監修 橋爪 祐典(税理士)
運転資金とは、企業が日々の経営を続けるために必要な資金のことです。
十分な運転資金がないと、仕入れが止まったり給与が支払えなくなったりと、事業の継続自体が難しくなるおそれがあります。
運転資金にはさまざまな種類や調達方法があり、計算方法も複雑です。この記事では、運転資金の概要や種類、計算・調達の方法をわかりやすく解説します。
目次
- 運転資金とは
- 運転資金と設備資金の違い
- 運転資金の種類
- 経常運転資金
- 増加運転資金
- 減少運転資金
- 季節性運転資金
- 必要な運転資金の目安
- 運転資金の計算方法
- 在高方式
- 回転期間方式
- 運転資金を確保するメリット
- 黒字倒産を防げる
- 受注増に対応しやすい
- 不測の事態に対応しやすい
- 会社の信用度が高まる
- 運転資金が不足することで起こりうるリスク
- 取引先への支払いが遅れる
- 取引の機会を失う
- 従業員の雇用が不安定になる
- 倒産の可能性がある
- 運転資金不足を解消するには
- 資金繰り表でキャッシュフローを把握する
- 在庫数を圧縮する
- 代金の支払期間を延長してもらう
- 運転資金を調達する方法
- 日本政策金融公庫から融資を受ける
- 金融機関から融資を受ける
- ビジネスローンを借りる
- 国や自治体の補助金・助成金を使う
- ファクタリングを利用する
- まとめ
- よくある質問
運転資金とは
運転資金とは、事業を日々回していくために必要な資金のことです。運転資金には変動費と固定費の2つの費用があります。
| 変動費 | 固定費 |
|---|---|
| ・仕入費 ・材料費 ・外注費 ・送料 ・消耗品費 など | ・人件費 ・光熱費 ・リース料 ・保険料 ・返済費 など |
変動費は売上高や生産量と連動して金額が変わる資金です。一方、固定費は毎月定期的にかかるものです。
どちらも売上の入金を待たずに支払わなければならないケースがあります。安定したキャッシュフローを維持するためにも、運転資金の用意は必須なのです。
運転資金と設備資金の違い
運転資金と混同されがちなものに「設備資金」があります。
運転資金は、売上を回収しつつ仕入れや経費の支払いに充てていく、経営サイクルを回すための資金です。一方、設備資金は、事業を始めたり拡大したりするための投資資金です。
たとえば、店舗を開業する場合、運転資金と設備資金は以下のように分かれます。
| 運転資金 | 設備資金 |
|---|---|
| ・仕入代金 ・従業員の給与 ・消耗品費 ・光熱費 ・保険料 など | ・機材購入費 ・内外装工事費 ・車両費 ・設備購入費 ・敷金 など |
それぞれの資金の違いを理解し、どちらの資金が現在必要なのかを明確にしたうえで資金計画や事業計画を立てていく必要があります。
運転資金の種類
運転資金は、会社の経営状況や時季などにより、以下の4種類に分類されます。
それぞれの特性を理解することで、どういったときにどの種類の運転資金が必要なのか見えてきます。運転資金の種類を解説します。
経常運転資金
経常運転資金とは、会社が日々の事業を継続するために必要な資金です。
基本的に代金の回収前に仕入代金や人件費を支払う必要があるため、経常運転資金が不足すると、資金繰りが次第に不安定になる可能性があります。
経営にかかわる重要な資金であり、運転資金を用意する場合、まずは経常運転資金を備えることになります。資金が枯渇しないよう、金額を都度適切に把握するなど徹底した管理が重要です。
増加運転資金
増加運転資金とは、売上が順調に拡大していく成長期に、経常運転資金に加えて必要になるお金です。
準備を怠ると、利益が出ているにもかかわらず資金がショートする「黒字倒産」を招く危険性があります。売上が増えれば、それに伴い仕入れや在庫の量も増やさなければならないためです。
売上の入金よりも仕入代金の支払いが先に来るため、事業規模が大きくなるほど、立て替えるべき資金額が膨らみます。大型案件の受注で売上が急増した際や材料の仕入費がかさんだ場合は、早急に増加運転資金を備えるようにしましょう。
減少運転資金
