勘定科目の基礎知識

給与所得税の勘定科目は? タイミング別の仕訳例や注意点を解説!

監修 北田 悠策 公認会計士・税理士

給与所得税の勘定科目は? タイミング別の仕訳例や注意点を解説!

源泉徴収は、事業主が負う義務のひとつです。本記事では、給与にかかる所得税を徴収する際に用いる勘定科目や、タイミング別の仕訳例を紹介します。

事業主が従業員に給与を支払うとき、従業員が負担すべき所得税をあらかじめ徴収し、納税者である従業員に代わって納付する制度を源泉徴収といいます。

従業員の給与から一定率分を差し引き、その後税務署に納めるまでどのような仕訳が必要なのかを説明するので、ぜひ参考にしてください。

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目次

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給与の所得税とは?

そもそも所得税とは、個人の所得を対象とした税金です。1年間の個人の所得から所得控除を差し引いた「課税所得」に、税率を乗じて算出します。所得は性質によって、次の10種類に分類されます。

所得の種類

  • 利子所得
  • 配当所得
  • 不動産所得
  • 事業所得
  • 給与所得
  • 退職所得
  • 山林所得
  • 譲渡所得
  • 一時所得
  • 雑所得

上記のうち、従業員に対して支払う給与や賞与は「給与所得」に該当します。原則、会社や個人事業主が給与や賞与を支払う場合、下表の流れで源泉徴収を行わなければなりません。

なお会社員などの給与から、あらかじめ差し引かれる所得税・復興所得税を「源泉徴収税」といいます。

給与の所得税は経費にできる?

