勘定科目の基礎知識

掃除機を購入した際の勘定科目は?個人事業主が経費計上する際の注意点も合わせて解説

監修 好川寛 プロゴ税理士事務所

掃除機を購入した際の勘定科目は?個人事業主が経費計上する際の注意点も合わせて解説

業務用に購入した掃除機の費用は経費計上が可能です。ただし、プライベートとの兼用である場合は、事業用として使用する割合分のみ経費として認められます。

また、掃除機の購入金額によって使用する勘定科目が異なるため、注意が必要です。

本記事では、勘定科目の種類や選び方、個人事業主が購入した掃除機をプライベートと兼用で使う場合の計上方法などを詳しく解説します。

目次

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掃除機の購入費用は経費計上できる

業務用に購入した掃除機の費用は経費計上が可能です。

掃除機の機種に制限はなく、スティック型・キャニスター型・ロボット型・業務用の大型掃除機も対象になります。また、紙パックやフィルターなどの掃除機の備品についても経費に含めることができます。

ただし、購入金額が10万円を超える場合は「資産」として扱い、減価償却をしなければなりません。購入した年に全額を経費計上できるケースについては後述しています。

掃除機購入費用の勘定科目

事業用の掃除機を購入したら仕訳をしなければなりません。掃除機の勘定科目は、購入金額や計上方法によって以下のように分類されます。

【掃除機費用の勘定科目】


  • 消耗品費:10万円未満または30万円未満で「少額減価償却資産」として全額経費にできる場合
  • 工具器具備品:10万円以上で減価償却をする場合
  • 一括償却資産:10万円以上20万円未満で、一括資産償却する場合

それぞれの勘定科目について解説します。

消耗品費

掃除機の購入費用が以下に当てはまる場合、消耗品費の勘定科目で仕訳をします。

  • 購入金額が10万円未満の場合
  • 購入金額が30万円未満で「少額減価償却資産の特例」を利用する場合

消耗品費とは、耐用年数が1年未満、または購入金額が10万円未満の時に使用する勘定科目です。また、「少額減価償却資産の特例」を利用する場合も消耗品費を使用します。

「少額減価償却資産の特例」とは、一度の購入金額が30万円未満であれば、年間300万円を上限として、その年に費用の全額を経費計上できる制度です。

ただし、この制度は一定の要件を満たした中小企業のみが利用でき、また2026年3月31日までと期限があるため、利用する際は国税庁の最新情報を確認しましょう。

なお、掃除機の紙パックやフィルターなどの勘定科目は消耗品費で仕訳をします。

さらに詳しく知りたい方は別記事「少額減価償却資産の特例とは?対象の資産・法人、仕訳などについて解説」をご覧ください。

工具器具備品

掃除機の購入金額が10万円以上の場合は、「工具器具備品」として資産計上し、減価償却を行います。

減価償却とは、時間の経過や劣化によって資産価値が下がることを考慮して、取得した費用を耐用年数に分けて経費計上を行います。

掃除機の場合は耐用年数は、スティック型やキャニスター型など種類を問わず6年とされています。そのため、18万円の掃除機であれば毎年3万円ずつを6年かけて経費計上をしていきます。

ただし、一定の条件を満たす場合は「消耗品費」または「一括償却資産」として全額計上することも可能です。状況に応じて適切な勘定科目を選びましょう。

一括償却資産

一括償却資産とは、資産の耐用年数に関わらず、3年間で均等に減価償却ができる制度です。購入金額が10万円以上20万円未満の場合に対象になります。

たとえば、18万の掃除機を経費計上をする場合、以下のように計上方法が変わります。

【18万円の掃除機を経費計上する場合】


  • 通常の減価償却(耐用年数6年):毎年の減価償却費は3万円
  • 一括償却資産(3年):毎年の減価償却費は6万円

このように、同じ購入金額でも1年あたりの経費計上額が異なるため、早期に節税効果を得やすいメリットがあります。

さらに、一括償却資産として処理をすると、税法上の「固定資産」とは見なされないため、償却資産税の対象にはなりません。償却資産税とは土地や家屋以外の設備を指し、課税標準額が150万以上の場合に課される税金です。