減少運転資金とは、売上が落ち込んでいる厳しい状況で、資金繰りが圧迫されないように用意しておく資金です。
売上が減少すると「自社に入ってくるお金が少なくなる」「商品が売れ残って不良在庫になる」といった事象が起きます。
収入が減る一方で、過去の仕入れに対する買掛金の支払いや、家賃・人件費といった固定費の支払いはこれまでと同様に発生します。この結果、キャッシュフローが悪化し、資金不足に陥るのです。
たとえば、主要取引先からの受注が急になくなり、在庫を現金化できないまま固定費の支払いを迎えるといった状況が考えられます。資金が不足し支払いが難しくなる見込みであれば、早急につなぎ資金の用意を検討する必要があります。
季節性運転資金
季節性運転資金とは、特定の季節やイベントに応じて売上が大きく変動する業種で、一時的に必要となる資金です。飲食店が忘年会シーズンに備えたり、アパレル業が夏のセールに向けて商品を準備したりするケースが該当します。
繁忙期には大きな売上が期待できる反面、その前から食材や商品を大量に仕入れたり、短期の従業員を雇用したりする必要があるため、支出が先行します。その際に、一時的な資金の流れが停滞しないよう、季節性運転資金が必要になるのです。
季節性運転資金を用意しておかないと、ビジネスチャンスを逃す要因にもなります。銀行からの短期融資や当座貸越などを活用して備えておきましょう。
必要な運転資金の目安
必要な運転資金の目安は「月商・月間の総費用の約3ヶ月分〜半年分」と考えておきましょう。
3ヶ月分の売上程度の資金があれば、急な売上の減少や予期せぬ費用の発生といった不測の事態に直面しても、事業を停止させることなく経営を継続しやすくなるでしょう。
ただし、実際に必要になる運転資金は、業種や取引要件によって異なります。飲食店のように営業日に都度現金が入ってくる事業では少なく済むケースがあります。
一方、業者向けの事業をしている場合は、入金までの期間が長引く可能性もあり、より多くの運転資金が必要になるでしょう。
自社の想定売上や現状の財政状況から、必要な金額を把握して運転資金を用意することが重要です。
運転資金の計算方法
運転資金の計算の仕方は、在高方式と回転期間方式の2つがあります。
一般的には、必要な運転資金額を簡単に把握できる在高方式が用いられますが、より詳しく必要な資金額を知りたい場合は、回転期間方式を使います。金融機関への説明にも利用できるため、ぜひおさえておきましょう。
在高方式
在高方式は、事業を回すためにどれくらいの資金が固定化されているかを算出するものです。計算式は、以下のとおりです。
運転資金 = 売上債権 + 棚卸資産 ー 買入債務
立て替えている金額の合計(売上債権・棚卸資産)から、支払いを待ってもらっている額(買入債務)を差し引くことで、実質的に会社が用意すべき資金額を計算します。
金融機関が融資審査で用いる算出方法でもあり、運転資金を管理する際には必ず覚えておきたい計算方法です。
回転期間方式
回転期間方式は、商品を仕入れてから現金として回収するまでの期間(CCC)をもとに運転資金を算出する手法です。
自社の資金繰りの効率性を測り、改善の余地がある箇所を可視化できます。計算式は、以下のとおりです。
運転資金 = 平均月商 ×(売上債権回転期間 + 棚卸資産回転期間 - 買入債務回転期間)
日数が長いほど、多くの資金を長期間立て替える必要があり、運転資金も多く必要になります。
日数を計算することで「在庫を持ちすぎている」「売掛金の回収が遅い」など、資金繰りが厳しい要因を突き止められます。在高方式で金額を把握したら、回転期間方式で資金が必要な期間を把握し、適切に運転資金を管理しましょう。
運転資金を確保するメリット
運転資金を確保する主なメリットは以下のとおりです。
運転資金を確保するメリット
黒字倒産を防げる
十分な運転資金を確保しておけば、利益があるにもかかわらず現金が不足し支払いができなくなる「黒字倒産」を防げます。
売上が計上されても、売掛金の入金が数ヶ月先になることは珍しくありません。しかし、仕入代金や人件費、家賃といった支払いは入金を待たずに済ませる必要があります。この入金と支出のタイミングのギャップを埋めるのが運転資金の役割であり、不足すると事業継続が困難になります。
