監修 涌井 好文 社会保険労務士
住民税は、退職後も支払い義務が続く後払いの税金です。退職する時期によっては、最後の給与から一括で差し引かれたり、退職後にまとまった金額を自分で納付する必要が生じたりします。
本記事では、住民税がどのように課税されるのかという基本から、退職時期による支払い方法の違いや注意点まで解説します。
目次
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退職後の住民税はどう払う?
住民税は、退職したからといって免除されるものではなく、支払い方法も退職する時期やその後の働き方によって変わります。
仕組みを知らないまま退職すると、思わぬタイミングでまとまった請求が届き、家計を圧迫してしまう恐れもあるため注意しましょう。
住民税は「前年の年収」に対して後払いで課税される
住民税は、その年の収入ではなく、前年1月から12月までの所得に対して課税される後払いの税金です。税額は前年の所得をもとに決まり、支払いは翌年6月から翌々年5月まで続きます。
在職中は給与から天引きされるため意識しにくいですが、退職すると自分で納付する必要があります。退職しても住民税の支払い義務はなくならないことを理解し、事前に資金を準備しておくことが大切です。
【年収別】住民税はいくら来る?概算シミュレーション
退職後の生活資金を守るためには、住民税がどれくらいかかるのかを事前に把握しておくことが大切です。住民税は自治体や控除内容によって差がありますが、目安としては「課税所得の約10%+均等割約5,000円」で計算されます。
独身で扶養がない場合、年収300万円で年間約11〜12万円・400万円で約17〜18万円・500万円で約24〜25万円程度が想定されます。
退職後は普通徴収となり、年4回に分けて支払うため、1回あたりの負担が大きくなりやすいです。前年の住民税決定通知書で、年税額を確認しておくと安心です。
退職時期によって変わる住民税の納付方法
退職後の住民税は、誰もが同じように支払うわけではなく、退職する時期によって納付方法が変わります。
特に1月〜5月に退職するか、6月〜12月に退職するかで、最後の給与から一括で天引きされるのか、自分で分けて支払うのかが分かれるため注意が必要です。
1月~5月に退職する場合
1月から5月に退職する場合、その年の5月分までに支払う予定だった住民税の残額を、原則として最後の給与や退職金から一括で天引きされます。
たとえば3月退職であれば、3〜5月分の住民税がまとめて引かれるため、手取り額が大きく減る可能性があります。分割払いを希望しても、原則認められません。
ただし、給与や退職金で引ききれない場合は、残額を普通徴収として自分で納付できます。退職が決まったら、最終的に差し引かれる金額を事前に確認し、生活費に支障が出ないよう備えておくことが大切です。
6月~12月に退職する場合
6月から12月に退職する場合、退職月分までは給与から天引きされ、残りは原則として自分で支払う普通徴収に切り替わります。納付書が自宅に届くため、それぞれの納期限までに納付してください。
また、希望すれば残額を最後の給与から一括で支払うことも可能です。転職先が決まっている場合は、手続きを行うことで特別徴収を継続できます。
退職前に支払い方法を確認し、会社へ意思を伝えておくことが大切です。
【場合別】退職後の住民税の納付方法
退職後の住民税の支払い方は、退職後すぐに再就職するのか、しばらく無職の期間があるのか、あるいはフリーランスとして独立するのかといった状況によって異なります。
退職後すぐに再就職先が決まっている場合
退職後すぐに再就職する場合は、住民税の特別徴収を新しい会社で引き継ぐ方法がスムーズです。
手続きを行うと、退職による普通徴収への切り替えを避け、給与天引きを継続できます。また手続きには、退職する会社に申し出て必要書類を作成してもらう必要があります。
ただし、退職日と入社日の間に空白期間があると、一時的に普通徴収へ切り替わる場合があるため注意が必要です。その場合は納付書で支払い、天引き再開時期を確認しましょう。
退職後しばらくは再就職が決まっていない場合
再就職まで期間が空く場合、住民税は自分で支払う普通徴収に切り替わります。退職後や6月頃に自治体から納税通知書が届き、年4回に分けて納付します。
注意したいのは、無職でも住民税は前年の所得をもとに課税される点です。失業手当は非課税ですが、住民税は減りません。
支払いを怠ると延滞金や差し押さえのリスクもあるため、退職金や貯蓄から納税分を確保し、計画的に対応することが大切です。
退職後にフリーランスとして開業する場合
退職後にフリーランスとして開業する場合、住民税は給与天引きができないため、普通徴収で自分で支払います。
