勘定科目の基礎知識

香典の勘定科目とは?仕訳例や経費計上する際の注意点を解説

監修 税理士・CFP® 宮川真一 税理士法人みらいサクセスパートナーズ

香典の勘定科目とは?仕訳例や経費計上する際の注意点を解説

香典の仕訳に使う勘定科目は、「福利厚生費」または「接待交際費」です。従業員や従業員親族、取引先など渡す相手によって異なるため注意が必要です。

従業員や取引先で不幸があった際に出した香典は経費に計上でき、個人事業主も仕事で関わる相手に渡した場合は経費として計上できます。ただし、経費計上できないケースも存在し、香典がすべて経費にできるわけではありません。

本記事では、香典を仕訳する際に使う勘定科目仕訳例を事例別に解説します。

目次

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香典は経費計上が可能

仕事で関わりがあった相手へ渡す香典は、経費計上が可能です。

経費計上できる香典の例

  • 身内に不幸があった従業員に対して会社から香典を渡す
  • 従業員が亡くなったため遺族に対して会社から香典を渡す
  • 取引先の役員が亡くなったため会社から香典を渡す

また、個人事業主も得意先・仕入先などで不幸があった場合は、香典を経費に計上できます。

ただし、従業員が個人的に渡した場合は、経費にできません。専従者のみを雇う事業者が従業員へ渡す場合、身内や個人的関係者へ渡す場合も経費計上の対象外です。

香典の仕訳に使う勘定科目

香典を仕訳する際は誰に渡したかで変わり、以下の勘定科目を使用します。

近年は香典を辞退するケースも多く、代わりに供花や供物を渡す場合もあるでしょう。供花や供物にかかった費用も、香典と同じ勘定科目を使って仕訳するケースが一般的です。

【福利厚生費】

自社の役員・従業員・その家族などへ渡す香典は、「福利厚生費」の勘定科目を使って仕訳します。

役員や従業員、およびその遺族への慰問や見舞いにあたるためです。また、過去に役員や従業員だった人へ渡す場合も含みます。

【接待交際費】

得意先・仕入先・事業に関わる社外の相手へ渡す香典なら、接待交際費の勘定科目を使って仕訳します。

社外の相手でも事業に関わらない相手や個人的な関係者へ渡す場合は、接待交際費に計上できません。

経費にできない香典の事例

経費にできない香典の事例は以下の通りです。

経費にできない香典の事例

  • 役員や従業員が個人的に渡した香典
  • 専従者のみを雇う事業者から従業員への香典
  • 個人事業主から身内・個人的関係者への香典

経費にできない事例を詳しく解説します。

役員や従業員が個人的に渡した香典

役員や従業員が個人で負担する香典は、経費にできません。

経費計上できるのは、会社から渡す場合に限られます。役員や従業員が個人的に渡した香典の代金を経費精算し、経費に計上してはいけません。

専従者のみを雇う事業者から従業員への香典

専従者のみを雇う事業者から従業員へ香典を渡す場合、経費計上できません。

専従者とは、事業主と同一生計の配偶者や親族に該当する従業員です。専従者のみで経営している事業者は、福利厚生費を計上できないため、従業員へ香典を渡しても経費にできません。

