資金繰り改善の基礎知識

スタートアップの資金調達は?現状と方法、失敗を防ぐポイントを解説

公開日:2021/01/15

スタートアップの資金調達は?現状と方法、失敗を防ぐポイントを解説

「スタートアップでは、どうやって資金調達すればいいのだろう?自社に合う資金調達方法はあるのだろうか?」

市場を開拓している状況にあり、新しい事業を展開するスタートアップにとっては、実績がない状態でも資金調達を行えるのか、不安に感じることもあるでしょう。

結論からいうと、スタートアップでも資金調達はできます。後述しますが、2020年1月~9月の国内スタートアップの資金調達ランキングでは、トップ20のうち2社が100億円以上の資金調達に成功しており、さらに設立から5年で大規模の資金調達を行った企業は9社という結果が出ています。

スタートアップが使える資金調達には大きく分けて5つの方法があり、細分化すると数は12に及びます。

資金調達方法 特徴
①出資を受ける エンジェル投資家からの出資 ベンチャー企業やスタートアップに投資する個人投資家「エンジェル投資家」による出資
ベンチャーキャピタルからの出資 自己資金、もしくは投資ファンドを設立して投資家から集めた資金で投資する組織「ベンチャーキャピタル」による出資
②融資を受ける 日本政策金融公庫の新創業融資制度 政府が100%出資する金融機関「日本政策金融公庫」の融資の中で、無担保でベンチャー企業やスタートアップを支援する融資制度
制度融資 地方自治体と金融機関、信用保証組合が連携して、起業家や中小企業を支援する融資制度
信用保証協会保証付融資 信用保証協会が保証人となる融資制度
保証付融資以外の民間銀行の融資 無保証の民間銀行の融資制度
③ファクタリングを利用する 売掛債権を買い取ってもらうことで現金を得るサービス「ファクタリング」を利用して資金を調達
④クラウドファンディングを利用する インターネットを通して不特定多数の人から資金を調達
⑤助成金・補助金を活用する 地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型) 地域貢献性が高い新事業を支援する機関による共同出資を受けて資金を調達
地域創造的起業補助金 起業のときに必要な資金の一部を補助する経済産業省の補助金を受給
小規模事業者持続化補助金 路開拓にかかわる経費を補助する国の補助金を受給
キャリアアップ助成金 優秀な人材を育成・確保するための厚生労働省が提供する助成金を受給

ただ、実際に資金を調達するときは安易な基準で選ぶのは好ましくありません。なぜなら、事業の状態(事業ステージ)によって、適切な資金調達方法が変わってくるからです。

また、スタートアップが使える資金調達手段には、それぞれメリットとデメリットがあります。事業のステージに加え、各資金調達手段のメリットとデメリットも理解した上で資金調達方法を選ばないと、失敗するリスクがあります。

そこでこの記事では、スタートアップの資金調達の現状を解説した後、

・スタートアップが使える資金調達方法の特徴とメリット&デメリット
・事業ステージ別の資金調達方法
・スタートアップが資金調達で失敗しないためのポイント

を説明していきます。

この記事を読んでいただくと、自社に合う資金調達方法を判断できるようになります。スタートアップを経営する方が自社に合う資金調達を選ぶ際の参考となれば幸いです。

1. スタートアップの資金調達の現状

スタートアップの資金調達の現状

新しい事業を展開し実績もあまりないスタートアップでも、資金調達に成功している事例は多くあります。

ここでは、スタートアップの資金調達の現状を知っていただくために、最新の2020年前半のスタートアップ資金調達ランキングと資金調達金額の相場をご紹介します。

1-1. スタートアップ資金調達ランキング

企業のプレスリリースを発信している「PR TIMES」では、スタートアップを支援しているフォースタートアップス株式会社が2020年1月~9月の国内スタートアップ資金調達ランキング上位20社を発表しています。

国内スタートアップの資金調達金額ランキング

出典:【STARTUP DB】調査結果 国内スタートアップ資金調達金額ランキング|フォースタートアップス株式会社のプレスリリース

※リリース元はフォースタートアップス株式会社が公表している「国内スタートアップ資金調達ランキング(2020年1-9月)」

1位と2位の企業が、100億円を超える大規模な資金調達を行っていることが分かります。他の18社も、20億円以上の規模のある資金調達に成功していることを見受けられます。

さらに注目すべき点があります。フォースタートアップスによると、トップ20に上がっている企業のうち10社が、設立してから5年以内に規模のある資金調達を行っているようです。

トップ20に上がっている企業の事業は、決済サービスといった金融系やエネルギー系、アプリ系といったように様々な分野が並んでいることも見逃せないところです。

このランキングから、スタートアップは認められれば事業内容を問わずに、設立年数が浅くても資金調達ができる可能性があるということができるでしょう。

1-2. スタートアップの資金調達相場

では、スタートアップは具体的にどのくらいの資金額を調達しているのでしょうか?

その相場を公表しているのが、ベンチャーキャピタルの「Coral Capital」のリリースです。Coral Capitalでは、2020年度夏版のスタートアップ資金調達相場として、2019年1月~12月の資金調達金額の相場を「「Japan Startup Deal Terms」2020年夏版」というレポートで発表しています。

調達金額別の資金調達件数

出典:「Japan Startup Deal Terms」2020年夏版|Coral Capital

グラフの2019年Q1からQ4を見ると、1クオーターで1億円以内の資金を調達する企業が最も多く、次いで1億円~5億円という結果になっています。

注目したいのは、1クオーターで10億円~30億円という中規模の資金を調達している件数が増えていることです。2019Q1は6件に対し、Q4では17件と約3倍に伸びています。他の資金額では、倍以上に伸びているケースはありません。

