資金繰り改善の基礎知識

ファクタリング手数料の相場は?決める要因と抑えるための方法を解説

監修 橋爪 祐典

ファクタリング手数料の相場は?決める要因と抑えるための方法を解説

ファクタリングとは、企業が保有する売掛金をファクタリング会社に売却し、入金期日前に現金化する資金調達手段です。

ファクタリングの手数料の相場は2社間取引で10〜20%、3社間取引で3〜5%です。

ファクタリングの手数料は契約形態や売掛先の信用力、売掛金の金額などで変動するため、正しい知識を身につけて利用することが重要です。

本記事では、ファクタリングの手数料の相場や手数料を決定する要因、手数料を抑えるための方法まで詳しく解説します。

目次

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ファクタリングの手数料の相場

ファクタリングの手数料の相場は5〜20%程度です。ただし、各社の状況や取引形態が2社間・3社間かによって異なるので注意しましょう。

2社間ファクタリングの場合

2社間取引とは、自社とファクタリング会社のみで完結する取引です。

2社間ファクタリングでは、ファクタリング会社に売掛債権の売却を行い、手数料を引いた分の売却代金が支払われます。そして後日、取引先から売掛金が支払われたら、それをファクタリング会社に支払うという流れです。


2社間ファクタリングの仕組み

2社間取引では取引先に売掛金の譲渡が知らされないため、取引先にネガティブな印象を与えずにファクタリングを行うことができます。ただし、手数料は約10〜20%とやや高めに設定される傾向があります。

最近はオンラインで完結するクラウドファクタリングもメジャーです。クラウド化することによって効率化し、低価格を実現しています。

たとえば、フリーランス・個人事業主を対象とした請求書買取サービスFREENANCEでは、即日払いのファクタリングでも、請求書の額面金額の3〜10%に手数料が設定されています。

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3社間ファクタリングの場合

3社間取引とは、自社・ファクタリング会社・売却する売掛金の取引会社を含めた取引をいいます。


3社間ファクタリングの仕組み

この取引では、取引先を含め3社で協議しファクタリング契約を行います。つまり取引先の同意が得られなければ、売掛金を現金化することはできません。

後述する2社間取引(自社とファクタリング会社のみ)よりも回収リスクが低いので、手数料は3〜5%など低めに設定されているケースが多いです。

ファクタリングで手数料以外にかかる費用

ファクタリングを利用する際、ファクタリング会社による売掛金の買取りには基本手数料がかかります。それ以外に次の費用も必要です。

  • 債権譲渡登記費用
  • 事務手数料
  • 出張費
  • 印紙税

債権譲渡登記費用は、第三者に対抗するための登記にかかる費用です。2社間ファクタリングでは、債権の譲渡を法的に証明するため、登記が必要なケースがあります。

債権譲渡登記には、1件につき7,500円の登録免許税と、5〜10万円程度の司法書士への報酬が発生します。

さらに、ファクタリング会社が審査や契約する際の数千円程度の事務手数料や、担当者が出張して契約や審査をする際の出張費用が必要です。

また、契約書に貼付する収入印紙には印紙代が必要で、契約金額の記載のないものや1万円以上の契約で200円です。ただし、電子契約なら必要ありません。


出典:法務省「(債権譲渡登記等)添付書面・登録免許税」
出典:国税庁「No.7140 印紙税額の一覧表(その1)第1号文書から第4号文書まで」

ファクタリングの手数料に影響する要因

ファクタリングの手数料は、さまざまな要因で決定されます。ファクタリングの手数料に影響を与える主な要因は、以下のとおりです。

手数料に影響を与える要因を理解することで、より有利な条件で資金調達できるでしょう。

契約形態の種類

2社間ファクタリングと3社間ファクタリングで手数料は異なります。

2社間ファクタリングは、売掛先に知られることなく資金調達できるメリットがある反面、ファクタリング会社にとってリスクが高いため、手数料は10〜20%と高めに設定されています。

3社間ファクタリングは、売掛先が直接ファクタリング会社に支払うため、未回収リスクが大幅に低減されます。そのため手数料は3〜5%程度と、2社間ファクタリングに比べて安くなります。

