資金繰り改善の基礎知識

法人が銀行融資を受けるには?種類・審査の準備・必要書類など基礎知識を解説

監修 好川 寛 プロゴ税理士事務所

法人が銀行融資を受けるには?種類・審査の準備・必要書類など基礎知識を解説

銀行融資とは、銀行が事業者に対して運転資金や設備資金などを一定の条件のもと貸し付ける仕組みです。

法人が銀行融資を受けるためには、決算書や資金繰り表、事業計画書などの必要書類を用意し、審査に通過しなければなりません。事業の健全性や資金の使い道、返済計画などをわかりやすく示す必要があり、ポイントを押さえた準備や銀行の融資担当とのコミュニケーションが重要となります。

本記事では、銀行融資の概要・種類と、法人が銀行融資を受けるにあたっての流れや知っておきたいポイントについて詳しく解説します。

目次

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銀行融資とは

銀行融資とは、銀行が法人や個人事業主・フリーランスなどの事業者に対して、運転資金や設備資金などを一定の条件のもと貸し付ける仕組みです。

借り手側は返済義務を負い、元金(実際に借りた額)に利息を上乗せして返済します。都市銀行・地方銀行・ネット銀行などの多様な銀行や信用金庫・信用組合などの金融機関が、融資サービスの提供を行っています。

銀行融資のメリット・デメリット

メリット


  • 金利が低く、返済の負担を抑えて資金調達ができる
  • 限度額が大きく、大規模な資金調達が可能

デメリット


  • 審査に時間がかかるため、急ぎの資金調達には向かない
  • 保証や担保が求められるケースもある

銀行融資は一般に、他の資金調達方法と比べて低金利で融資限度額が大きいため、調達コストを抑えて大規模な資金調達ができる点が魅力です。ただし、金利や融資額といった条件は事業規模や信用力、財務状況・返済能力などによって異なります。

また、厳しい審査が行われ、融資実行までに数週間〜1、2ヶ月の時間がかかるとされる点、貸し倒れのリスクに備えて代表者個人による連帯保証や不動産などの物的担保が求められる可能性がある点には注意が必要です。

法人向け銀行融資の種類

法人が利用できる銀行融資には、主に以下の3種類があります。

  • 信用保証協会の保証付き融資
  • プロパー融資
  • ビジネスローン

信用保証協会の保証付き融資

信用保証協会の保証付き融資とは、中小企業や小規模事業者の資金調達をサポートする公的機関「信用保証協会」が保証を行う銀行融資です。

返済が滞った場合には、信用保証協会が銀行への返済の立替(代位弁済)を行い、事業者は代わりに信用保証協会への返済(弁済)を行うことになります。この仕組みによって銀行側の貸し倒れリスクが低減されることから、審査通過の可能性が高まり、保証枠内で融資額の拡大なども見込める点がメリットです。

ただし利用には、信用保証協会が定める利用条件(企業規模、業種、区域・業歴)への適合・保証審査への通過・信用保証協会に対する信用保証料の支払いが必要となります。


出典:一般社団法人 全国信用保証協会連合会「初めての融資と信用保証」
出典:一般社団法人 全国信用保証協会連合会「もっと知りたい信用保証」
出典:一般社団法人 全国信用保証協会連合会「信用保証のお申込の流れ」

プロパー融資

プロパー融資とは、信用保証協会による保証のつかない銀行融資です。事業者が銀行から直接資金を借り入れます。

信用保証料の支払いが不要な点、保証枠が設定されないため融資限度額の上限がない点、信用保証協会が介在しないため審査に必要な日数を短縮できる点などがメリットです。

ただし、貸し倒れリスクを銀行が負うことになるため厳しい審査が行われ、一定の返済能力・財務状況や実績・信用力が問われます。ほかにも、担保や保証人が求められる点、返済期間が保証付き融資と比べて短い傾向にある点に注意が必要です。


【関連記事】
プロパー融資とは?利用するメリット・デメリットや審査を通過するポイントなどを解説

ビジネスローン

ビジネスローンとは、運転資金や設備資金などの事業資金を対象としたローン商品です。

仕組みや条件などはローンを提供する銀行によって異なりますが、一般に、無担保・無保証人での借入が可能な点、プロパー融資や保証付き融資と比べて迅速に資金調達ができる点がメリットです。

