資金繰り改善の基礎知識

運転資金とは?内容と計算法をわかりやすく解説

公開日:2021/01/15

運転資金とは?内容と計算法をわかりやすく解説

運転資金とは、 「企業が事業を行うために必要な資金」のことです。
企業が事業を維持していくために必要な、商品の仕入れ、従業員の給与、広告などさまざまな費用を「運転資金」と呼んでいます。

運転資金が足りないと、取引先への支払ができない、従業員に給与が出せない、店舗や工場を維持できないなど必要な資金が出せず、最悪の場合倒産という結果を招きかねません。
企業はつねに必要な運転資金をプールしておくか、でなければ金融機関から借り入れるかして調達する必要があります。

そこでこの記事では、「運転資金について知りたい」という人のために、知っておくべき知識や情報を網羅しました。

◎「運転資金」とは何か、なぜ必要なのか
◎運転資金を算出する計算式
◎運転資金の種類と費用項目
◎運転資金の調達方法

などについて、わかりやすく解説してあります。

最後まで読めば、運転資金について知りたいことがひととおりわかるはずです。
この記事を読んで、あなたの運転資金に関する疑問が解消されることを願っています。

1. 運転資金とは

運転資金とは

そもそも「運転資金」とは、何に使うどんなお金のことを指すのでしょうか?
まずはその定義から明らかにしておきましょう。

1-1. 「運転資金」とは何か

運転資金をひとことで説明すると、「企業が事業を行うために必要となる資金」の総称です。

製造業であれば、材料を仕入れるお金は必須ですよね。
また、ものを売買するのであれば、商品を仕入れる資金がかかります。
ほかにも従業員の人件費、オフィスを借りているのであればその家賃なども欠かせません。

つまり、これらのように「会社が日々の事業を営んでいく=事業の運転」のために必要な資金を「運転資金」と呼んでいるわけです。
運転資金が不足すれば、仕入れができない、人件費や家賃、光熱費が払えない、といった危機に陥り、事業継続が困難になりかねません。
運転資金とは、企業を運営する上でかならず必要なものなのです。

1-2. 「運転資金」の考え方

のちほど「5. 運転資金の計算式」でくわしく説明しますが、運転資金は以下の計算式で算出します。

運転資金=売掛金+在庫-買掛金

これを図にすると、以下のようになります。

運転資金とは

簡単に説明しましょう 日本では、取引先企業と取引する際に、商品と代金を同時に交換することは少なく、先に仕入れて支払いはあとでまとめてする「信用取引」、いわゆる「掛け取引」が多く行われています。

そのため、商品を売ってもすぐに代金は入金されず、入金日までその売上は「売掛債権」となります。
また、仕入れたり製造したりしたがまだ売れていない商品は「在庫」と呼ばれます。
この売掛債権と在庫は、まだ現金化はされていませんが、今後現金化できるものなので、貸借対照表では「資産」として扱われます。

一方で、商品や材料を仕入れた際の代金も、すぐには支払わず後日まとめて支払うので、「買掛債務」となります。
これはまだ支払ってはいませんが、後日支払わなければいけない「負債」です。
この入金と支払のサイクルは、以下のようになります。

入金と支払のサイクル

この流れだと、②で商品を販売したのにまだ代金は入金されていませんよね。
②から④までの間は、「商品を売ったのに、代金は手元にない」状態で、これが数か月にわたることもあります。
にもかかわらず、その間の③で、商品やその材料を仕入れた代金を支払わなければなりません。
また、この間にも業員の人件費、会社や店舗の家賃、水道光熱費などの支払も発生します。

そこで、この入金と支払のタイムラグの間に、足りない資金を補うのが運転資金なのです。
つまり運転資金とは、「掛け取引による入金のずれに備えるための資金」とも言えます。

事業を起こす際には、「開業資金をどう調達するか」にフォーカスしがちですが、同時に「事業を続けていく資金=運転資金」についても不足なく継続的に用意できるよう、慎重に資金計画をたてる必要があるのです。