このことについてCoral Capitalは、投資家が増えたこと、事業の初期から規模の大きい資金を調達する事例が増加したことが要因という見解を示しています。

2. スタートアップが使える資金調達方法12選

スタートアップが使える資金調達方法12選

冒頭でも説明した通り、スタートアップが使える資金調達方法は大きく分けて5つあり、細分化すると数は12に及びます。

資金調達方法 特徴
①出資を受ける エンジェル投資家からの出資 ベンチャー企業やスタートアップに投資する個人投資家「エンジェル投資家」による出資
ベンチャーキャピタルからの出資 自己資金、もしくは投資ファンドを設立して投資家から集めた資金で投資する組織「ベンチャーキャピタル」による出資
②融資を受ける 日本政策金融公庫の新創業融資制度 政府が100%出資する金融機関「日本政策金融公庫」の融資の中で、無担保でベンチャー企業やスタートアップを支援する融資制度
制度融資 地方自治体と金融機関、信用保証組合が連携して、起業家や中小企業を支援する融資制度
信用保証協会保証付融資 信用保証協会が保証人となる融資制度
保証付融資以外の民間銀行の融資 無保証の民間銀行の融資制度
③ファクタリングを利用する 売掛債権を買い取ってもらうことで現金を得るサービス「ファクタリング」を利用して資金を調達
④クラウドファンディングを利用する インターネットを通して不特定多数の人から資金を調達
⑤助成金・補助金を活用する 地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型) 地域貢献性が高い新事業を支援する機関による共同出資を受けて資金を調達
地域創造的起業補助金 起業のときに必要な資金の一部を補助する経済産業省の補助金を受給
小規模事業者持続化補助金 路開拓にかかわる経費を補助する国の補助金を受給
キャリアアップ助成金 優秀な人材を育成・確保するための厚生労働省が提供する助成金を受給

ここでは上記の資金調達方法の特長を、メリットとデメリットを踏まえながら解説していきます。


2-1. 出資を受ける

投資家や投資会社に出資をしてもらうのは、スタートアップの資金調達手段として多く使われる方法です。基本的に返済の義務がなく、事業が認められれば設立して間もなくても資金調達できる可能性が高いためです。

スタートアップでは、「エンジェル投資家」と「ベンチャーキャピタル」から出資を受けて資金調達するケースが多いです。1つずつ説明しましょう。


2-1-1. エンジェル投資家からの出資

ベンチャー企業やスタートアップへ投資する個人投資家「エンジェル投資家」から出資を受ける方法です。

エンジェル投資家はキャピタルゲイン(当初の投資額と株式を公開もしくはM&Aのときに得られる金額の差)を獲得することを目的にしていますが、「起業家の事業を支援したい」という思いから投資をしてくれることもあります。


エンジェル投資家からの出資のメリット

エンジェル投資家から資金調達をすることのメリットは、次の通りです。

・起業してから日が浅くても資金調達できる可能性が高い
・返済の義務がない
・経営のアドバイスをもらえることがある

エンジェル投資家は、起業してから日が浅く、実績がない起業に対して積極的に出資する傾向にあります。「エンジェル」と名前が付くのは、この理由からです。返済の義務もないため、十分な資金がない起業時のスタートアップにとっては心強い存在となるでしょう。

また、エンジェル投資家は、企業を上場もしくはM&Aへ導く実績もあるため、事業を成長させるための経営アドバイスをもらえることがある点もメリットとして挙げられます。


エンジェル投資家からの出資のデメリット

エンジェル投資家からの資金調達には、デメリットもあります。

・経営に介入されて、自由に意思決定できなくなるリスクもある
・出資してくれるエンジェル投資家を探すのに時間を要することもある

エンジェル投資家は経営に関わることがあるため、自由に意思決定できなくなる場合があります。経営陣を過度にコントロールすることがなく、自社に合うエンジェル投資家を選ぶことがポイントになるでしょう。

また、自社に出資をしてくれるエンジェル投資家を探すのに時間を要することもあります。探す方法の1つとして、エンジェル投資家と企業が集まるセミナーに参加する方法が挙げられますが、投資したくなるような企業とエンジェル投資家に思われないと資金調達は難しくなります。


エンジェル投資家から調達できる資金額の目安

エンジェル投資家の投資額は個人によって異なります。経済政策を研修している独立行政法人経済産業研究所によると、エンジェル投資家1人あたりの平均投資額は約500万円のようです。

エンジェル投資家は自己資金で投資をするため、投資額は数百万~数千万円程度と規模は小さくなることは念頭に置きたいところです。

参考:日本の起業家と起業支援投資家およびその潜在性に関する実態調査|独立行政法人経済産業研究所


エンジェル投資家から資金を調達する方法

エンジェル投資家から出資を受けるには、エンジェル投資家と接触する必要があります。具体的には、

・エンジェル投資家と起業家のマッチングを行っているサービスを利用する
・エンジェル投資家が参加するセミナーに参加する
・エンジェル投資家に直接コンタクトを取る

といった方法で、エンジェル投資家と出会うことができます。


2-1-2. ベンチャーキャピタルからの出資

出資を受けることで資金調達をする手段としては、「ベンチャーキャピタル」からの出資もあります。

ベンチャーキャピタルとは、エンジェル投資家と同様、創業してから間もないベンチャー企業やスタートアップへ投資し、キャピタルゲインを得ることを目的にした組織のことです。ベンチャーキャピタルキャピタルが企業へ投資する資金は自己資金、もしくは投資ファンドを設立して投資家から集めた資金の2つに分かれます。


ベンチャーキャピタルからの出資のメリット

ベンチャーキャピタルから出資を受けて資金調達をするメリットは、次の通りです。

・無担保で返済する必要がない
・経営スキルやノウハウを学べる
・事業提携先を紹介してもらえることがある
・金融機関からの融資を受けやすくなる

ベンチャーキャピタルから資金調達をするメリットは、エンジェル投資家とほぼ同じです。原則として返済をする必要がなく、経営のアドバイスをもらえることもあるといったように、起業して間もないスタートアップにとって心強い特長があります。

