勘定科目の基礎知識

アプリを購入したときの勘定科目は?仕訳例も紹介

監修 北田 悠策 公認会計士・税理士

アプリを購入したときの勘定科目は?仕訳例も紹介

事業に使うアプリの購入費用は、「消耗品費」や「通信費」の勘定科目を用いて経費に計上するのが一般的です。

ただし、アプリの金額によって勘定科目や処理方法が異なるため注意が必要です。アプリの購入費用が10万円未満のときは購入時に経費として計上します。しかし、10万円以上のときはいったん資産に計上し、耐用年数に応じて償却が必要です。

本記事では、アプリを購入した際に用いる勘定科目仕訳例を解説します。経費計上における注意点も紹介するため、ぜひご覧ください。

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目次

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アプリの購入費用は経費にできる?

業務で使うアプリの購入費用は、経費に計上できます。

個人事業主の場合も、業務上必要な支出は経費計上が可能です。一方、プライベート使用分は経費にできません。そのため、事業とプライベートの両方に使用するアプリを購入した場合は、家事按分して事業使用分のみ経費に計上します。

なお、家事按分とは、個人事業主が支出した費用を事業使用分とプライベート使用分に振り分ける作業です。

【関連記事】
家事按分とは?個人事業主が知っておくべき経費計上の仕方や計算方法についてわかりやすく解説

アプリの購入費用に用いる勘定科目

アプリを購入した際、「消耗品費」や「通信費」の勘定科目を用いるのが一般的です。ただし、購入したアプリの金額によって勘定科目や処理方法が異なります。

また、企業会計には「継続性の原則」があります。継続性の原則とは、一度決めた処理方法は毎期継続し、みだりに変更してはならない原則です。

勘定科目の使い方に法律上のルールはないため、基本的には自由に設定できます。あらかしめアプリを購入した際に用いる勘定科目を決めておき、一貫性をもって処理しましょう。

アプリの購入費用に用いる勘定科目を以下でそれぞれ解説します。

アプリの購入費用に用いる勘定科目

  • アプリの購入費用が10万円未満の場合は【消耗品費】
  • アプリの購入費用が10万円未満の場合は【通信費】
  • アプリの購入費用が10万円以上の場合は【ソフトウェア】
  • アプリの購入費用が10万円以上20万円未満の場合は【一括償却資産】

【消耗品費】

アプリの購入費用が10万円未満の場合は、一般的に「消耗品費」を用いて処理します。

「消耗品費」とは、使用とともに消耗する物品のうち、以下のいずれかに該当する場合に用いる勘定科目です。

消耗品費とは

  • 取得価額が10万円未満である
  • 耐用年数(使うことができる年数)が1年未満である

【通信費】

アプリの購入費用が10万円未満の場合は、「通信費」を用いて経費に計上するケースもあります。

「通信費」とは、電話・郵便・テレビ・インターネットなどの通信にかかる費用を支払ったときに用いる勘定科目です。

たとえば、毎月のスマホ料金とあわせてアプリの購入代金を請求された場合、まとめて「通信費」として処理するケースが考えられます。

【ソフトウェア】

10万円以上のアプリを購入したときは、「ソフトウェア」の勘定科目を用いていったん無形固定資産に計上し、償却を行います。

「ソフトウェア」とは、コンピューターに一定の仕事を行わせるためのプログラムなど、無形固定資産を表す勘定科目です。

また、形や実態を持たない固定資産を「無形固定資産」といいます。固定資産は取得価額が10万円以上、1年以上の長期にわたって使用する資産のことです。

固定資産は、時間の経過とともにその価値が減少していくものと考え、耐用年数に応じ1年以上の期間にわたって費用に計上します。これを減価償却といいます。

なお、ソフトウェアの耐用年数は5年(「複写して販売するための原本」または「研究開発用のもの」は3年)です。

【関連記事】
減価償却とは?対象資産や目的、計算方法をわかりやすく解説

【一括償却資産】

10万円以上のアプリを購入したときは、償却が必要です。ただし、10万円以上20万円未満の場合は「一括償却資産」を使用し、耐用年数にかかわらず3年間で償却できます。

「一括償却資産」とは、取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産を3年にわたって定額で償却する際に用いる勘定科目です。

【関連記事】
一括償却資産と減価償却資産の違いとは?

