開業の基礎知識

焼肉店の開業に必要な手続きとは?失敗しないためのポイントを解説

焼肉店の開業に必要な手続きとは?失敗しないためのポイントを解説

焼肉店の開業には、物件取得費や設備投資、内装工事、仕入れなどさまざまな初期費用が発生します。特に排煙設備や厨房機器は高額になりやすく、事前計画を誤ると資金が不足するかもしれません。

本記事では、焼肉開業に必要な費用の内訳、物件選びや許認可のポイント、必要な資格取得などを詳しく解説します。

さらに、開業後の利益を守るための人件費削減や省人化メニュー設計のコツも紹介します。未経験者でも、焼肉店の開業を成功へ導くための実践的なノウハウをまとめたので、ぜひ参考にしてください。

目次

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焼肉店を開業するメリット

焼肉店はほかの飲食店に比べて、以下のようなメリットがあります。

客単価が高い

焼肉店はほかの外食業態と比べて、客単価を高く設定しやすいのが魅力です。幅広い価格帯に対応でき、家族利用から仕事帰りの会食、宴会まで多様なシーンで安定した売上を見込めます。

食べ放題型では手頃な価格で回転率を重視し、地域密着型では適正価格でリピーターを獲得する戦略が効果的でしょう。

居酒屋タイプの店舗では、ドリンク比率を高めて利益率を確保しやすく、高付加価値のコース型の店舗では単価を上げて粗利を最大化できます。

開業前に、席数×回転数×価格帯×営業日数で売上を試算し、目標から逆算して最適な業態を選ぶことで、収益性の高い経営を実現できるでしょう。

フードロスを抑えやすい

構造的にフードロスを抑えやすい業態という点も、焼肉店を開業するメリットです。部位ごとに小分けで提供し、注文を受けてから調理するため、作り置きや廃棄が発生しにくい仕組みになっています。

また、1皿あたりの提供量を細かく管理できるうえ、冷凍・冷蔵での在庫調整もできます。さらに、端材を再利用した低価格メニューや、ホルモン部位を活用した高利益メニューなど、素材を無駄なく使う工夫も可能です。

一次加工品や冷凍真空パックを活用すれば、食材の賞味期限を正確に把握でき、在庫や発注ミスを防げます。開業時から食材の使用効率や廃棄率を数値で管理し、メニューや仕入れ計画に反映することで、無駄を減らし安定した利益を確保できるでしょう。

リピーターを獲得しやすい

焼肉店は、記念日や家族の外食といった特別な場面に加え、ランチのように普段使いにも対応できます。そのため、来店のきっかけが多く、固定客を確保しやすい業態です。また、焼き設備の準備は家庭では難しく、煙処理の手間もあるため、外食需要が安定して存在します。

ランチや昼飲みなどの日常利用に加え、誕生日や記念日などの需要も取り込める点が強みです。顧客自身が焼く体験は満足度が高く、現在ではSNSでの発信にもつながりやすいでしょう。

さらに、顧客管理システムやモバイルオーダーを活用し、来店履歴に応じたクーポン配信や限定メニューの告知を行うことで、再来店の動機づけを継続的に強化できるでしょう。

人件費を抑えやすい

焼肉店は、お客様が自ら焼くセルフ調理スタイルに加え、注文タブレットや配膳ロボットなどを導入しやすく、少ないスタッフでも運営しやすい業態です。

お客様自身が肉を焼くため、調理工程の多くを省略でき、高度な調理スキルをもつスタッフを多く雇う必要もありません。厨房は仕込みや盛り付けなどのシンプルな作業に特化できるため、オペレーションの効率化も可能です。

さらに、配膳ロボットやモバイルオーダー、卓上ドリンクサーバーといった設備を導入すれば、スタッフの負担を軽減しながらサービス品質を維持できます。開業計画段階で業務効率化の投資対効果を分析し、補助金制度を活用して導入コストを抑えることで、長期的に安定した利益体質を実現できます。