また、ベンチャーキャピタルからは事業提携先を紹介してもらえることがあります。事業提携先を紹介してもらえれば、事業が成長する可能性が高くなります。

ベンチャーキャピタルから資金調達を受けることで企業の信用力が高まり、将来金融機関からの融資も受けやすくなります。事業をさらに大きくしたいときに有利となるでしょう。


ベンチャーキャピタルからの出資のデメリット

ベンチャーキャピタルからの資金調達にはデメリットもあります。

・経営権を握られ、自由な意思決定ができなくなることもある
・将来性がないと判断されたら、資金が早期に回収される
・持ち株を失う場合がある
・上場するための準備に負担を強いられる

エンジェル投資家と同じように、ベンチャーキャピタルによっては経営に関与します。ベンチャーキャピタルの経営方針に従う必要も出てきて、自由に意識決定を行えなくなるリスクがあるでしょう。株式や企業自体を売却された場合、持ち株を失うこともあるため、このケースから株式を所有する投資家に経営権を握られる可能性もあります。

また、将来性がないと判断されたら、資金が早期に回収されることもあります。キャピタルゲインを得られそうにないと判断されたら、投資先を変えられてしまうこともある点は念頭に置きたいところです。


ベンチャーキャピタルから調達できる資金額の目安

ベンチャーキャピタルから調達できる資金額は、その年の社会情勢や業種によって異なる場合があります。

ベンチャーキャピタルなどの投資動向を調査している一般財団法人ベンチャーエンタープライズセンターによると、2020年上半期時点では1社あたり137億円投資しているようです。エンジェル投資家と比べると、規模の大きい資金を調達しやすいのがベンチャーキャピタルといえます。

参考:ベンチャーキャピタル等投資動向調査(直近四半期2020年2Q)|一般財団法人ベンチャーエンタープライズセンター


ベンチャーキャピタルから資金を調達する方法

ベンチャーキャピタルから資金調達をするには、以下の方法でベンチャーキャピタルと接触する必要があります。

・会計事務所や税理士事務所、法律事務所などからベンチャーキャピタルを紹介してもらう
・ベンチャー企業やスタートアップ、ベンチャーキャピタルが参加するセミナーやイベントに参加する
・新聞やプレスリリースなどのメディアで自社をアピールして、ベンチャーキャピタルに見つけてもらう

ベンチャーキャピタルからの資金調達については、「ベンチャーキャピタルの資金調達の現状とメリット・デメリットを解説」の記事で詳しく説明しています。興味のある方は、併せてご参考ください。


2-2. 融資を受ける

スタートアップ使える資金調達手段には、融資もあります。融資を依頼する先は、主に金融機関です。

金融機関からの融資は実績がないと受けられなかったり、返済の義務があったりするため、新しい事業を展開するスタートアップにとってはハードルが高い場合もありますが、中には創業して間もなくても企業を支援してくれる制度もあります。

スタートアップでも融資を受けられる金融機関の制度は、次の4つです。

1. 日本政策金融公庫の新創業融資制度
2. 制度融資
3. 信用保証協会保証付融資
4. 保証付融資以外の民間銀行の融資

順に説明しましょう。


2-2-1. 日本政策金融公庫の新創業融資制度

日本政策金融公庫は、政府が100%出資している金融機関です。

日本政策金融公庫が行っている融資制度には色々ありますが、中でも「新創業融資制度」がスタートアップに適している資金調達手段です。その理由は、次のようなメリットがあるからです。


新創業融資制度からの融資のメリット

新創業融資制度には次のようなメリットがあります。

・融資の審査を受けやすい
・無担保・無保証で借り入れができる
・低金利で借りられる
・他の金融機関からの融資を受けやすくなる

新創業融資制度は、起業家や中小企業を支援する目的があります。他の金融機関の融資と比べると、審査のハードルが低いです。条件によっては、無担保・無保証で借り入れすることも可能で、金利も2.41~2.80%と低金利で借り入れもできます。

新創業融資制度を活用して借り入れし、返済した実績があれば企業の信用度を高められるため、将来、他の金融機関から資金を調達するときに有利となる点もメリットです。


新創業融資制度からの融資のデメリット

新創業融資制度は、申し込んだからといって必ず融資を受けられるわけではありません。審査に通らないと、資金を得られないことは注意しておきたいところです。

また、審査に通っても、実際に資金を得られるまでに1ヶ月以上の時間を要します。早急な資金調達は難しいでしょう。


新創業融資制度からの融資で調達できる資金額の目安

新創業融資制度で借り入れできる金額は3,000万円(そのうち運転資金は1,500万円)、利率は資金の使い道や返済期間などによって異なりますが、基準となるのは年間2.41~2.80%です。


新創業融資制度の融資を受ける方法

新創業融資制度の融資を受けるには、以下の手順で申し込みをしていきます。

①日本政策金融公庫の事業資金相談ダイヤルに電話する
②所定の借入申込書を提出する
 ※初めて申し込む場合は、以下の書類も添付する
 ・創業計画書
 ・企業概要書
 ・法人の履歴事項全部証明書または登記簿謄本(法人営業の場合)
③面談を受ける
④融資を受ける

日本政策金融公庫の新創業融資制度について、特徴や制度の対象となる人などの詳細は、新創業融資制度とは? 公庫出身の専門家が対象や返済期間、留意点について解説でも解説しています。併せてご覧ください。


