ゴーストレストランとは、実店舗をもたずにデリバリー専業で営業する飲食店の形態です。
初期投資や固定費を抑えられる一方で、デリバリーアプリに集客を頼る構造や、自社のブランド力を築きにくいといった課題もあります。
本記事では、ゴーストレストランを開業するメリット・デメリットや開業までの手順について詳しく解説します。
目次
- ゴーストレストランとは
- バーチャルレストランとの違い
- クラウドキッチンやシェアキッチンとの違い
- ゴーストレストランが普及した背景
- ゴーストレストランのメリット
- 初期投資・固定費を抑えられる
- 立地や天候に左右されにくい
- メニュー変更が柔軟にできる
- 小規模から始められる
- 複数ブランドを同時に展開できる
- ゴーストレストランのデメリット
- デリバリーアプリに依存するため、手数料がかかる
- ブランド力が育ちにくい
- 競争が激化し差別化が難しくなる
- ゴーストレストラン開業までの流れ
- 1. 調理拠点を確保する
- 2. 必要な資格と営業許可を取得する
- 3. デリバリーアプリに登録する
- 4. 集客・オープンに向けて準備する
- まとめ
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ゴーストレストランとは
ゴーストレストランとは、客席や接客スペースをもたず、デリバリー専門で運営する飲食業態を指します。
主にクラウドキッチンなどの共有スペースや店舗のキッチンを借りて調理を行い、デリバリーアプリ経由で注文を受け付けます。
実店舗がない分、開業コストや固定費を大幅に抑えることができるため、小規模から飲食事業を始めたい人や、コストを抑えて飲食事業に挑戦したい人に向いています。
一方で、顧客との直接的な接点がないため、集客やブランド認知はオンライン施策に依存します。SNSでの情報発信やレビューの管理など、オンライン上で信頼を築き、リピーターを増やす工夫が重要になるでしょう。
バーチャルレストランとの違い
上述したように、ゴーストレストランは実店舗を持たず、最初からデリバリー専門で開業します。
一方、バーチャルレストランは、すでに実店舗を運営している飲食店が新たにデリバリー専門ブランドを立ち上げる形態のことを指します。
たとえば、イタリアンレストランを経営している店舗が「おにぎり専門店」など、まったく異なる業態をデリバリー限定で展開するケースです。
実店舗の厨房設備やスタッフをそのまま活用でき、空き時間を有効に使えるため、追加投資を抑えながら売上を拡大できます。
クラウドキッチンやシェアキッチンとの違い
クラウドキッチンとは、複数の事業者が利用できる「調理スペースそのもの」のことで、ゴーストレストランやバーチャルレストラン向けに設計された専用施設です。イートインスペースを持たず、月額制で設備を利用できます。
一方、シェアキッチンは複数人が共同で利用する調理スペースの総称です。シェアキッチンは主に、食品の販売を目的とするタイプと、料理教室など販売を目的としないタイプに分かれます。
つまり、クラウドキッチンやシェアキッチンは「場所」、ゴーストレストランはその空間を利用して展開する「業態」ということです。
ゴーストレストランが普及した背景
ゴーストレストランは、デリバリーアプリの普及とライフスタイルの変化を背景に、急速に広まりました。
もともとニューヨークで注目された業態ですが、日本で一気に拡大した大きな要因は、新型コロナウイルスによる外食需要の減少と在宅時間の増加です。
休業や時短営業を迫られた飲食店が新たな収益源として導入が進みました。
店舗を必要とせず、低コストで開業できる特性から、現在も市場は拡大を続けています。とくに、都市部の若年層や共働き世帯を中心に、需要が高まり続けています。
ゴーストレストランのメリット
ゴーストレストランは、初期投資や固定費を抑えられる点や、立地や天候に左右されにくいなどのメリットがあげられます。主なメリットは、以下の5つです。
ゴーストレストランのメリット
これらのメリットを把握しておくことで、ゴーストレストランの特性や強みを生かした運営方針を立てやすくなります。
初期投資・固定費を抑えられる
ゴーストレストランは店舗を必要とせず、調理に必要な最低限の設備があれば開業できます。そのため、物件取得費や内装費を大幅に削減できるのが強みです。
また、店内スタッフが不要なので、人件費を抑えられる点もメリットです。
さらに、既存店舗の厨房を活用したり、シェアキッチンやクラウドキッチンを利用したりすることで、家賃や光熱費も低く抑えられます。
店舗型の飲食店より少ない資金で参入できるため、初期投資を抑えながら収益化を目指しやすい業態です。
立地や天候に左右されにくい
ゴーストレストランはデリバリーが中心のため、人通りや駅近といった立地の影響を受けません。
