債権回収会社(サービサー)とは、銀行やクレジットカード会社などの金融機関に代わり、延滞債権の管理・回収を専門に行う民間会社です。法務大臣の許可を受けた合法な企業であり、債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)に基づいて運営されています。
債権回収会社から通知が届いた場合、放置すると差し押さえなどの強制執行に発展するリスクがあります。消滅時効が成立している可能性もあるため、すぐに支払う前に状況を正確に把握することが大切です。
本記事では、債権回収会社の概要や弁護士・ファクタリング会社との違い、取立ての流れ、通知が届いた際の対処法などを解説します。
目次
債権回収会社(サービサー)とは?
債権回収会社(サービサー)とは、銀行やリース会社などの金融機関から、貸付金などの特定金銭債権の管理・回収業務を受託または譲り受けて行う民間会社です。債権管理回収業に関する特別措置法(サービサー法)に基づき、法務大臣の許可を得て営業しています。主に住宅ローンやカードローンなどの延滞債権を専門に扱い、債務者に対して支払いを促す役割を担っています。
ここでは、債権回収会社として認められる要件や、金融機関との関係、類似する事業者との違いを解説します。
債権回収会社として認められる要件
債権回収会社として営業するためには、法務大臣の許可を受けているだけでなく、次の3つの要件を満たす必要があります。
債権回収会社として認められる要件
- 資本金が5億円以上の株式会社であること
- 常務に従事する取締役のうち少なくとも1名が弁護士であること
- 暴力団員等の反社会的勢力の関与がないこと
もともと債権回収業務は弁護士のみ認められていました。しかし、1990年代のバブル崩壊後に不良債権問題が深刻化したことを受け、サービサー法が整備されました。結果として、厳格な要件を満たした民間会社にも債権回収が認められるようになった経緯があります。
金融機関と債権回収会社の関係は?
金融機関と債権回収会社の関係性は、債権の管理・回収を委託する側(または売る側)と受託する側(または買う側)の構図です。銀行などの金融機関は本来、自社で貸し付けたローンやカード債務を自ら管理・回収しますが、返済が長期間滞ると回収しにくくなります。
そこで、専門的なノウハウを持つ債権回収会社に業務を委託したり、債権そのものを売却(譲渡)したりするケースがあります。債権回収会社は、金融機関から委託を受けたり債権を買い取ったりして、専門的に管理・回収を行う会社です。買い取りの場合は、購入額よりも多い金額を債務者から回収することで利益を得ます。
債権回収会社と法律事務所・ファクタリング会社の違い
債権回収会社・法律事務所・ファクタリング会社の主な違いは、下表のとおりです。
| 項目 | 債権回収会社 | 法律事務所 | ファクタリング会社 |
|---|---|---|---|
| 対象債権 | 支払期日を過ぎた不良債権(特定金銭債権) | さまざまな債権(期限前・後問わず) | 支払期日前の売掛債権 |
| 目的 | 不良債権の回収・処理 | 回収の代理、訴訟、強制執行 | 資金調達(早期現金化) |
| 手法 | 債権買取・委託を受けての回収 | 交渉、内容証明、法的手段 | 債権の売買(買取) |
| 利用者・利用先 | 金融機関・クレジットカード会社 | 個人・法人問わず | 主に法人・個人事業主 |
| 特徴 | 法務大臣の認可が必要 | 強制力のある手続きが可能 | 最短即日で現金化可能 |
主要な違いとしては、対象となる債権の状態(滞納か否か)と、利用目的(回収か資金調達か)にあります。
債権回収会社は不良債権の買取・回収を行い、法律事務所は法的手続きによる債権回収を代理し、ファクタリング会社は支払期日前の売掛債権を買い取って現金化(資金調達)する点でそれぞれ異なります。
債権回収会社による取立ての流れ
債権回収会社による取立ての主な流れは、次のとおりです。
債権回収会社による取立ての流れ
- 債権者から債務者に債権譲渡通知書や委託通知書が送られる
- 債権回収会社から支払いを督促される
- 法的手続き(支払督促・訴訟)を経て、強制執行される
主な流れを把握しておくことで、各段階で適切な対応をスムーズに取れます。
債権者から債務者に債権譲渡通知書や委託通知書が送られる
債権者である金融機関から債権回収会社へ、債権が譲渡あるいは回収業務が委託されます。その際、債務者に対して、債権譲渡通知書または委託通知書が郵便などで送付されます。
この通知は、以降の返済や連絡先が債権回収会社に変わったことを知らせるものです。通知を受け取ったら、差出人が法務省に許可された正規の債権回収会社かどうかを確認しましょう。
債権回収会社から支払いを督促される
通知の送付後、債権回収会社から電話・普通郵便・SMSなどの手段で支払いの催促が始まります。督促を放置してしまうと、遅延損害金が増え続けるだけでなく、強制執行のリスクも高まります。
なお、最後の返済から5年以上経過している場合は、消滅時効を主張できる可能性があるため、支払う前に弁護士や司法書士などの専門家へ相談することが大切です。
法的手続き(支払督促・訴訟)を経て、強制執行される
任意の交渉がまとまらない場合、債権回収会社は法的手段に移行します。
たとえば、裁判所を通じた支払督促や訴訟が提起され、判決や支払督促が確定すると、預貯金・給与・不動産などの財産が差し押さえられる強制執行が実施されます。