安定した経営をするには、損益計算書の利益だけでなくキャッシュフローを意識し、十分な現金を確保しておくのが重要です。
受注増に対応しやすい
手元に潤沢な運転資金があれば、大口受注や繁忙期といったビジネスチャンスを逃すことなく、迅速に対応できます。
売上が増加する局面では、先に追加の費用が発生するのが一般的です。受注が増えれば、より多くの原材料を仕入れたり、一時的に人員を増強したりする必要があります。こうした支出を自己資金で賄えない場合、企業の成長機会を逃してしまいかねません。
受注増に対応できるだけの運転資金があれば、事業の拡大やさらなる発展が期待できるでしょう。
不測の事態に対応しやすい
運転資金が用意できていれば、事業運営での不測の事態にも対応しやすいです。取引先の倒産や設備故障、自然災害など、予定外の支出はいつ起こるかわかりません。こうした状況で支払いに充てられる現金がなければ、事業の存続にも影響する可能性があります。
さまざまなケースに備えて運転資金を用意しておけば、緊急時のリスク対策につながり、経営にも安心感をもたらせるのです。
会社の信用度が高まる
安定した運転資金を確保し、健全な資金繰りを維持していれば、金融機関や取引先からの信用度が高まります。融資審査の際の返済能力も評価してもらえるため、追加融資も受けやすくなるでしょう。
仕入先や取引先からも信頼を得られるため、条件の改善交渉などにも有利に働く可能性があります。事業全般に好影響をもたらすため、運転資金の確保は会社経営には欠かせません。
運転資金が不足することで起こりうるリスク
運転資金が不足すると、取引先への支払いが遅れたり、取引機会に影響をおよぼします。また、従業員の雇用や経営にまで支障をきたす可能性もあります。
運転資金が不足することで起こりうるリスク
リスクをおさえて、適切なタイミングで運転資金を確保できるようにしておきましょう。
取引先への支払いが遅れる
運転資金が不足した際には、取引先への支払いの遅れが発生します。取引先の信用を失う可能性があり、今後の取引にも影響する可能性があります。
手元に現金がなければ、たとえ売上が順調であっても、約束の期日に買掛金や経費を支払うことはできません。一度でも支払いが遅延すると「あの会社は経営が危ないのではないか」と疑われ、支払方式を現金払いへ変更されたり、取引を断られたりすることも想定されます。
安定した事業を継続するためには、取引先との信頼関係を維持することが不可欠です。少なくとも、月商・月間の総費用の約3ヶ月分〜半年分程度の運転資金を用意しておきましょう。
取引の機会を失う
運転資金の不足は、ビジネスチャンスを逃す原因になります。売上を増やすためには、先立って仕入れを増やしたり、広告を強化したりといった先行投資が必要になるからです。
たとえば、売上を大きく伸ばせるような大口の受注や、有利な条件でのまとめ買いも、資金がなければ機会を失ってしまいます。
手元に資金がなく受注ができなくなるのは、もったいない事例です。事業を成長させるためにも、運転資金を確保してビジネスチャンスに備える必要があるのです。
従業員の雇用が不安定になる
資金繰りの悪化がさらに進むと、従業員の雇用が困難になります。人件費は売上にかかわらず毎月発生します。支払いができなくなると、従業員の生活が一変してしまうのです。最悪の場合、優秀な人材の流出やサービス品質低下による売上低下を招く可能性もあります。
経営者として従業員の雇用を守るためにも、運転資金を確保しておかなければなりません。
倒産の可能性がある
運転資金が枯渇してしまうと、倒産の可能性が考えられます。赤字の場合だけでなく、会計上黒字であっても、前述のような黒字倒産のリスクがあります。
倒産とは、支払いが立ち行かなくなり、事業活動が困難になることです。たとえ黒字であっても、手元に資金がなければ支払いができなくなり、倒産状態になってしまうのです。
運転資金の管理は、倒産リスクのコントロールに直結します。将来のキャッシュフローを予測し、早めに資金を確保することが重要です。
