最終更新日:2022/04/22
青色申告特別控除を受けることができるなど、税制面でいろいろと有利な青色申告。不動産所得の確定申告を青色申告で行うためには、記帳方法や規模などの条件があります。
この記事では、不動産所得があり青色申告に切り替えようか検討中の方に、そのメリットや収入から差し引くことができる経費などについてご紹介します。
※2022年3月16日追記※
e-Taxの接続障害の影響で期限である3月15日までに確定申告を完了できなかったケースについて、国税庁から延期申請に関する発表がありました。
- e-Tax障害による延期申請の旨を記載した上で、2022年4月15日までに書面またはe-Taxで提出すれば期限後申告の扱いにならない。
- 65万円の青色申告特別控除を受ける場合、e-Tax障害による延期申請の旨を記載した上で、2022年4月15日までにe-Taxで提出すれば65万円控除を受けられる。すでに書面で提出している場合も、同様の方法で再提出することで65万円控除を受けられる。
詳細は国税庁のホームページをご覧ください。
また、freee会計を利用してe-Taxを行う場合の対応については「令和4年3月14日 e-Tax接続障害 freeeでの対応」をご確認ください。
目次
不動産所得の確定申告を青色申告で行うために必要なこと
青色申告を新規で行うためには、まず管轄の税務署へ「所得税の青色申告承認申請書」を提出しなければなりません。提出時期は青色申告を始める年の3月15日までです。
青色申告にしようと準備をしていたのに届け出を忘れることがないよう、早めに提出しておきましょう。
記帳方法
青色申告の場合は複式簿記での記帳が必須です。売上や経費などを複式簿記で記帳し、損益計算書と貸借対照表を作成します。これらの決算書は確定申告の際に提出します。
帳簿や請求書、領収書は確定申告書の提出期限日の翌日から7年間の保存が義務づけられています。
貸付け規模
不動産所得で65万円の青色申告特別控除を受けられるのは、不動産の貸付け規模が事業的規模にあたる場合に限られます。事業的規模にあたるのは、以下のような場合です。
- 独立家屋:概ね5棟以上の貸付け
- 貸間やアパート等:賃貸が可能な独立した部屋が概ね10室以上
この5棟10室を目安に事業的規模かどうかを判断し、事業的規模にあたる場合は65万円の青色申告特別控除に加え、専従者給与控除が認められます。事業的規模でない場合は専従者給与控除は使えず、青色申告特別控除の額も10万円となります。
不動産所得の確定申告を青色申告で行うメリット
不動産所得の確定申告を青色申告で行う代表的なメリットは、白色申告に比べてより多くの必要経費や科目数が認められることや所得控除額を増やせることです。
所得から差し引くことができる額が増えるため節税にもつながります。ほかにどのようなメリットがあるのかみていきましょう。
青色申告特別控除
青色申告特別控除には55万円(65万円)と10万円の2種類があり、青色申告の場合のみどちらかを選んで控除を受けることができます。
節税効果の高い55万円(65万円)の控除を受けるためには、下記の条件をすべて満たす必要があります。
- 事業所得または不動産所得を得る事業を行っていること
- 複式簿記で記帳していること
- 確定申告時に貸借対照表と損益計算書を添付したうえで、控除を受ける金額を記載し、決められた期限内に確定申告を行うこと
- e-Taxで青色申告の手続きを行うこと
青色申告特別控除について詳しく知りたい方は以下の記事もあわせてご覧ください。
【関連記事】
青色申告特別控除とは?控除を受ける条件と節税効果について解説
専従者給与控除
青色申告では家族を従業員にして給与を支払った場合、その額を必要経費に計上することができます。専従者給与の対象者は、同居あるいは生計を一にしている配偶者や親、15歳以上の子供、祖父母などです。
赤字の繰り越し
青色申告にすることで不動産所得が赤字になった場合は3年以内であれば赤字分を繰り越し、黒字になった年にその課税所得から繰り越した赤字分を差し引く繰越控除を受けられます。修繕工事などで赤字になった場合にそれを繰り越せるため、とても役に立ちます。
賃貸用の不動産を取り壊すことは資産の損失にあたりますが、その費用を必要経費として計上できるため、不動産所得が赤字の場合は、他の所得との損益通算が可能です。白色申告の場合は、不動産所得金額が0円になるだけで、赤字として計上することはできません。
少額減価償却資産の特例
30万円未満の資産であれば、毎年減価償却にせずに取得した年に全額経費にすることが可能です。
貸倒損失の計上
回収できない賃貸料が発生した場合、貸倒損失もその年の必要経費として計上できます。
不動産所得の経費にできるものは?
青色申告にすることで不動産所得の経費にできる科目も増えます。特に、修繕費や減価償却費、人件費などの点でメリットが大きくなります。
修繕費
維持管理や原状回復のための費用が修繕費です。3年以内の周期で行う修繕や、20万円未満の修繕は経費に入れることができます。建物などの価値を高めたり耐久性を増したりするための修繕は、経費に入れることはできず「基本的支出」として計上します。
修繕費かどうかあいまいな場合は、60万円未満か、修繕した資産が前年末での取得価額の概ね10%相当額以下のどちらかであれば、修繕費に計上できます。
減価償却費
建物は耐用年数に応じて、毎年減価償却費として経費に入れることができます。30万円未満の少額資産の場合は年間300万円まで一括計上が可能です。
損害保険料
火災保険料や地震保険料を経費にすることができます。前払いした保険料は、その年の分のみ経費として計上できます。
租税公課
土地や建物の固定資産税、事業税、不動産取得税、自動車税、印紙税などの租税公課を経費にできます。
借入金利息
建物や土地の取得のために金融機関から借り入れた費用の利息は必要経費になります。しかし、元本は経費にはなりませんので注意してください。
管理費
仲介業者や物件管理会社などに支払う管理費は経費にすることが可能です。
人件費
従業員に支払う給与も経費計上が可能です。家族が従業員になっている場合は、青色専従者給与控除が適用されます。
まとめ
不動産所得の青色申告は控除額や必要経費の計上などで白色申告に比べると優遇され、税制面でもさまざまなメリットがあります。事業的規模で不動産を所有する大家さんは、青色申告を検討してみることをおすすめします。
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