判断のサポート

経営陣に対して、財務状況の分析結果や市場動向、組織の課題などを報告し、戦略的な意思決定をサポートします。近年では、データを活用して未来を予測する「攻めのバックオフィス」としての役割がますます期待されています。

コーポレート部門の主な部署と業務内容

コーポレート部門は多岐にわたる部署で構成されています。それぞれの部署が専門性を持ち、相互に連携しながら企業を支えています。

ここでは、コーポレート部門に属する主な部署と業務内容を説明します。

経理・財務部

経理・財務部は、企業の資金の流れを正確に把握し、コントロールする役割を担います。

経理業務では、日々の伝票起票から売掛金・買掛金の管理、月次・年次決算の作成までを行い、企業の財政状態を可視化します。また、財務業務は「未来のカネ」を扱い、事業拡大のための資金調達や投資余力の算出、キャッシュフロー予測を主導します。

近年のDX推進により、単なる記帳業務から、データを分析して経営判断を支える「管理会計」へのシフトが加速しており、数値から経営の健全性を読み解く高度な分析力が求められています。

経営企画部

経営企画部は、経営陣のビジョンを具体的な戦略へと落とし込む、組織の司令塔です。主な業務は、中期経営計画の策定や各部門の予算配分、KPI(重要業績評価指標)のモニタリングです。

また、市場動向や競合分析を行い、M&A(合併・買収)や業務提携、新規事業の立案といった企業の成長エンジンとなるプロジェクトを推進します。

全社的な視点でリソースを最適化する必要があるため、高い論理的思考力と、各部門の利害を調整して組織を一つにまとめる強力なリーダーシップやコミュニケーション能力が求められる部署です。

人事労務部

人事労務部は、「ヒト」という経営資源の価値を最大化させる役割を担います。採用活動では、経営戦略に基づいた人材要件の定義から母集団形成、選考、内定者フォローまでを一貫して行います。

また、給与計算や社会保険手続き、勤怠管理といった労務管理を通じて社員の安心を支えるとともに、評価制度の設計や階層別研修の実施により、個々のスキルアップを支援します。

近年では、社員のエンゲージメント向上やウェルビーイングの推進、多様性を活かすDEI(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)の実現など、戦略的な組織開発の側面も強まっています。

総務部

総務部は、企業活動を円滑に進めるためのインフラを整える「組織の何でも屋」であり、広範な守備範囲を誇ります。備品管理やオフィス環境の整備、社内規定の策定といった日常業務に加え、株主総会や取締役会の運営、印章管理などのガバナンスに関わる重要な実務も担います。

また、災害時のBCP(事業継続計画)策定や防災訓練の実施など、リスクマネジメントの最前線に立つことも少なくありません。他部署が担当しない隙間の業務を拾い上げ、社員が本来の業務に集中できる快適な土壌をつくる、組織の潤滑油としての役割を担います。

法務部

法務部は、ビジネスにおける法的リスクをコントロールし、企業の法的利益を守る盾の役割を果たします。

取引先との契約締結におけるリーガルチェック(契約審査)を中心に、新規ビジネスの適法性確認や、商標・特許などの知的財産権の管理を行います。

また、コンプライランス(法令遵守)体制の構築や、ハラスメント防止に向けた社内規定の整備、社員教育も重要な役割です。万が一の紛争時には、弁護士と連携して訴訟対応にあたります。常に法的根拠に基づきながら、事業を推進するための代替案を提示する戦略性が求められます。

情報システム部

情報システム部(情シス)は、現代のビジネスに不可欠なITインフラの構築・運用を担う技術の要です。社内ネットワークやサーバーの保守、PC端末のキッティング、業務システムの導入・管理を通じて、デジタル環境の安定稼働を支えます。

また、サイバー攻撃や情報漏洩から企業を守るための強固なセキュリティ対策の実施も急務となっています。近年はDX推進の旗振り役として、クラウドツールの導入やデータ利活用の基盤づくりを行い、テクノロジーによって業務効率を劇的に向上させる攻めのIT戦略が中心的な役割になりつつあります。

広報部

広報部は、社内外に対して企業のメッセージを発信し、ブランド価値や信頼を構築するコミュニケーションのプロフェッショナルです。メディアへのプレスリリース配信や取材対応を行うメディアリレーションズ、SNSやオウンドメディアを通じたファンづくり、さらには社員にビジョンを浸透させるインナーブランディングなどを担当します。

不祥事やトラブルの際、被害を最小限に抑える危機管理広報も極めて重要です。社会の期待を敏感に察知し、ステークホルダーとの良好な関係を築くことで、目に見えない企業の評判を資産へと変える役割を担います。