福利厚生費を計上するには、専従者ではない従業員を雇用している必要があるため注意しましょう。

個人事業主から身内・個人的関係者への香典

個人事業主の場合、身内や個人的な関係者へ渡す香典は、経費計上の対象外です。

経費計上できるのは、仕事で関わりのある相手のみであると覚えておきましょう。

【事例で解説】香典の仕訳例

香典を渡したとき・受け取ったときの事例別に仕訳例を解説します。香典の経費処理をする際の参考にしてください。

身内に不幸のあった従業員へ会社から香典を渡した場合

身内に不幸があった従業員に対して、会社から香典10,000円を渡した場合の仕訳は以下の通りです。


借方貸方
福利厚生費10,000円現金10,000円

自社従業員へ会社から香典を渡すため、勘定科目は福利厚生費を使います。

取引先役員の葬儀に参列して会社から香典を渡した場合

取引先役員の葬儀に参列して、会社からの香典30,000円を渡した場合の仕訳は以下の通りです。


借方貸方
接待交際費30,000円現金30,000円

自社従業員ではなく、仕事で関わりのある社外の人へ香典を渡すため、勘定科目は接待交際費を使います。

取引先の身内に不幸があり、個人事業主が香典を渡した場合

取引先の身内に不幸があり、個人事業主が事業資金から香典10,000円を渡した場合の仕訳は以下の通りです。


借方貸方
接待交際費10,000円現金10,000円

事業用の現金からではなく、事業主自身の手持ち現金から香典を出した場合は、貸方の仕訳に「事業主借」を使います。


借方貸方
接待交際費10,000円事業主借10,000円

貸方の仕訳も状況にあった勘定科目を使い分けましょう。

身内に不幸があり、香典を受け取った場合

香典を受け取った場合、受け取った金額を収益計上する必要はありません。香典は基本的に所得税・相続税・贈与税の対象外であるためです。

ただし、「社会通念上相当と認められるもの」に限られ、受け取った金額が一般的な金額から外れる場合は注意しましょう。

香典の仕訳や経費計上に関する注意点

香典の仕訳や経費計上する際、以下の事柄に注意しましょう。

香典の仕訳や経費計上する際の注意点

  • 香典を渡した根拠となるものを残す
  • 香典は社会通念上認められる範囲の金額にする
  • 香典は消費税の課税対象外取引にあたる
  • 後日おこなう香典返しや法要の費用は経費計上できない

各注意点を以下で詳しく解説します。

香典を渡した根拠となるものを残す

香典を経費計上する場合は、葬儀の案内や香典袋のコピーなどを残し、いつ・誰に渡したか根拠を残しましょう。

経費計上する際は通常、領収書や支払履歴を保管します。しかし、香典を渡した際の領収書発行はありません。葬儀の場や後日、遺族に対して香典の領収書発行を依頼する行為は不適切です。

領収書が発行されない代わりに、香典を渡した根拠に葬儀の案内や香典袋のコピーなどを保管します。

香典は社会通念上認められる範囲の金額にする

仕事で懇意にしていた相手でも、香典は社会通念上認められる金額に収めましょう。

「社会通念上認められる金額」が、具体的にいくらであるか規定はありません。しかし、一般的な金額を超えた部分は香典と認められない可能性もあり、注意が必要です。

渡した香典が所得税や贈与税など課税対象に該当し、受け取った遺族に負担をかける恐れもあります。

香典は消費税の課税対象外取引にあたる

香典は資産の譲渡や役務提供の対価には該当しないため、消費税はかかりません。

会社から香典を渡した場合、課税仕入には含めずに処理しましょう。

後日おこなう香典返しや法要の費用は経費計上できない

社葬を行った際の費用は経費に計上できますが、後日行う香典返しや法要などの費用は経費に含みません。

基本的に香典は遺族が受け取るため、会社で受け取って計上せず、香典返しが必要ならば遺族が行います。後日行う法要の費用も同様です。

個人事業主が取引先から香典を受け取った場合も、香典返しや後日行う法要の費用は経費計上できません。

まとめ

従業員や従業員家族への香典は「福利厚生費」、取引相手への香典は「接待交際費」の勘定科目を使います。

ただし、経費計上できる範囲や適した金額があるため注意しましょう。香典は課税対象ではありませんが、社会通念上認められる範囲を超えると所得税や贈与税を課税される可能性があります。

経費計上する際は根拠資料を残し、後日行う香典返しや法要の費用は経費計上できない点にも注意しましょう。

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よくある質問

香典の仕訳に使う勘定科目は?

香典を仕訳する場合、従業員や従業員家族へ渡すなら「福利厚生費」、取引相手へ渡すなら「接待交際費」の勘定科目を使います。

香典の仕訳を詳しく知りたい方は「香典の仕訳に使う勘定科目」をご覧ください。

香典は経費計上できる?

仕事で関わりのある相手へ渡す香典は経費計上できますが、なかにはできないケースも存在するため注意しましょう。

香典の経費計上に関して詳しく知りたい方は「香典は経費計上が可能」をご覧ください。

監修 宮川 真一

岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業後、税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは20年以上となる。現在は「100年先の“みらい”を創る。」税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表として、M&Aや事業承継のコンサルティングを行う。

税理士・CFP® 宮川真一