2-2-2. 制度融資

新しい事業を展開し、実績も少ないスタートアップが民間銀行から融資を受けることは、一般的には難しいことです。

しかし、保証付き融資であれば利用できる場合があります。その保証付き融資の1つが「制度融資」です。

制度融資は、地方自治体と金融機関、信用保証組合が連携して、起業家や中小企業に融資を行う制度です。地方自治体と金融機関、信用保証組合の役割は地方自治体によって異なりますが、東京都産業労働局の場合は次の通りです。

地方自治体 信用保証料の一部を補助したり、金融機関に対して融資の貸付金を一部預託したりする。
金融機関 保証組合に保証の申し込みをする。
信用保証組合 被融資者が万が一返済できなくなった場合に弁済をする。

制度融資のメリット

制度融資のメリットは、次の通りです。

・審査のハードルが低い
・低金利で借り入れできる
・長期間、融資を受けられる

制度融資は、審査のハードルが低いといえます。起業したてのスタートアップのような社会的認知度と信用度が低くても、申し込みがしやすいです。

融資メニューによっては、低金利で借り入れできたり、長期間融資を受けられたりすることもあります。


制度融資のデメリット

制度融資のデメリットは、次の通りです。

・融資メニューが多く複雑
・融資の相談から実行まで時間を要する

制度融資は、地方自治体によって用意されている融資メニューが多く、複雑な場合があります。自社がどの融資メニューが合っているかを見極めるのに時間を要するかもしれません。

また、制度融資は複数の機関が関わるため、手続きに時間を要して融資の実行が遅くなる傾向にあります。申し込みをして採択され、融資が実行されるまで3ヶ月前後かかるでしょう。


制度融資で調達できる資金額の目安

制度融資で借り入れできる限度額は、地方自治体が用意する融資メニューによって異なります。東京都産業労働労働局が提供する「稼ぐ力創出融資」の場合は、2億8,000万円を限度に借り入れ可能です。

融資限度額について詳しくは、各地方自治体に問い合わせてみてください。


制度融資で融資を受ける方法

制度融資を受けるには、以下の手順で申し込みをしていきます。

①個人事業主やフリーランス、起業家、中小企業が制度融資を取り扱う金融機関に申し込み
 ※制度融資を取り扱う金融機関は、各自治体に要問合せ
②信用保証組合に保証の申し込みする
③信用保証組合が被融資者の審査をする
④信用保証組合が被融資者の保証を承諾する(審査に通った場合)
⑤金融機関が被融資者へ融資を実行する


2-2-3. 信用保証協会保証付融資

信用保証協会保証付融資は、信用保証協会が保証人となる融資制度です。信用保証協会に保証を申し込み、承諾を得たら金融機関に融資を申し込みます。金融機関の審査に通ったら、融資を受け取るしくみです。


信用保証協会保証付融資のメリット

信用保証協会保証付融資のメリットは、次の通りです。

・万が一返済ができなくなった場合、金額の80%を信用保証協会が肩代わりしてくれる
・金融機関の審査に通りやすい
・将来、プロパー融資(信用保証協会の保証を受けない融資)を受けやすくなる

信用保証協会保証付融資は、返済できなくなったときの保証が付いています。業績悪化のリスクに供えられるのがメリットといえます。

信用保証協会保証付融資の審査に通り、返済した実績を持つことができれば、信用保証協会の保証を受けない「プロパー融資」を受けやすくなり、大規模な資金調達が可能になることもあります。


信用保証協会保証付融資のデメリット

信用保証協会保証付融資のデメリットは、次の通りです。

・保証料が発生する
・資金の保証対象が限られている

信用保証協会保証付融資は、返済できなくなった金額の80%を弁済してくれるため、その保証料の支払いが発生します。

また、資金の保証対象が運転資金と設備資金に限定されています。他の用途の資金では保証対象とはなりません。


信用保証協会保証付融資で調達できる資金額の目安

信用保証協会保証付融資で借り入れできるのは、2億8,000万円までです。組合に入っている場合は、4億8,000万円と2億円プラスされます。


信用保証協会保証付融資で融資を受ける方法

信用保証協会保証付融資の融資を受けるには、以下の手順で申し込みをしていきます。

①信用保証協会に保証を申し込む
②信用保証協会と面談をする
③信用保証協会との面談で問題がなければ、金融機関の融資を申し込む
④金融機関の審査が降りたら、融資を受ける


2-2-4. 保証付融資以外の民間銀行の融資

業績が安定してくれば、日本政策金融公庫や制度融資、信用保証協会保証付融資以外の融資を民間銀行から受けられる可能性があります。代表的なのが、「プロパー融資」と「シンジケートローン」です。

融資名 特徴
プロパー融資 保証協会の保証を受けない融資。

<メリット>
・保証がないため、保証料が発生しない。
・保証額に限度がない。

<デメリット>
審査が厳しく、実績が少ない企業が利用するのは難しい。
シンジケートローン 複数の銀行(シンジケート団)から規模の大きい融資を受けられる制度。

<メリット>
複数の銀行から大規模の資金を調達できる。

<デメリット>
シンジケート団の代表(アレンジャー)に対して手数料を支払う必要がある。

上記2つの融資は、規模の大きい資金を調達することが可能になります。経営が安定し、さらに事業を拡大したいときに必要な資金を集める場合に、検討すると良い資金調達手段です。

資金調達freeeでは、自社に最適な資金調達手段選びのお手伝いをいたします。複数金融機関の商品の中から種類と返済期間で条件を絞り、融資金額や利率/手数料率、所要期間の中から自社に合う資金調達手段を選べます。

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2-3. ファクタリングを利用する

ファクタリングとは、売掛債権を買い取ってもらうことで現金を得るサービスのことです。

商品やサービスを販売した後に代金を支払ってもらうのが、企業間における取引方法として一般的ですが、ファクタリングを活用すれば回収していない売掛債権を売って現金化することができます。担保も必要ありません。


