資金繰り改善の基礎知識

ファクタリング会社の選ぶときのポイント・注意点をわかりやすく解説

監修 橋爪 祐典 税理士

ファクタリング会社の選ぶときのポイント・注意点をわかりやすく解説

ファクタリングとは、売掛金の入金を待たずに現金化できる資金調達手段です。

企業が保有する売掛債権を買い取り、現金化するサービスを提供するファクタリング会社を利用することで、最短即日で資金調達できたり、保証人や担保が必要なかったりと、さまざまなメリットがあります。

本記事では、ファクタリング会社の種類や選ぶときのポイント・注意点についてわかりやすく解説します。ファクタリングの基礎知識について知りたい方は、別記事「ファクタリングとは?仕組みや種類を図解でわかりやすく解説」をあわせてご確認ください。

目次

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ファクタリング会社とは

ファクタリング会社とは、企業が保有する売掛債権を買い取り、現金化するサービスを提供する事業者です。

通常、売掛金は取引先から入金されるまで数ヶ月かかることがありますが、ファクタリングを利用すれば即座に資金調達できます。

ファクタリングは融資ではなく債権の売買取引であるため、企業の信用情報に影響を与えません。売掛先企業の信用力が審査の中心となるため、自社の財務状況が厳しい場合でも利用しやすい特徴があります。

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ファクタリング会社の種類

ファクタリング会社は運営組織によって次の3つのタイプに分類されます。

それぞれのファクタリング会社で特徴があり、利用目的や状況に応じて最適な選択が変わります。

銀行系ファクタリング会社

銀行系ファクタリングとは、銀行や銀行のグループ会社が運営するファクタリングサービスです。メガバンクや地方銀行、その子会社が提供しており、信頼性が高いことが大きな特徴です。

銀行が顧客からの預金や銀行間取引を利用して資金調達し、運営コストを抑えられるため、手数料は比較的低めに設定されています。

ただし、銀行系ファクタリングは審査が厳しく、資金調達に時間がかかるデメリットもあります。申し込みから現金化までに数週間程度かかることが多く、突発的な資金調達には向いていません。

ノンバンク系ファクタリング会社

ノンバンク系ファクタリング会社とは、消費者金融や信販会社、リース会社などの金融機関が運営するファクタリング会社です。銀行系と独立系の中間的な位置づけであり、バランスの取れたサービスを提供しています。

銀行系に比べると、手数料は高めに設定されており、審査が比較的柔軟であるため、資金調達しやすい点が特徴です。

申し込みから現金化までの期間が短く、即日での現金化も可能です。ただし、即日資金調達が難しいケースもあるため、事前に確認しましょう。

独立系ファクタリング会社

独立系ファクタリング会社とは、銀行や大手企業の系列ではない、独立した事業者が運営するファクタリング会社です。ファクタリングサービスを専門に提供していることが多く、柔軟な審査基準とスピード対応が特徴です。

独立系ファクタリング会社は審査基準が比較的柔軟であるため、ほかのファクタリング会社で審査に通らなくても通過できる可能性があります。

また、資金調達までのスピードが速く、最短即日で現金化できる会社も多く、緊急の資金需要にも対応できます。

ただし、スピードと柔軟性を重視する分、コストが高くなるため、利用者は手数料を事前に確認しましょう。

ファクタリング会社の選び方

適切なファクタリング会社を選ぶ際は、次の5つのポイントを押さえましょう。

ファクタリング会社の選び方を理解することで、自社に最適な会社を見極められます。

手数料が相場範囲内か

手数料は受取額に直結する重要な確認事項です。ファクタリングの種類で相場が異なるため、適正範囲を把握しておく必要があります。

2社間ファクタリングの手数料相場は10〜20%程度です。売掛先企業に通知せずに取引できる利便性がある一方で、手数料は比較的高めに設定されています。

3社間ファクタリングでは3〜5%程度が一般的な水準です。売掛先企業が関与するため債権回収リスクが低く、手数料が抑えられています。

相場を大きく超える手数料を提示する会社は避けるべきでしょう。複数社から見積もりを取得し、比較検討することが大切です。ただし、安ければよいわけでもありません。極端に低い手数料が提示されているなら、別途追加で費用を請求される可能性もあるため注意が必要です。