取引先(売掛先)の信用力

銀行融資やビジネスローンなどは自社の信用力が重視されますが、ファクタリングの場合は取引先(売掛先)の信用力がチェックされます。

ファクタリングでは、買い取ってもらった売掛金を期日に入金する必要があります。このため売掛金を回収できるかどうかは、取引先(売掛先)の信用力にかかっているのです。

売掛先の信用力が高ければ未回収のリスクも下がるため手数料は低くなりますが、信用力が低い場合は万が一のリスクに備えて手数料は高めに設定されます。

売掛金の金額

ファクタリング会社は手数料によって利益を得ており、譲渡される売掛金の金額が高いほど利益が上がります。このため、売掛金の金額が高いほど、手数料は低めに設定されるのです。

支払期日までの期間

売掛金の支払期日までの期間が短いほど回収リスクが低いため、手数料は安くなる傾向があります。

一方、支払期日が長いと、ファクタリング会社が資金を回収するまでの期間が延びるため、未回収リスクが高まります。結果として、手数料も高く設定されやすくなるのです。

売掛先企業が倒産して代金が支払われないなどの事態が起きると、ファクタリング会社は大きな損失を抱えます。

ファクタリングの利用実績

初回利用時と比べて、継続利用している企業には優遇された手数料が適用されることが多いでしょう。

初めてファクタリングを利用する際、ファクタリング会社は利用企業の信頼性を十分に把握していないため、リスクを考慮して手数料を高めに設定します。

しかし、複数回の取引を通じて適切に売掛金を処理した実績があれば、ファクタリング会社との信頼関係が構築されるでしょう。

ファクタリングの手数料を抑える方法

ファクタリングの手数料を抑える主な方法は、以下のとおりです。

複数のファクタリング会社を比較する

ファクタリング会社によって提示される手数料には差があるため、複数の会社から見積もりを取って比較しましょう。

見積もりの際は、各社の手数料率だけでなく、支払う費用や入金までのスピード、サービスの質なども総合的に比較することをおすすめします。

一見手数料が安くても、別途高額な事務手数料が必要なこともあるため、総額で判断することが重要です。

継続利用でファクタリングの利用実績を積む

ファクタリングの利用実績は手数料に影響します。同じファクタリング会社を継続的に利用することで、手数料の優遇を受けられる可能性が高まるでしょう。

初回利用時は審査が厳しく、手数料も高めに設定されることが少なくありません。しかし、利用を重ねるうちに、ファクタリング会社との信頼関係が構築されます。適切に取引を完了させた実績があれば、リスクが低いと判断され、手数料の引き下げ交渉もしやすくなるでしょう。

オンラインファクタリングを利用する

オンラインファクタリングは、従来の対面型ファクタリングと比べて手数料が比較的安く設定されています。

オンラインファクタリングでは、申込から契約、入金まですべての手続きがインターネット上で完結します。店舗運営費や人件費などのコストが削減されるため、その分手数料を安く設定できるのです。また、24時間いつでも申し込みができ、審査から入金までスムーズに完了します。

さらに、オンラインファクタリングでは書類のやり取りも電子化されているため、郵送費や印紙代などの実費も削減可能です。

信用力の高い取引先の売掛金を使う

売掛先の信用が高いほど、支払遅延や未回収のリスクが低いと判断されるため、手数料も低く設定されやすくなります。

公的機関や大手企業など、社会的に信頼性の高い企業との取引や、過去に継続的な取引実績がある売掛先の債権を選ぶとよいでしょう。

一方、創業して間もない企業や、業績が不安定な業種の売掛先の場合、手数料は高くなりがちです。複数の売掛金から選べる状況であれば、信用力の高い売掛先を選べば、資金調達コストを削減できます。

売却金額が大きい売掛金を選ぶ

売掛金の金額が大きいほど手数料率は低くなるため、複数の小口売掛金よりも、まとまった金額の売掛金を一度に売却する方が有利です。

たとえば、100万円の売掛金を3件に分けて売却すると、1件あたりの手数料率が5%なら、合計で15万円の手数料がかかります。一方で、300万円をまとめて1件として売却すれば、手数料率が3%に下がり、手数料は9万円に抑えられる可能性があります。