ファクタリングのメリット

ファクタリングのメリットは、一時的ではありますが、資金が必要なときに早期に調達できるところです。

投資家や投資会社から出資を受けたり、日本政策金融公庫や民間銀行から融資を受ける場合は、資金を得るための準備や実際に資金を得るまでに手間や時間を要する場合があります。

一方ファクタリングは、ファクタリングサービス会社によっては24時間以内に審査が行われ、最短で即日売掛債権の現金化を実行してくれます。


ファクタリングのデメリット

ファクタリングは、売掛債権以上の資金を調達できないところがデメリットです。必要な資金の規模によっては、ファクタリングだけでは十分な資金を調達できない場合があることは注意したいところです。


ファクタリングを利用する方法

ファクタリングサービスを提供する会社を利用して、売掛債権を現金化していきます。

ファクタリングサービスを提供する会社や売掛債権の現金化のしくみなど、ファクタリングについて詳しくは、「ファクタリングの基礎知識。仕組みから利用のポイントまで徹底解説」で説明しています。興味のある方は、併せてご覧ください。


2-4. クラウドファンディングを利用する

クラウドファンディングとは、インターネットを通して不特定多数の人から資金を調達する方法です。

企業は、クラウドファンディングサービスのサイトを通して事業の魅力をアピールして資金を募ります。企業の事業に魅力を感じて支援したい人が、その専用サイトを通じて企業に寄付する流れです。

インターネットの普及により、クラウドファンディングは近年利用者が増えている資金調達手段です。クラウドファンディングで有名なのが「CAMPFIRE(キャンプファイヤー)」で、2020年8月にはスタートアップのオンライン資金調達を支援する「CAMPFIRE Angels(キャンプファイヤー エンジェルス)」というサービスが開始されたことがプレスリリースされました。


クラウドファンディングのメリットとデメリット

クラウドファンディングは、出資や融資とは異なり審査がなく、手軽に早く資金を調達できるのがメリットです。また、寄付という形で資金調達ができるため、返済の義務もありません。

ただ、展開する事業や商品・サービスに興味を持ってもらえて「寄付したい」という人が多く集まらなければ、目標の資金額に調達できない場合もあります。資金が集まったとしても少額で、目標の資金額に到達するために時間がかかることもあるでしょう。


クラウドファンディングを利用する方法

クラウドファンディングサービスのサイトを利用して、資金を集めることができます。

クラウドファンディングサービスサイトやクラウドの概要については、「クラウドファンディングとは?資金調達に活用する方法」でも詳しく説明しています。興味のある方は、併せてご覧ください。


2-5. 助成金・補助金を活用する

国や地方自治体が提供している助成金・補助金を活用するのも、資金調達手段として有効です。

国や地方自治体が提供している助成金・補助金には、起業家を支援したり、新規事業を促進させたりする目的を持つ制度もあります。新しい事業に参入するスタートアップにとっては、心強い制度です。


助成金・補助金のメリットとデメリット

スタートアップが使える国や地方自治体の助成金・補助金には、主に以下の4つがあります。

1. 地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)
2. 地域創造的起業補助金
3. 小規模事業者持続化補助金
4. キャリアアップ助成金

各助成金・補助金の特徴やメリット・デメリットは、次の通りです。

助成金・補助金 特徴
①地域中小企業応援ファンド
(スタート・アップ応援型)
・中小機構と地方自治体、中小企業支援機関、地方銀行などで組成されるファンド。各機関で共同出資し、得られた収益を地域貢献性が高い新事業を展開する中小企業などに助成する。

<メリット>
・創業前や創業直後に申し込みが可能。
・新商品開発や販路開拓など幅広い経費を助成してくれる。
・返済の義務がない。

<デメリット>
・必ず受給できるとは限らない。
・地域によってはファンドがない。
②地域創造的起業補助金 ・経済産業省が主催する補助金。起業のときに必要な資金の一部を補助してもらえる。

<メリット>
・返済の義務がない。
・市区町村が実施する「認定特定創業支援業」の支援を通して、経営に関するノウハウを身に付けられる。
・将来、金融機関からの融資を受けやすくなる。

<デメリット>
・必ず受給できるとは限らない。
・通年公募されていない。
・受給までに時間を要する。
③小規模事業者持続化補助金 ・国が主催する補助金。小規模事業者を対象に、販路開拓にかかわる経費を補助してくれる。

<メリット>
・年度によって補助金額が増える場合もある。
・返済の義務がない。

<デメリット>
・必ず受給できるとは限らない。
・自己負担もある。
・審査に時間がかかる。
④キャリアアップ助成金 ・厚生労働省が主催する助成金。非正規労働者の正社員化や処遇改善など、非正規労働者のキャリアアップ促進を目的とした取り組みを行う企業に助成される。

<メリット>
・優秀な人材を育成したり、確保したりするために活用できる。
・返済の義務がない。

<デメリット>
・必ず受給できるとは限らない。
・申請のための書類作成に時間を要する。
・審査に時間がかかる。

上記4つの助成金・補助金で共通するメリットは、返済の義務がない点です。国や地方自治体は国や地域の経済活動を活発化させたいため、起業家にとって嬉しい資金を公的に支援します。

デメリットで共通するのは、申し込みをしたからといって必ず受給できるものではない点です。地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)やキャリアアップ助成金といった助成金に関しては、条件を満たせば審査に通りやすいですが、地域創造的起業補助金や小規模事業者持続化補助金のような補助金に関しては審査が厳しい場合があります。

また、助成金・補助金は、あくまで一部の資金を補うことを目的にした制度のため、必要な資金の全額はまかなえません。助成金・補助金を利用するのであれば、ある程度の自己資金を持っておく必要があることは注意したいところです。


