勘定科目の基礎知識

テレビの購入費に使う勘定科目は? 経費計上の可否や仕訳方法、注意点も解説

監修 税理士・CFP® 宮川真一 税理士法人みらいサクセスパートナーズ

テレビの購入費に使う勘定科目は? 経費計上の可否や仕訳方法、注意点も解説

事業に関係する目的でテレビを購入すると、購入費を経費にできる場合があります。テレビの購入費を仕訳する際に使う勘定科目は、用途や金額によって異なるため注意が必要です。

購入費が10万円未満の場合や、10万円以上20万円未満の場合、30万円以上の場合など、仕訳時の考え方は金額によって変わるので、テレビの購入額に応じた仕訳方法を理解しましょう。

本記事では、テレビの購入費を仕訳する際に使う勘定科目や仕訳例を解説します。

確定申告の基本をすべて解説!確定申告が初めてでもわかりやすい図解入りの解説記事はこちら

目次

freee会計で電子申告をカンタンに!

freee会計は〇✕形式の質問で確定申告に必要な書類作成をやさしくサポート!口座とのデータ連携によって転記作業も不要になり、入力ミスも大幅に削減します。

テレビの購入費は経費にできる?

経費にできる費用とは事業に関係する支出です。事務所内に設置するテレビを購入するなど、事業に関係するテレビの購入費であれば一般的に経費にできます。


経費にできるケース経費にできないケース
・オンライン会議ができるように会議室に設置するテレビを購入する場合
・応接室や従業員の休憩室に設置するテレビを購入する場合
・自宅兼事務所の仕事部屋に置くテレビを購入する場合
・事業とは関係ないテレビを購入する場合
・自宅兼事務所のリビングに置くテレビを購入する場合

個人事業主やフリーランスなどの自宅兼事務所でテレビを設置するケースでは、テレビの購入費を経費にできるかどうかは設置場所によって変わります。

仕事部屋にテレビが置かれていれば家事按分のうえ経費にできる場合がありますが、リビングなど仕事と関係ないスペースに置くテレビの購入費は経費にできません。

テレビ代の仕訳に使う勘定科目

テレビ代の仕訳に使う勘定科目はケースによって異なります。テレビを購入して経費にする場合、仕訳で使う主な勘定科目は以下の通りです。

テレビ代の仕訳に使う勘定科目

  • 10万円未満の場合は【消耗品費】
  • 10万円以上20万円未満の場合は【一括償却資産】または【工具器具備品】
  • 20万円以上の場合は【工具器具備品】
  • 30万円未満で中小企業の特例を適用する場合は【消耗品費】
  • 従業員用の休憩室にテレビを設置する場合は【福利厚生費】

テレビ代の仕訳に使う各勘定科目の概要を紹介します。

【消耗品費】

テレビ代が10万円未満の場合は勘定科目「消耗品費」で仕訳します。

消耗品費とは、事業で使う消耗品の購入費用を計上するための勘定科目です。以下のいずれかの要件を満たす什器備品を購入した場合、消耗品費で仕訳できます。

消耗品費として経費計上できる条件

  • 使用可能期間が1年未満
  • 取得価額が10万円未満

また、テレビ代が10万円を超える場合でも、30万円未満でかつ中小企業の少額減価償却資産の特例を適用できる場合は、勘定科目「消耗品費」で処理できます。

中小企業の少額減価償却資産の特例とは、本来減価償却によって償却処理すべき資産を、減価償却によらず全額損金算入できる特例制度です。

青色申告法人で常時使用する従業員数が500人以下など、一定の要件を満たす企業では少額減価償却資産の特例を適用できます。

【一括償却資産】

テレビ代が10万円を超える場合、原則として「消耗品費」では仕訳できません。「工具器具備品」などの勘定科目を使って資産として計上して、耐用年数に渡って減価償却を行います。

ただし、10万円を超えても20万円未満の場合には、一括償却資産として簡易な方法によって会計処理を行うことが可能です。

一括償却資産では、個別の耐用年数に応じた減価償却ではなく、使用を開始した年から3年間に渡って均等に償却する方法が認められています。

勘定科目「一括償却資産」は、価格が10万円以上20万円未満で、一括償却資産として3年間で均等償却する場合に使う勘定科目です。

実際の仕訳では、勘定科目として一括償却資産を使う方法のほか、消耗品費・器具備品などの勘定科目で仕訳する方法もあります。

【工具器具備品】

テレビ代が10万円を超える場合は、勘定科目「工具器具備品」で資産計上して減価償却を行います。テレビの耐用年数は5年なので、定額法の場合は5年間の各年にテレビ代の5分の1の金額を減価償却費として計上します。