コーポレート部門のやりがい

コーポレート部門の仕事は一見地味に見えますが、実際には非常に大きなやりがいを感じられる職種です。たとえば、以下のようなやりがいがあります。

会社全体を俯瞰できる面白さ

営業職が特定の顧客に向き合うのに対し、コーポレート部門は会社全体を顧客として捉えます。全部署の動きを把握し、組織全体が最適化されていくプロセスに関与できるのは、この部門ならではの醍醐味です。

専門性の追求とキャリア形成

経理や法務、人事など、各分野において深い専門知識を身につけることができます。これらの専門性は、業界を問わず通用するポータブルスキルであり、長期的なキャリア形成において強力な武器となります。

社員の「ありがとう」が原動力

「システムが使いやすくなった」「制度が変わって働きやすくなった」「トラブルを未然に防いでくれて助かった」など、社員からの直接的な感謝の言葉を受け取ることが多いのも、モチベーションにつながります。

経営の意思決定に貢献する

自らが作成した分析レポートや法的アドバイスが、経営陣の重要な意思決定を左右することがあります。自分の仕事が企業の未来をつくっているという実感は、大きな達成感をもたらすでしょう。

コーポレート部門に向いている人

コーポレート部門で活躍するためには、以下のような資質が求められます。

倫理観と責任感がある

コーポレート部門はカネ、個人情報、法的事項など企業の機密情報を扱うため、高い倫理観が備わっていることは絶対条件といえるでしょう。「これくらいなら大丈夫だろう」という甘さが、企業の存亡に関わるリスクにつながるため、強い責任感も求められます。

コミュニケーション能力と柔軟性がある

バックオフィスといっても、実際に担当するのは単なる事務作業だけではありません。他部署の要望を聞き出し、時には反対意見を調整し、納得感のある解決策を提示する必要があります。人の話を聴く力と、柔軟な調整能力が不可欠です。

緻密さと正確性がある

たとえば契約書の文言一つ、決算書の数字一つが大きな意味を持ちます。細かい部分にまで気を配り、ミスなく正確に業務を遂行できる緻密さが求められます。

継続的な学習意欲がある

法律、税制、IT技術、働き方のトレンドなどは、日々目まぐるしく変化します。常に最新の情報をキャッチアップし、自らの知識をアップデートし続けられる探究心がある人は、コーポレート部門で重宝されるでしょう。

コーポレート部門が抱えている課題

コーポレート部門は企業の重要な役割を担うからこそ、以下のような課題にも直面しています。

業務の属人化とブラックボックス化

コーポレート部門では長年の経験が必要な業務が多く、特定の担当者にしかプロセスがわからない属人化に陥りやすい点が課題になりがちです。

とくにベテラン社員が独自の判断基準やデータファイルで管理している場合、業務がブラックボックス化し、休暇時や急な退職時に組織が機能不全に陥るリスクがあります。また、手順が標準化されていないことで、担当者によってアウトプットの質にバラつきが生じることも少なくありません。

ノウハウを個人のものに留めず、マニュアル化やシステム導入によって組織全体の資産として共有・可視化する仕組みづくりが急務となっています。

付加価値の低い単純作業の多さ

多くのコーポレート部門が、紙の書類のデジタル化、手入力によるデータ照合、承認のための形式的な回覧といった、低付加価値なルーチンワークに膨大な時間を奪われています。

こうした作業はミスが許されないストレスが発生する一方で、生産性が低く、社員のキャリア成長を阻害する要因にもなっています。

本来、コーポレート部門が注力すべきは、経営数値の分析や戦略的な制度設計といったクリエイティブな業務です。RPAやSaaSを積極的に導入し、人間がやるべき仕事と機械に任せる仕事を明確に切り分けることで、業務構造を抜本的に作り直す必要に迫られています。

「コストセンター」としての評価の難しさ

直接売上を生まないコーポレート部門は、長らくコストセンター(費用ばかりかかる部署)と見なされやすく、適切な評価制度が確立されていないケースが目立ちます。ミスのない完遂が「当たり前」とされるため、減点方式での評価になりやすく、現場のモチベーション低下を招きがちです。

また、リスク回避や内部統制の強化といった目に見えにくい貢献をどう数値化し、報酬やキャリアパスに反映させるかは非常に難しい問題でしょう。従来のコスト削減という視点だけでなく、事業の成長をいかに加速させたかというバリュー(付加価値)の観点からの再評価が求められています。

変化への抵抗感とDXの遅れ

コーポレート部門は「守り」の役割を重視するあまり、既存のルールや慣習を変えることに対して消極的な姿勢が、DXを阻む壁となっています。法改正や市場の変化には敏感な一方で、自社内のシステム刷新やワークフローの見直しとなると、現場からの「今のままでも困っていない」という抵抗に遭いやすいのが現状です。