焼肉店を開業するデメリット

焼肉店の開業は、さまざまな魅力がある反面、以下のような課題もあります。

事前にデメリットも考慮したうえで開業を検討することで、開業後のリスクを最小限に抑えられるでしょう。

開業資金が高い

焼肉店の開業には、高額な初期費用がかかります。たとえば、排煙ダクトや無煙ロースターなどの専門設備が必要なため、総額は1,000万〜3,000万円に達するケースもあります。

さらに物件取得費や約6ヶ月分の運転資金として、数万円以上の準備が必要です。飲食店として利用されていた居抜き物件を活用すれば、費用を抑えられますが、老朽化した設備の修正費や毎月の運転資金は必ずかかります。

開業初期は売上が安定しにくく、予想以上に資金が減ることもあります。自己資金だけに頼らず、補助金を活用したり、「freee創業融資」のようなサービスで資金調達の選択肢を広げたりして、余裕のある開業計画を立てましょう。

衛生管理が大変

焼肉店の運営では、油脂管理と衛生管理の徹底が欠かせません。排気ダクトやグリストラップに油脂が溜まると、悪臭や害虫の発生、さらには火災の原因になることもあります。

2021年からはすべての飲食店で、HACCP(ハサップ:食品の衛生リスクを工程ごとに分析・管理する国際基準の仕組み)に沿った衛生管理が義務化されており、厳格な管理体制が必要になりました。

たとえば、グリストラップは毎日の固形物除去に加え、週1回の油脂除去、月1回の業者清掃が基本です。グリスフィルターは週1回以上の点検、排気ダクトは年1回以上の専門清掃が推奨されます。

HACCPの衛生管理計画と記録様式は厚生労働省サイトで無料配布されているため、開業前にマニュアル化とスタッフ教育を徹底しましょう。

近隣住民から苦情がくるおそれがある

焼肉店では、排煙やにおいが原因で近隣住民から苦情を受けるリスクがあります。特にピーク時は臭気指数が高くなることもあり、苦情が出やすくなる恐れがあります。そのため、設計段階からの対策が不可欠です。

悪臭防止法に基づき、自治体ごとに臭気の上限値が定められているため、出店予定地の環境基準を事前に確認しましょう。住宅が近い場合は、活性炭フィルターやミスト式脱臭装置の設置が必要になるかもしれません。

排気口は屋上など高い位置に設け、周囲の住宅から離れた方向に向けることが基本です。さらに、ファンや機器の騒音・振動にも配慮し、消音ボックスや防振金具を導入することでトラブルを防げます。

開業前に自治体へ相談し、対策内容を事業計画書に明記しておくことが重要です。

労働時間が長くなりやすい

焼肉店は、ディナータイムに売上が集中しやすく、深夜営業の需要もあるため、オーナーやスタッフの労働時間が長くなりやすい業態です。18時〜22時頃に来客が集中しやすく、その後の片付けも考慮すると、労働時間が深夜に達する可能性もあります。

深夜0時以降も営業する場合は、深夜酒類提供飲食店営業の届出が必要で、オーナー自身が深夜まで店舗に立つケースも少なくありません。特に、開業初期はスタッフが営業に慣れておらず、開業直後の繁盛により、負担が大きくなりやすい傾向です。

こうした長時間労働を防ぐには、省力化設備やITツールの導入が有効です。たとえば、配膳ロボットや卓上オーダーシステムを導入することで、注文業務を効率化できます。IT導入補助金を活用すれば、導入費用を抑えられるでしょう。

焼肉店を開業するのにいくらかかる?