2. 運転資金には「変動費」と「固定費」がある

運転資金には「変動費」と「固定費」がある

この運転資金には、大きくわけて「変動費」と「固定費」とがあります。
その違いを表で見てみましょう。

変動費 固定費
売上高に比例して金額が日々変動する費用 売上高とは関係なく一定額発生する費用
材料費・仕入費、外注費、出来高払いの賃金、消耗品費、運賃など 賃金、事業所の家賃、リース代、広告宣伝費、管理費、保険料、減価償却費など

それぞれ説明します。

2-1. 変動費

わかりやすく言えば、売上高が上がれば増え、下がれば減るのが変動費です。
というのも、売上が増える=事業が成長すると、より多くの製品やサービスを提供する必要が生じるため、仕入れる材料も増えますし、取引先に外注している場合はその費用も増えるからです。

そのため変動費に含まれるのは、

・商品を作るための材料費
・商品の仕入費
・外部業者に作業を委託した際の外注費
・出来高が増えれば賃金も増える、出来高払いの賃金
消耗品費
・商品を運搬したりするための運賃

などです。

2-2. 固定費

一方で、売上高の増減に関わらず、つねに一定額必要になるのが固定費です。
固定費に含まれるものを挙げると、

・従業員の賃金
・事務所、店舗の家賃
・OA機器や社用車などのリース代
広告宣伝費
管理費
・火災保険などの保険料
減価償却費

などです。

「でも、賃金は残業の多寡によって少し変わるし、広告費なんかも広告の量によって違うのでは?」と疑問に思うかもしれません。
たしかにその通りで、固定費とされるものの中にも金額が増減するものも含まれています。
ですから「金額が固定」なのではなく、「売上高に比例しない」かつ「生産活動をしなくても、つねに一定額発生する」ものだと考えるといいでしょう。

ちなみに賃金については、基本給は固定費、残業代は変動費と分類する考え方もあるようです。

3. 運転資金の項目

運転資金の項目

運転資金は大きくふたつに分類できることがわかりましたね。
では、運転資金に含まれるのは具体的にはどの支払い項目なのでしょうか?
その主なものを以下に挙げましたので、見てみてください。

人件費 給料、社会保険料、その他福利厚生費、通勤交通費 など
事業所・店舗維持費 家賃、管理費・共益費、水道光熱費、修繕費、看板使用料、駐車場使用料、更新料 など
仕入れ 商品仕入れ、材料費、加工費、外注費 など
用品・備品費 事務用品費、消耗品費 など
営業諸経費 交通費(通勤以外)、運送費、通信費、会議費、接待交際費、広告宣伝費、販売促進費、各種リース料、教育・研修費、租税公課 など
返済金など 借入金返済元金、借入金支払利息 など
その他 納税準備金 など

他にも業種によって必要な運転資金はまちまちです。
が、いずれにしろこれらの費用はすべて、売掛金が入ってくるまでのタイムラグの間にも支払いが発生するものです。
あらかじめ必要な運転資金を計算して用意しておきましょう。

4. 「運転資金」と「設備資金」は異なるので要注意

「運転資金」と「設備資金」は異なるので要注意

運転資金と混同されがちなものとして「設備資金」があります。
これについても説明しておきましょう。

「設備資金」とは、企業にとって長期的に経済的効果が期待できるものや、資産価値のある設備や機器などを取得するための資金です。
たとえば、

・事業所や工場、店舗の拡張、増設
・新しい製造機器の導入
・社用車購入
・不動産購入
・PCやOA機器の導入、システム開発

などのためにかかる費用が設備資金にあたります。

運転資金は企業の運営のために必要な費用ですが、設備資金は決算上では企業の「資産」と認められるものです。
決算書を作成する際や、金融機関から融資を受ける際などには、この両者は異なる性質の資金として明確に区別されますので、違いを覚えておいてください。

