開業の基礎知識

薬局開業に必要な許可や手続きは?成功に向けたポイントも詳しく解説

薬局を開業するには、薬局開設許可申請や保険薬局の指定申請など、さまざまな手続きを進めなければなりません。

また、手続きと並行して物件取得・資金調達・備品・機器の導入など、開業後の薬局運営に向けた準備も必要です。

本記事では、薬局開業に必要な許可や開業までの流れ、開業時の注意点について解説します。

目次

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薬局の開業に必要な準備

薬局開業の前に把握しておくべき内容は以下の6つです。

独立自営とフランチャイズのどちらにするかを決めておく

独立自営とフランチャイズでは、開業の難易度や手続きの負担、収益の仕組みなどが異なるため、どちらで開業したいのかを決めておく必要があります。

独立自営は、開業に向けた準備と開業後の経営をすべて自力で行う方法です。物件取得や資金調達、開業許可に必要な手続きの申請など、開業に向けての準備をすべて自力で進めなければなりません。

負担は大きいものの、人件費やシステムの利用料金などの必要経費を除くと、収益はすべて自分のものになります。営業時間や定休日の設定も自ら決められるため、自由度の高い働き方や経営スタイルを実現できます。

一方、フランチャイズは、調剤薬局やドラッグストアをチェーン展開する企業とフランチャイズ契約を締結し、加盟店として薬局を開く方法です。売上または利益の一部をロイヤリティ(ブランド使用料)として支払う代わりに、ブランド名や屋号を借ります。

フランチャイズの仕組み


フランチャイズの場合はロイヤリティを支払えば、加盟先の流通や販売、システム、ノウハウ、経営資源を活用できるため、開業費用を安く抑えられます。加盟先の企業認知度やブランド力が高ければ、リピーターや新規顧客も早期に確保できるでしょう。

ただし、本部のマニュアルに沿った経営を求められるため、経営の自由度は制限されます。毎月のロイヤリティは売上額を問わず一定のため、売上が低迷すると大きな負担になりかねないのも難点です。

薬局とドラッグストアの違いを理解しておく

薬局とドラッグストアは、扱える医薬品の数や許可の種類、薬剤師の有無など、さまざまな点が異なるため、開業前に違いを理解しておくことが重要です。

薬局とドラッグストアの大きな違いは、薬剤師の有無です。薬局は病院からの処方箋に基づき、薬剤師が調剤や服薬指導などを実施します。調剤を行うには調剤室が必要となるため、薬局開業時には調剤室を設置しなければなりません。

一方、ドラッグストアの場合は、登録販売者を店舗管理者に配置すれば、一般用医薬品の販売が可能です。ドラッグストアでは化粧品や日用品も扱うため、店舗によっては薬剤師が不在のケースも珍しくありません。

ただし、近年は医薬品の分業化と院外処方に対応するため、ドラッグストアの店舗内に薬局を構え、薬剤師が常駐する店舗も増加傾向にあります。

薬局とドラッグストアの違い

健康保険や国民年金の加入手続きを済ませる

薬局の開業前に、国民健康保険への切り替えや国民年金への加入手続きを済ませておく必要があります。

前職で加入していた健康保険組合や厚生年金などの社会保険は、薬局や病院、企業に雇用されていた人が対象です。

薬局を開業する際は自身で薬局を経営していくため、雇用関係とはみなされません。法人化の有無や従業員の数を問わず、国民健康保険と国民年金への加入手続きが必要です。

加入手続きは、お住まいの市役所や区役所で行い、身分証明書や健康保険資格喪失証明書、年金手帳などの提出が求められます。

開業と運転資金を調達する

薬局開業に必要な資金は、1,500万〜2,000万円が相場です。

薬局の開業準備を進めるには、店舗やレジ、レセコン(診療報酬明細書を自動作成する機器)など、多くの備品や設備を購入しなければならず、多額の開業資金が必要です。

開業資金に加えて、数ヶ月分の運転資金や生活費の確保も重要。開業前に力を入れて宣伝に取り組んでいても、想定どおりに集客できるとは限らないので、十分な生活費を備えておけると安心です。