工具器具備品とは、耐用年数が1年以上、取得価額が10万円以上の工具や器具、備品を仕訳するための勘定科目です。

耐用年数が1年未満または取得価額が10万円未満の場合は消耗品費で仕訳し、この条件を満たさない場合は工具器具備品で仕訳することになります。

ただし、中小企業で少額減価償却資産の特例を適用できる企業の場合は、テレビ代が30万円未満であれば、資産計上せず全額費用計上が可能です。

少額減価償却資産の特例を適用する場合は、勘定科目として工具器具備品ではなく消耗品費を使用します。

また、少額減価償却資産の特例の対象になるのは30万円未満のテレビなので、テレビ代が30万円以上の場合は、工具器具備品などの勘定科目で資産計上して減価償却を行います。

【福利厚生費】

従業員用の食堂や休憩室に設置するテレビを購入した場合、購入費は勘定科目「福利厚生費」を使って仕訳できます。

福利厚生費とは、従業員の慰安・医療・衛生・保健のために事業主が支出した費用などを計上するための勘定科目です。

ただし、従業員が居住する社宅にテレビを設置する場合は、一般的に経費にできません。冷蔵庫・洗濯機・テレビなど、社宅に設置する家電製品は、従業員自身で購入してもらうべきものです。会社が負担したり経費扱いにしたりすべきものではありません。

社宅に設置するテレビを会社負担で購入した場合は、現物給与の扱いになる可能性があります。

【事例で解説】テレビ代の仕訳例

企業や個人事業主が事務所で使うテレビを購入した場合、どのような勘定科目を使って仕訳するのか、以下では具体的な事例を用いてテレビ代の仕訳例を紹介します。

会議室に設置するテレビを8万円で購入した場合

テレビ代が8万円の場合、金額が10万円未満なので勘定科目「消耗品費」で仕訳します。テレビ代を銀行振込で支払った場合、記帳の仕方は以下の通りです。


借方貸方
消耗品費80,000普通預金80,000

応接室に設置するテレビを15万円で購入した場合

テレビ代が15万円の場合、金額が10万円以上20万円未満なので勘定科目「一括償却資産」で仕訳できます。

テレビ代を銀行振込で支払い、購入した場合はまず以下の仕訳をしましょう。


借方貸方
一括償却資産150,000普通預金150,000

一括償却資産として3年間で均等に償却処理する場合は決算時に以下の仕訳を行います。


借方貸方
減価償却費50,000一括償却資産50,000

オンライン会議用のテレビを35万円で購入した場合

テレビ代が35万円の場合は、一括償却資産に該当せず中小企業の少額減価償却資産の特例も適用対象外なので、勘定科目「工具器具備品」で仕訳します。


借方貸方
工具器具備品350,000普通預金350,000

テレビの償却期間は5年です。定額法の場合、決算時にテレビ代35万円の5分の1にあたる7万円を減価償却費として計上しましょう。


借方貸方
減価償却費70,000工具器具備品70,000

従業員の休憩室に設置するテレビを2台購入した場合

従業員の休憩室や社員食堂などに設置するテレビの購入費は、勘定科目「福利厚生費」で仕訳します。

従業員の休憩室に設置するテレビを2台購入して計10万円を支払った場合、記帳の仕方は以下の通りです。


借方貸方
福利厚生費100,000普通預金100,000

テレビ代の仕訳に関する注意点

テレビ代の仕訳に関する主な注意点は以下の3つです。

テレビ代の仕訳に関する注意点

  • 金額や用途に応じて仕訳で使う勘定科目が変わる
  • 減価償却に関する特例の内容や要件を正しく理解する
  • 経費にできる場合と経費にできない場合を区別する

テレビなどの備品の購入費の仕訳では、金額が10万円未満の場合、10万円以上20万円未満の場合、30万円以上の場合など、金額によって使う勘定科目が変わります。

テレビを会議室に設置する場合と、休憩室・社員食堂に設置する場合でも使う勘定科目が変わるので、ケースに応じて適切な勘定科目を設定して仕訳しましょう。

また、特例の要件を正しく理解できていないと、経費計上が可能なのか資産計上して複数年かけて減価償却するのか、適切な仕訳ができません。中小企業の少額減価償却資産の特例など、備品の計上のルールを正しく理解することが重要です。

自宅兼事務所に置くテレビは、設置場所が事業に関するエリアでないと経費にできない場合があるほか、従業員の社宅に設置するテレビも一般的に経費にできません。社宅に置くテレビの購入費は経費にできると勘違いしやすいため注意が必要です。