裁判所からの特別送達など、法的手続きの通知を受け取った際は、期日内に対応しないと一方的に不利な判決が確定するため、速やかに専門家へ相談することが大切です。
債権回収会社から通知が届いたときの対処法
債権回収会社から通知が届いた場合、無視や放置は禁物です。債権回収会社から通知が届いたときの主な対処法は、次のとおりです。
債権回収会社から通知が届いたときの対処法
- 早急に支払いを済ませる
- 一括での返済が難しい場合は返済方法について相談する
- 返済の見通しが立たない場合は債務整理する
放置すると差し押さえ(強制執行)に発展するリスクが高いため、できるだけ早く行動しましょう。
早急に支払いを済ませる
支払い能力があり、債務の消滅時効が成立していない場合は、早急に支払いを済ませましょう。延滞が続くほど遅延損害金が膨らみ、返済総額が増加します。
また、クレジットカードやローンの審査に影響する信用情報への登録が長引くリスクもあるため、支払い能力がある場合は早急に対応する必要があります。支払いの際は、領収書や振込明細など支払い証明となる書類を保管しておくことも大切です。
一括での返済が難しい場合は返済方法について相談する
一括での返済が難しい場合は、債権回収会社に対して分割払いの交渉ができます。債権回収会社は回収を目的としているため、分割払いに応じてくれるケースも少なくありません。交渉の際は、無理のない返済計画を事前に整理したうえで連絡することが大切です。
また、弁護士や司法書士に依頼して代わりに交渉してもらう方法もあります。専門家が介入することで、より有利な条件で合意できる可能性が高まります。
返済の見通しが立たない場合は債務整理する
返済の見通しが立たない場合は、債務整理を検討することが有効です。債務整理には主に任意整理・個人再生・自己破産の3種類があり、それぞれ状況に応じて選択します。
任意整理は弁護士・司法書士が債権者と直接交渉して利息の減額などを目指す手続きで、個人再生・自己破産は裁判所を通じた法的な手続きです。どれも専門家のサポートが必要となるため、まずは弁護士や司法書士に相談してみましょう。
債権回収会社を装った詐欺には要注意
債権回収会社を装った詐欺に対しては、十分な注意が必要です。法務省や国民生活センターなどの公的機関から、債権回収会社を装った架空請求に関する注意喚起が継続的に行われています。
代表的な手口は、SMSやハガキで最終通告や訴訟手続きなどの言葉で不安を煽り、金銭を騙し取る架空請求です。また、架空のトラブル解決機関や弁護団を名乗り、個人情報を聞き出そうとする悪質な手口も確認されています。
身に覚えのない請求が届いた場合は、法務省の公式サイトで許可を受けた債権回収会社の一覧を確認し、実在する会社かを調べましょう。正規の債権回収会社は、根拠のない脅迫的な文言で請求することはありません。不審な場合は、記載された連絡先には電話せず、消費者ホットライン(188)や警察(#9110)に相談しましょう。
代表的な債権回収会社一覧
法務大臣の許可を受けた債権回収会社は、令和8年1月13日時点で74社あります。主な会社としては、オリックス債権回収株式会社・日本債権回収株式会社・アビリオ債権回収株式会社・株式会社日立キャピタル債権回収・エムユーフロンティア債権回収株式会社などが挙げられます。
許可を受けた債権回収会社の最新一覧は、法務省の公式サイトで閲覧可能です。身に覚えのない請求が届いた場合や、連絡してきた会社が正規の業者かどうかを確認したい場合は、法務省の公開リストで照合するようにしましょう。
まとめ
債権回収会社(サービサー)とは、銀行やクレジットカード会社などの金融機関に代わり、延滞債権の管理・回収を行う会社です。
通知を受け取ったら放置せず、正規の業者かどうかを確認したうえで、支払い・分割交渉・債務整理のいずれかの対応を検討することが必要です。消滅時効の可能性がある場合は、支払う前に専門家へ相談しましょう。
日々の資金繰りや売掛金・買掛金の管理を効率化することで、支払いの遅延リスクを防ぎやすくなります。そこで、クラウド会計ソフトのfreee会計がおすすめです。freee会計を利用することで、入出金の把握や請求書管理をスムーズに行えます。
よくある質問
債権回収会社は違法ですか?
法務大臣の許可を受けた債権回収会社は、サービサー法に基づいて設立された合法な企業であり、違法ではありません。金融機関などから委託・譲渡を受け、借金の回収や管理を行っています。
ただし、許可を受けていない業者が債権回収を行うことは違法となります。通知が届いた際は、法務省の許可業者一覧で正規の業者かどうかを確認しましょう。
詳しくは記事内「債権回収会社として認められる要件」をご覧ください。
債権回収会社とファクタリング業者の違いは何ですか?
債権回収会社は、支払期日を過ぎた不良債権を金融機関から買い取るか委託を受けて回収することを目的としています。一方、ファクタリング業者は支払期日前の売掛債権を買い取り、利用者が早期に現金化(資金調達)することを目的とする点で大きく異なります。
また、利用者の観点でも、債権回収会社は金融機関が利用するのに対し、ファクタリング会社は主に法人・個人事業主が資金繰りのために活用するサービスです。
詳しくは記事内「債権回収会社と法律事務所・ファクタリング会社の違い」をご覧ください。