また、薬局開業後も家賃や人件費、医薬品の仕入れ代など、毎月一定の固定費が発生します。

調剤報酬が振り込まれるまでは時間がかかり、開業直後は売上が不安定になる傾向が強いため、可能な限り多くの開業資金と運転資金を確保しておく必要があります。

薬局運営に必要な設備や備品をそろえておく

薬局運営には、厚生労働省の薬局等構造設備規則で定められた設備・備品を揃えなければなりません。

具体的には以下の設備・備品が必要です。

  • 50cc未満または以上の液量器
  • 100度まで計測可能な温度計
  • 水浴
  • 調剤台
  • 軟膏板
  • 乳鉢(散剤用のもの)及び乳棒
  • 感量10mg、感量100mgに対応可能なはかり
  • ビーカー
  • ふるい器
  • 金属製または角製のへら
  • メスピペット
  • メスフラスコまたはメスシリンダー
  • 金属製または角製又の薬匙
  • ロート
  • 調剤に必要な書籍(磁気ディスクで調製するものも可能)

出典:厚生労働省「薬局における調剤に必要な設備及び器具」

上記の消耗品はECサイトからの購入がおすすめです。サイト上で必要な情報を入力して承認されれば、すぐに必要な品物を発注できます。企業のオフィスに訪問し、商談や契約締結などを行う必要はありません。

24時間365日好きなタイミングで注文を受け付けているため、薬局業務の隙間を縫って必要な消耗品を調達できます。

また、上記に加えて、薬棚や分包機、レセコンなどの導入も必要です。薬局の開業前に購入が必要な備品・設備をリストアップしておきましょう。

購入が必要なものを明確化しておくと、必要な備品・設備の調達漏れを防げるだけでなく、開業資金の把握や節約にも役立ちます。

ただし、すべての設備や備品を新品で購入すると、多額の開業資金が必要になるため、リース契約や中古品を活用して開業資金を削減しましょう。

物件や内装工事の依頼先を決めておく

薬局の開業前に、どの地域で開業するか、患者の獲得は見込めるかなど、さまざまな点を考慮して物件を決めておく必要があります。

短期間で自身の条件に合致する物件を見つけられるとは限らないため、早めに準備を進めましょう。

また、物件が決まった後は、店舗内の内装工事を工事業者に依頼します。壁紙の張替えや床の塗装など、比較的簡単な作業は自身で対応すると、内装工事費を削減できます。

ただし、給排水設備や電気、空調設備工事などの設備工事には、専門的な知識や実務経験が必要です。薬局の内装工事を得意とする工事業者を見つけられると、自身のイメージに合った仕上がりとなる確率が高まります。

薬局開業に必要な許可と申請手続き

薬局開業には、薬局開設許可申請と保険薬局の指定申請が必要です。加えて取り扱う薬剤の種類によって、必要な手続きが異なります。

薬局開設許可申請

薬局開設許可申請とは、薬局開業に必要な要件を満たしていることを証明する手続きです。許可申請手続きは、以下の書類を保健所へ提出する必要があります。

  • 薬局の平面図
  • 業務体制概要書
  • 薬剤師または登録販売者一覧表
  • 事業内容書
  • 登記事項証明書
  • 役員の業務分掌表
  • 管理者の雇用証明書
  • 薬剤師や販売従事者の雇用証明書
  • 薬剤師免許の原本
  • 販売従事者登録証の原本
  • 水質検査結果原本

平面図は薬局全体や調剤室、医薬品保管庫の面積など、記載内容やルールが定められているため注意しましょう。内装工事を依頼する工事業者に、平面図の作成を依頼すると安心です。

