勘定科目の基礎知識

更新料の勘定科目は? 仕訳の具体例や会計処理の注意点をわかりやすく解説

監修 北田 悠策 公認会計士・税理士

更新料の勘定科目は? 仕訳の具体例や会計処理の注意点をわかりやすく解説

不動産の賃貸借契約更新の際に更新料が必要なケースがあります。本記事では、更新料に用いる勘定科目具体的な仕訳例を解説します。

なお業務上必要な更新料は、経費として計上が可能です。仕訳の際に把握しておきたい会計処理の注意点も解説するので、ぜひ参考にしてください。

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目次

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更新料とは?

更新料とは、住宅やオフィスなど不動産賃貸借契約の更新の際に、賃借人が賃貸人(家主)に支払うお金です。

更新料は、賃貸借契約に必ず付随する費用ではありません。更新料の有無は契約内容により異なり、更新料が必要ない契約のほうが多い地域もあります。

更新料の金額は家賃1ヶ月分、タイミングは2年ごとが一般的です。場合によっては、事務手数料として仲介不動産業者に対する報酬が必要です。

業務上必要な更新料は経費にできる

業務のために支払った更新料は、経費として計上ができます。具体的には、従業員が居住するための社宅・事業を営む店舗・事務所などの更新料を支払った場合です。

ただし個人事業主は、次項で解説する家事按分に注意が必要です。

個人事業主は家事按分に注意する

個人事業主は、更新料に業務用とプライベート用の両方の目的を含む場合、家事按分の処理が必要です。店舗(事務所)兼住宅として、物件を借りている場合などが該当します。

家事按分とは、明確な基準をもって費用のうちの業務用の割合を求め、算出した金額を経費として計上する会計処理です。

賃貸物件の場合、事業用として使用している面積の割合で金額を求める方法が一般的です。

白色申告の場合は、業務使用割合が50%を超えていなければ原則として経費計上はできません。なお青色申告であれば、割合の制限はありません。

更新料に用いる勘定科目

更新料に用いる勘定科目を解説します。

更新料の勘定科目

  • 費用として計上する場合は【地代家賃】【支払手数料】
  • 前払として処理する場合は【短期前払費用】【長期前払費用】
  • 借地権の場合は【借地権】
  • 特に管理する目的がない場合は【雑費】