源泉徴収税は、法人や個人事業主の経費として計上することはできません。

給与などから天引きした所得税は、本来、給与を受け取った本人が納めるべき税金を事業主が一時的に預かっている状態であるためです。

給与や賞与から差し引いた後、事業主が税務署に納付する手続きを行います。また差し引いた税金に過不足があった場合、年末調整で差額を精算します。

給与所得税に用いる勘定科目

法人が従業員に対して、毎月の給与を支払う際に所得税に用いる勘定科目は【預り金】です。

預り金とは、役員・従業員・取引先から一時的に預かった金銭を仕訳するための勘定科目です。預り金に該当する支出として、以下の例が挙げられます。

預り金に該当する例

  • 源泉所得税
  • 住民税
  • 社会保険料
  • 営業保証金

給与や賞与から徴収した所得税を仕訳するのは、次の3つのタイミングです。

所得税を仕訳するタイミング

  • 給与などを支払うとき
  • 徴収した税を納付するとき
  • 年末調整を行うとき

給与から差し引いた所得税は一時的に預かっている金銭であるため、納付や年末調整のタイミングで適切に処理する必要があります。

【事例で解説】給与所得税の仕訳例

所得税の仕訳例を、タイミング別に紹介します。

従業員に給与を支払う場合

従業員に対し、源泉徴収税等3,600円および社会保険料27,000円を差し引き、給与180,000円を現金で支払う場合

借方貸方摘要欄
給与180,000円現金149,400円
預り金3,600円源泉徴収税等
預り金27,000円社会保険料

従業員に対し、源泉徴収税等6,000円および社会保険料45,000円を差し引き、給与300,000円を振込で支払う場合

借方貸方摘要欄
給与300,000円預金249,000円
預り金6,000円源泉徴収税等
預り金45,000円社会保険料

仕訳をする際、源泉徴収税と社会保険料は別々で記帳しましょう。摘要欄に詳細を記載しておくと、後から見返した際に仕訳の内容がわかりやすくなります。

徴収した税を納付する場合

徴収した源泉所得税等3,600円を税務署窓口にて現金で支払う場合

借方貸方
預り金3,600円現金3,600円

徴収した源泉所得税等6,000円をクレジットカードで支払う場合

利用時

借方貸方
預り金6,000円未払金6,000円

引き落とし時

借方貸方
未払金6,000円預金6,000円

なお源泉徴収税を納めるには、税務署や金融機関の窓口での手続きのほか、次のキャッシュレス納付での手続きが可能です。

キャッシュレス納付

  • ダイレクト納付
  • インターネットバンキング
  • クレジットカード納付
  • スマホアプリ納付

時間や場所を選ばず便利なので、活用するとよいでしょう。

年末調整で還付金が生じた場合

一般的に、年末調整で還付金が生じた場合、12月または1月の給与で精算します。

従業員に対し、給与180,000円(源泉徴収税等3,600円および社会保険料27,000円)と還付金10,000円を現金で支払う場合

借方貸方摘要欄
給与180,000円現金159,400円
預り金10,000円預り金3,600円源泉徴収税等
預り金27,000円社会保険料

従業員に対し、給与300,000円(源泉徴収税等6,000円および社会保険料45,000円)と還付金30,000円を振込で支払う場合

借方貸方摘要欄
給与300,000円預金279,000円
預り金30,000円預り金6,000円源泉徴収税等
預り金45,000円社会保険料

年末調整で追加徴収が必要な場合

年末調整で納付額が不足している場合、基本的に12月の給与支払い時に天引きします。

従業員に対し、給与180,000円(源泉徴収税等3,600円および社会保険料27,000円)を現金で支払い、不足額10,000円を天引きする場合


借方貸方摘要欄
給与180,000円現金139,400円
預り金3,600円源泉徴収税等
預り金27,000円社会保険料
預り金10,000円年末調整不足額

従業員に対し、給与300,000円(源泉徴収税等6,000円および社会保険料45,000円)を振込で支払い、不足額場合30,000円を天引きする場合

借方貸方摘要欄
給与300,000円預金239,000円
預り金6,000円源泉徴収税等
預り金45,000円社会保険料
預り金10,000円年末調整不足額

【個人事業主の場合】源泉徴収税を仕訳する際の注意点

個人事業主で、源泉徴収の対象となる報酬を得ている場合、取引先から源泉徴収されるケースがあります。源泉徴収の対象となる個人事業主の報酬は、以下の通りです。

源泉徴収の対象となる個人事業主の報酬

  • 原稿料・講演料など(※)
  • 弁護士・公認会計士・司法書士など特定の資格をもつ人などに支払う報酬や料金
  • 社会保険診療報酬支払基金が支払う診療報酬
  • プロの野球選手・サッカー選手・テニス選手やモデル、外交員などに支払う報酬や料金
  • 映画・演劇そのほかの芸能(音楽・舞踊・漫才など)、テレビジョン放送などの出演の報酬や料金、また芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬や料金
  • ホテル・旅館で行われる宴会などで、客への接待を業務とする職業の人(コンパニオンやホステスなど)に支払う報酬や料金
  • プロ野球選手の契約金など、役務の提供を約することにより一時的に支払う契約金
  • 広告宣伝のための賞金や馬主に支払う競馬の賞金

※懸賞応募作品等の入選者に支払う賞金等については、一人に対して1回に支払う金額が50,000円以下であれば、源泉徴収をしなくてもよい

出典:国税庁「No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」

個人事業主が納めるべき所得税が決定するのは、確定申告をするタイミングです。具体的には、次の流れで源泉徴収が行われます。

個人事業主の源泉徴収の流れ

  1. 売上請求時、源泉徴収税額を差し引いた請求書を作成する
  2. クライアントは、報酬から「源泉徴収税額」を差し引いた額を支払う
  3. 個人事業主は、報酬と徴収された税額を仕訳する
  4. クライアントが、徴収した所得税を納付する
  5. 確定申告時、個人事業主が源泉徴収額を精算する

請求額は「売掛金・売上高」で仕訳し、入金されたら源泉徴収額は「仮払金」で仕訳しましょう。以下の仕訳例を参考にしてください。

個人事業主が売上100,000円を請求する場合

借方貸方摘要欄
売掛金100,000円売上高100,000円講演料

個人事業主の売上金100,000円が入金された場合

借方貸方摘要欄
預金100,000円売掛金100,000円講演料
仮払金10,210円源泉徴収税等

まとめ

源泉徴収した所得税を仕訳する際は、「預り金」を用います。従業員に支払った給与や賞与から差し引く所得税は、経費計上できません。

徴収した所得税を仕訳するタイミングは、給与を支払うとき・徴収した税を納付するとき・年末調整を行うときの3回です。預り金は一時的に仕訳するための勘定科目なので、後に適切に処理する必要があります。

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よくある質問

給与所得は経費にできる?

給与にかかる所得税は経費にできません。

所得税の経費計上の可否に関して知りたい方は、「給与の所得税は経費にできる?」をご覧ください。

給与所得に用いる勘定科目は?

源泉徴収した所得税は、「預り金」で仕訳します。

給与にかかる所得税の勘定科目に関して詳しく知りたい方は、「給与所得税に用いる勘定科目」をご覧ください。

監修 北田 悠策(きただ ゆうさく)

神戸大学経営学部卒業。2015年より有限責任監査法人トーマツ大阪事務所にて、製造業を中心に10数社の会社法監査及び金融商品取引法監査に従事する傍ら、スタートアップ向けの財務アドバイザリー業務に従事。その後、上場準備会社にて経理責任者として決算を推進。大企業からスタートアップまで様々なフェーズの企業に携わってきた経験を活かし、株式会社ARDOR/ARDOR税理士事務所を創業。

北田 悠策