青色申告の基礎知識

青色申告が取り消されるケースとは?主なデメリットと再申請の流れまで解説

監修 好川寛 プロゴ税理士事務所

青色申告が取り消されるケースとは?主なデメリットと再申請の流れまで解説

青色申告には、最大65万円の青色申告特別控除や赤字の繰越し・繰戻しなどさまざまな特典があります。

しかし、正しく帳簿書類の作成・保存や申告を行わないなど青色申告者にふさわしくないと判断された場合には、青色申告の承認が取り消しとなり、そのメリットを享受できなくなります。

本記事では青色申告が取り消されるケースや取り消された場合のデメリット、再申請する方法などについて解説します。

青色申告ついて詳しく知りたい方は、別記事「青色申告とは? 白色申告との違いや豊富なメリット、必要な準備・書類を解説」をご覧ください。

目次

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青色申告が取り消されるケースとは

青色申告が取り消されるのは、法人税法および所得税法上の「青色申告の承認の取消し」の項目で掲げられた内容への該当やその程度、記帳状況、改善の可能性などをふまえて、青色申告者としてふさわしくないと判断された場合です。

取り消しにつながり得るケースとして、以下の7つが挙げられます。

青色申告の承認取り消しにつながり得るケース

  1. 帳簿書類を提示しない場合
  2. 税務署長の指示に従わない場合
  3. 隠ぺいや仮装を行った場合
  4. 帳簿書類が不十分で推計課税が必要となる場合
  5. 無申告または期限後申告が2期連続した場合
  6. 電子帳簿保存法に違反している場合
  7. その他、承認を取り消すべきと判断される場合

出典:国税庁「個人の青色申告の承認の取消しについて(事務運営指針)」
出典:国税庁「法人の青色申告の承認の取消しについて(事務運営指針)」

1.帳簿書類を提示しない場合

税務調査の際、税務職員から帳簿書類を提示するよう求められたにもかかわらず、指示に従わず提示を拒否することは、青色申告の承認取り消しの事由にあたります。

取り消されるのは、提示しなかった事業年度のうち、最も古い事業年度以降の分についてです。

帳簿書類は、確定申告を行う際に提出する必要はありませんが、税務調査が入った際にすぐ提示できるよう一定期間保存しておく義務があります。

青色申告においては、仕訳帳や総勘定元帳などの帳簿や決算関係書類は7年、業務や取引に関して作成・受領した書類は7年または5年の保存義務があるため注意が必要です。

出典:国税庁「記帳や帳簿等保存・青色申告」

2.税務署長の指示に従わない場合

法人税法および所得税法上、税務署長は帳簿書類などの作成や保存について指示できる権限を持ちます。この税務署長の指示に従わないことは、青色申告の承認取り消し事由にあたります。

承認取り消し事由への該当を告げられ、説得を受けてもなお指示に従わなかった場合に、承認取り消しとなります。

3.隠ぺいや仮装を行った場合

帳簿書類において、取引の全部または一部を隠ぺい・仮装(偽装)して記載することも、青色申告の承認取り消し事由のひとつです。

具体的には、所得や欠損金・純損失の金額を故意に隠ぺい・仮装することが事由として挙げられ、以下を満たす場合に承認取り消しになると定められています。


  • 隠ぺいもしくは仮装した不正な所得金額が本来の所得金額の50%を超える場合
  • 隠ぺいもしくは仮装した不正な欠損金または純損失の金額が、本来の金額の50%を超える場合
    ※ただし、不正にかかる所得金額や欠損金・純損失の金額が500万円未満の場合を除く

なお、上記を満たしていても、その年から前7年以内の各年分について以下2点ともに該当し、今後の正しい申告が期待できると判断された場合は、青色申告の承認取り消しが見合わせとなることがあります。


  • 青色申告の承認取消処分を受けていないこと
  • 調査の結果、不正に関する金額が500万円未満であること

4.帳簿書類が不十分で推計課税が必要となる場合

法人税法および所得税法上、税務署長には、法人や個人の資産・負債の増減や収入・支出の状況、事業規模などから所得や欠損金・損失の金額を推計し、課税を行うことが認められています(推計課税)。

帳簿書類への記載が不十分で、推計課税を行わなければ正しい所得税額が計算できないと判断される場合も、青色申告の承認取り消し事由に該当します。

5.無申告または期限後申告が2期連続した場合

法人税法においては、確定申告書を提出期限までに提出しないことも青色申告の承認取り消し事由とされています。

2期(事業年度)連続で確定申告を行わず無申告となる、または確定申告の期限を過ぎた後の申告となる場合は、無申告または期限後申告に該当する2事業年度目以降の分から、承認が取り消されます。

なお、所得税法においては、無申告・期限後申告は承認取り消し事由として明記されていません。

6.電子帳簿保存法に違反している場合

電子帳簿保存法とは、帳簿や書類を電子データで保存する場合のルールを定めた法律です。2024年1月1日からは、電子取引でやり取りした請求書などの書類を電子データとして保存することが義務付けられています。