支払期日が近い売掛金を選ぶ

支払期日までの期間が短いほど、ファクタリング会社が資金を回収するまでの時間が短くなり、リスクも低いと判断され、手数料率も下がりやすくなります。

一方、支払期日までの期間が長い売掛金は、売掛先の経営悪化や倒産などのリスクが高まり、手数料が上がります。

ファクタリング会社のキャンペーンを利用する

一部のファクタリング会社では、新規顧客獲得や利用促進のためにキャンペーンを実施していることがあります。キャンペーンを活用することで、通常よりも低い手数料でファクタリングを利用できる可能性があるでしょう。

たとえば、初回利用時の手数料割引キャンペーンや、特定の期間内に申し込むと手数料が優遇されるキャンペーンなどがあります。

ただし、手数料以外の条件が厳しくなっていることもあるため、キャンペーン利用時は割引の条件や適用期間をしっかり確認することが重要です。

ファクタリング以外の資金調達の利用

資金繰りを考えるにあたって、以下のような状況下ではファクタリングは活用の余地があるでしょう。

  • 銀行や自治体に融資を申し込んだが断られてしまった
  • 融資を申し込むにあたって、担保や保証人がいない
  • 融資の審査を待つ時間がなく、早く手元に現金が欲しい
  • 融資を申し込むほどではない、小口の資金が必要

しかし、売掛債権だけではカバーできない金額が必要な場合や、手数料が思ったよりも高かったという場合も考えられます。

その場合は、ビジネスローンやクレジットカードの活用など、ほかにも資金調達の手段も検討する必要がありますが、根本的に普段から資金繰りをチェックし適切な対応をする必要があります。

中小企業の経営者や個人事業主が、事業の状況に合わせ迅速に資金調達をするために、freee会計が提供する資金繰り改善ナビがおすすめです。

まとめ

ファクタリングの手数料は、2社間取引で10〜20%、3社間取引で3〜5%が相場です。

手数料は契約形態や売掛先の信用力、売掛金の金額、支払期日までの期間、利用実績などさまざまな要因で決まります。

手数料を抑えるためには、ファクタリング会社の比較や継続利用による実績の積み重ね、オンラインファクタリングの活用、信用力の高い売掛先の選択が効果的です。

また、売却金額が大きく支払期日が近い売掛金を選ぶことで、より有利な条件で資金調達できます。

ファクタリング以外にも、銀行融資やビジネスローンなど、さまざまな資金調達手段があります。それぞれの特徴を理解し、自社の状況に最適な方法を選択することが重要です。

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FREENANCE(フリーナンス)では即日払いに対応しており、請求書(売掛債権)を買い取ってもらうことで、早く現金化できます。手数料は3〜10%で、FREENANCE(フリーナンス)の口座利用状況で変動します。

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よくある質問

ファクタリングの手数料はいくらですか?

ファクタリングの手数料は契約形態で異なります。2社間ファクタリングは、売掛金額の10〜20%が相場です。一方、3社間ファクタリングは3〜5%と、比較的低めに設定されています。

実際の手数料は、売掛先の信用力や売掛金の金額、支払期日までの期間などの要因でも変動するため、複数のファクタリング会社から見積もりを取って比較することが重要です。

詳しくは記事内「ファクタリングの手数料の相場」をご覧ください。

ファクタリングにはどのような費用がかかりますか?

ファクタリングには、基本手数料以外にもさまざまな費用がかかります。主な費用は以下のとおりです。

  • 債権譲渡登記費用
  • 事務手数料
  • 出張費
  • 印紙税

オンラインファクタリングを利用すれば、費用が削減されることもあります。見積もりを取る際は、手数料だけでなく、その他の費用も含めた総額で比較することが大切です。

詳しくは記事内「ファクタリングで手数料以外にかかる費用」をご覧ください。

監修 橋爪 祐典(はしづめ ゆうすけ)

2018年から現在まで、税理士として税理士法人で活動。中小企業やフリーランスなどの個人事業主を対象とした所得税、法人税、会計業務を得意とし、相続業務や株価評価、財務デューデリジェンスなども経験している。税務記事の執筆や監修なども多数経験している。

監修者 橋爪 祐典

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