青色申告の基礎知識

青色申告が取り消し処分にあわないために知っておくべき基礎知識

青色申告は、正しい会計処理に基づく申告・納税を後押しするための制度で、様々な特典があります。
青色申告者は「10万円または65万円の特別控除」「赤字の繰越し」など、数々の特典を受けられますが、ルールを守らず、税務署に「正しい会計処理に基づく適切な申告・納税をしていない」と見なされれば、青色申告取り消しの処分を受けてしまうことがあります。
青色申告の取り消し処分を受けることなくメリットを享受するために、知っておきたい基礎知識をまとめてご紹介します。

青色申告とは?

確定申告の方法には、「白色申告」と「青色申告」の2種類がありますが、いったい何が違うのでしょうか。 簡単な帳簿で、いつでも自由に始められる白色申告に対し、青色申告は正規の簿記の方式での記帳が求められ、個人事業主なら「所得税の青色申告承認申請書」、法人なら「青色申告の承認申請書」を税務署に提出する必要があります。このように、求められるハードルが高い分、青色申告には以下のようなメリットがあります。

  • 青色申告特別控除:10万円または65万円の控除を受けられる
  • 青色専従者控除:配偶者や同居の家族などに支払った給与を経費に計上できる
  • 小額減価償却資産の一括償却措置:減価償却の処理をせずに1年で償却できる(2018年3月31日までの特例措置)
  • 純損失の繰越し:赤字分を翌年に繰り越し、翌年以降の利益から赤字分を控除できる

どんなときに青色申告の承認が取り消されるのか?

先に紹介したとおり、青色申告は「正しい会計処理をして、適切に申告と納税をしていること」を条件に特典を受けることができます。したがって、その条件に反するような行為をした場合、青色申告の承認が取り消されることになります。
条件に反するような行為とは、大きく下記の1~3のような場合を指します。

    1. 業務に関わる帳簿・書類の記録または保存が法令に則った記載方法になっていない
    2. 税務署に帳簿や書類の提示を求められたのに、提示を拒否した
    3. 帳簿に悪質な隠蔽や偽装がある
    4. 2年連続で期限内に提出しなかった

法人の場合は、4のような行為も青色申告取消しの対象となります。
それぞれについて、もう少し詳しくご紹介します。

1. 業務に関わる帳簿・書類の記録または保存が法令に則った記載方法になっていない

正しい会計処理というのは、単に申告書や決算書を作成して提出すればいいというものではありません。日常的な取引きに関する資料やその記録簿などを適切に整理し、保管することまで求められます。
青色申告で65万円控除を受けたい場合、主要簿として「仕訳帳」と「総勘定元帳」を必ず複式簿記形式で作成し、補助的な役割を担うものとして、事業内容や取引方法により「売掛帳」や「買掛帳」といった、必要な簡易帳簿を作成・保存しなければなりません。保存の必要な帳簿・書類と、その保存期間は下記のとおりです。

保存が必要なもの 保存
期間
帳簿 仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳など 7年
書類 決算関係書類 損益計算書、貸借対照表、棚卸表など 7年
現金預金取引等関係書類 領収証、小切手控、預金通帳、借用証など 7年
(※)
その他の書類 取引きに関して作成し、または受領した上記以外の書類(請求書、見積書、契約書、納品書、送り状など) 5年

※前々年分所得が300万円以下の方は5年

参考:記帳や帳簿等保存・青色申告|税について調べる|国税庁

2. 税務署に帳簿や書類の提示を求められたのに、提示を拒否した

確定申告を行う際、帳簿や資料は提出しませんが、税務署から申告内容について問い合わせがあった場合、該当する資料を提示できるような状態になっていなければなりません。この条件が満たせない場合や、提示を拒否した場合も、取消しの対象となります。また、税務署から改善の指導があったにもかかわらず、無視を続けたような場合にも同様の取扱いとなります。

3. 帳簿に悪質な隠蔽や偽装がある

会計帳簿が適切に作成・保管されているとしても、その内容に虚偽が含まれていれば、正しい申告と納税を行ったとはいえません。売上を隠したり、架空の経費を計上したりすることで、課税の基となる所得は、どこまでも圧縮することができてしまいます。飲食店の現金売上が念入りにチェックされたり、発行者や宛名がはっきりしない領収書がチェックされたりするのは、このような理由からです。特に、偽装や隠蔽の規模が大きく、納税額への影響も大きい場合には、青色申告の承認が取り消されることになります。また、不正の規模が500万円未満と小さく、承認が取り消されなかったとしても、その後、改善が見られない場合には、改めて取り消されることもあります。

本来、会計帳簿がしっかりと作成されていれば、それを基にして決算書を作成して申告をすることで、正しい納税額が計算できるはずです。しかし、記載されている帳簿に不備があり、どうしても正しい決算が組めないような場合、税務署側から推計課税をされることがあります。推計課税とは、前年の数字や同業他社の数字を使うことで、売上や仕入、経費などの数字を大まかに推測して課税を行うことです。この場合も、青色申告の承認取消しの対象となります。

なお、帳簿の作成・保管をきちんと行っているのに、計算ミスなどでうっかり納税額を少なく申告したり、還付金を多く申告したりしてしまった場合は、青色申告取消しの対象になることはありません。確定申告期限前なら訂正申告、期限後なら修正申告を行うことになります。ただし、修正申告の場合は延滞税が加算され、税務署の調査を受けたあとで修正申告を行った場合は、過少申告加算税も加算される場合があります。

4. 2年連続で期限内に提出しなかった

2年連続で期限内に確定申告を行わなかった場合、青色申告の承認が取り消されます。
急な事故や病気、あるいは大災害などで期限内に提出できなかったなど、やむにやまれぬ事情がある場合には期限後の申告でも例外的に問題とされないことがあります。ただし、あくまでも例外で、簡単に認められるものではありませんので、できれば余裕を持って申告をするようにしたいものです。

「再申請」のやり方は?

青色申告がいったん取り消されると、1年間は再申請ができません。ですから、2018年に行う2017年分の申請で青色申告が取り消された場合、2017年分、2018年分は青色申告ができず、再び青色申告ができるのは最短でも2020年に行う2019年分からとなります。

なお、再申請の手続きは、初めて青色申告の承認申請をするときと同じです。法人なら、基本的に青色申告によって申告書を提出しようとする事業年度開始の日の前日まで、個人なら青色申告の適用を受けたい年の3月15日までに「所得税の青色申告承認申請書」を所轄の税務署に提出します。

個人の申請書:所得税の青色申告承認申請書
法人の申請書:青色申告の承認申請書

なお、開業freeeを使えば、自宅に居ながら上記の書類を無料で簡単に作成することができます。

日常的に処理を行い、余裕のある申告を!

上記で紹介した以外にも、二重帳簿など、非常に悪質な行為をしていると認定された場合には申請を取り消されてしまう場合があります。そのような事態を招かないためにも

  • 日常的な会計処理について、溜め込まずに適宜処理を進めていく
  • 関係する書類も含めて、整理整頓をしっかりと行う
  • 申告は提出期限ギリギリではなく、余裕をもって提出する

の3つを心掛けるとよいでしょう。

まとめ

青色申告を取り消されてしまうと、数々の特典を受けられなくなり、結果として払うべき税金の額は大きく増えてしまいます。そんなことにならないように、帳簿や書類はしっかり作成・管理し、申告期限に遅れることのないよう、気を付けてください。

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