勘定科目の基礎知識

還付金の勘定科目は? 具体的な仕訳例や会計処理の注意点をわかりやすく解説

監修 安田亮 安田亮公認会計士・税理士事務所

還付金の勘定科目は? 具体的な仕訳例や会計処理の注意点をわかりやすく解説

還付金とは、税金を納めすぎた場合に返還されるお金のことです。本記事では、還付金に用いる勘定科目具体的な仕訳例を解説します。

事業を継続していくにあたり、各種税金の納付は必ず発生します。場合によっては、税金を納めすぎて還付される場合もあるでしょう。

還付金は、事例別に用いる勘定科目が異なるため注意が必要です。会計処理のポイントも解説するので、ぜひ参考にしてください。

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目次

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還付金は返還されるお金

還付金とは、税金を納めすぎた場合に返還されるお金のことです。

事業活動上での還付金としては、主に法人税・消費税・所得税などの各種税金が考えられます。

以下は還付金が発生するケースの例です。

還付金が発生するケースの一例

  • 中間納付や見込納付の額が確定納付額より多かった場合
  • 預かった消費税より支払った消費税が多かった場合
  • 二重納付してしまった場合 など

実際に払いすぎた金額とは別に、利子の性質をもつ還付加算金が発生する場合もあります。

還付金に用いる勘定科目

還付金に用いる勘定科目は次の通りです。

還付金の勘定科目

  • 中間納付や見込納付が確定納付額より多かった・仮受消費税より仮払消費税が多かった場合は【未収入金(未収法人税等・未収消費税等など)】
  • 未収入金として計上していない場合や、還付加算金を仕訳する場合は【雑収入】
  • 個人事業主が所得税の還付を受ける場合は【事業主借】
  • 同一期中に計上時の反対仕訳で消し込む場合は【租税公課】【仮払金】など