運転資金不足を解消するには
運転資金不足を解消するには、キャッシュフローの把握や在庫の圧縮といった工夫が求められます。状況によっては、支払期間の延長を交渉するのも有効でしょう。運転資金不足を解消する方法を3つ解説します。
資金繰り表でキャッシュフローを把握する
運転資金不足を解消するには、まず資金繰り表でキャッシュフローの把握に努めましょう。
資金繰り表とは、一定期間の現金収入や支出をまとめた書類です。数ヶ月先までの入出金を可視化することで、資金ショートを防ぎます。都度更新していけば資金繰りの可視化が習慣づけられ、適切なキャッシュフロー管理が可能です。
資金が不足しそうなタイミングがある場合は、早いうちから融資などの資金調達手段を講じるようにしましょう。
在庫数を圧縮する
在庫数を圧縮すると、資金繰りの改善が可能です。在庫は会計上資産に分類されますが、キャッシュフローにおいては「販売されるまで現金化されないお金」といえます。売れない在庫を大量に抱えてしまうと、仕入れに費やした資金をいつまで経っても現金化できず、資金繰りを圧迫します。
在庫を圧縮する際は、需要の予測精度を上げたり、セールで在庫を一掃したりするとよいです。在庫の回転日数を短くすれば、仕入れに使っていた資金を他の支払いに回せるようになり、資金繰りを改善できます。
代金の支払期間を延長してもらう
資金繰りを安定させるには、仕入れ先と代金の支払期間(支払いサイト)の延長を交渉するのも有効です。支払いサイトを延長できれば、延ばした期間だけ現金を自社に置いておけます。
取引先との交渉は、丁寧にする必要があります。交渉の仕方次第では今後の取引に影響がおよぶため、相手の状況にも配慮した誠実な交渉をするようにしましょう。
ただし、交渉はなかなか難しいうえ、再延長すると自社の信頼を損なう可能性があります。あくまで一時的な対応や緊急措置として交渉するのがよいでしょう。取引先との交渉が難しそうであれば、法人クレジットカードなど後払い決済システムを活用するのもひとつの手です。
運転資金を調達する方法
運転資金を調達する方法は、以下の5つです。
資金を用意するまでの時間や資金額、自社の経営状況などから、適切な方法を選び、資金繰りの改善につなげましょう。
日本政策金融公庫から融資を受ける
日本政策金融公庫は、創業したばかりの経営者や個人事業主にとっては、有力な選択肢です。
日本政策金融公庫は政府系金融機関であり、金利が低く返済期間が長いため、月々の返済負担を抑えられます。また、担保や保証人も不要なケースがあり、資本金の少ない人や創業したばかりの人でも利用しやすい点が特徴です。
たとえば「新規開業・スタートアップ支援資金」の場合は、4,800万円までの資金を最長10年、金利は1〜3%台程度で借りられます。
融資を受けるには、具体性ある事業計画書や創業計画書を用意しておきましょう。
金融機関から融資を受ける
事業実績が安定している企業がまとまった運転資金を確保するには、金融機関からの融資を検討しましょう。
すでに取引履歴のある金融機関なら、自社の財務状況や事業を理解してくれているため、手続きや審査がスムーズに進められます。一定の限度額内で自由に借入・返済ができる当座貸越契約ができれば、急な資金需要にも対応可能です。
ただし、審査は自社の財務状況や経営状況などを細かくチェックされます。過去の決算内容や支払能力が金融機関の基準に満たなければ、資金を借りられない可能性もあるでしょう。
安定した事業実績をつくっておくと同時に、定期的に経営状況を報告して金融機関と良好な関係を築いておきましょう。
ビジネスローンを借りる
資金をすぐに手元に用意したい場合は、ビジネスローンの活用を検討しましょう。
ビジネスローンは銀行に加え、消費者金融などのノンバンクも提供しているサービスです。審査プロセスが簡素で、最短即日での融資を受けられます。支払いが目前に迫っているときなどに活用してみましょう。
ただし、資金調達がスピーディーな分、金利は高めです。年利10%以上となることもあるため、長期の負担は経営に支障をおよぼします。あくまで緊急のつなぎ資金として使うようにし、利用が常態化しないよう注意してください。