また、都道府県によっても設備要件が定められていることがあるため、開業する自治体の設備要件を事前に確認しておきましょう。

保険薬局の指定申請

保険薬局指定申請とは、薬剤師が保険を適用した調剤を行うために必要な申請手続きです。管轄の厚生局へ、以下のような書類の提出が必要です。

  • 薬局開設許可証
  • 保険薬剤師の免許証
  • 保険医登録票もしくは保険薬剤師登録票
  • 土地建物登記簿謄本または賃貸借契約書のコピー
  • 法人登記簿謄本のコピー
  • 店舗の平面図と敷地配置図
  • 近隣の医療機関の位置が記された周辺図

出典:厚生労働省近畿厚生局「【添付書類等】保険薬局指定申請書関係」

保険薬局の指定申請手続きは、薬局を開業予定の前月上旬には済ませておく必要があります。地方厚生局からの指定は、毎月1日に設定されているケースが多いためです。

ただし、申請手続きを終えておくべきタイミングは地域によって異なる可能性があるので、出店地域の提出終了時期を必ず確認しておきましょう。

そのほかに必要な申請

薬局で取り扱う薬剤の種類によっては、そのほかの申請も必要になります。たとえば、以下のようなケースが挙げられます。

【医師の処方箋がなく、薬剤師の判断で薬局製剤を販売する場合】


  • 薬局製剤製造販売業の許可申請
  • 薬局製剤製造業の許可申請
  • 薬局製剤製造販売承認の許可申請


【睡眠剤や抗うつ薬などの向精神薬を扱う場合】


  • 向精神薬小売業者の許可申請
  • 麻薬小売業者の許可申請(向精神薬の種類による)