それぞれ以下で詳しく解説します。

【未収入金(未収法人税等・未収消費税等など)】

中間納付額や見込納付額が確定納付額より多かった場合、仮受消費税より仮払消費税が多かった場合などは「未収入金」の勘定科目を用いて処理します。

「未収法人税等」や「未収消費税等」などの科目を設定する場合もあるでしょう。

「未収入金」は、本業の営業活動以外で回収すべき残高のある債権に用いる勘定科目です。

【雑収入】

未収入金として計上していない還付金を受け取る場合や、還付加算金を受け取った際は「雑収入」の勘定科目を用います。

「雑収入」は、ほかの勘定科目に当てはまらない収入に用いる勘定科目です。

【事業主借】

個人事業主が、所得税の還付金を事業用として使用している口座で受け取る場合、「事業主借」の勘定科目を用います。

所得税は、個人の所得に対して課税される税金です。

還付金は事業主個人に返還されるお金であるため、事業用口座ではなくプライベート用口座で受け取った場合は、仕訳の必要はありません。

「事業主借」は、個人事業主が事業用でない資金を用いて事業用の支出を行った場合や、事業用口座に事業と関連しない入金があった場合に用いる勘定科目です。

【租税公課】【仮払金】など

誤って税金を二重に納付してしまった場合など、納付と還付のタイミングが同一期中内であれば、支払時に使用した勘定科目を用いて反対仕訳で消し込む処理が可能です。

たとえば納付時の仕訳で「租税公課」を用いて計上していた場合、還付金も貸方を「租税公課」にして仕訳します。

納付した時点で過払いがすでに判明しており、過払金額を「仮払金」で処理した場合は、還付金も貸方に「仮払金」を用いて仕訳します。

なお「租税公課」などで経費計上した後、期をまたいで還付された場合は、「雑収入」を用いて処理しましょう。

【事例で解説】還付金の仕訳例

還付金の具体的な仕訳例を事例別に紹介します。

法人税の還付を受ける場合

法人が、法人税の還付を受ける際の仕訳例を紹介します。

例:中間申告で50万円を納付し「仮払法人税等」で処理していたが、確定した法人税額は40万円であり、10万円還付されることが判明した

①決算時

借方貸方
法人税等
未収還付法人税等
400,000円
100,000円
仮払法人税等500,000円

②還付金の受取時

借方貸方
預金100,000円未収還付法人税等100,000円

消費税の還付を受ける場合

消費税の還付を受ける際の仕訳例を紹介します。

消費税は、会計処理に税抜経理方式・税込経理方式のいずれを採用しているかで仕訳内容が異なるため注意が必要です。

例:期末時点で仮払消費税30万円・借受消費税20万円で10万円の還付金が判明した

1.税抜経理方式

決算時

借方貸方
仮受消費税
未収消費税等
200,000円
100,000円
仮払消費税300,000円

還付金の受取時

借方貸方
預金100,000円未収消費税等100,000円

2.税込経理方式

決算時

借方貸方
未収消費税等100,000円雑収入100,000円

還付金の受取時

借方貸方
預金100,000円未収消費税等100,000円

個人事業主が所得税の還付を受ける場合

個人事業主が、所得税の還付金を事業用口座で受け取る場合の仕訳例を紹介します。

なお所得税は、事業主個人に対して課税される税金であり、還付金も事業活動には関連しません。したがって、事業用口座ではなくプライベート用の口座に還付金が入金された場合は、仕訳の必要はありません。

例:所得税額が確定し、納付済の金額から1万円の還付があると判明した

還付金の判明時

借方貸方
未収入金10,000円事業主借10,000円

還付金の受取時

借方貸方
預金100,000円未収入金100,000円

50円の還付加算金があり、未収入金として処理していなかった場合

借方貸方
預金10,050円未収入金
事業主借
10,000円
50円

計上時の反対仕訳で消し込む場合

納付時に用いた勘定科目と同一の科目を使用し、反対仕訳で消し込む場合の仕訳例を紹介します。

例:自動車税40,000円を現金で支払ったが、後日過払いであると判明し、還付金10,000円を振込で受け取った

1.支払時に租税公課で計上した場合

借方貸方
租税公課40,000円現金40,000円

還付金受取時

借方貸方
預金10,000円租税公課10,000円

2.支払後、すぐに過払いであると判明し仮払金で計上した場合

借方貸方
仮払金10,000円現金10,000円

還付金受取時

借方貸方
預金10,000円仮払金10,000円

還付金を会計処理する際の注意点

還付金が発生した場合の会計処理の注意点を解説します。

適切な勘定科目と会計処理方法を選択する

還付金を受け取った際の会計処理方法は、一律ではありません。

税金納付時の勘定科目や、還付金の判明時に未収入金として計上されているかどうかなど、条件によって処理が変わります。消費税の場合は、税抜・税込処理いずれを採用しているかにもよっても異なります。

還付金の発生のつど、事例に応じて適切な勘定科目と会計処理方法の選択が必要です。

益金算入の取り扱いに注意する

税金の還付金を会計処理する際には、益金算入の取り扱いに注意が必要です。

税金の還付金は、原則として益金不算入です。ただし、利子の性質をもつ還付加算金や、事業税や自動車税などの支払った際に損金算入される税金が還付される場合は、益金算入されます。

還付金と還付加算金は一般的に合算して振り込まれます。仮に両方を雑収入で処理する場合でも、益金算入・不算入の取り扱いが異なるため、それぞれの金額に分けて会計処理が必要です。

まとめ

還付金に用いる勘定科目は、「未収入金」「雑収入」「事業主借」を用います。

反対仕訳で消し込む場合は、支払時に使用した科目を用いるため「租税公課」「仮払金」などで処理するケースもあります。

還付金の会計処理をする際は、事例別に適切な勘定科目と会計処理方法を選択し、益金算入の取り扱いに注意しましょう。

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よくある質問

還付金とは?

税金を納めすぎた場合に返還されるお金のことをいいます。事業活動を営むうえでは、法人税・消費税・所得税などの各種税金の還付金が考えられます。

還付金を詳しく知りたい方は、「還付金は返還されるお金」をご覧ください。

還付金に用いる勘定科目は?

還付金に使用する勘定科目は、「未収入金(未収法人税等・未収消費税等など)」「雑収入」「事業主借」です。

反対仕訳で消し込む場合は、支払時に使用した科目を用いるため、「租税公課」「仮払金」などが考えられます。

還付金の勘定科目を詳しく知りたい方は、「還付金に用いる勘定科目」をご覧ください。

監修 安田 亮(やすだ りょう)

1987年香川県生まれ、2008年公認会計士試験合格。大手監査法人に勤務し、その後、東証一部上場企業に転職。連結決算・連結納税・税務調査対応などを経験し、2018年に神戸市中央区で独立開業。

監修者 安田亮