助成金・補助金で調達できる資金額の目安

各助成金・補助金で受給できる金額は、以下の通りです。

助成金・補助金 調達できる資金額
①地域中小企業応援ファンド
(スタート・アップ応援型
ファンドを設置している地域によって異なる。

【ちば中小企業元気づくり基金の場合(千葉県)】
新商品・新技術開発助成の場合は、
・助成上限:500万円
・助成期間:3年以内
・助成率:3分の2以内
を基準に助成される
②地域創造的起業補助金 ・助成上限
 ①外部資金調達場ない場合:50万円以上100万円以内
 ②外部資金調達がある場合:50万円以上200万円以内
・助成率
 補助対象と認められる経費の1/2以内
③小規模事業者持続化補助金 ・助成上限
 50万円まで
 ※年度によって補助金が増える場合もある。
・助成率
 販路開拓にかかる3分の2の経費
④キャリアアップ助成金 コースによって異なる。

【正社員化コース(※1)の場合】
有期雇用から正規雇用した場合は、1人あたり57万円<72万円>※2

※1 非正規労働者を正規雇用または直接雇用した場合に助成されるコース
※2 <>は生産性の向上が認められる場合

助成金・補助金で調達できる資金額の目安

各助成金・補助金は、以下の機関に問い合わせをして申し込みをし、審査が通ったら受給されます。

助成金・補助金 問い合わせ先
①地域中小企業応援ファンド
(スタート・アップ応援型)
各地域のファンド運営機関
②地域創造的起業補助金 地域創造的起業補助金の事務局
※市区町村が実施する「認定特定創業支援業」の支援を受けてから要問合せ
③小規模事業者持続化補助金 最寄りの商工会もしくは商工会議所
④キャリアアップ助成金 労働局もしくはハローワーク

3. 「事業ステージ」別のおすすめの資金調達方法一覧

「事業ステージ」別のおすすめの資金調達方法一覧

ここまでスタートアップが使える資金調達方法をご紹介してきましたが、実際に資金調達をするときは、自社の「事業ステージ」を理解することが大切です。

事業ステージは、「成長フェーズ」とも呼ばれます。自社の事業の状況を表す言葉で、次の4つの段階に分かれます。

事業ステージ(成長フェーズ) 特徴
①シード期 起業前の段階(展開する商品やサービスの試作段階で、ビジネスは展開していない)
②アーリー期 事業を開始して商品やサービスをリリースし、売り上げが発生している段階
③ミドル期
※「エクスパンション期」と呼ばれることもある
事業が軌道に乗り始めて黒字化が見えている段階
④レイター期 商品やサービスの認知度が高まり、経営が安定して黒字化し、株式公開(上場)やM&Aを視野に入れる時期

2章でご紹介した資金調達方法は、上記の事業ステージ(成長フェーズ)に合わせて活用するのがおすすめです。事業ステージ(成長フェーズ)に適した資金調達方法を選ぶことで、必要な資金をスムーズに調達でき、失敗も少なくなります。

ここでは4つの事業ステージ(成長フェーズ)の概要を説明し、それぞれのステージではどの資金調達方法を利用するのが適切かを解説します。

3-1. シード期におすすめの資金調達方法

「シード期」は、起業前の段階を指します。企業のコンセプトやビジョンはあるものの、展開する商品やサービスの試作をしている段階で、実際にはビジネスを展開していない状況です。


3-1-1. シード期に必要な資金と金額の目安

シード期に必要と想定される資金は、会社の設立費用や商材の研究・開発費、人件費が挙げられます。金額としては数百万円が目安ですが、事業によってはこの限りではありません。


3-1-2. シード期におすすめの資金調達方法は6つ

シード期の資金調達方法としては、以下の6つが挙げられます

1. エンジェル投資家からの出資
2. ベンチャーキャピタルからの出資
3. 日本政策金融公庫の新創業制度融資
4. クラウドファンディング
5. 地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)
6. 地域創造的起業補助金

シード期はビジネスを展開していない時期のため、民間銀行からの融資を受けることは難しいです。起業前でも支援してくれる可能性があるのが、上記の資金調達方法となります。

中でもエンジェル投資家やベンチャーキャピタルは、起業してから間もないスタートアップを支援するため、シード期でも投資してくれる可能性が高いです。

日本政策金融公庫の新創業制度融資や地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)、地域創造的起業補助金も、業時に必要な資金を支援してくれるため、シード期に利用しやすいといえます。

審査の壁に不安がある場合は、クラウドファンディングがおすすめです。専用サイトで気軽に、寄付という形で資金を募ることができます。


3-2. アーリー期におすすめの資金調達方法

「アーリー期」は、事業を開始して商品やサービスをリリースし、売り上げが発生している段階を指します。拡販活動をして顧客は増えているものの、マーケティングコストや商品・サービスの研究開発コストが発生するため赤字となるケースもあります。会社の収益力は低いといえます。


3-2-1. アーリー期に必要な資金と金額の目安

アーリー期に必要となるのは、事業を継続させて軌道に乗せるための資金(運転資金)です。1,000万円~5,000万円ほどの資金が必要となるでしょう。


3-2-2. アーリー期におすすめの資金調達方法は5つ

アーリー期の資金調達手段には、次の5つが挙げられます。

1. エンジェル投資家からの出資
2. ベンチャーキャピタルからの出資
3. ファクタリング
4. 小規模事業者持続化補助金
5. キャリアアップ助成金

シード期と同様、アーリー期は民間銀行から融資を受けることは難しいといえます。このため、事業を開始したばかりでも投資してくれる、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルから出資を受けるのが有効です。

しかし、アーリー期は赤字となる場合もあることから、投資する側にとってはリスクがあると見られることもあります。エンジェル投資家やベンチャーキャピタルから資金調達をするには、より質の高い事業計画を提示する必要があります。

