青色申告の基礎知識

【個人事業主向け】知っておきたい節税のための基礎知識

最終更新日:2021/03/25

【個人事業主向け】知っておきたい節税のための基礎知識

個人事業主として確定申告をする際、税金の高さにため息が…なんてことはありませんか?

事業を営んでいると、「売上アップ」「経費削減」などに目が行きがちですが、「経費を見落とさずすべて計上する」「青色申告などの控除を活用する」ということにも意識を向けてみましょう。

ポイントを押さえることで、所得税や住民税を節税し、手元に残る資金を増やすことができるかもしれません。ここでは、個人事業主が知っておきたい節税のための基礎知識をご紹介します。

確定申告の期間延長について

確定申告は通常3月15日が期限ですが、2021年3月提出分(令和2年分)の確定申告期間は、新型コロナウイルスの影響により4月15日に延長されました。

併せて、贈与税及び個人事業者の消費税の申告・納付期限も4月15日に延長されます。

詳細は以下のサイトからご確認ください。

参考:
国税庁「令和二年分 確定申告特集」
国税庁「申告・納付期限を令和3年4月15日(木)まで延長します(報道発表資料)」

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目次

個人事業主が納める主な税金

勤務先から給与の支給を受ける会社員の場合、税金は源泉徴収として給与から天引きされることが一般的です。しかし、個人事業主の場合は確定申告を行い、自分ですべての税金を納める必要があります。 中でも、個人事業主が納めるべき主な税金には、下記のような種類があります。

所得税および復興特別所得税

所得税は、年間の所得に対して課せられる税金で、一定以上の所得があるすべての人が納める国税です。税額は、確定申告で所得額を申告することによって決まります。なお、2013~2037年までは、所得税と合わせて復興特別所得税を申告・納付します。

住民税

住民税は、地方自治体に対して納める地方税で、前年の所得に対して課せられます。税額は、確定申告の内容にもとづいて各自治体が算出し、個人に通知されます。

個人事業税

個人事業税は地方税のひとつで、一定以上の事業所得がある場合に課せられます。対象者には、都道府県税事務所から納税通知書が届きます(確定申告を行っている場合、個人事業税の申告を別途する必要はありません)。

消費税

消費税は、前々年の売上、あるいは前年の1~6月の売上が1,000万円を超えた場合に納めます。 例えば、2020年に初めて年間売上が1,000万円を超えた事業者の場合、2022年に「課税事業者」となり、消費税の納税義務が発生します。なお、消費税は所得税と同様、税額を自分で計算して申告・納税します。

償却資産税

償却資産税は、税額計算の基礎となる金額を表す課税標準額が150万円以上の償却資産(土木建設車両、厨房設備機器など)を保有している事業者が納める税金です。

個人事業主の節税の仕組みと考え方

個人事業主の納税額は、どのように算出されるのでしょうか。その仕組みと、節税の考え方は下記のとおりです。

節税には所得税を減らす対策をする

所得税は、1年間に稼いだ所得に応じて決定しますが、日本は「累進課税制度」が採用されているため、所得が多いほど税率も高くなる仕組みとなっています。そのため、税金が課税される「課税所得額」を低く抑えることができれば、その分、税負担を軽くすることができます。

なお、住民税の税率は一律ですが、所得や控除の金額によって異なるため、いずれにしても課税所得額を減らすことが、節税につながるといえるのです。

納税額は確定申告によって決まる

個人事業主の所得税や住民税などの税額を決定するためには、確定申告を行う必要があります。

その年の1月1日~12月31日までの1年間の所得を、翌年2月16日から3月15日(納期限が土日、祝日の場合は翌日)までのあいだに確定申告を行い、それに応じた所得税を納付しましょう。その後、確定申告の内容は地方自治体などに共有され、住民税や個人事業税が算出されます。

※2020年(令和2年)分の提出期限は、新型コロナウイルスの影響により、4月15日(木)に延長となりました。

  

納税額の計算方法

個人事業主の場合、収入から必要経費を差し引くことで「所得金額」を算出できます。課税所得額を求めるには、そこから「各種控除」を差し引きます。そのため、経費や控除の金額を大きくすることで、売上が変わらなくても、課税される所得の額を減らすことができるのです。

経費や各種控除を増やすための具体的な方法については後述しますが、日本の所得税は「申告納税制度」となっているため、経費や控除は自分で申告しなければ差し引かれることがありません。税金に関する制度を正しく理解し、申告漏れをなくすことが節税につながるでしょう。

<課税所得の計算方法>
所得金額=収入金額-必要経費

<所得税の計算方法>
課税所得金額=所得金額-各種控除
所得税=課税所得金額×税率-税額控除

<住民税の計算方法>
住民税=課税所得金額×税率-調整控除-税額控除+均等割額

個人事業主の節税に役立つ「青色申告」とは?