焼肉店の開業は主に物件取得や設備にかかる初期費用と、開業してから黒字化までの期間を支える運転資金が必要です。店舗の広さや立地などによって費用は変動しますが、以下を参考におおよその資金の目安を把握しておきましょう。

初期費用

焼肉店の開業には、次のような初期費用が必要です。

  • 物件取得費
  • 内外装工事費
  • 厨房設備費
  • 備品・什器費など

焼肉店の初期費用は、スケルトン物件で約1,000万〜5,000万円程度で、居抜き物件であれば、スケルトン物件に比べると数百万円抑えられる可能性があります。

スケルトン物件とは、内装や設備が一切ない状態の物件で、自由なレイアウト設計ができる反面、工事費が高額になりがちです。

一方の居抜き物件は、前テナントの内装や設備をそのまま引き継ぐため、初期費用を抑えられます。しかし、設備の老朽化やメンテナンス不足といったリスクもあるため、契約前の点検が必須です。

なお焼肉店は、一般的な飲食店と異なり、無煙ロースターやテーブルごとの排煙・ダクト工事など専門設備の投資が費用の増加に影響しています。

運転資金

焼肉店の運転資金は、開業直後から黒字化までの期間を支えるために、6ヶ月分程度の家賃や人件費、光熱費などを確保しておくことが重要です。

開業後すぐに安定した売上を得るのは難しく、半年ほど赤字が続くケースもあります。そのため、固定費×6ヶ月+開業初期の想定赤字額を基準に資金を見積もります。

たとえば、固定費が月200万円なら、6ヶ月で1,200万円に、想定赤字100万円を加え合計1,300万円が目安です。

日本政策金融公庫の新規開業資金では、運転資金として最大4,800万円まで融資が可能です。資金確保に不安がある場合は「freee創業融資」を活用し、資金調達の選択肢を広げ、余裕ある開業計画を立てましょう。

焼肉店の開業に必要な資格・許可

焼肉店の開業には、主に以下の資格・許可が必要です。

  
資格・許可名概要
食品衛生責任者食品衛生を管理するために全飲食店で必須
飲食店営業許可保健所の検査に合格して営業を認められる許可
防火管理者火災予防と避難体制を管理する責任者

食品衛生責任者

焼肉店を含むすべての飲食店では、食品衛生責任者の配置が法律で義務付けられています。この資格がなければ保健所への「飲食店営業許可」が受理されないため、開業準備の初期段階で必ず取得しておくことが必要です。

食品衛生責任者の資格は、各都道府県の食品衛生協会が実施する約6時間の講習を受講することで取得でき、受講料は12,000円前後です。講習内容は、衛生法規・公衆衛生学・食品衛生学の3科目で、会場受講のほかeラーニング形式にも対応しています。

なお、講習は地域や時期によって開催頻度が異なるため、開業予定日から逆算して早めに受講しておくことが重要です。

飲食店営業許可

焼肉店を開業するには、保健所から飲食店営業許可を取得することが必須です。申請は管轄の保健所で行い、施設検査に合格すると許可証が交付されます。

手数料は自治体によって異なり、東京都の場合は18,300円です。手続きは流れは以下のとおりです。

  1. 物件契約前の事前相談
  2. 工事着工
  3. 工事完了前の申請
  4. 施設検査
  5. 許可交付

事前相談は、設計図面を持参してシンクの数や配置、手洗い設備、換気や照明などの施設基準を確認する重要な手続きです。

具体的な施設基準には、2槽以上のシンクや従業員専用の手洗い場、十分な換気・採光設備、トイレの手洗い設置などが含まれます。

申請から許可まで通常10日〜2週間ほどかかるため、開業予定日から逆算して早めに準備・申請を行うことが重要です。

【関連記事】
飲食店営業許可証を取得するには?開業に必要な手続きや資格を詳しく解説

防火管理者

防火管理者は、店舗の収容人数が従業員を含めて、30人以上の場合に選任が義務付けられる資格であり、1日から2日間の講習を受講することで取得できます。

たとえば、客席30席に厨房スタッフ5名とホールスタッフ2名を加えた合計37人の場合、防火管理者の選任が必要です。費用は数千円ほどで、東京都の場合は新規の講習で7,000円(税込)です。

防火管理者を選任したら、遅滞なく防火管理者選任届を管轄の消防署に提出し、届出書には資格者証の写しを添付します。工事期間中に講習を完了させ、開業前に選任届を提出するのが理想的な流れです。

焼肉店では、グリスフィルターやダクト清掃、防火ダンパー点検など、特有の防火管理が必要です。講習で学んだ内容をもとに、実践に活かすためのマニュアルを作成し、全スタッフで共有しましょう。