薬局開業まで手順

薬局開業までは主に以下の段階で進めていきます。

1. 開業地域と物件を決める

条件に合致した物件がすぐに見つかるとは限らないため、開業予定の1年前を目安に物件探しを始めるとよいでしょう。

物件を探す際は、競合店の数や病院の評判など、開業後に安定した収益が見込めるかも含めて調査します。

すでに多くの薬局があったり、病院が少なかったりすると、早期の黒字化が難しいため、周辺環境は詳しく調査しましょう。

2. 開業資金の調達を進める

内装工事や設備導入には多額の資金が必要になるため、資金確保を進めておかなければなりません。ただし、薬局開業資金のすべてを自力でまかなうのは困難です。

日本政策金融公庫や信用保証協会など、開業関連の支援や融資制度が充実している組織に相談しましょう。

3. 専門家に相談してから内装工事を進める

薬局の出店場所が決まったら、内装工事の前に保健所で店内のレイアウトに関する相談をしておきましょう。

作業場所や通路幅のスペースが十分確保されていないと、薬剤師が調剤や監査などの作業がしにくくなります。

作業効率が低下しないよう、調剤台や分包機、薬品庫など、作業で使用する機器や備品の導線も意識してレイアウトを決めなければなりません。

意図と異なるレイアウトに仕上がる可能性があるため、内装業者にレイアウトを丸投げするのではなく、自身の意見・意図を伝えるようにしましょう。

レイアウトが決まり次第、工事業者や看板業者の選定に移ります。工事業者が決まったら、レセコンや調剤機器などの購入先選定も進めましょう。

4. 設備や備品を導入する

スムーズに開業できるよう、通常業務の運営に必要な設備や備品の導入作業を進めます。

調剤台や分包機、レセコンなどは、不具合対応やメンテナンスを行う必要もあるため、サポート体制が万全な企業から調達しましょう。

仕入れ先を探す方法としては、展示会への参加やメーカーとの直接交渉、卸業者への相談など、さまざまな選択肢が挙げられます。

独立前に、勤務先の薬局やドラッグストアに出入りしている企業の担当者と接触して、独立後に仕入れの相談を持ちかけるのも、ひとつの方法です。

5. 保健所に薬局開設許可申請書を提出する

平面図や事業内容書などの書類とともに、管轄の保健所へ薬局開設許可申請書を提出します。

手続きが遅れる原因となるため、書類の提出漏れや記載ミスがないか、事前にしっかり確認しておきましょう。

6. 保健所の検査を受ける

保健所の検査は薬機法に義務付けられており、保健所から許可が得られない限り、薬局を開業できません。

検査では薬局店舗の広さや照明の明るさが十分か、衛生環境は清潔かなど、開業予定の店舗が薬局開業に求められる要件を満たしているか、チェックされます。

一度の検査で開業許可を得るためにも、薬局業務に必要な機器や備品の搬入、内装工事は、保健所の検査を受ける前にすべて済ませておかなければなりません。

出典:厚生労働省 「「薬局開設者及び医薬品の販売業者の法令遵守に関するガイドライン」 について 」

7. 厚生局に保険薬局指定申請書を提出する

保険が適用された調剤を行うため、薬局開設許可証や保険薬剤師の免許証などの添付書類と一緒に、保険薬局指定申請書を管轄の厚生局に提出します。

申請書のフォーマットは、各地域の厚生局が運営するサイトから入手できます。

8. 厚生局からの審査会を受ける

厚生局が指定する調剤薬局として認められるためには、審査が必要です。

審査は毎月20〜25日に行われるケースが多く、審査会を通過すると、翌月1日から薬局の運営を始められます。

9. 薬局をオープンする

厚生局から保険指定を受けたら、調剤薬局の看板を掲げて薬局の運営を開始できます。

薬局開業に向けては、これまでの手続き以外にも、仕入れ先の確保や事業計画書の作成、薬剤師の採用など、さまざまな作業が発生するため、開業前から少しずつ準備を重ねましょう。

薬局を開業する際の注意点

薬局を開業する際には、開業資金の確保や薬剤師の採用など、準備しておかなければならない項目がいくつかあります。

開業計画が頓挫しないように、あらかじめ以下3点を踏まえたうえで、薬局開業の準備を進めましょう。

開業資金は1,500万~3,000万円ほど必要になる

薬局の開業資金は1,500万〜2,000万円ほどが相場です。

店舗の立地条件や広さ、必要な設備数などによっては、3,000万円近くの開業資金が必要になるケースもあります。

開業資金の内訳は、以下のとおりです。

費用(目安)主な項目
設備資金約560万~1,230万円・敷金と礼金
・内装工事費
・備品や機器購入費
開業資金約550万~1,450万円・法人登記費用
・医薬品の初期在庫購入費
・採用費
運転資金約290万~520万円・仕入費
・家賃
・人件費

自力で最大3,000万円規模の開業資金を用意するのは、非常にハードルが高いといえます。資金確保の負担を減らすため、M&Aや居抜き物件の取得、リース契約の活用などを行い、開業資金の削減に努めましょう。

たとえば、利益が低下している薬局や後継者を探している薬局から店舗を譲渡されれば、薬局を一から作る必要はありません。大規模な内装工事や設備導入を行う必要がなくなり、最大で数百万円規模のコスト削減が見込めます。

ほかの薬局やドラッグストアとの競争率が激しい

競合の薬局やドラッグストアの店舗数が多く、どの地域に出店するべきか、どのような方法で顧客を獲得するか、マーケティング戦略を事前に考えておきましょう。

他店舗との違いを印象付けられないのであれば、早期の黒字化は難しいでしょう。競合店との違いを印象付けるのが難しいなら、人口に対して薬局店舗数が少ない地域へ出店するのも、ひとつの方法です。

また、首都圏は居住人口が多いため、競合との競争率は高いものの、競合との違いを明確に示せれば、多くの収益を得られる確率が高まります。

薬局の場合は最低1人管理薬剤師が必要になる

薬機法に基づき、管理薬剤師を最低でも1人配置する必要があります。管理薬剤師とは、医薬品の品質管理や在庫管理、従業員の指導などを担当する薬局の管理・運営の責任者です。