しかし、労働人口が減少するなかで、古いやり方に固執することは企業の競争力低下に直結します。保守的なマインドセットを打破し、新しい技術を積極的に取り入れ、組織をアップデートし続ける柔軟な組織文化の醸成が不可欠です。

今後コーポレート部門に求められること

激動のビジネス環境において、コーポレート部門は従来の「守り」の枠を超え、以下のような進化を求められています。

戦略的パートナーとしての役割

これからのコーポレート部門には、単なる管理・受身のサポートではなく、事業成長を牽引するビジネスパートナーとしての役割が強く求められます。

たとえば人事がHRビジネスパートナー(HRBP)として各事業部の課題に深く入り込み、組織のパフォーマンスを最大化させるための人材配置を提案したり、経理が将来予測に基づく財務アドバイスを行ったりすることが挙げられます。

現場の苦悩を理解したうえで、経営陣と同じ目線で企業の付加価値を高めるための提言を行う「攻め」の姿勢を持つことで、組織におけるコーポレート部門の存在価値は飛躍的に高まります。

テクノロジーの活用によるDXの推進

AIやRPA、クラウドツールの導入は、もはや効率化の手段ではなく、企業の存続を左右する最優先事項です。

今後は、生成AIを活用した契約書の一次審査や、データ解析による離職予測、自動化された経費精算など、テクノロジーを前提とした業務設計が求められます。コーポレート部門自らが最新のITリテラシーを身につけ、全社的なDXの旗振り役となる必要があります。

アナログな作業から解放されることで、より高度な判断やクリエイティブな課題解決に時間を割くことが可能になり、組織全体の生産性向上を主導できるのです。

従業員体験の向上とエンゲージメントの強化

働き方の多様化が進むなか、コーポレート部門は管理を目的とした制度づくりから、社員の幸福度と生産性を両立させる、従業員体験のデザインへとシフトする必要があります。

具体的には、リモートワークと出社の最適なバランスの模索、多様なライフステージに対応した福利厚生の拡充、そして心理的安全性の高い組織文化の醸成などが含まれます。

社員が「この会社で働き続けたい」と思える環境を戦略的に作り上げることは、優秀な人材の獲得と定着に直結します。組織のエンゲージメントを高めることは、今や最強の経営戦略の一つと言っても過言ではありません。

リスキリングと専門性の再定義

環境の変化が激しい現代において、コーポレート部門の社員一人ひとりには、既存の専門知識を超えたリスキリング(学び直し)が求められています。

たとえば、法務担当がデータサイエンスを学びデータ活用に貢献したり、経理担当がITスキルを習得してシステム統合をリードしたりといった、掛け合わせのスキルが武器になります。また、法令遵守などの「守り」の専門性に加え、変化を恐れず新しい手法を取り入れるアジリティ(機敏性)も不可欠です。

自らの役割を従来の枠に閉じ込めることなく、時代に合わせて専門性を再定義し続ける姿勢こそが、これからのコーポレート部門を支える礎となります。

まとめ

コーポレート部門は、企業の屋台骨であり、変革のエンジンでもあります。経理、人事、総務、法務など、各部署が担う業務は専門的で多岐にわたりますが、共通しているのは「会社をより良く、より強くしたい」という想いです。

現代のコーポレート部門には、単なる管理・サポートを超え、経営の羅針盤として組織を導く役割が期待されています。「守り」から「攻め」へ、コーポレート部門の可能性は今まさに無限に広がっています。

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よくある質問

コーポレート部門とは?

コーポレート部門とは、企業経営の土台を支え、組織全体のインフラを整備・運用する部門の総称です。売上を直接作る事業部門(フロントオフィス)に対し、企業運営に必要な「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」を管理・最適化する部門(バックオフィス)として、企業の安定と成長に不可欠な存在です。

詳しくは記事内「コーポレート部門の役割とは」をご覧ください。

コーポレート部門の役割は?

主な役割は「守り」と「攻め」の2側面です。法令遵守やリスク管理によって企業を守る一方で、経営資源を最適に分配し、経営陣の意思決定をサポートすることで企業価値を最大化させる「攻め」の役割を担います。単なる事務的な支援に留まらず、事業部門の戦略的パートナーとして組織全体のパフォーマンスを向上させることが期待されています。

詳しくは記事内「コーポレート部門の役割とは」をご覧ください。

コーポレート部門の業務は?

その業務範囲は多岐にわたります。経理・財務による資金管理、人事労務による人材採用や労務管理、総務によるオフィス運営、法務による法的リスク管理、さらには情報システムによるIT基盤の構築や、広報によるブランド形成などが挙げられます。

詳しくは記事内「コーポレート部門の主な部署と業務内容」で解説しています。

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