5. 運転資金の計算式

運転資金の計算式

運転資金は企業にとってつねに必要なものです。
これが不足すると「必要な材料、商品が買えない」「人件費が払えない」など業務に支障をきたす恐れがあります。
ですから、「うちの会社は現状ではどれくらいの運転資金を用意しておけば安心か」を事前に把握して、必要な金額をプールしておかなければなりません。

そのために、 運転資金を求める計算式がありますのでご紹介しておきましょう。

【運転資金の計算式】

運転資金=売掛金+在庫-買掛金

それぞれについて説明します。

◎売掛金:取引先との取引で、まだ回収できていない代金
◎在庫:仕入れはしたがまだ売れていない商品や材料
◎買掛金:取引先からの商品や材料などを仕入れたが、まだ支払いをしていない代金

これを踏まえて上記の計算式を言い換えると、
◎「売掛金+在庫」→これから入ってくる予定だが、まだ収入になっていない金額
◎「買掛金」→これから支出しなければならない金額
となります。

つまり、運転資金を算出するには、「これから入ってくる金額」から「これから支払う金額」を引けばいい、というわけです。

この 計算結果の額が大きければ大きいほど、運転資金は必要になります。
というのも、売掛金と在庫の合計額が大きいということは、未回収の額が多いということだからです。
「未回収の額が多い」=「売掛金を支払ってもらうタイミングが遅く、未回収分が増えている状態」
であり、その中で買掛金の支払いをするために運転資金が必要なのです。

逆に、計算結果の額が小さい、もしくはマイナスであれば、未回収額が少ないということなので、運転資金の必要性は低くなります。

運転資金の計算についてもっとくわしく知りたい場合は、関連記事「運転資金の計算方法は?在高方式・回転期間方式をわかりやすく解説」を参照してください。

6. 理解しておきたい運転資金の種類

理解しておきたい運転資金の種類

ここまで運転資金とは「掛取引の入金と支払のタイムラグを補うために必要なもの」と説明してきました。
が、厳密にいえばその中でも、運転資金が必要になる要因はさまざまです。
その要因によっても、運転資金はいくつかの種類にわけられています。

そこでこの章では、その種類ごとの違いについてもわかりやすく説明しておきましょう。

6-1. 経常運転資金

企業が現在の事業をそのまま維持、運営していくために、恒常的に必要となる資金を「経常運転資金」と言います。

「1-1. 「運転資金」は「事業に必要な資金」の総称」で説明した運転資金の定義そのもので、人件費や事業所の家賃、仕入れに対する支払いなど、入金までのタイムラグを埋めるために使われるものを指します。

一般的に「運転資金」といえば、この経常運転資金を指す場合も多いようです。

6-2. 増加運転資金

事業を現状維持するのみにとどまらず、売り上げが増加して企業が成長しているときに必要な運転資金が「増加運転資金」です。

売り上げが増えるということは、新しい取引先や商品の販売数も増えることを意味します。
人員も増やす必要が出てくるでしょう。
そうなると、通常の運転資金では足りずに、増加分の仕入れ資金や人件費などが必要になってきます。
これが増加運転資金です。

企業が成長しているときに、もし十分な増加運転資金を用意していないと、黒字なのに資金不足で倒産する「黒字倒産」に陥ってしまう恐れもありますので、注意が必要です。

6-3. 減少運転資金

前項の増加運転資金のケースとは反対に、事業が不振で売り上げが減少しているときには、「減少運転資金」が必要になります。

売り上げが減っても人件費や家賃などの固定費はかわらずかかりますし、その前の売り上げがよかったときの仕入れ代金=買掛金も支払わなければなりません。
それらに充てるいわば「つなぎ資金」が減少運転資金です。

この場合、企業は減少運転資金をつなぎとしてキャッシュフローを回しつつ、売り上げを増やしたり人件費や諸経費を削減したりして、経営を建て直さなければなりません
長くこの状態が続けば、減少運転資金がショートして経営不振に陥ってしまうので、できるだけ早期の回復を目指す必要があるでしょう。