個人事業主は、確定申告の際に事業所得とかかった経費を申告します。申告方法は「青色申告」か、俗にいう「白色申告」のどちらかを選ぶことができます。

白色申告は、収入金額や所得の内容にかかわらず、誰でも行えるものです。しかし、青色申告は、すべての方が行えるわけではありません。開業届を出している事業者で、事業所得、不動産所得、山林所得のある方が対象です。これまで白色申告だった方は、青色申告に変更することで、青色申告特別控除を受けることができたり、経費と認められる支出部分が増えたりするため、課税所得を減らすことが可能になります。

申告方法を青色申告に変更するには、納税地の税務署に「所得税の青色申告承認申請書」を提出する必要があります。提出期限は、変更したい年の確定申告期限日と同日です。

また、1月16日以降に新たに開業した場合は、3月15日を過ぎていても、開業から2ヵ月以内に申請すればその年から青色申告で申告を行うことができます。
所得税の青色申告承認承諾書
引用元:国税庁|所得税の青色申告承認申請書

青色申告は節税への第一歩

青色申告は白色申告と比べて、下記のような節税メリットが得られます。それぞれについて、解説していきましょう。

<青色申告のメリット>

  • 青色申告特別控除(10万~65万円の所得控除を利用できるため、節税につながる)
  • 青色事業専従者給与(事業を手伝っている家族などに支払った給与を経費にできる)
  • 純損失の繰り越し・繰り戻し(事業が赤字になった場合に繰り越しや繰り戻しをして節税できる)
  • 少額減価償却資産の特例(30万円未満の固定資産を一度に経費にできる)
  • 貸倒引当金(売掛金や貸付金の一部を、貸し倒れによる損失見込額として経費にすることができる)

青色申告特別控除が受けられる

青色申告を行うことで、「青色申告特別控除」を利用することができます。青色申告特別控除には、10万円控除と55万円控除があり、どちらに該当するのかは記帳方法などによって決まります。

<55万円控除の条件>
・正規の簿記の原則にもとづいた記帳(複式簿記)
・損益計算書と貸借対照表の作成と提出
・法定申告期限内に申告を行う

<10万円控除の条件>
・青色申告を行う事業者のうち、55万円控除の条件にあてはまらない人(複式簿記による記帳をしていない事業者など)

55万円の控除を利用するためには、複式簿記による記帳が必要です。これには、一定の手間がかかります。しかし、会計ソフトなどを活用することで、経理の知識がなくても帳簿や必要書類を自分で作成することが可能です。せっかく青色申告をするのであれば、55万円の控除を目指してみてはいかがでしょうか。

なお、2019年まで、青色申告特別控除額は65万円でしたが、税制改正により2020年度から55万円となりました。同時に「基礎控除」の額が10万円増額されているため、差し引きの控除額は変わりません。

不動産所得または事業所得のある事業者で、e-Taxを用いて申告を行う、または、仕訳帳や総勘定元帳について電子帳簿保存を行っている場合であれば、引き続き65万円の控除を受けることができます。より節税効果を得るためにも、e-Taxや電子帳簿での申告を検討しましょう。   

青色事業専従者給与の特例を受けられる

青色事業専従者給与の特例は、生計を一にする配偶者や15歳以上の親族に対して支払った給与が、専従者の労務の対価として適正だと認められれば、必要経費として計上できるというものです。ただし、専従者となる人を、控除対象配偶者や扶養親族にすることはできません。

この特例を受けるには、事業専従者を雇用してから2ヵ月以内に「青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書」を税務署に提出する必要があります。

青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書
引用元:国税庁|青色事業専従者給与に関する届出・変更届出書

純損失の繰り越しと繰り戻しができる

青色申告の場合、事業で損失が出た際に、最長3年間、赤字を繰り越すことができます。赤字を繰り越して翌年の利益と相殺すれば、その分の所得額を減らして節税することが可能です。また、損失額を赤字が生じた年の前年に繰り戻し、前年分の所得税の還付を受けることもできます。

仮に、昨年の損失が100万円、今年の利益(所得)が200万円だった場合、損失分を繰り越して差し引くと、今年の所得は100万円となります。ここから、青色申告特別控除55万円と基礎控除48万円を差し引けば、課税所得額は0円となり、所得税は課税されなくなるのです。