焼肉店の開業に必要な手続き

焼肉店を開業するには、保健所への事前相談と消防署への届出が必要です。ここでは、それぞれに必要な行政手続きの具体的な流れについて解説します。

保健所への事前相談

焼肉店を開業する際は、工事着工前に保健所へ事前相談を行いましょう。店舗の設計図面が完成した段階で相談すれば、施設基準を満たしているかを確認でき、工事後のやり直しや追加費用を防げます。

保健所から飲食店営業許可を取得するには、シンクの数や配置、手洗い場、換気設備などの基準を満たすことが必要です。

特に焼肉店では、排煙や油脂処理設備に関する基準が厳しく、行政は無煙ロースターのダクト経路やグリストラップの容量、脱臭装置の有無などを重点的に確認します。

事前相談の際は、平面図・厨房レイアウト図・給排水設備図・換気系統図を持参し、担当者から具体的な指導を受けましょう。居抜き物件の場合は、既存設備が現行基準を満たしていないこともあるため、契約前に保健所へ必ず確認することが大切です。

消防署への届出

焼肉店では火気設備を多く扱うため、消防署への届出を計画的に行うことが不可欠です。届出には、以下のように複数の種類があり、それぞれ提出期限が異なります。

  
届出の種類提出期限
防火対象物工事等計画届出書工事着手の7日前まで
火を使用する設備等設置届出書設置の7日前まで
消防用設備等設置届出書設置後4日以内

さらに、収容人数30人以上の店舗では、防火管理者の選任と防火管理者選任届の提出が必要です。開業スケジュールに各届出日を明記し、工事・設備業者と共有することで、届出漏れや開業遅延を防げるでしょう。

焼肉店の開業手順

焼肉店開業は、構想・計画段階からオープンまで、6つのフェーズを12ヶ月かけて進めることで抜け漏れを防ぎ、リスクを最小化できるでしょう。主な流れは、以下のとおりです。

焼肉屋オープンまでの手順


各フェーズで主に行うこととしては、以下のとおりです。

  1. 構想(12ヶ月前):コンセプトを決める
  2. 計画(9ヶ月前):事業計画書を作成し資金計画を立てる
  3. 基盤固め(8ヶ月前):物件を探して契約する
  4. 設計(4ヶ月前):店舗の設計を行い、保健所に相談する
  5. 施工(2ヶ月前):工事を進める
  6. 開業準備(1ヶ月前):備品をそろえ、スタッフを採用・研修する

各フェーズを計画的に進めることで、設備の選定ミスや工期の遅延といったトラブルを未然に防げます。また、早い段階から専門業者や行政機関に相談しながら進めることで、スムーズかつ安心して開業を迎えられるでしょう。

【関連記事】
事業計画書とは?作成する目的や作り方について解説

焼肉店の開業で失敗しないためのポイント

焼肉店の開業で失敗しないためには、以下のポイントを押さえておくことが重要です。

開業段階における失敗を防ぐための取り組みは、持続的な成功につながるため、確実に実行しましょう。

良質な物件を選ぶ

焼肉店の物件を選ぶ際は、立地や家賃といった条件だけでなく、ガス容量や排煙設備などの技術面が店舗運営に適しているかどうかを契約前に必ず確認することも大切です。

これらの条件を見落とすと、追加工事により想定外の費用が発生したり、臭気トラブルによって営業継続が難しくなったりするリスクがあります。

焼肉店は「重飲食」に分類されるため、一般的な飲食店よりも設備条件のハードルが高いことが特徴です。特に以下の点は、焼肉店の物件を選ぶ際は必ずチェックしておきましょう。

  • 複数のロースターを同時使用しても火力が落ちないガス供給量が整備されている
  • 専用の排気ダクトを確保し店舗から屋外へ直接排気できるルートが取れている
  • 適切な空調設備で排気と給気のバランスが取れている
  • 悪臭や詰まりを防ぐためのグリストラップや排水設備が整っている
  • 炭火使用の場合は貸主や管理会社から明確な承諾を得られている