電子帳簿保存法が定める要件を満たしていない場合も、青色申告の承認取り消し事由にあたります。

ただし、電子帳簿保存法に違反しているからといって、すぐに承認取り消しとなるわけではありません。電子データに代わる書面などでの保存状況や今後の改善の余地なども勘案し、最終的な判断がなされます。

7.その他、承認を取り消すべきと判断される場合

帳簿書類への記録や申告の状況などをふまえ、青色申告者としてふさわしくないと判断される場合、これまで紹介した事由にかかわらず青色申告の承認が取り消されます。

たとえば、承認取り消しとなる基準を超えない範囲で隠ぺいや仮装を繰り返している、二重帳簿を作成して取引の一部を正しく記録しないなど、調査の結果不適切と判断される場合は所轄国税局長と協議のうえ対処されます。

青色申告が取り消された場合のデメリット

青色申告の承認が取り消された場合の主なデメリットには、以下のようなものがあります。

青色申告の承認が取り消された場合の主なデメリット

  • 青色申告特別控除の適用が受けられない
  • 赤字(欠損金・純損失)の繰越し・繰戻しができない
  • 少額減価償却資産の特例が使用できない

青色申告特別控除の適用が受けられない

個人事業主が確定申告を青色申告で行う場合、要件を満たせば「青色申告特別控除」として最大65万円を所得金額から差し引くことができます。

青色申告の承認が取り消されると青色申告特別控除の適用は受けられず、税負担が大きくなってしまいます。

出典:国税庁「No.2070 青色申告制度」

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赤字(欠損金・純損失)の繰越し・繰戻しができない

青色申告では、当年に生じた赤字を翌年以降、複数年間(法人は最大10年、個人事業主は最大3年)にわたって繰り越し、所得金額から差し引くことができます。

また前年も青色申告を行っている場合、今年の赤字を前年の所得金額に繰り戻して控除することも可能です。

青色申告の承認が取り消されると、これら赤字の繰越し・繰戻しも行えなくなります。

出典:国税庁「No.2070 青色申告制度」

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赤字(欠損金・純損失)の繰越し・繰戻しができない

「少額減価償却資産の特例」とは、取得価額が30万円未満の減価償却資産(少額減価償却資産)を2006年4月1日から2026年3月31日までの間に取得した場合に、使用し始めた年にその取得価額全額を損金算入できる制度です。

この制度の対象は、一定の中小企業者などに該当する青色申告者のため、青色申告の承認が取り消されると適用を受けることができません。

出典:国税庁「No.5408 中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例」

取り消された青色申告を再申請する方法

青色申告の承認が取り消された場合、再申請を行うことができます。

再申請の方法は、初めて青色申告の承認申請を行うときと同様です。基本的に、法人なら青色申告を行おうとする事業年度開始日の前日まで、個人なら青色申告を行おうとする年の3月15日までに「所得税の青色申告承認申請書」を所轄の税務署に提出します。

ただし、税務署からの承認の取り消し通知を受け取ってから1年間は、再申請ができません。たとえば2025年分の申告(2026年に実施)で承認が取り消された場合、再申請を行えるのは2027年で、再び青色申告を行えるのは最短で2027年分(2028年に実施)からとなります。

青色申告の承認申請の手順について、詳しくは別記事「青色申告のやり方は? 初めてでも簡単にできる方法を個人事業主・フリーランスに解説」で解説しています。

まとめ

青色申告の承認が取り消されるのは、法人税法および所得税法に掲げられた事由への該当やその程度、記帳状況、改善の可能性などをふまえ、青色申告者としてふさわしくないと判断された場合です。

青色申告特別控除や赤字の繰越し・繰戻しなど青色申告のさまざまなメリットを享受するためにも、適切に帳簿を作成・保管し、期日を守って正しく申告を行いましょう。

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よくある質問

青色申告が取り消されたらどうなる?

青色申告が取り消されると、青色申告特別控除や赤字(欠損金・純損失)の繰越し・繰戻しなど、青色申告の特典が受けられなくなります。

詳しくは、記事内「青色申告が取り消された場合のデメリット」をご覧ください。

青色申告を取り消される要件は?

青色申告の承認取り消しにつながり得るケースとして、以下のものがあります。


  1. 帳簿書類を提示しない場合
  2. 税務署長の指示に従わない場合
  3. 隠ぺいや仮装を行った場合
  4. 帳簿書類が不十分で推計課税が必要となる場合
  5. 無申告または期限後申告が2期連続した場合
  6. 電子帳簿保存法に違反している場合
  7. その他、承認を取り消すべきと判断される場合

詳しくは、記事内「青色申告が取り消されるケースとは」をご覧ください。

青色申告は再申請できる?

青色申告は一度承認を取り消された場合でも、再申請が可能です。ただし再申請ができるのは、取り消しの通知を受け取ってから1年が経った時点以降です。

詳しくは、記事内「取り消された青色申告を再申請する方法」をご覧ください。

監修 好川寛(よしかわひろし)

元国税調査官。国税局では税務相談室・不服審判所等で審理事務を中心に担当。その後、大手YouTuber事務所のトップクリエイターの税務支援、IT企業で税務ソフトウェアの開発に携わる異色の税理士です。

監修者 好川寛

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