管理薬剤師の役割は、薬剤師が働きやすい職場環境の整備や、患者への安全な医療サービスを提供することです。

ただし、管理薬剤師は誰にでも務まるわけではなく、以下の要件を満たす必要があります。

  • 薬局での実務経験が5年以上
  • 認定薬剤師の資格取得者

また、上記に加えて特定の店舗や施設で一定の時間、勤務しなければなりません。労働時間に関して法的な規制はないものの、1日8時間勤務がひとつの目安となり、副業や兼業は原則的に禁止されています。

薬局開業を成功させるためのポイント

薬局開業を成功させるには、どのような方法で顧客や収益を獲得するか、開業資金をどのように調達するか、考えておくことが重要です。

早期にリピーターを獲得できれば安定した収益確保が期待でき、多額の資金を調達できれば、金銭的な不安が軽減されます。

物件や周辺地域の情報収集を入念に行う

薬局開業後の収益と金融機関での融資審査率に大きく影響するため、物件や周辺地域の情報収集は念入りに行いましょう。

すでに薬局が多数集まる地域に出店しても、早期の黒字化は難しく、事業の実現性が疑問視されて融資の審査率も低下します。

薬局開業の出店場所を決める際は、以下に関する情報が必要です。

  • 薬局の出店数や立地条件
  • 薬局が取り扱っている薬の傾向
  • 地域に住む人の年齢層や家族構成
  • 病院やクリニックの診療科目
  • 病院やクリニックの評判
  • 病院やクリニックに在籍する医師の数

医療機関の診察科目や競合が取り扱っている薬の傾向などから、どのような薬品や医療サービスが求められているか把握します。

地域のニーズを反映した薬品や医療サービスを提供できると、継続的な利用が望めるでしょう。

処方箋を集める

薬局開業後に安定した収益を確保するには、処方箋を多く集めることが重要です。調剤薬局の収益のうち、94%以上が保険調剤による調剤報酬だといわれています。

処方箋を増やす方法には、既存顧客のリピート率向上と新規顧客の獲得の大きく2つです。たとえば、既存顧客のリピート率向上を選んだとしましょう。

既存顧客に医薬品を提供する際、薬剤師が患者から薬の副作用や健康管理の相談を受けるなど、きめ細かいサービスを徹底します。

患者の心情に寄り添った丁寧な対応によって安心感を与えられ、継続的な利用が望めるでしょう。

出典:中央社会保険医療協議会「第24回医療経済実態調査」

オンライン服薬指導を導入する

薬局へ足を運ぶのが難しい人にも気軽に利用してもらえるよう、オンライン服薬指導の導入を検討しましょう。

オンライン服薬指導とは、PCやスマートフォンを利用して薬の飲み方や効能、副作用の有無などを説明するサービスです。

外出が難しい人であっても相談しやすい環境を整えられ、リピート率の向上や新規顧客獲得が期待できます。オンライン服薬指導を導入した際の流れは以下のとおりです。

  1. 患者が医療機関を受診し、オンライン服薬指導の希望を伝える
  2. オンライン服薬指導の予約と処方箋を提出してもらう
  3. 薬剤師がビデオ通話で服薬指導を行う
  4. 料金を支払って薬を受け取る

オンライン服薬指導の実施にはWebサイトやLINE、アプリを使用し、患者からの予約を受け付けられる環境を整えておかなければなりません。

また、患者とのトラブルを避けるため、通常料金に加えて薬の配送料やシステムの利用料が上乗せされる点を事前に説明しておく必要もあります。

患者と医療施設へ積極的に情報を発信する

開業後から多くの人に薬局を利用してもらうには、積極的な情報発信が必要です。薬局の存在を地域の人に認知してもらえない限り、安定した集客は望めないでしょう。

チラシやSNS、ホームページで、新たな薬品の取り扱いやイベント開催に関する情報を発信し、店舗の認知度向上に努めます。競合店との違いやサービスの充実性をアピールできると、新規顧客の獲得率が高まるでしょう。

