商品・サービスの対価として取引先から手形を受け取ったときは、「受取手形」の勘定科目を用いて仕訳を行い、会計上は流動資産に区分されます。

また通常、手形は期日を迎えなければ現金化できませんが、受取手形は期日前に現金化したり、譲渡したりすることも可能です。期日前に現金化または譲渡する場合は別途仕訳が必要になるため注意しましょう。

本記事では、勘定科目の受取手形の概要や売掛金との違い、具体的な仕訳例、仕訳時の注意点などを解説します。

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• 受取手形は流動資産の仕訳で用いる勘定科目
• 売掛金との違い
• 支払手形との違い
• 【事例で解説】受取手形の仕訳例
• 売上を受取手形で受け取った場合
• 売掛金を後日約束手形で受け取った場合
• 支払期日を迎えて受取手形を決済した場合
• 受取手形の仕訳時に注意したいこと
• 支払期日を迎えて受取手形を決済した場合
• 裏書譲渡は受取手形の減少として処理する
• まとめ
• 確定申告を簡単に終わらせる方法
• よくある質問

「受取手形」とは、商品・サービスの対価として約束手形・為替手形を取引先から受け取ったときに用いる勘定科目です。

日本国内のビジネスでは、支払手段のひとつとして約束手形を振り出すことも珍しくありません。手形には支払いの期日が決められているため、受け取った手形をすぐに現金化できるわけではありません。

そのため手形取引の場合、手形を受け取ったときのほか、期日を迎えて実際に代金を回収したときにも受取手形の勘定科目を使って仕訳を行います。

なお、受取手形は売上債権と言われ、現金を受け取る権利を指すため、流動資産に区分されます。流動資産とは1年以内に現金化できる資産のことです。1年を超えて現金化できる資産は固定資産と呼ばれます。

「売掛金」とは、商品・サービスを取引先に提供したものの、まだその代金を受け取っていないことを示す勘定科目です。

ビジネスでは、つど払いの対応をしてしまうと、経理業務の手間や余計な手数料がかさんでしまいます。そのため、一般的には企業ごとの決められた期日に、まとめて代金の精算を行うことが多いです。

このように、「期日までに支払う」という約束のもとに成立した考え方が売掛金で、受取手形と同様に売上債権と言われます。

受取手形との大きな違いは、手形の振り出しの有無です。手形は銀行の当座預金がなければ振り出すことができないため、取引の際は基本的に銀行の仲介が発生します。

一方、売掛金は手形のように第三者を介さないため、会計上は単に未入金の債権を表します。

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「支払手形」は、商品・サービスの提供を受けた代金として、取引先に手形を振り出して支払ったときに用いる勘定科目です。

受取手形は手形を受け取った側の視点に対して、支払手形は手形を振り出した側の視点です。

なお、受取手形が流動資産に区分されるのに対して、支払手形は流動負債に区分されるので、覚えておきましょう。

流動負債とは1年以内に支払期日を迎える負債のことです。支払期日が1年を超える負債は固定負債と呼ばれます。

取引先から手形が振り出されたときは、手形を受け取ったときのほか、手形が期日を迎えたときも仕訳が必要です。以下のケース別に受取手形の勘定科目を用いた仕訳例を紹介します。

商品・サービスの代金を約束手形で受け取った場合は、その時点で受取手形の勘定科目を使って仕訳を行います。

たとえば、商品代金100万円を約束手形で受け取った場合の仕訳は、以下の通りです。

状況によっては、商品・サービスの代金を売掛金とし、後日一部を約束手形で受け取ることもあります。この場合は、一部を売掛金から受取手形に振り替える作業を行わなければいけません。

たとえば、商品代金100万円を掛け取引とした場合は、以下の仕訳をします。

代金の回収時に20万円は現金、残りの80万円分は約束手形で受け取った場合の仕訳は以下の通りです。

約束手形を現金化するときも、仕訳が必要です。

たとえば、支払期日を迎えて約束手形100万円を当座預金で受け取った場合は以下の仕訳をしましょう。

なお、日本での手形取引には為替手形もありますが、基本的な仕訳の流れは約束手形と同様です。

手形を受け取ったときは、原則として支払期日に所定の銀行で支払いを受けますが、以下のように特殊なケースもあります。

それぞれのケースで仕訳時に注意したい点を紹介します。

受け取った手形は、手形割引を利用すれば支払期日前に現金化することが可能です。ただし、手形割引は融資扱いになるため、利息分が差し引かれる点に注意しましょう。

手形割引を利用した場合は、差し引かれた利息分を「手形売却損」の勘定科目を用いて処理します。

たとえば、100万円の約束手形を手形割引で現金化して、割引料1万5,000円が差し引かれた場合の仕訳は以下の通りです。

受け取った手形は、手形裏面の必要事項を記載し、譲渡を受ける人の承諾を得ることで、裏書譲渡ができます。

裏書譲渡を利用した場合、すでに保有している手形を第三者に譲渡するため、支払手形の増加ではなく、受取手形の減少として処理が必要になるので注意しましょう。

たとえば、保有している約束手形100万円を、買掛金のあるほかの取引先に裏書譲渡して相殺した場合の仕訳は以下の通りです。

なお、裏書譲渡は約束手形が不渡りになった場合、譲渡人が弁済をしなければいけません。また、手形割引で受取手形を決済後、不渡りになってしまうケースも考えられます。不渡りになった際は銀行から買い戻しが求められるため把握しておきましょう。

手形の支払期日前に、利用できる点は大きなメリットですが、将来的な経営リスクを高める可能性があります。振出人に支払能力があるのかをしっかりと確認しておくことが大切です。

受取手形は、商品・サービスの対価として約束手形・為替手形を取引先から受け取ったときに用いる勘定科目です。会計上では流動資産の区分で処理します。

受取手形と同様に、売上債権として売掛金もありますが、大きな違いは手形の振り出しの有無です。

なお、受け取った手形は手形割引によって期日前に現金化したり、裏書譲渡したりすることもできます。通常の手形の現金化とは仕訳が異なるため、手形割引や裏書譲渡を行うときは、注意しましょう。

受取手形の仕訳を把握して、適切に処理しましょう。

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受取手形は、約束手形・為替手形を取引先から受け取ったときに用いる勘定科目です。

勘定科目の受取手形を詳しく知りたい方は「受取手形は流動資産の仕訳で用いる勘定科目」をご覧ください。

手形割引を利用したときは、利息分を「手形売却損」として処理が必要です。また、裏書譲渡したときは、支払手形の増加ではなく、受取手形の減少として処理をします。

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