ただし、金利が比較的高く、また借入限度額が低めに設定されているケースが多いなど、条件は他の融資制度と比べて不利な傾向にあります。

法人が銀行融資を受けるには

法人が銀行融資を受けるまでの一般的な流れは、以下のとおりです。

銀行融資を受けるまでの流れ

  1. 事前相談
  2. 申し込み・必要書類の提出
  3. 面談
  4. 審査・格付け
  5. 契約・融資実行

事前相談

法人が銀行融資を受けるには、まずは銀行の支店窓口で事前相談を行います。事前相談の時点で決算書や事業計画書などの資料を持参しておけば、目的や計画について具体的に説明しやすいでしょう。

なお、税理士・会計士に銀行の融資担当を紹介してもらう方法や、オンライン申し込みが可能・来店不要で融資が受けられる融資サービスなどもあります。

申し込み・必要書類の提出

事前相談で案内を受けた融資の流れや必要書類などをふまえ、申し込みを行います。法人が銀行から融資を受けるためには、主に以下のような書類が必要です。

法人が銀行融資を受けるための主な必要書類

  • 登記簿謄本
  • 印鑑証明書
  • 納税証明書
  • 決算書(貸借対照表・損益計算書など最近2、3期分)
  • 資金繰り表
  • 事業計画書
  • 試算表
  • 銀行取引一覧表 など

必要書類は申し込み時期や銀行によって異なるため、あらかじめ指定の書類を確認してください。なかにはすぐに用意できないものもあるため、銀行融資を受ける際は計画的に準備することが重要です。

面談

銀行の融資担当者との面談を行います。具体的な資金の使い道や返済計画、経営者の評価など、書類だけでは判断しかねる内容の確認の場とされます。融資担当と丁寧にコミュニケーションをとり、事業の状況を正確に伝えるようにしましょう。

審査・格付け

提出書類や面談の内容をもとに事業の格付けと審査が行われ、融資の可否や融資限度額・金利・返済期間などの条件が決まります。

審査では、決算書などの資料をもとに安全性・収益性・成長性・債務返済能力を問う「定量評価」と経営者の人柄や経営方針などの「定性評価」によって、法人を以下5つの債務者区分に振り分ける方法で融資の判断が行われてきました。

  1. 正常先:業績が良好で財務内容にも問題なし
  2. 要注意先:業績低調、決算書の内容などに問題あり
  3. 破綻懸念先:今後経営破たんに陥るリスクあり
  4. 実質破綻先:深刻な経営難で、実質的に経営破たんとも言える状態
  5. 破綻先:法的・形式的な経営破たんの状態にあり

ただし、この取り扱いの指針となるマニュアルが2019年12月に廃止され、以降は金融機関の個性・特性・経営判断によって運用を行うものとされています。


出典:東京商工リサーチ「金融検査マニュアルが廃止、問われる金融機関の多様な支援」
出典:大和総研「金融検査マニュアル廃止後の対応」

契約・融資実行

審査に通過した場合は契約を結び、融資を受けます。契約内容の確認に不安がある場合は、税理士をはじめとした専門家に相談することも可能です。

法人が銀行以外から融資を受けるには

銀行以外に法人が融資を受けられる機関として、日本政策金融公庫があります。

日本政策金融公庫は国が100%出資する金融機関で、民間の金融機関では融資が難しい小規模事業者や中小企業などのスモールビジネスを支援することを目的としています。国民生活事業・中小企業事業・農林水産事業の3つの事業を展開し、使途に応じてさまざまな融資制度を提供しています。


事業融資機能の特徴
国民生活事業小規模事業者や創業企業向けの事業資金融資などを行う。小規模事業者向け融資では、1融資先あたりの平均融資残高は822万円。
中小企業事業中小企業・小規模事業者向けに長期固定金利の事業資金の融資を主に行う。1融資先あたりの平均融資残高は約9,000万円。短期の運転資金は取り扱いなし。
農林水産事業農林漁業や食品産業の事業者向けに長期事業資金の融資を行う。

出典:日本政策金融公庫「国民生活事業の業務の概要」
出典:日本政策金融公庫「中小企業事業の業務の概要」
出典:日本政策金融公庫「事業資金 中小企業の方【中小企業事業】」
出典:日本政策金融公庫「事業資金 農林漁業者の方【農林水産事業】」

日本政策金融公庫のメリット

日本政策金融公庫は、「一般の金融機関による金融の補完」を目的とする政府系金融機関という性質上、実績に乏しい創業間もない企業や小規模事業者などへの支援も積極的に行っています。そのため、