信頼と実績があるか

ファクタリング会社の信頼性は安全に取引する上で欠かせません。まずは、公式サイトなどで運営年数や取引実績、会社情報が明記されているか確認しましょう。

また、利用者の口コミや評判も参考になります。ただし、インターネット上の情報は真偽が不明なものもあるため、複数の情報源から総合的に判断することが重要です。

実際に会社に問い合わせて、対応の丁寧さや説明の明確さを確認する方法も有効です。不明点に誠実に答えてくれる会社を選びましょう。

現金化までのスピードが速いか

資金調達の緊急性は、現金化スピードが重要な選定基準です。会社で対応速度は異なり、自社の状況に合わせて選びましょう。

即日入金を希望するなら、独立系ファクタリング会社が適しています。申し込みから数時間で審査が完了し、当日中に振り込まれるケースも珍しくありません。

銀行系ファクタリングは審査に時間がかかり、入金まで数週間程度必要です。余裕を持った資金計画ができる際に適しています。

オンライン完結型のサービスは、書類提出や契約手続きがスムーズで時間短縮につながります。

ただし、スピード重視で選ぶ際も、契約内容は怠らずに確認しましょう。焦って不利な条件で契約してしまうリスクを避けることが大切です。

少額債権や高額買取に対応しているか

ファクタリング会社を選ぶ際は、自社の売掛債権の金額に応じた買取に対応しているかを確認することが大切です。

たとえば、突発的な支出や一時的な資金不足に備えたいなら、少額から利用できる会社を選ぶと柔軟に資金調達できます。個人事業主やフリーランス向けに1万円から買い取る会社もあり、急な資金ニーズにも対応できます。

一方で、設備投資や事業拡大など、まとまった資金が必要なケースでは高額買取に対応できる会社を選びましょう。

ファクタリング会社では、売掛先1社あたり5,000万円までという制限が設けられていることがあります。取引規模に合った上限をもつ会社を選べば、スムーズに大口資金を確保でき、事業の成長を後押しできます。

申請時に必要書類が少ないか

必要書類の量は、手続きの手間や審査スピードに直結します。提出書類が少ないほど準備に手間がかからず、スムーズに資金調達できます。

ファクタリングの利用時に必要な書類は、次の3つです。

  • 請求書
  • 本人確認書類
  • 入出金が確認できる通帳のコピー

ファクタリング会社によっては、決算書や印鑑証明書、商業登記簿謄本などの書類を提出しなければいけないこともあります。ファクタリング会社で提出書類は異なるため、事前に必要書類を確認しましょう。

書類をオンラインでアップロードするだけで完結でき、郵送や対面での提出が不要なファクタリング会社もあります。即日で資金を受け取りたいなら、必要書類が少なくオンライン対応している会社を選ぶと、急な資金需要にも対応できます。

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ファクタリング会社を利用するときの注意点

ファクタリングを安全に利用するためには、契約前にいくつか注意すべきポイントがあります。ファクタリング会社を利用する際の主な注意点は、以下のとおりです。

各注意点を意識し、トラブルを未然に防ぎましょう。

償還請求権の有無を確認する

償還請求権とは、売掛先が倒産などで支払不能になった際に、ファクタリング会社が利用者へ代わりの弁済を求める権利のことです。

契約書に償還請求権の記載があると、取引先の支払遅延や未払いが発生した際に、利用者が負担を負うリスクが生じます。

通常のファクタリングでは利用者に弁済義務がないため、契約前に償還請求権の有無をしっかり確認し、内容を理解した上で契約しましょう。

債権譲渡登記を求められないか確認する

債権譲渡登記とは、企業が保有する売掛債権を他者へ譲渡したことを法務局に記録し、第三者に対して権利を主張できるようにする制度です。

ただし、債権譲渡登記は法人を対象としているため、個人事業主は登記を利用できません。個人事業主がファクタリングを利用する際は、登記不要の会社を選びましょう。

また、登記をすると情報が登記簿に残るため、取引先や金融機関にファクタリングの利用が知られてしまうおそれがあります。取引関係への影響を避けたい場合は、債権譲渡登記を求めないファクタリング会社を選びましょう。