30万円未満の物を一括で経費にできる

事業のために購入した物品の代金は、経費として計上できますが、購入代金が10万円以上の物は、原則、減価償却をする必要があり、一括で経費計上することができません。

しかし、青色申告をしている場合、「中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例(少額減価償却資産の特例)」という制度を利用できます。これは、30万円未満の物であれば、合計300万円までその年の経費として一括計上できるという制度です。

この特例の適用期間は、2020年の税制改正により、2022年3月31日まで延長されました。

貸倒引当金を計上できる

将来発生するかもしれない未回収の売掛金や貸付金について、貸し倒れになりそうだと思われる金額を貸倒引当金として経費に計上することができます。

ただし、貸倒引当金を必要経費として計上することで節税効果はあるものの、翌年には該当金額を収入として計上する必要があるため、その効果は1年目に限られるという点に注意しましょう。

経費計上で所得税を節税するためのポイント

所得税は、所得が高くなるほど税率が高くなりますので、経費を漏れなく計上し、所得額を低く抑えることで節税につながります。続いては、知っておきたい節税対策について解説します。

必要経費として認められる勘定科目を知っておく

事業で売上を上げるために必要な支出である、必要経費。しかし、どんなものでも経費として計上できるというわけではありません。

必要経費として認められるものは、下記のとおりです。

<必要経費として認められる勘定科目>

  • 租税公課(経費になる税金)…事業税、固定資産税、消費税、自動車税等
  • 荷造運賃…商品発送に関する消耗品、運送料等
  • 水道光熱費…水道、電気、ガス等
  • 旅費交通費…電車やバス移動の費用等
  • 通信費…電話代、インターネット料金、切手代等
  • 広告宣伝費…宣伝のためにかかる費用等
  • 接待交際費…取引先との飲食代、慶弔見舞金等
  • 損害保険料…事務所の地震や火災保険、自動車保険料等
  • 修繕費…事務所や店舗、自動車といった修理代等
  • 消耗品費…文房具類、パソコン等の10万円未満の品
  • 減価償却費…事業用の建物や機械装置等の減価償却資産
  • 福利厚生費…従業員の健康保険等
  • 給料賃金…従業員の給料や賞与等
  • 外注工賃…修理や加工等外部に支払った加工賃等
  • 利子割引料…借入金の利息等
  • 地代家賃…事業用の土地や店舗について支払う賃借料等
  • 貸倒金…取引先から回収不能となった売掛金や受取手形等の費用
  • 雑費…上記にあてはまらない費用
  • 専従者給与…青色事業専従者の給料や賞与
  • 貸倒引当金…売掛金や貸付金の貸し倒れによる損失に備えた見積金額

事業主の人間ドック代や社会保険料、趣味の書籍代、出張先にて自分だけで食べた飲食代などは経費にすることができません。経費になるものとならないものを見極めて、正確な申告を行いましょう。

自宅で仕事をしている場合は、家賃や光熱費の一部を計上する

個人事業主の場合、自宅の一室を事務所として使用している方もいるでしょう。このような場合は、家賃を地代家賃として計上することができます。

ただし、全額を経費にすることはできません。事務所と住居部分の面積や使用頻度に応じた割合で分ける「按分(家事按分)」を行い、該当の金額のみ計上します。なお、賃貸借契約の契約者が、自分以外の家族であっても問題ありません。

例えば、家賃12万円、3LDKの部屋の1室を事務所として利用している場合、およそ4分の1程度の面積を使用しているのであれば、3万円を経費として計上できます。この割合は事業主自身で決定し、申告を行います。ただし、実情とかけ離れた割合での申告は認められません。

<賃貸住宅の場合、経費として計上できる費用>

  • 家賃、共益費…経費になる/勘定科目…地代家賃
  • 礼金…経費になる/勘定科目…繰延資産(20万円以下は一括経費、20万円以上は減価償却の対象となる)
  • 仲介手数料…経費になる/勘定科目…支払手数料
  • 敷金…経費にならない/勘定科目…敷金

一方、持ち家で仕事をしている場合、住宅ローンの支払額は経費にすることができません(支払い利子は経費計上が可能)。住宅の購入価格を減価償却して計上していくことになります。この場合も、実態にもとづいた按分が必要です。

また、光熱費や水道費、通信費についても、プライベートと仕事で使う比率を事実にもとづいて事業主が決定し、按分計算を行います。この比率は、一度決めた後で頻繁に変えることはできません。原則として、毎月同じ比率で計算を行います。

領収証やレシートをもらうことを忘れない

事業のための支出を経費として認めてもらうためには、「確かにその金額を支払った」という証明書類が必要です。事業に必要な物品を購入した際には、必ず領収証やレシートを受け取り、紛失しないように保管しておきましょう。