特に独立1年目は、収入が不安定ななかで会社員時代の年収を基準とした住民税が請求されるため、負担を重く感じやすい点に注意が必要です。住民税は事業経費にできないため、生活費として別途資金を確保しておく必要があります。
支払いが難しい場合は、滞納せず早めに自治体へ相談しましょう。また、国民健康保険料の負担も増えるため、青色申告の活用など将来を見据えた対策が重要です。
退職後にする住民税申告の手続き
退職後は住民税の支払いだけでなく、申告や各種手続きが必要になるケースがあります。
年内に再就職していない場合や確定申告が必要な状況では、手続きを忘れると税金が正しく計算されず、損をしてしまう可能性もあります。
そのため、以下で解説する内容から、必要なものや正しい手続きの流れを確認しておきましょう。
必要なもの
退職後の住民税に関する手続きで重要なのが、会社から発行される給与所得の源泉徴収票です。この書類には、退職した年の給与総額やすでに納めた税額が記載されており、翌年の住民税額の算定や確定申告、再就職先での年末調整に欠かせません。
通常は退職後1か月以内に郵送されますが、届かない場合は早めに会社へ依頼しましょう。確定申告を行う場合は、マイナンバー関連書類や各種控除証明書も併せて準備しておくと手続きがスムーズです。
手続きの流れ
退職後の住民税手続きは、「①退職時の対応」「②退職後の納付」「③翌年の申告」という流れで進みます。
まず退職時に、住民税の残額を一括で支払うか、普通徴収に切り替えるかを会社へ伝えます。普通徴収の場合は、自治体から届く納付書を使って期限内に納付してください。年内に再就職せず年末調整を受けていない場合は、翌年2月中旬から3月中旬に確定申告が必要です。
申告をしないと税金が正しく計算されず、還付を受け損ねる可能性があります。ふるさと納税をしている人も、必ず確定申告で手続きを行いましょう。
【注意】退職後の住民税を滞納するリスクと対処法
住民税の支払いが厳しいからといって、納付書や督促状を放置するのは危険です。滞納すると納期限の翌日から延滞金が発生し、放置すると負担は大きくなります。
さらに、市区町村には裁判所を通さずに預金や給与を差し押さえる権限があり、突然口座が使えなくなるケースもあります。収入減や失業で支払いが難しい場合は、無視せず納期限前に自治体の窓口へ相談しましょう。
まとめ
住民税は「前年の年収」に対して課税される後払いの税金のため、退職後も支払い義務はなくなりません。
退職時期によって納付方法や一括徴収の有無が変わり、再就職・無職・フリーランスなど状況によって注意点も異なります。
退職前に住民税額を把握し、支払い方法を確認しておくことで、退職後の資金不足やトラブルを防げます。不安がある場合は、早めに自治体へ相談し、計画的に対応しましょう。
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よくある質問
退職後の住民税はいつ支払いますか?
1月から5月に退職した場合は、5月分までの住民税残額が最後の給与から一括で天引きされ、その時点で支払いが完了します。
一方、6月から12月に退職して普通徴収を選んだ場合は、退職後しばらくして、または翌年6月頃に自治体から納付書が届きます。支払いは原則として年4回に分けて行い、各納期限までに納付しましょう。
詳しくは「住民税は「前年の年収」に対して後払いで課税される」をご覧ください。
退職した翌年の住民税が高いのはなぜですか?
退職した翌年の住民税が高く感じられるのは、住民税が「前年の所得」に対して課税される後払いの税金だからです。
現在の収入状況は関係なく、会社員として働いていた前年1年間の年収をもとに税額が決まります。そのため、退職して無収入でも高額な請求が届きます。
在職中は給与天引きで負担を実感しにくいですが、退職後は自分で納付するため金額が目立ちやすくなります。制度上の仕組みであり、基本的に減額はされないため、事前の資金準備が重要です。
退職する一番お得な時期はいつですか?
結論、どの時期に辞めても納める住民税の総額は変わりません。住民税は1年間の所得をもとに計算されるため、退職月によって税額は増減しないためです。
ただし、1〜5月退職は住民税が一括徴収されやすく、手取りが減る傾向があります。6〜12月退職であれば支払いを分散しやすく、手元資金を確保しやすいのが特徴です。
監修 涌井好文(わくい よしふみ) 社会保険労務士
涌井社会保険労務士事務所代表。平成26年より神奈川県で社会保険労務士として開業登録を行い、以後地域における企業の人事労務や給与計算のアドバイザーとして活動を行う。
退職時におけるトラブル相談や、転職時のアドバイスなど、労働者側からの相談にも対応し、労使双方が円滑に働ける環境作りに努めている。また、近時はインターネット上でも活発に活動しており、クラウドソーシングサイトやSNSを通した記事執筆や監修を中心に行う。
HP:涌井社会保険労務士事務所