ファクタリングも有効な資金調達手段といえます。手元にある売掛債権を売却して現金化できるため、一時的ではありますがアーリー期の資金不足を解消できる可能性があります。

商品やサービスの売り上げが安定していないため、拡販のための資金も必要になっていきます。小規模事業者持続化補助金を活用して、販路拡大に努めたいところです。

事業を軌道に載せるため、人材の育成や確保のための資金(人件費)も必要になるでしょう。この人件費には、キャリアアップ助成金を活用するのがおすすめです。


3-3. ミドル期におすすめの資金調達方法

「ミドル期」は、事業が軌道に乗り始めて黒字化が見えている段階を指します。商品やサービスの認知度、会社の収益力や信用力が高まっている成長時期でもあります。


3-3-1. ミドル期に必要な資金と金額の目安

ミドル期に必要となるのは、事業をさらに成長させるための資金です。売り上げ増加に伴う運転資金や設備資金、優秀な人材の育成や確保のために使う人件費、商品やサービスの知名度をさらに高めるための販路拡大費など、大規模な資金が必要となります。

資金の目安額としては、数億円~10億円となるでしょう。


3-3-2. ミドル期におすすめの資金調達方法は5つ

ミドル期には大規模な資金が必要で、1つの手段から集めることは難しくなります。以下の方法から複数利用して調達していくと良いです。

1. ベンチャーキャピタルからの出資
2. 民間銀行による融資
3. 小規模事業者持続化補助金
4. キャリアアップ助成金

ミドル期になると、会社の信用力が高まっているため、民間銀行からの融資を受けやすくなります。事業の方向性も定まっていることから、ベンチャーキャピタルからの資金調達もしやすくなります。

資金調達手段の選択肢が広がるため、複数の手段を比較・検討し、自社に合う資金調達方法を選ぶことがポイントです。


3-4. レイター期におすすめの資金調達方法

「レイター期」は、ミドル期より商品やサービスの認知度が高まり、経営が安定して黒字化している段階を指します。株式公開(上場)やM&Aを視野に入れる時期でもあります。


3-4-1. レイター期に必要な資金と金額の目安

レイター期では、株式公開(上場)やM&Aを目指してさらに事業の規模を大きくするための資金が必要となります。4つの事業ステージの中でも資金額は大きく、数十億円規模の資金を調達するケースが多いです。


3-4-2. レイター期におすすめの資金調達方法は2つ

レイター期の資金調達手段としては、以下2つが挙げられます

1. 民間銀行からの融資
2. ファクタリング

レイター期では、ミドル期と比べると大型の資金調達が必要となりますが、事業が黒字化しているため民間銀行からの融資は受けやすくなっています。信用保証協会の保証を受けないプロパー融資の他、複数の銀行から規模の大きい資金を調達することも可能なシンジケートローンといった複数の融資を利用できます。


4. スタートアップの主な資金調達方法の比較表

スタートアップの主な資金調達方法の比較表

ここで、スタートアップが使える資金調達方法をまとめます。事業ステージ(成長フェーズ)別におすすめの資金調達をお分かりいただけるよう、比較表にしました。

事業ステージ
(成長フェーズ)
事業の状態 主な資金調達方法
シード期 起業前の段階。
展開する商品やサービスの試作をしている段階で、実際にはビジネスを展開していない。
1. エンジェル投資家からの出資
2. ベンチャーキャピタルからの出資
3. 日本政策金融公庫の新創業制度
4. クラウドファンディング
5. 地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)
6. 地域創造的起業補助金
アーリー期 商品やサービスをリリースし、売上が発生している段階。
マーケティングコストや商品・サービスの研究開発コストが発生するため赤字となる場合がある。
1. エンジェル投資家からの出資
2. ベンチャーキャピタルからの出資
3. ファクタリング
4. 小規模事業者持続化補助金
5. キャリアアップ助成金
ミドル期 事業が軌道に乗り始めて黒字化が見えている段階。
商品やサービスの認知度、会社の収益力や信用力が高まっており、成長している時期。
1. ベンチャーキャピタルからの出資
2. 民間銀行による融資
(保証付融資/保証付融資以外の融資)
3. 小規模事業者持続化補助金
4. キャリアアップ助成金
レイター期 経営が安定して黒字化している段階。
株式公開(上場)やM&Aを視野に入れる時期。
1. 民間銀行からの融資
(保証付融資/保証付融資以外の融資)
2. ファクタリング

自社が今どの事業ステージ(成長フェーズ)にいるかを考慮しながら、適切な資金調達方法を選ぶようにしましょう。

5. スタートアップの資金調達で失敗しないためのポイント4つ

スタートアップの資金調達で失敗しないためのポイント4つ

最後に、スタートアップの資金調達で失敗しないためのポイントを解説します。

1. 事業計画に合わせた資金調達計画を立てる
2. 投資契約書は弁護士に確認してもらう
3. 創業初期には株を放出しすぎない
4. 償還期限の確認をする

上記は、主にエンジェル投資家やベンチャーキャピタルから出資を受けるときに注意したいことです。スタートアップの場合、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルからの出資によって資金調達をする機会が多いため、資金調達をする前にぜひ一読ください。

5-1. 事業計画に合わせた資金調達計画を立てる

最も大切なのは、事業計画に合わせた資金調達計画を立てることです。あいまいな理由で資金調達手段を選ぶと、失敗するリスクが高まります。

資金調達の失敗例としては、

・展開する事業の市場の調査を入念にせず、市場ニーズを客観的に捉えないまま進んでしまった
・創業から間もない企業を支援してくれるエンジェル投資家に頼ったが、高い比率で株式を持たれてしまった
・創業者同士で意見が合わず解散したが、株式を握られたままになってしまった