違法・悪質業者を選ばない

ファクタリング会社の中には、手数料の内訳を説明せずに高額な費用を請求する違法・悪質な業者も存在します。違法・悪質なファクタリング会社を避けるためには、契約内容などを事前に細かく確認しましょう。

特に以下の点を確認することが大切です。

  • 手数料や諸費用の詳細が明確に提示されているか
  • 契約書の内容を丁寧に説明してくれるか
  • 会社の所在地や連絡先が公式サイトに明記されているか
  • 登録番号や許可情報が公開されているか
  • ネット上の口コミや評判が不自然に良すぎないか

これらを満たさない会社は、トラブルのリスクが高い傾向にあります。複数社を比較し、説明や対応が誠実な業者を選びましょう。

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まとめ

ファクタリング会社を選ぶ際は、手数料の適正さや信頼性に加え、現金化スピードや対応可能額、必要書類の少なさという5つの基準で評価することが大切です。

銀行系・ノンバンク系・独立系それぞれに特徴があります。突発的な資金需要には独立系、信頼性を重視するなら銀行系が適しています。

償還請求権の有無や債権譲渡登記の要否など、契約内容の細部まで確認することが重要です。悪質業者を避けるために、複数社を比較検討することも欠かせません。

適切な知識をもって慎重にファクタリング会社を選定すれば、ファクタリングは強力な資金調達手段です。自社の状況に応じて最適なファクタリング会社を見つけましょう。

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手数料は業界内でも比較的低めに設定されています。さらに、会員登録や口座開設は無料で、維持費用もかかりません。コストを抑えながら利用できる点がメリットです。

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よくある質問

ファクタリング会社とは?

ファクタリング会社とは、企業が保有する売掛金を買い取り、早期に現金化するサービスを提供する会社です。

取引先の支払期日を待たずに資金を受け取れるため、突発的な出費や運転資金の不足を補えます。資金繰りが厳しい時期でも、売掛金をファクタリング会社に売却することで、すぐに現金の確保が可能です。

また、ファクタリングは借入とは異なり、負債が増えることもなく、信用情報にも影響しません。金融機関からの融資が難しい企業や、資金調達のスピードを重視する事業者にとって、有効な資金調達手段のひとつです。

詳しくは記事内「ファクタリング会社とは」をご覧ください。

ファクタリング会社を利用するメリットは?

ファクタリングは、融資や出資などの資金調達方法にはないさまざまなメリットがあります。資金繰りに課題を抱える企業にとって、有効な選択肢となるでしょう。

ファクタリング会社を利用する主なメリットは、以下のとおりです。

  • 最短即日で資金調達できる
  • 保証人や担保が必要ない
  • 信用情報・決算への影響が少ない
  • 未回収リスクを軽減できる

ファクタリングのメリット・デメリットについては、別記事「ファクタリングのメリット・デメリットとは?仕組みや注意点を解説」で項目別に解説しています。あわせてご確認ください。

ファクタリング会社を利用するデメリットは?

ファクタリング会社を利用する主なデメリットは、以下のとおりです。

  • 手数料が高い
  • 取引先に知られるリスクがある
  • 調達資金に上限がある

ほかの資金調達方法と比べて手数料が高い傾向があります。2社間ファクタリングでは10〜20%、3社間ファクタリングでは3〜5%程度が相場です。利用回数が増えるとコスト負担が大きくなる可能性があります。

また、ファクタリング会社が直接請求するなら、相手に資金繰りの状況を知られてしまうため、取引先との関係が悪化するリスクもあります。

さらに、調達できる金額は売掛金の範囲に限られるため、大規模な資金が必要な場合には十分な額を確保できないことも少なくありません。

監修 橋爪 祐典(はしづめ ゆうすけ)

2018年から現在まで、税理士として税理士法人で活動。中小企業やフリーランスなどの個人事業主を対象とした所得税、法人税、会計業務を得意とし、相続業務や株価評価、財務デューデリジェンスなども経験している。税務記事の執筆や監修なども多数経験している。

監修者 橋爪 祐典

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