また、雨や雪などの悪天候で外食が減少する場面でも、自宅で食事を楽しみたい人の需要が高まり、かえって注文が増えることもあります。
こうした特性によって、安定した集客が見込みやすい点がメリットです。
場所の制約がないことで、出店エリアを柔軟に変えたり、複数ブランドを試験的に展開したりといった自由度の高い戦略を取れるのも大きな魅力といえます。
メニュー変更が柔軟にできる
ゴーストレストランは、オンライン上の表示を更新するだけで、新しいメニューを導入できます。
実店舗のように看板やメニュー表の内装を変える必要がありません。
そのため、季節限定のメニューや流行に合わせた料理をスピーディーに提供できます。
また、アプリ内レビューやSNSの反応を参考に改善できるため、消費者の声を反映したブラッシュアップがしやすい点も魅力です。
柔軟なメニュー変更をすることで、競合との差別化やリピーター獲得にもつながります。
小規模から始められる
ゴーストレストランは、客席やホールスタッフを必要としないため、少人数で運営できるのが特徴です。
1〜2名の調理スタッフでも運営できので、人件費を最小限に抑えながら開業できます。
さらに、内装工事や大規模な設備投資が不要で、初期費用が低く済むことから、副業や新メニューを試験的に販売する場としても取り入れやすい形態です。
大きなリスクを負わずに挑戦でき、成功すれば店舗を拡大したり複数ブランドを展開したりと、段階的に成長させられる柔軟さも魅力です。
複数ブランドを同時に展開できる
ゴーストレストランは、ひとつのキッチンから複数のブランドを立ち上げられる点も強みです。
たとえば、同じ厨房でハンバーガーやカレー、スイーツといった異なるジャンルを同時に展開可能です。
ターゲット層に合わせてブランドごとに異なるメニューを展開できるため、幅広いニーズに対応できます。
また、複数のブランドをもつことで売上を分散させられ、ひとつの業態に依存しない経営ができるのも魅力です。
競争が激しい市場においても、リスクを軽減しながら収益機会の最大化を図れます。
ゴーストレストランのデメリット
ゴーストレストランは低コストではじめられる反面、いくつかのリスクも抱えています。デリバリーアプリへの依存や利益率の低下やブランド力の構築の難しさなどの課題は見逃せません。
ゴーストレストランのデメリット
開業を検討する際は、メリットだけでなくデメリットを理解したうえで戦略を立てましょう。
デリバリーアプリに依存するため、手数料がかかる
ゴーストレストランは、デリバリーアプリを通じて注文を受けるのが一般的です。そのため、飲食店側はデリバリーアプリの運営会社に利用料(手数料)を支払う必要があります。
2025年11月時点で、大手デリバリーアプリにかかる利用料(手数料)は以下のとおりです。
- Uber Eatsの加盟店手数料:注文金額の約35%
- 出前館:商品代金(税抜)の10%
- 配達代行:25%
こうした手数料に加えて、アプリ側の規約変更や手数料体系の見直しが行われると、収益構造に直接影響を及ぼすこともあります。
こうした外部要因によって自社で利益率をコントロールしにくい点は、ゴーストレストランを運営するうえでの課題のひとつです。
ブランド力が育ちにくい
ゴーストレストランは実店舗をもたないため、顧客と直接接する機会がなく、関係性を築きにくいのが特徴です。
ブランドの評価はデリバリーアプリ上の写真やレビューに依存し、リピーターやファンを獲得するハードルが高くなります。
そのため、SNSを通じて商品の魅力やストーリーを発信し、ブランドの世界観を伝えることが重要です。
また、期間限定キャンペーンやクーポン配布などで顧客との接点を増やし、再注文を促す工夫も求められます。
競争が激化し差別化が難しくなる
デリバリー市場は参入障壁が低く、新規出店が急増しています。
サカーナ・ジャパン株式会社のレポートによると、2024年のデリバリー市場規模は、新型コロナウィルス流行前(2019年)と比べて、約1.9倍に拡大しています。
また、Uber Eatsの2025年上半期トレンドランキングでは、ラーメンや油そばなどの麺類カテゴリーが上位にランクインしました。いずれも人気が高く、同ジャンルへの出店が集中しているため、他店との差別化が難しい分野といえます。
こうした分野では、味や価格だけでは差別化が難しい場合もあります。そのため、店舗名のネーミングや商品写真、SNSを活用した発信などで独自性を打ち出すのも、ひとつの方法です。
差別化を意識すれば他店との違いが明確になり、顧客に選ばれやすくなる可能性があります。
出典:Circana, サカーナ・ジャパン調べ「外食・中食 調査レポート」
出典:Uber Newsroom「Uber Eats、2025年上半期トレンドランキングを初公開」