といったことが挙げられます。

こうした資金調達の失敗を防ぐためにも、事業計画をしっかり立てて、事業ステージごとにどのように資金調達をしていくかを計画していくことが大切です。


5-2. 投資契約書は弁護士に確認してもらう

エンジェル投資家やベンチャーキャピタルから出資を受けることが決まった場合「投資契約書」を締結することになりますが、このとき、投資契約書を弁護士にレビューしてもらうようにしましょう。

投資契約書の中には、株式を高額で買い取ることや株式を買い取る請求を安易に行えることが記載されているなど、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルにとって有利な条項が記載されていることもあります。

エンジェル投資家やベンチャーキャピタルからは、起業の日が浅くても資金調達でき、場合によっては規模のある資金を得られます。しかし、投資契約書によく目を通さないで締結してしまうと、その後の資金調達に苦労することになるでしょう。

投資契約書のレビューの経験が豊富な弁護士に確認を依頼するのがおすすめです。


5-3. 創業初期には株を放出しすぎない

創業初期には、株を放出しすぎないようにしましょう。株を放出しすぎると、多くの投資家が株式を保有してしまい、持ち株が減るリスクが高まるからです。

持ち株が減ってしまうと、経営権をエンジェル投資家やベンチャーキャピタルに奪われてしまう恐れがあり、その後の資金調達にも悪影響を及ぼします。

スタートアップの資金調達相場をリリースしているベンチャーキャピタル・Coral Capitalによると、会社の設立時は1万株~100万株未満で発行することを勧めています。自社にとって不利な資金調達とならないように、株式の発行部数を調整するようにしましょう。

参考:スタートアップ向け法人設立ベストプラクティス(2)―株式数、共同創業者の持株比率はどうする? | Coral Capital


5-4. 償還期限の確認をする

ベンチャーキャピタルから出資を受けるときは、ファンドの償還期限を気にしなければなりません。

ベンチャーキャピタルによっては、ファンドを運営して投資する資金を集めています。償還期限としては10年が一般的です。その償還期限までに、ベンチャーキャピタルが目的とするキャピタルゲインを得られる株式公開(上場)、もしくはM&Aを実現する必要があります。つまり、償還期限までに、利益をリターンとしてベンチャーキャピタルに返さなければならないのです。

償還期限までに株式公開(上場)、もしくはM&Aを実現できなければ、資金を回収される場合があります。資金回収とならないようにするために、償還期限は確認しておきましょう。

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6. まとめ

新しい事業を展開するスタートアップにとって資金調達は難しいと思われがちですが、認められれば事業内容を問わずに資金調達できます。設立から浅くても、資金調達は全くできないわけではありません。

スタートアップが使える資金調達方法は、次の通りです。

資金調達方法 特徴
①出資を受ける エンジェル投資家からの出資 ベンチャー企業やスタートアップに投資する個人投資家「エンジェル投資家」による出資
ベンチャーキャピタルからの出資 自己資金、もしくは投資ファンドを設立して投資家から集めた資金で投資する組織「ベンチャーキャピタル」による出資
②融資を受ける 日本政策金融公庫の新創業融資制度 政府が100%出資する金融機関「日本政策金融公庫」の融資の中で、無担保でベンチャー企業やスタートアップを支援する融資制度
制度融資 地方自治体と金融機関、信用保証組合が連携して、起業家や中小企業を支援する融資制度
信用保証協会保証付融資 信用保証協会が保証人となる融資制度
保証付融資以外の民間銀行の融資 無保証の民間銀行の融資制度
③ファクタリングを利用する 売掛債権を買い取ってもらうことで現金を得るサービス「ファクタリング」を利用して資金を調達
④クラウドファンディングを利用する インターネットを通して不特定多数の人から資金を調達
⑤助成金・補助金を活用する 地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型) 地域貢献性が高い新事業を支援する機関による共同出資を受けて資金を調達
地域創造的起業補助金 起業のときに必要な資金の一部を補助する経済産業省の補助金を受給
小規模事業者持続化補助金 販路開拓にかかわる経費を補助する国の補助金を受給
キャリアアップ助成金 優秀な人材を育成・確保するための厚生労働省が提供する助成金を受給

各資金調達方法は、それぞれメリット・デメリットが異なるため、企業の事業ステージ(成長フェーズ)に合わせて選ぶことがポイントです。

事業ステージ(成長フェーズ) 特徴
シード期 1. 出資を受ける
・エンジェル投資家からの出資
・ベンチャーキャピタルからの出資
2. 融資を受ける
・日本政策金融公庫の新創業制度
3. クラウドファンディングを利用する
4. 助成金・補助金を活用する
・地域中小企業応援ファンド(スタート・アップ応援型)
・地域創造的起業補助金
アーリー期 1. 出資を受ける
・エンジェル投資家からの出資
・ベンチャーキャピタルからの出資
2. ファクタリングを利用する
3. 助成金・補助金を活用する
・小規模事業者持続化補助金
・キャリアアップ助成金
ミドル期 1. 出資を受ける
・ベンチャーキャピタルからの出資
2. 融資を受ける
・民間銀行による融資(保証付融資/保証付融資以外の融資)
3. 助成金・補助金を活用する
・小規模事業者持続化補助金
・キャリアアップ助成金
レイター期 1. 融資を受ける ・民間銀行からの融資(保証付き融資/保証付融資以外の融資)
2. ファクタリングを利用する

スタートアップは、中でもエンジェル投資家やベンチャーキャピタルからの出資によって資金調達をする機会が多いです。エンジェル投資家やベンチャーキャピタルからの資金調達に失敗しないためには、以下のポイントを抑えておくことが大切です。

1. 事業計画に合わせた資金調達計画を立てる
2. 投資契約書は弁護士に確認してもらう
3. 創業初期には株を放出しすぎない
4. 償還期限の確認をする

自社に合う資金調達方法を見極めて、必要な資金を調達できるようにしましょう。

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