6-4. 季節運転資金

特定の時期や季節によって必要になる「季節運転資金」というものもあります。
たとえば以下のようなケースでは、一時的に通常よりも多くの運転資金が必要となります。

◎夏・冬などのボーナス月
 →従業員へのボーナス支給のため人件費が通常より大きく膨らみます。

◎季節的に売り上げが下がる月
 →冬向けの商品を扱っていて夏場はあまり売れない、ビジネスマン向けのサービスで大型連休のある月は利用率が下がるなど、業種によってはどうしても毎年同じ時期に売り上げが下がるのを避けられません。

◎お正月、クリスマスなどのイベント近辺
 →お正月向け商品、クリスマス向け商品などを扱っている場合、その前には大量仕入れの必要があり、仕入れ資金が通常月より増えます。

これらのケースで必要になる運転資金を季節運転資金と呼ぶわけです。
毎年決まった時期に必要となるものなので、企業としては事前に十分な資金をプールしておく必要があります。

6-5. その他

ここまで挙げてきたほかにも、以下のような運転資金もあります。

◎スポット資金
経常運転資金とも季節運転資金とも別に、何か特別なことがあってスポット的に必要となる運転資金です。
たとえば、「特別に高額な商品を仕入れることになった」「イベントを行うことになった」などの場合が考えられます。

◎諸条件の悪化による追加運転資金
取引先との取引条件などが悪化し、一時的に運転資金が不足した場合、それを補うために追加として必要となる運転資金です。
たとえば、
・売掛金をなかなか支払ってもらえず、売掛債権が増えてきた場合
・在庫がなかなか減らず、不良在庫になってしまっている場合
・支払いサイクルを短くされたり、掛け売りしてくれていたのを現金払いに変更されたりした場合
などには、その状況が改善されるまでは追加運転資金で補う必要があるでしょう。

これらさまざまなケースを想定して、企業は日ごろから運転資金を蓄えておいたり、いざというとき融資を受けられるように金融機関との関係を良好に保っておくといった努力が必要なのです。

7. 運転資金の調達方法

運転資金の調達方法

では、「運転資金が必要なのに、社内では用意できない」という場合にはどうすればいいのでしょうか?
運転資金の調達方法は、主に以下のようなものが考えられます。

◎銀行からの融資:都市銀行や地方銀行に融資を申し込む
◎日本政策金融公庫からの融資:政府系金融機関に融資を申し込む
◎自治体などの制度融資:都道府県、市区町村の融資制度を利用する
◎ビジネスローン:銀行、ノンバングなどが事業資金用に提供しているローンを利用する
◎親族や知人からの借り入れ:個人的に契約して借り入れる

いずれにしろ、外部からの借り入れですので、
・貸してもらえるかどうか(融資審査に通るか)
・融資限度額が必要な資金額に足りるか
・返済期間や利息など、返済に無理がないか
などの条件にかなう融資元を探す必要があるでしょう。

上記それぞれの融資についての詳しい説明は、関連記事「運転資金の融資をする4つの金融機関|メリット・デメリットなど解説」にありますので、そちらも参照してください。

8. 運転資金の調達は自社に合った最適な方法で

運転資金の調達は自社に合った最適な方法で

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9. まとめ

いかがでしたか?
運転資金とは何か、あなたが知りたかったことの答えが見つかったかと思います。

では最後に、この記事の要点を振り返ってみましょう。

◎運転資金とは「事業に必要な資金」の総称
◎運転資金は「変動費」と「固定費」におおきくわけられる
◎運転資金の計算式は「運転資金=売掛金+在庫-買掛金」
◎運転資金には以下の種類がある
 ・経常運転資金
 ・増加運転資金
 ・減少運転資金
 ・季節運転資金

これを踏まえて、あなたの会社が十分な運転資金を準備して、事業を順調に展開していけるよう願っています。

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