ゴーストレストラン開業までの流れ
ゴーストレストランは、通常の飲食店と異なり、店舗の内装工事や客席の設計、スタッフ採用などの準備は不要です。そのため、開業までの手順がシンプルで、短期間でスタートできるのが特徴です。
実際に開業する際に、押さえておくべき基本的な流れを把握しておきましょう。
ゴーストレストラン開業までの流れ
1. 調理拠点を確保する
ゴーストレストランをはじめるには、まず調理場所を確保しましょう。
既存の飲食店の厨房を利用する方法や、クラウドキッチンまたはシェアキッチンをレンタルする方法が一般的です。調理拠点を選ぶ際は、衛生面・調理動線・設備・食品の保管スペースの4つは特にチェックしましょう。。
また、安定した集客を実現するには、配達可能なエリアにデリバリー需要があるかの市場調査も重要です。
なお、賃貸物件を利用する際は、契約に「店舗営業の禁止」「食品の製造・販売禁止」といった規約が含まれていないか必ず確認しましょう。
2. 必要な資格と営業許可を取得する
ゴーストレストランの営業には、食品衛生責任者の設置が義務付けられています。
食品衛生責任者の資格は、講習を受講することで取得可能です。なお、栄養士や調理師などの資格を所持している場合には、新たに取得する必要はありません。
さらに、保健所に「飲食店営業許可」を申請し、施設検査に合格することで営業が認められます。営業許可が下りているキッチンであれば、申請が不要なケースもあるので事前に確認しましょう。
ほかにも、規模によっては防火管理者の選任が求められる場合もあります。
営業形態や利用状況によって別途手続きが必要になることがあります。保健所の基準を満たさずに営業を行えば食品衛生法違反となるため、必ず適切な手続きを踏みましょう。
出典:東京都「新たな「営業の許可制度」「営業の届出制度」が令和3年6月1日から始まります」
出典:一般社団法人東京都食品衛生協会「食品衛生責任者について」
出典:総務省消防庁「防火管理制度」
3. デリバリーアプリに登録する
ゴーストレストランの集客には、デリバリーアプリへの登録が欠かせません。
契約後は、メニューや価格、料理写真を提出し、店舗ページを整備します。
料理写真は、利用者が注文を決める大きな要素となるため、質の高い画像を用意しておきましょう。
登録審査には2週間〜2ヶ月程度かかることもあり、想定より時間を要するケースもあるので、余裕をもって申請しましょう。
4. 集客・オープンに向けて準備する
登録審査をまつ間や開業直後には、集客のための準備を進めましょう。
まずは、SNSや広告を活用してブランドや店舗名を周知させることが大切です。オープン前から認知度を高めておくことで、開業時の集客につながります。
また、アプリ上で掲載する商品写真やメニュー説明を丁寧に整備しておくことも効果的です。写真の印象や説明文のわかりやすさは、注文率を左右します。
営業を開始したら、レビュー・リピーターの獲得を意識したキャンペーンやフォロワー施策を取り入れ、継続的な集客へとつなげていきましょう。
まとめ
ゴーストレストランは、初期投資を抑えながら新しい形で飲食業に参入できる魅力的な飲食店の形態です。
メリットとデメリットを理解したうえで、開業に向けての準備を進めましょう。
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3. 給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
家族や従業員に給与を支払うための申請書です。
4. 源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書
原則毎月支払う源泉所得税を年2回にまとめて納付するための手続です。毎月支払うのは手間ですので、ぜひ提出しましょう。
5. 青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書
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よくある質問
ゴーストレストランは違法にならない?
ゴーストレストランそのものは、違法ではありません。しかし、営業には食品衛生責任者の設置や、飲食店営業許可の取得が必須です。
詳しくは、記事内「ゴーストレストラン開業までの流れ」をご覧ください。
ゴーストレストランの欠点・デメリットはありますか?
ゴーストレストランは低コストではじめられる一方で、以下のようなデメリットもあげられます。
- デリバリーアプリの手数料がかかる
- ブランド力が育ちにくい
- 競争が激化し差別化が難しくなる
詳しくは、記事内「ゴーストレストランのデメリット」をご覧ください。