なお、通帳からの引き落としの場合は、通帳の記載内容や口座振替のお知らせなどが証明書の代わりとなります。また、クレジットカード払いをしたときは、明細書を保管しておきましょう。事業専用の口座やクレジットカードを持っておくと、管理が容易です。

所得控除の活用による所得税の節税ポイント

年間の所得金額から一定額を差し引くことができる所得控除。所得控除にはさまざまな種類があり、条件に合った控除を申請することで、税の負担を軽減することが可能です。

続いては、個人事業主が活用しやすい節税対策の一部をご紹介しましょう。

小規模企業共済に加入する

小規模企業共済は、個人事業主や小規模企業の経営者などのための退職金制度です。掛金を毎月積み立てていくことで、廃業時などに共済金を受け取ることができます。

掛金は任意で設定でき、増額や減額も可能です。また、手元資金が不足した際には、低利で融資が受けられます。なお、年間の掛金の全額を「小規模企業共済等掛金控除」として申告できます。これは、経費ではなく所得控除に該当するため、申告は青色申告決算書ではなく、確定申告書上で行います。

また、共済金は、一時金あるいは年金として受け取ることが可能です。一時金として受け取る場合は「退職所得控除」、年金として受け取る場合は「公的年金等控除」となります。

参考:国税庁|小規模企業共済等掛金控除

経営セーフティ共済に加入する

経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済制度)は、取引先の倒産などに備えるための共済制度です。掛金の全額を、事業の経費として計上することができます。確定申告の際には、「中小企業倒産防止共済掛金の必要経費算入に関する明細書」を作成して添付する必要があります。

経営セーフティ共済に加入することで、万一の際、無担保、無保証人でそれまでに納付した掛金の10倍(上限8,000万円)までの融資を受けることが可能です。また、解約時には、解約手当金が受け取れるというメリットもあります。

参考:経営セーフティ共済|経営セーフティ共済(中小機構)

個人型確定拠出年金(iDeCo)に加入する

個人型確定拠出年金(iDeCo)は、掛金の全額を所得控除として申告でき、運用益も非課税です。個人事業主の場合は、最高で月に6万8,000円(国民年金基金にも加入している場合は、合計6万8,000円)まで掛金を拠出することができます。

iDeCoの拠出金も、小規模企業共済と同様に、確定申告で申告します。また、受け取りには一時金か年金かを選択でき、「退職所得控除」あるいは「公的年金等控除」の対象になるという点も小規模企業共済と同様です。

なお、小規模企業共済との違いはいくつかあり、運用方針を自分で決められる、利用に手数料がかかる、原則として解約ができないという点が挙げられます。

ふるさと納税を活用する

ふるさと納税は、応援したい地方自治体に寄附を行うことで、住民税と所得税の控除が受けられる制度です。ふるさと納税で寄附をした年間合計額から2,000円を差し引いた額が、翌年納める住民税、そして所得税から還付される形で控除されます。ただし、控除の上限額は、給与収入(年収)や家族構成によって異なります。

ふるさと納税には、手元から出るお金を減らす効果はありません。しかし、ふるさと納税をすることでその地方の特産品などを返礼品として受け取れるなど、利用の仕方によってはメリットがあります。

よくある質問

Q1:個人事業主の節税対策とは?

個人事業主が節税をするためには、課税される所得額を減らすのが効果的です。そのためには、計上できる経費を見落とさないことと、利用できる各種控除制度を活用することが大切です。

特に「青色申告」は、最高65万円の青色申告特別控除を受けられる節税効果の高い制度です。利用していない事業者は納税地の税務署に「所得税の青色申告承認申請書」を提出して、青色申告を行いましょう。

Q2:個人事業主が経費にできるものは?

個人事業主が経費にできるものは、原則として、事業を行う上で必要な支出です。自宅で仕事をしている場合は、自宅の家賃や光熱費、通信費なども按分によって、一部を業務の必要経費にすることができます。

また、青色申告をしている事業者が家族などに仕事を手伝ってもらっている場合は、一定の要件を満たせば給与を経費にすることが可能です。

Q3:節税に役立てられる制度にはどのようなものがある?

節税に役立つ制度には、積立による退職金制度である「小規模企業共済」や老後資金づくりができる「個人型確定拠出年金(iDeCo)」、取引先の倒産に備えられる「経営セーフティ共済」などがあります。

個人事業主には、退職金がない、将来受け取れる年金が少ないといったデメリットがあるため、こうしたデメリットをカバーしながら節税ができる制度を、必要に応じて活用しましょう。

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e-Taxでネットで確定申告:PC・スマホでのやり方とメリットまとめ【2019年(令和元年)10月最新情報】
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