また、近隣の病院やクリニック、介護施設へ定期的に訪問することも必要です。自店舗で扱う薬の種類や薬局の強みなどをリーフレットにまとめて説明し、患者向けにリーフレットを置いてもらえないか提案しましょう。

調剤報酬点数の加算を漏れなく算定する

開業に黒字化を早期に達成するうえで、調剤報酬点数の加算を確実に計上することも重要なポイントです。

たとえば、マイナ保険証や電子カルテ情報共有サービスなどの利用率が高いと、医療DXを推進していると評価され、調剤報酬点数が加算されます。

調剤報酬点数を効率的に加算するには、診療報酬改定の内容を把握したうえで、開業後に自店舗で取り組みやすい内容を判断することが重要です。

出典:厚生労働省「令和6年度診療報酬改定の概要【調剤】」

資金調達の方法を考えておく

薬局開業の準備と並行して、資金調達の方法も考えておきましょう。

2,000万円前後の開業資金を自力で確保するのはハードルが高いため、金融機関からの融資や補助金などを利用して、開業資金を確保しておく必要があります。

薬局開業の際に利用できる資金調達の方法には、主に以下の選択肢が挙げられます。

  • 日本政策金融公庫の新規開業・スタートアップ支援資
  • 信用保証協会の創業支援制度
  • IT導入補助金
  • ものづくり補助金
  • 人材確保等支援助成金
  • ノンバンクの利用

また、銀行や信用金庫へ融資を相談するのは、薬局開業後に事業実績を積んだ後にしましょう。銀行や信用金庫が独自の審査基準に基づき審査を下すプロパー融資では、事業実績や財務状況、キャッシュフローの健全性を重視します。

薬局の開業直後ではいずれの証明も難しく、融資を認められる確率は非常に低いといえるためです。

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まとめ

薬局開業には、薬局開設許可申請や保険薬局の指定申請などの手続きが必要です。並行して物件取得や内装工事、設備導入などの準備も進めなければなりません。

薬局開業には多額の開業資金が必要ですが、開業資金を自力ですべてまかなうのは難しく、金融機関からの資金調達が不可欠です。ただし、どのような方法で資金調達すべきか、わからない人もいるでしょう。

freee創業融資サポート』を利用すると、金融機関や融資コンサルティング会社の出身者がヒアリング内容に基づき、最適な融資制度を提案します。

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よくある質問

薬局開業にはどのくらいの資金が必要ですか?

1,500万〜2,000万円ほどが相場で、場合によっては3,000万円近く必要になるケースもあります。

薬局を開業する際に必要な資格はありますか?

薬局では薬機法に基づき管理薬剤師の配置が求められており、管理薬剤師になるには認定薬剤師の資格取得が必要です。

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Step1:準備編

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準備編では事業の基本情報を入力します。迷いやすい職業欄も多彩な選択肢のなかから選ぶだけ。


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事業の開始年月日、想定月収、仕事をする場所を記入します。
想定月収を記入すると青色申告、白色申告のどちらが、いくらお得かも自動で計算されます。

Step2:作成編

次に、作成編です。


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申請者の情報を入力します。
名前、住所、電話番号、生年月日を記入しましょう。


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給与を支払う人がいる場合は、上記のように入力をします。
今回は準備編で「家族」を選択しましたので、妻を例に記入を行いました。


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さらに、見込み納税金額のシミュレーションも可能。
※なお、売上の3割を経費とした場合の見込み額を表示しています。経費額やその他の控除によって実際の納税額は変化します。

今回は、青色申告65万円控除が一番おすすめの結果となりました。

Step3:提出編

最後のステップでは、開業に必要な書類をすべてプリントアウトし、税務署に提出します。


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入力した住所をもとに、提出候補の地区がプルダウンで出てきます。地区を選ぶと、提出先の税務署が表示されますので、そちらに開業届けを提出しましょう。


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届け出に関する説明とそれぞれの控えを含め、11枚のPDFが出来上がりました。印刷し、必要箇所に押印とマイナンバー(個人番号)の記載をしましょう。

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