勘定科目の基礎知識

個人事業主がローン返済をした際の勘定科目は? 経費計上に関してや仕訳例を解説

監修 北田 悠策 公認会計士・税理士

個人事業主がローン返済をした際の勘定科目は? 経費計上に関してや仕訳例を解説

ローン返済額は基本的に経費計上できませんが、利息部分のみ経費として認められる場合があります。本記事では、ローン返済の勘定科目を解説します。

ローンには、大きく分けて商品やサービスを購入するためのローンと、ビジネスローンなどの事業用資金を借り入れるローンの2種類です。

業務上必要で借り入れをしたローンなら、経費計上できると認識しがちですが、元本部分は経費計上できません。

経費計上のポイント具体的な仕訳例も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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目次

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個人事業主のローン返済は経費にできる?

業務上で必要なローンを組んだ場合でも、返済時に経費にできるのは利息部分のみです。

ローンを組み、資産の取得や役務の提供を受けた時点で、資産や費用として計上するためです。固定資産として計上した場合も耐用年数に応じて減価償却は行いますが、ローン返済自体の元本部分を経費にはできません。

条件は、法人・個人事業主ともに同様です。

店舗(事務所)兼住宅の支払利息は家事按分が必要

ローン返済の利息部分が経費にできるのは、業務で必要なローンを組んだ場合のみです。

個人事業主で、ローンの目的が業務とプライベート兼用の場合は、家事按分の処理が必要です。

家事按分とは、費用の目的が業務とプライベートの両方である場合に、明確な基準をもって業務用の割合を算出して計上する処理をいいます。

店舗(事務所)兼住宅の場合は面積の割合、車両であれば業務として使用した日数や時間で算出するなどの方法が考えられます。

白色申告では、事業用途の割合が50%を超えている場合のみ経費計上でき、青色申告の場合は割合に制限はありません。

【関連記事】
家事按分とは?個人事業主が知っておくべき経費計上の仕方や計算方法についてわかりやすく解説

店舗(事務所)兼住宅は住宅ローン控除を受けられる場合がある

店舗(事務所)兼住宅の住宅ローンの返済額でも、業務使用割合分の利息以外は経費にできません。

ただし借入金自体は、一定の限度額まで確定申告で住宅ローン控除を受けられる場合があります。

控除を受けるには所定の条件を満たす必要があるため注意が必要です。住宅ローン控除を受けるための条件は、次の通りです。

住宅ローン控除の条件

  • 生計を一にする親族または特別な関係のある者から取得した住宅ではない
  • 床面積が50㎡以上である(所得金額などの一定の条件を満たす場合は40㎡以上となる特例を適用可能)
  • 床面積の2分の1以上が住宅部分である
  • 新築または取得の日から6ヶ月以内の居住開始
  • 一定の借入金残高が残っている
  • 所得が2,000万円以下
  • 以下の特例・控除を受けていない
    居住用財産を譲渡した場合の長期譲渡所得の課税の特例
    居住用財産の譲渡所得の3,000万円特別控除
    居住用財産の買換え・交換の場合の長期譲渡所得の課税の特例
    既成市街地等内にある土地等の中高層耐火建築物等の建設のための買換えおよび交換の場合の譲渡所得の課税の特例

出典:国税庁「No.1211-1 住宅の新築等をし、令和4年以降に居住の用に供した場合(住宅借入金等特別控除)」

個人事業主がローン返済の際に用いる勘定科目

ローンを返済した際の仕訳に用いる勘定科目を解説します。

ローン返済の勘定科目

  • 商品やサービスを購入しローンを組んだ場合は【未払金】
  • 利息部分を計上する場合は【支払利息】
  • ビジネスローンなどで資金を借り入れた場合は【借入金】

それぞれ詳しく解説します。

【未払金】

ローン返済額のうち、元本部分の仕訳には「未払金」を用います。

「未払金」は、役務の提供を受け、支払うべき費用の残高が残っている場合に用いる勘定科目です。

【支払利息】

ローン返済額のうち、利息部分には「支払利息」を用います。

「支払利息」は、ローンや借入金にかかる利子に用いる勘定科目です。

【借入金】

特定の目的のためローンを組む場合は未払金で処理しますが、ビジネスローンなどで資金を借り入れた場合は「短期借入金」や「長期借入金」を用います。

「短期借入金」は、金融機関などから借り入れた金銭のうち、返済期限が1年以内の借入金に用いる勘定科目です。

「長期借入金」は、金融機関などから借り入れた金銭のうち、返済期限まで1年を超える期間がある借入金に用いる勘定科目です。

【事例で解説】ローン返済時の仕訳例

ローン返済の具体的な仕訳例を紹介します。

商品やサービスを購入し、ローン返済する場合の仕訳例

商品やサービスを購入しローン返済する際の仕訳例を紹介します。

例として「車両運搬具」を使用しますが、借方の勘定科目は支出内容にあわせ適宜選択してください。

例:業務で使用する車両をローンで購入した。購入代金150万円のうち、頭金として30万円を支払い前払金として計上済である。


借方貸方
車両運搬具1,500,000円未払金
前払金
1,200,000円
300,000円

頭金を支払っていない場合は前払金がなくなり、車両運搬具と未払金の金額が一致します。


借方貸方
車両運搬具1,500,000円未払金1,500,000円

ローン返済時
(口座引落・返済額10万円・利息5,000円)

借方貸方
未払金
支払利息
100,000円
5,000円
預金105,000円

ビジネスローンなどで資金を借り入れ、返済する場合の仕訳例

ビジネスローンなどで事業用資金の融資を受けた際の仕訳例を紹介します。

例:運転資金としてビジネスローンで100万円を借り入れた。全額を1年以内に返済する予定である。

借入時

借方貸方
預金1,000,000円短期借入金1,000,000円

返済時
(口座引落・返済額10万円・利息5,000円)

借方貸方
短期借入金
支払利息
100,000円
5,000円
預金105,000円

まとめ

業務のため組んだローンの返済額のうち、利息部分のみ経費として計上できます。元本は経費にはできません。

個人事業主は、ローンの対象を業務とプライベートで兼用している場合、家事按分に注意して処理しましょう。

特定の目的があり組んだローンの元本に使用する勘定科目は「未払金」、利息は「支払利息」、ビジネスローンなどで資金を借り入れた際の元本は「借入金」です。

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よくある質問

個人事業主のローン返済は経費にできる?

業務上の必要があり組んだローンであれば、利息のみ経費にできます。元本は経費としては計上できません。

ローン返済の経費計上を詳しく知りたい方は「個人事業主のローン返済は経費にできる?」をご覧ください。

個人事業主がローン返済の際に用いる勘定科目

特定の目的のため組んだローンの元本部分は「未払金」、利息部分は「支払利息」、ビジネスローンなどの借入金の元本は「借入金」を使用します。

個人事業主のローン返済の勘定科目を詳しく知りたい方は「個人事業主がローン返済の際に用いる勘定科目」をご覧ください。

監修 北田 悠策(きただ ゆうさく)

神戸大学経営学部卒業。2015年より有限責任監査法人トーマツ大阪事務所にて、製造業を中心に10数社の会社法監査及び金融商品取引法監査に従事する傍ら、スタートアップ向けの財務アドバイザリー業務に従事。その後、上場準備会社にて経理責任者として決算を推進。大企業からスタートアップまで様々なフェーズの企業に携わってきた経験を活かし、株式会社ARDOR/ARDOR税理士事務所を創業。

北田 悠策