国や自治体の補助金・助成金を使う
ITツールの導入や新規雇用など、特定の目的を持った投資を計画している場合は、補助金活用を検討してみましょう。補助金は、国や自治体が特定の事業者の取り組みを支援するもので、返済不要の資金として活用できるのが特徴です。
たとえば、IT導入補助金は、会計ソフトやソフトウェアの導入時に、導入費用の2分の1以内もしくは3分の2以内が補助されます。
一方、補助金の使い道は厳格に定められているうえ、基本的に経費を使い実績を挙げた後に支払われます。よって、日々の運転資金の補填としては不向きです。また、業種も限られることがあるため「該当するものがあれば利用する」といった程度で検討しておきましょう。
ファクタリングを利用する
売掛金の入金前に急な支払いが発生した場合は、ファクタリングも有効な選択肢となります。
ファクタリングは、保有している売掛債権を売却して現金化する制度です。融資ではなく「債権の売買契約」であるため、決算書上の負債が増えず、その後融資を受ける際の審査に影響を与えにくいメリットがあります。また、審査の対象は主に売掛先の信用力であるため、自社が赤字決算でも利用しやすいのが特徴です。
手数料は融資の金利より割高になる傾向がありますが、最短即日で現金化できるスピードも魅力です。一時的な資金不足を乗り切るための有効な選択肢のひとつといえるでしょう。
まとめ
運転資金は、日々の経営を円滑に進めるためには、必ず確保しておかなければならない資金です。運転資金が枯渇すると資金繰りが厳しくなり、支払いの遅れや取引の縮小、最悪の場合倒産など、さまざまなリスクを背負います。
運転資金を確保するには、自社で在庫を減らす工夫をしたり、資金繰り表でキャッシュフローを可視化したりするのが望ましいです。また、金融機関の融資やファクタリングといった調達手段を複数持っておくのも重要です。運転資金を適切に管理し、安定した経営ができる状態を保つようにしましょう。
運転資金を確保する手段を比較検討する際は、freee資金調達を利用すれば、自社にあった手段で資金を手に入れられます。
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よくある質問
運転資金の計算結果がマイナスだとよくないですか?
運転資金の計算結果がマイナスになることは、決して悪いことではありません。
特に、商品を仕入れてから現金として回収するまでの期間である「CCC」の計算については、マイナスだと支払いよりも代金の回収が先行している状態を示します。そのため「お金を効率的に回せている」といえるでしょう。
運転資金融資の審査のポイントはなんですか?
運転資金を融資してもらう際、審査で重要視されるのは、資金の妥当性と返済能力です。
運転資金は使途が見えにくく「本当にその金額が必要か」「返せる見込みがあるか」を銀行も細かくチェックします。
「売上増による仕入れ先行のため」「季節性による一時的な減収に備えるため」といった明確な理由や、事業計画書や資金繰り表から十分な返済能力が見込めれば、融資を受けやすくなるでしょう。
運転資金回転期間とはなんですか?
運転資金回転期間とは、事業に投下した運転資金が、売上という形で現金として回収されるまでに平均で何日かかるかを示す指標です。CCCとほぼ同じ意味で使われ、資金繰りの効率性を測るための重要な指標です。
運転資金回転期間が短いほど、投下した資金がスピーディーに現金に戻ることを意味し、効率のよい経営と評価されます。逆に長ければ、それだけ多くの資金が売掛金や在庫として長期間固定化されるため、資金繰りが厳しくなります。
運転資金回転期間は「運転資金 ÷ 1日あたりの売上高」で算出可能です。
監修 橋爪 祐典(はしづめ ゆうすけ)
2018年から現在まで、税理士として税理士法人で活動。中小企業やフリーランスなどの個人事業主を対象とした所得税、法人税、会計業務を得意とし、相続業務や株価評価、財務デューデリジェンスなども経験している。税務記事の執筆や監修なども多数経験している。