居抜き物件を選ぶ場合でも、既存のダクトや空調設備が老朽化している可能性があるため、契約前に専門業者に同行してもらい、設備状況を調査することが重要です。

事前に設備費や修繕費などがわかっていれば、費用追加のリスクを回避できます。

また、立地や周辺環境などもチェックすることで、長期的に安定した売上が見込めるかどうかを判断しやすくなります。 たとえば、近隣に競合店が多すぎないか、臭いや煙に対してクレームが出にくい環境かといった点なども、焼肉店にとって重要な評価項目です。

リスク管理を徹底する

焼肉店の運営では、臭気・火災・衛生の3大リスクを設計段階と開業後のメンテナンスで二重に管理することが不可欠です。これらのリスクは、すべて油脂管理の不徹底が原因で、放置すれば悪臭や火災、営業停止につながります。

臭気対策では、排気口を屋上など高い位置に設置し、近隣住宅の窓やバルコニーから離した方向へ向けます。住宅密集地では活性炭フィルターやミスト式脱臭装置の導入が有効です。

防火対策については、グリスフィルターを週1回以上点検、月1回は清掃しましょう。排気ダクトは、年1回以上の専門業者による清掃を実施し、四半期ごとの清掃が理想です。

衛生管理では、グリストラップの固形ゴミの除去や油脂除去などを定期的に行うことが大切です。メンテナンス費用は削減対象ではなく、事業継続のための必要経費として計画的に確保しましょう。

独自性のあるサービスを提供する

競争が激しい焼肉業界で長く成功するには、次の3つの軸で独自性を確保することが重要です。

  • 名物メニュー
  • 体験価値
  • 顧客関係

価格競争に陥るとFL比率(売上に占める人件費と食材費の割合)が悪化し、収益性が低下するため差別化は不可欠です。

名物メニューでは、他店にはない希少部位や自家製のタレを使った看板商品を作ることで。「この店といえばこれ」といわれる強みをつくれます。

体験価値としては、無煙ロースターで快適に焼ける環境やライブ感のある提供演出、家族や仲間と楽しめる空間づくりなど、食事以外の満足感を高める工夫が効果的です。

顧客関係では、初回来店時にLINE公式アカウントへの登録を促し、誕生日クーポンや限定情報を配信するとよいでしょう。さらに、スタッフによる質の高い接客で、顧客満足度を高めることも大切です。

まとめ

焼肉店を開業するためには、さまざまな課題をクリアする必要があります。たとえば、初期投資に数千万円が必要だったり、物件選びの際にガス容量や排煙ダクトの確認が不可欠だったりします。

さらに、食品衛生責任者や飲食店営業許可などの資格・許可を計画的に取得し、消防署への届出も忘れずに行うことが必要です。

開業後は、におい対策やダクトの定期清掃など衛生管理を徹底し、トラブルを未然に防ぐことが重要です。また、食材費や人件費のバランスを意識したメニュー設計や、業務効率を高める仕組みづくりによって、無理のない経営を目指しましょう。

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よくある質問

焼肉店を開業するにはいくら必要ですか?

焼肉店の開業には、初期費用と運転資金をあわせておよそ1,000万〜3,000万円程度が必要です。一般的な飲食店に比べて費用が高くなるのは、無煙ロースターや排煙・ダクト工事など、焼肉特有の設備投資が多いためです。

スケルトン物件(内装・設備がない状態)で開業する場合は約1,000万〜5,000万円、居抜き物件なら、それよりも数百万円程度安く抑えられる傾向があります。ただし、居抜き物件は設備の老朽化リスクがあるため、契約前の点検が必須です。

また、開業直後の運転資金として、6ヶ月分の家賃・人件費・光熱費などを確保しておくと安心です。店舗の規模によって必要な費用は異なるため、事業計画を作成する際に、資金計画も立てて、必要な費用を把握しましょう。

焼肉店の開業に必要な費用については、記事内「焼肉店の開業資金」をご覧ください。

焼肉店を開業するにはどんな資格が必要ですか?