それぞれ詳しく解説します。

【地代家賃】【支払手数料】

更新料を費用計上する際は、「地代家賃」や「支払手数料」を用います。

20万円未満の更新料は、「少額繰延資産」として全額を支払った期に経費計上が可能です。法人は前払費用として処理し、期間に応じた経費計上もできます。

「地代家賃」は、賃借している建物や土地の賃料に用いる勘定科目です。

「支払手数料」は、業務上必要な手数料に用いる勘定科目です。更新の際の仲介業者に対する手数料にも使用できます。

【短期前払費用】【長期前払費用】

20万円以上の更新料は、期間に応じて按分処理が必要です。按分処理する際は、「短期前払費用」や「長期前払費用」を用います。

「短期前払費用」は、商品やサービスの代金を前払した際の勘定科目で、役務の提供が1年以内の場合に用います。

「短期前払費用」は、商品やサービスの代金を前払した際の勘定科目で、役務の提供が1年以内の場合に用います。

【借地権】

借地権の場合、支払った更新料は取得価格に含める必要があり、勘定科目は「借地権」を用います。仕訳の際は、借地権の一部を「借地権償却費」を用いて償却も必要です。

「借地権」とは、土地を賃借する場合の権利金や手数料に用いる勘定科目です。

【雑費】

使用する勘定科目の少ない個人事業主などで、特に更新料を会計上管理する目的もない場合は「雑費」を使用できます。ただし、更新料が20万円以下の場合に限ります。

「雑費」とは、頻度が少ない・少額であるなど特別に科目を設ける必要のない費用を支出した場合に用いる勘定科目です。

【事例で解説】更新料の仕訳例

更新料の具体的な仕訳例を解説します。

更新料を費用計上する場合

更新料の支払時に費用計上する際の仕訳例を紹介します。

例:社宅の更新料12万円を預金から支払った

①地代家賃を使用する場合

借方貸方
地代家賃120,000円預金120,000円

②支払手数料を使用する場合

借方貸方
支払手数料120,000円預金120,000円

③雑費を使用する場合

借方貸方
雑費120,000円預金120,000円

更新料を前払処理する場合

更新料の支払時に前払費用として処理する際の仕訳例を紹介します。

例:店舗の賃貸借契約2年分の更新料として40万円を現金で支払った

借方貸方
短期前払費用
長期前払費用
200,000円
200,000円
現金400,000円

例:支払済の更新料を地代家賃および短期前払費用に振り替える

借方貸方
地代家賃
短期前払費用
200,000円
200,000円
短期前払費用
長期前払費用
200,000円
200,000円

借地権の更新料を支払う場合

借地権の更新料を支払った際の仕訳例を紹介します。

例:借地権の更新料5万円を預金から支払った。借地権償却費は45,000円である。

借方貸方
借地権
借地権償却費
50,000円
45,000円
預金
借地権
50,000円
45,000円

なお借地権償却費は、「更新直前の借地権簿価×更新料÷更新時の借地権時価」で算出します。

更新料を会計処理する際の注意点

更新料を会計処理する際の注意点を解説します。

事業所と社宅では消費税の取り扱いが異なる

店舗や事務所など事業活動を営む目的で賃借する場合、家賃も更新料も課税の対象です。

社宅など賃借する物件が居住用の場合は、家賃に消費税がかからず更新料も課税の対象外です。ただし社宅であっても、仲介業者に支払う事務手数料は課税されるため注意しましょう。

借り上げ社宅の更新料の負担者に決まりはない

社宅の更新料は事業主側が負担することが一般的ですが、法的な定めはありません。全額または一部を従業員の負担にもできます。

トラブルを避ける観点からも、就業規則などで明確に規定しておきましょう。

更新料は支払調書に記載が必要

更新料は、支払調書への記載が必要です。

「不動産の使用料等の支払調書」は、家主に支払った報酬などを税務署に報告するため提出する書類です。

不動産等を賃借する法人と不動産業者の個人事業主は、以下の条件を満たす場合に提出義務が生じます。

支払調書の提出義務が生じる例

  • 個人:支払い金額の合計が15万円を超える場合
  • 法人:権利金や更新料等を支払う場合

まとめ

更新料とは、賃貸借契約更新の際に賃借人が賃貸人(家主)に支払うお金です。

更新料は経費にできますが、個人事業主は家事按分に注意が必要です。

費用計上時の勘定科目は「地代家賃」「支払手数料」、前払処理する場合は「短期前払費用」「長期前払費用」、借地権の場合は「借地権」を使用します。特に管理する必要がなければ「雑費」も使用できます。

なお社宅など住居の更新料は消費税がかかりませんが、店舗や事務所などの事業所の場合は課税対象です。

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よくある質問

更新料は経費にできる?

社宅・店舗・事務所など業務上の必要があり支払った更新料は経費にできます。

更新料の経費計上を詳しく知りたい方は、「業務上必要な更新料は経費にできる」をご覧ください。

更新料の勘定科目は?

費用として計上する際は「地代家賃」「支払手数料」、前払で処理する際は「短期前払費用」「長期前払費用」、借地権の場合は「借地権」を使用します。

更新料を特別に管理する必要がない場合は「雑費」も使用できます。

更新料の勘定科目を詳しく知りたい方は、「更新料に用いる勘定科目」をご覧ください。

監修 北田 悠策(きただ ゆうさく)

神戸大学経営学部卒業。2015年より有限責任監査法人トーマツ大阪事務所にて、製造業を中心に10数社の会社法監査及び金融商品取引法監査に従事する傍ら、スタートアップ向けの財務アドバイザリー業務に従事。その後、上場準備会社にて経理責任者として決算を推進。大企業からスタートアップまで様々なフェーズの企業に携わってきた経験を活かし、株式会社ARDOR/ARDOR税理士事務所を創業。

北田 悠策