なお、テレビを購入した場合、設置費用も負担することがあります。設置費用は購入金額に含めて仕訳するケースが一般的です。

まとめ

事業に関係のあるテレビの購入費は経費にできます。仕訳をする際に用いる勘定科目は金額や用途によって異なり、消耗品費・一括償却資産・工具器具備品・福利厚生費などがあります。

テレビを購入して仕訳する場合には、勘定科目を使い分けるほか、複数年に分けて減価償却するのか経費として一括計上が可能なのか、会計のルールに則って適切に処理することが重要です。

テレビ代に関する仕訳の考え方や使う勘定科目について社内でルールを統一し、目的やケースに応じて適切に仕訳しましょう。

確定申告を簡単に終わらせる方法

確定申告には青色申告と白色申告の2種類があります。どちらを選択するにしても、期限までに正確な内容の書類を作成し申告しなければいけません。

確定申告書を作成する方法は手書きのほかにも、国税庁の「確定申告等作成コーナー」を利用するなどさまざまですが、会計知識がないと記入内容に悩む場面も出てくるでしょう。

そこでおすすめしたいのが、確定申告ソフト「freee会計」の活用です。

freee会計は、〇✕形式の質問で確定申告に必要な書類作成をやさしくサポートします。必要な計算は自動で行ってくれるため、計算ミスや入力ミスを軽減できます。
ここからは、freee会計を利用するメリットについて紹介します。

1.銀行口座やクレジットカードは同期して自動入力が可能!

1年分の経費の入力は時間がかかる作業のひとつです。freee会計に銀行口座やクレジットカードを同期すると、利用した内容が自動で入力されます。

また、freee会計は日付や金額だけでなく、勘定科目も予測して入力します。


freee会計 管理画面イメージ4

溜め込んだ経費も自動入力でカンタン!

2.現金取引の入力もカンタン!

freee会計は、現金での支払いも「いつ」「どこで」「何に使ったか」を家計簿感覚で入力できるので、毎日手軽に帳簿づけが可能です。自動的に複式簿記の形に変換してくれるため、初心者の方でも安心できます。


freee会計 管理画面の例1

さらに有料プランでは、チャットで確定申告について質問ができるようになります。オプションサービスに申し込めば、電話での質問も可能です。

freee会計の価格・プランについて確認したい方はこちらをご覧ください。

3.〇✕形式の質問に答えると、各種控除や所得税の金額を自動で算出できる!

各種保険やふるさと納税、住宅ローンなどを利用している場合は控除の対象となり、確定申告することで節税につながる場合があります。控除の種類によって控除額や計算方法、条件は異なるため、事前に調べなければなりません。

freee会計なら、質問に答えることで控除額を自動で算出できるので、自身で調べたり、計算したりする手間も省略できます。


freee会計 管理画面の例2

4.確定申告書を自動作成!

freee会計は取引内容や質問の回答をもとに確定申告書を自動で作成できます。自動作成​​した確定申告書に抜け漏れがないことを確認したら、税務署へ郵送もしくは電子申告などで提出して、納税をすれば確定申告は完了です。

また、freee会計はe-tax(電子申告)にも対応しています。e-taxからの申告は24時間可能で、税務署へ行く必要もありません。青色申告であれば控除額が10万円分上乗せされるので、節税効果がさらに高くなります。

e-tax(電子申告)を検討されている方はこちらをご覧ください。

freee会計 管理画面の例3

完成した確定申告書を提出・納税して確定申告が完了!

freee会計を使うとどれくらいお得?

freee会計には、会計初心者の方からも「本当に簡単に終わった!」というたくさんの声をいただいています。

税理士などの専門家に代行依頼をすると、確定申告書類の作成に5万円〜10万円程度かかってしまいます。freee会計なら月額980円(※年払いで契約した場合)から利用でき、自分でも簡単に確定申告書の作成・提出までを完了できます。

余裕をもって確定申告を迎えるためにも、ぜひfreee会計の利用をご検討ください。

よくある質問

テレビの購入費は経費にできる?

事務所の会議室や応接室に置くテレビなど、事業に関係するテレビの購入費は一般的に経費にできます。

テレビの購入費を経費にできるのか、詳しく知りたい方は「テレビの購入費は経費にできる?」をご覧ください。

テレビ代の仕訳に使う勘定科目は?

テレビ代の仕訳で用いる勘定科目には、一般的に消耗品費・一括償却資産・工具器具備品・福利厚生費などがあります。

テレビ代の仕訳で用いる勘定科目について詳しく知りたい方は「テレビ代の仕訳に使う勘定科目」をご覧ください。

監修 宮川 真一

岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業後、税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは20年以上となる。現在は「100年先の“みらい”を創る。」税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表として、M&Aや事業承継のコンサルティングを行う。

税理士・CFP® 宮川真一