焼肉店を開業するには、主に以下3つの資格・許可が必要です。

  • 食品衛生責任者
  • 飲食店営業許可
  • 防火管理者

食品衛生責任者の場合は、すべての飲食店で1名以上の配置が義務付けられており、各都道府県の食品衛生協会が実施する講習で取得でき、調理師や栄養士などの有資格者は講習が免除されます。

営業をはじめるには、飲食店営業許可を保健所に申請する必要があります。工事完了の約2週間前を目安に申請し、手数料は地域によって異なり、東京都の場合は18,300円です。

防火管理者は、収容人数30人以上の店舗で必要な資格です。費用は数千円ほどで、東京都の場合は新規の講習で7,000円(税込)で受講できます。

そのほか、防火対象物工事計画や火を使用する設備など、消防署への各種届出が必要です。深夜0時〜6時に酒類を提供する場合は、深夜酒類提供届も提出しなければいけません。

焼肉店の開業に必要な資格や許可は、記事内「焼肉店の開業に必要な資格・許可」を参考にしてください。

焼肉店の1日の売上は?

焼肉店の1日の売上は規模や業態によって、以下のように異なります。

  
店舗規模座席数の目安客単価1日の想定売上
小規模約20席4,000〜5,000円約8万〜15万円
中規模約30席3,500〜4,000円 約15万〜25万円
大規模約40〜50席3,000〜3,500円約25万〜60万円

焼肉店の売上は、席数が多いほど売上規模は大きくなりますが、人件費や光熱費などの固定費も増加するため、収益を上げるには席稼働率や回転率などの最適化が欠かせません。

たとえば、客単価が高く設定しやすいディナータイムの稼働を高める工夫が、安定した売上につながるでしょう。

焼肉店のオーナーは儲かる?

焼肉店のオーナーは、経営の工夫次第で十分に利益を出せる業種です。ただし、原価や人件費、家賃といったコスト管理が甘いと利益率が低下し、安定経営が難しくなります。

収益を上げるポイントは、食材費と人件費のバランスを最適化することや、省人化や効率的なオペレーションの導入です。さらに、原価の高い人気メニューと利益率の高いサイドメニューをうまく組み合わせることで、全体の収益構造を改善できます。

また、借入金の返済や設備投資の負担も考慮し、開業前に無理のない資金計画を立てることも重要です。地道なコスト管理と差別化戦略を積み重ねることで、長く安定した黒字経営を目指せるでしょう。

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freee開業を使った開業届の書き方は、準備→作成→提出の3ステップに沿って必要事項を記入していくだけです。

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Step1:準備編

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準備編では事業の基本情報を入力します。迷いやすい職業欄も多彩な選択肢のなかから選ぶだけ。


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事業の開始年月日、想定月収、仕事をする場所を記入します。
想定月収を記入すると青色申告、白色申告のどちらが、いくらお得かも自動で計算されます。

Step2:作成編

次に、作成編です。


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申請者の情報を入力します。
名前、住所、電話番号、生年月日を記入しましょう。


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給与を支払う人がいる場合は、上記のように入力をします。
今回は準備編で「家族」を選択しましたので、妻を例に記入を行いました。


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さらに、見込み納税金額のシミュレーションも可能。
※なお、売上の3割を経費とした場合の見込み額を表示しています。経費額やその他の控除によって実際の納税額は変化します。

今回は、青色申告65万円控除が一番おすすめの結果となりました。

Step3:提出編

最後のステップでは、開業に必要な書類をすべてプリントアウトし、税務署に提出します。


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入力した住所をもとに、提出候補の地区がプルダウンで出てきます。地区を選ぶと、提出先の税務署が表示されますので、そちらに開業届けを提出しましょう。


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届け出に関する説明とそれぞれの控えを含め、11枚のPDFが出来上がりました。印刷し、必要箇所に押印とマイナンバー(個人番号)の記載をしましょう。

郵送で提出したい方のために、宛先も1ページ目に記載されています。切り取って封筒に貼りつければ完了です。

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参考文献

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