【事例で解説】アプリを購入した際の仕訳例

アプリを購入した際の仕訳を、具体例を用いて紹介します。

アプリを購入した際の仕訳例

  • 事業に使うアプリの購入費用を1万円支払った場合
  • 事業に使うアプリの購入費用を電話料金とあわせて支払った場合
  • 事業に使うアプリの購入費用を12万円支払った場合
  • 事業に使うアプリを購入し一括償却資産として計上した場合

事業に使うアプリの購入費用を1万円支払った場合

事業用のアプリを購入するのに、事業用口座から1万円を支払った場合は、次のように仕訳します。


借方貸方
消耗品費1万円普通預金1万円

事業に使うアプリの購入費用を電話料金とあわせて支払った場合

業務用スマートフォンの料金3,000円とあわせて、事業用アプリの購入費用1,000円が事業用口座から引き落とされたときは、次のように仕訳しましょう。


借方貸方
通信費4,000円普通預金4,000円

事業に使うアプリの購入費用を12万円支払った場合

事業用のアプリを購入するのに事業用口座から12万円を支払った場合の仕訳は、以下の通りです。耐用年数は5年とし、一括償却資産として計上しないものとします。


借方貸方
ソフトウェア12万円普通預金12万円

なお、毎年の償却額は12万円×0.2(定額法の償却率)=2.4万円です。決算時は次のように仕訳します。


借方貸方
減価償却費2.4万円ソフトウェア2.4万円

事業に使うアプリを購入し一括償却資産として計上した場合

事業で使用するために12万円のアプリを購入し、一括償却資産として計上した場合の支払時の仕訳は、以下の通りです。


借方貸方
一括償却資産12万円普通預金12万円

また、決算時は次のように仕訳します。


借方貸方
減価償却費4万円一括償却資産4万円

一括償却資産として計上する場合は、上記のように耐用年数にかかわらず3年間で償却します(12万円÷3年間)。

アプリの購入費用を経費に計上する際のポイント・注意点

アプリの購入費用を経費に計上する際、以下のポイント・注意点をおさえましょう。

アプリの購入費用を経費に計上する際のポイント・注意点

  • サブスク(月額制)のアプリは「通信費」や「支払手数料」の勘定科目を用いる
  • 30万円未満なら少額減価償却資産の特例を利用できる場合がある

サブスク(月額制)のアプリは「通信費」や「支払手数料」の勘定科目を用いる

サブスク(月額制)のアプリの利用料を支払った場合は、「通信費」や「支払手数料」で処理するのが一般的です。

また、年額の利用料を払ったときは「前払費用」で処理し、1ヶ月が経過するたびに「通信費」に振り替えます。

たとえば、サブスクの利用料(年額)1.2万円が事業用口座から引き落とされた場合、支払時の仕訳は以下の通りです。


借方貸方
前払費用1.2万円普通預金1.2万円

また、1ヶ月経過後は次のように仕訳します。


借方貸方
通信費1,000円前払費用1,000円

【関連記事】
サブスクの勘定科目は? 具体的な仕訳例や会計処理のポイントを解説

30万円未満なら少額減価償却資産の特例を利用できる場合がある

アプリの購入費用が30万円未満の場合、少額減価償却資産の特例によって一括で経費に計上できる場合があります。

本特例が適用されるのは、少額減価償却資産の取得価額が年間300万円までの場合です。また、対象となるのは中小企業者または農業協同組合などで、青色申告法人のうち常時使用する従業員の数が500人以下の法人です。

特例の適用を受ける場合は、購入時に「ソフトウェア」を用いて処理し、減価償却時に「減価償却費」を用いて全額を経費に計上します。

【関連記事】
青色申告での少額減価償却資産の特例についてより詳しく解説!

まとめ

アプリを購入したときに用いる勘定科目や処理方法は、金額によって異なります。

アプリの購入費用が10万円未満の場合は、「消耗品費」または「通信費」で処理するのが一般的です。一方、10万円以上のときはいったん資産に計上し、1年以上の期間にわたって費用に計上します。

ただし、10万円以上20万円未満のときは一括償却資産として耐用年数にかかわらず3年間で償却が可能です。また、一定の条件を満たす法人は少額減価償却資産の特例が適用されます。

正しい会計処理を行うため、固定資産の取り扱いやアプリを購入したときの勘定科目をしっかり理解しておきましょう。

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よくある質問

アプリの購入費用を経費に計上する際の勘定科目は?

アプリの購入費用を経費に計上する際に用いる一般的な勘定科目は、「消耗品費」または「通信費」です。ただし、金額によって勘定科目・処理方法が異なります。

アプリの購入費用を経費に計上する際の勘定科目を詳しく知りたい方は「アプリの購入費用に用いる勘定科目」をご覧ください。

サブスク(月額制)のアプリに用いる勘定科目は?

サブスク(月額制)のアプリの利用料を支払った場合は、「通信費」や「支払手数料」で処理するのが一般的です。

サブスク(月額制)のアプリを購入したときの勘定科目を詳しく知りたい方は「サブスク(月額制)のアプリは「通信費」や「支払手数料」の勘定科目を用いる」をご覧ください。

監修 北田 悠策(きただ ゆうさく)

神戸大学経営学部卒業。2015年より有限責任監査法人トーマツ大阪事務所にて、製造業を中心に10数社の会社法監査及び金融商品取引法監査に従事する傍ら、スタートアップ向けの財務アドバイザリー業務に従事。その後、上場準備会社にて経理責任者として決算を推進。大企業からスタートアップまで様々なフェーズの企業に携わってきた経験を活かし、株式会社ARDOR/ARDOR税理士事務所を創業。

北田 悠策