  • 銀行融資と比較して融資を受けやすい
  • ニーズにあった有利な条件での融資が望める

といったメリットがあります。銀行や信用金庫から融資を断られた場合でも日本政策金融公庫の融資制度では審査に通過できるケースがあるほか、日本政策金融公庫で借入・返済した実績によって信用が増し、銀行から資金を借りやすくなる可能性もあります。

また、金利や返済期間などの条件も法人にとって有利に設定されています。小規模事業者向けには無担保融資が多く利用され、返済条件の緩和にも柔軟な対応がなされるなど、安心して利用できる機関だと言えるでしょう。


出典:日本政策金融公庫「小規模事業者の皆さまへのサポート」
出典:日本政策金融公庫「ご返済や資金調達でお困りのお客さまへ」

法人が日本政策金融公庫から融資を受けるには

日本政策金融公庫から融資を受けるためには、電話や支店窓口、オンラインなどで相談を行ったうえで、インターネット申込に進むのが一般的です。申し込みには、主に以下の書類が必要です。

日本政策金融公庫の融資にまつわる主な必要書類

小規模事業者


  • 創業計画書または企業概要書
  • 直近2期分の決算書(一式、勘定科目明細書を含む)
  • 試算表(決算後6ヶ月以上経過している場合または事業を始めたばかりで決算を終えていない場合)
  • 見積書(設備資金を申し込む場合)
  • 日本公庫電子契約サービス(国民生活事業)利用申込書
  • 送金先の預金通帳(表紙、見開き1ページ目)
  • 法人の履歴事項全部証明書(最近6ヶ月以内のもの)
  • 代表者の本人確認書類
  • 許認可証など
  • 都道府県知事の「推せん書」(生活衛生関係営業の場合)
  • 振興事業に係る資金証明書(生活衛生関係営業の場合)

※国民生活事業の事業資金を利用したことがある場合は、太字のみ


出典:日本政策金融公庫「小規模事業者/個人事業主の方【国民生活事業】お手続きの流れ」

中小企業


  • 会社案内、製品カタログなどの参考資料
  • 法人の登記事項証明書
  • 最新3期分の決算書・税務申告書
  • 納税証明書
  • 最近の試算表(決算月から時間が経っている場合)
  • 見積書(設備資金を申し込む場合)
  • 担保の内容がわかる資料(登記事項証明書など)

出典:日本政策金融公庫「中小企業の方」

審査に通過するためにも、資料をしっかりと用意し、事業の状況や資金使途などについて説明できるようにしましょう。また、普段からクレジットカードや税金などの支払い遅延を起こさないことも重要です。

法人が融資を受ける際のポイント

法人が銀行や日本政策金融公庫などから融資を受ける際には、「資金を何に使い、どのように返済するのか」をきちんと説明する必要があります。事業の内容や計画、見込まれる利益など多くの情報を提供し、事業の健全性と返済能力が十分であると示すことが重要です。

とくに、中小企業や小規模事業者などのスモールビジネスは大企業に比べて信用力に乏しく、審査通過の難度が高い傾向にあります。定量的な評価のもととなる資料の準備と、定性的な評価につながる融資担当者とのコミュニケーションを、丁寧かつ積極的に行いましょう。

まとめ

銀行融資とは、銀行が事業者に対して運転資金や設備資金などを一定の条件のもと貸し付ける仕組みで、法人向けには主に信用保証協会の保証付き融資・プロパー融資・ビジネスローンの3種があります。

また、企業規模や事業実績などの条件・事情により銀行融資を受けることが難しい場合には、政府系金融機関である日本政策金融公庫の融資も活用可能です。

法人が融資を受けるには、必要書類の提出・面談などによって事業の健全性や資金の使い道、返済計画などを明確に示すことが必要です。ポイントを押さえて計画的に準備を進めましょう。

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銀行融資とは何ですか?

銀行融資とは、銀行が企業やフリーランス・個人事業主などの事業者に対して、運転資金や設備資金などを一定の条件のもと貸し付ける仕組みです。

銀行融資の概要について詳しくは、記事内「銀行融資とは」をご確認ください。

銀行から借りられる融資額はいくらですか?

銀行融資では、一律の融資額(上限)や基準が設定されているわけではなく、財務状況や事業計画、返済能力、経営者への評価などの観点をふまえて融資可否や融資上限額などが決まるとされています。

監修 好川 寛(よしかわひろし)

プロゴ税理士事務所。元国税調査官。国税(調査・相談2万件・審判実務)×民間(事業会社実務・PdM)の複眼的な視点が強み。クリエイター/IT・SaaS等の現代的ビジネス、海外取引・非居住者税務に明るい。

監修者 好川 寛

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