一括償却資産は税負担の軽減に効果的な場合があるため、条件に応じて活用を検討するとよいでしょう。

【事例別】掃除機購入費用の仕訳例

掃除機を購入した際の仕訳について、パターン別に紹介します。

なお、仕訳の基本を別記事「仕訳帳とは?総勘定元帳との違いや書き方の具体例を解説」で解説していますので、あわせてご覧ください。

消耗品費として経費計上する場合

掃除機の購入費用が10万円未満の場合は「消耗品費」として、その年の経費に計上します。

【例】事務所を掃除する目的で5万円の掃除機を現金で購入した

  
借方貸方
消耗品費50,000円現金50,000円

【例】事務所を掃除する目的で5万円の掃除機を会社のクレジットカードで購入した

▼ クレジットカードでの支払時

  
借方貸方
消耗品費50,000円未払金50,000円

▼ 利用代金の引き落とし時

  
借方貸方
未払金50,000円預金50,000円

工具器具備品として経費計上する場合

掃除機の購入金額が10万円以上の場合は「工具器具備品」として計上し、耐用年数の6年にわたって減価償却を行う必要があります。

【例】12万円の掃除機を現金で購入した場合

まず、購入時の費用を記録します。

  
借方貸方
工具器具備品120,000円現金120,000円

その後、掃除機は資産として計上されるため、6年間にわたり減価償却を行います。

減価償却(定額法・耐用年数6年)
①直接法

  
借方貸方
減価償却費20,000円工具器具備品20,000円

②間接法

  
借方貸方
減価償却費20,000円減価償却累計額20,000円

直接法と間接法について詳しくは別記事の「減価償却とは?償却できる資産や計算方法、耐用年数をわかりやすく解説」をご覧ください。

一括償却資産として経費計上する場合

掃除機の購入金額が10万円以上20万円未満であれば、一括償却資産として経費計上が可能です。この場合、耐用期間に関わらず3年間で減価償却を行います。

【例】12万円の掃除機を現金で購入し、一括償却資産として処理する場合

▼ 購入時

  
借方貸方
一括償却資産120,000円現金120,000円

▼ 減価償却

  
借方貸方
減価償却費40,000円一括償却資産40,000円

プライベートでも使用する場合は按分をする

個人事業主でも、業務に必要な掃除機であれば経費計上できます。ただし、掃除機を事業とプライベートの兼用で使う場合は全額経費にはなりません。使用する割合に応じた家事按分を行う必要があります。

家事按分とは、業務と私生活の両方に関わる支出のうち「業務に使用した範囲」だけを経費として計上する方法です。

たとえば、自宅の一部を事務所スペースとして利用している場合、その面積の割合に応じて掃除機の費用を算出できます。

家事按分について詳しく知りたい方は「家事按分とは? 個人事業主が知っておくべき経費計上の仕方や計算方法についてわかりやすく解説」をご参照ください。

よくある質問

掃除機は経費になる?

事業所の掃除など、業務で使用する場合は掃除機の経費計上が可能です。

詳しくは記事内「掃除機の購入費用は経費計上できる」をご覧ください。

掃除機を購入した際の勘定科目は?

掃除機の購入金額や利用する制度に応じて「消耗品費」「工具器具備品」「一括償却資産」のいずれかを使い分けます。

詳しくは記事内の「掃除機購入費用の勘定科目」をご参照ください。

個人事業主が掃除機を経費計上する際の注意点は?

個人事業主の場合、プライベートと兼用で掃除機を使うケースも少なくありません。この場合、全額を経費にすることができず、利用割合に応じた家事按分が必要になります。

詳しくは記事内の「プライベートでも使用する場合は按分をする」をご覧ください。

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まとめ

掃除機の購入費用は、業務に必要であれば経費計上が可能です。ただし、プライベートと兼用する場合は、業務で使用する割合に応じた家事按分が必要になるので注意しましょう。

勘定科目は、掃除機の購入金額や使用する制度に応じて選択します。掃除機の購入費用が10万円を超えており、少額減価償却資産の特例や一括償却資産を利用する場合は、その制度の要件をよく確認し正確に経理処理しましょう。

監修 好川寛(よしかわひろし)

元国税調査官。国税局では税務相談室・不服審判所等で審理事務を中心に担当。その後、大手YouTuber事務所のトップクリエイターの税務支援、IT企業で税務ソフトウェアの開発に携わる異色の税理士です。

監修者 好川寛
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