勘定科目の基礎知識

国民健康保険料の勘定科目は?個人事業主の支払い時などケース別の仕訳例も解説

監修 好川寛 プロゴ税理士事務所

国民健康保険料の勘定科目は?個人事業主の支払い時などケース別の仕訳例も解説

個人事業主やフリーランスが国民健康保険料を事業用のお金から支払った場合、「事業主賃」の勘定科目を使用して仕訳をする必要があります。

国民健康保険料は事業に関係のない支出とみなされるため、経費にはできません。そのため、プライベート用のお金で国民健康保険料を支払った場合は特に仕訳を行う必要はありません。

本記事では、国民健康保険の仕訳の仕方や会計処理する際の注意点について詳しく解説します。

目次

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個人事業主は国民健康保険への加入が必要

日本における健康保険制度の種類は、「国民健康保険」「被用者保険」「後期高齢者医療制度」の3つです。日本国民はいずれかの健康保険に必ず加入しなければなりません。

被用者保険には会社員や公務員が加入し、後期高齢者医療制度には75歳以上の人が加入します。どちらの条件にも該当しないケースが多い個人事業主やフリーランスは、国民健康保険に加入するのが一般的です。

また、国民健康保険制度には2つの種類があり、自治体が運営する国民健康保険と、職業に応じて加入できる国民健康保険組合があります。医業や建設業などの業種には国民健康保険組合が設けられており、一定の条件を満たすことで加入できます。

出典:厚生労働省「国民健康保険制度」

【関連記事】
個人事業主が加入する社会保険はどれ? 種類と加入方法やメリットも解説

国民健康保険への加入方法

国民健康保険への加入が必要な個人事業主やフリーランスは、以下の加入方法を確認しておきましょう。

新しく国民健康保険に加入する場合と、被用者保険から切り替える場合の手続きの手順は、それぞれ以下のとおりです。

【新しく国民健康保険に加入する方法】


  1. 加入届や本人確認書類を用意する
  2. 郵送または役所で申請する
  3. 郵送または直接、保険証を取得する


【被用者保険等から国民健康保険に切り替える方法】


  1. 健康保険・厚生年金保険 資格取得・資格喪失等確認請求書(通知書)を用意する
  2. 加入届と本人確認書類を用意する
  3. 郵送または役所で申請する
  4. 郵送または直接、保険証を取得する

出典:日本年金機構「国民健康保険等へ切り替えるときの手続き」

加入に必要な書類

国民健康保険の加入手続きで必要になる書類は、ケースによって異なります。

会社を辞めてお勤め先の健康保険の加入資格を喪失し国民健康保険に加入するケースであれば、本人確認書類や健康保険の資格喪失証明書が必要です。

ただし、市区町村や組合によって必要書類や手続きの方法が異なる場合があるため、公式サイトなどを確認しておきましょう。

国民健康保険料は経費にできる?

個人事業主やフリーランスが経費にできるのは、事業に関係のある支出のみです。国民健康保険料は個人的に支払う保険料であり事業とは関係ない支出であるため、経費にすることはできません。

また、個人事業主が支払う保険料にはさまざまな種類があります。なかには経費にできる保険料もあるため、以下を参考にして確認しましょう。

【経費にできる保険料・経費にできない保険料】


  • 経費にできる保険料:事業に関係する火災保険料・地震保険料・自動車保険料など
  • 経費にできない保険料:事業主が個人的に支払う国民年金保険料・国民健康保険料・生命保険料など

なお、国民健康保険料は経費計上はできないものの、確定申告時に所得控除として適用できます。控除によって節税につながるため、確定申告する際は忘れないようにしましょう。

国民健康保険料の仕訳が必要なケースと勘定科目

国民健康保険料はあくまで経費計上するものではないため、帳簿に記載したり仕訳したりする必要は原則としてありません。ただし、事業用資金を使って国民健康保険料を支払っている場合は、帳簿への記載が必要です。

以下では、国民健康保険料を仕訳するケースについて詳しく解説します。

国民健康保険を「事業主貸」で仕訳するケース

国民健康保険料を仕訳する際には、「事業主貸」という勘定科目を用います。事業主貸とは、事業とは関係ないプライベートな支出のために事業用資金を使った場合に用いる勘定科目です。

事業用資金を管理している銀行口座から生活費を引き出した場合などでは、勘定科目「事業主貸」を使って帳簿付けします。

国民健康保険料も私的な支出にあたるため、事業用口座の資金で払った場合は事業主貸を用いた仕訳が必要です。

【例】国民健康保険料1万円を事業用口座から支払った

  
借方貸方
事業主貸10,000円普通預金10,000円

国民健康保険料の会計処理に関する注意点

国民健康保険料を会計処理する際は、以下の注意点とポイントを覚えておきましょう。

国民健康保険料の会計処理に関する注意点

  • 国民健康保険料は事業の支出ではないため経費にできない
  • 国民健康保険料は確定申告で社会保険料控除の対象となる
  • 国民健康保険には勘定科目「租税公課」は使えない

国民健康保険料は事業の支出ではないため経費にできない

上述したとおり、国民健康保険料はあくまでも個人的な支出に該当するため、経費として計上することはできません。

誤って経費計上してしまうと、税務調査で否認されるリスクが高く、場合によっては脱税とみなされてしまうケースもあります。

経費ではないため帳簿付けする必要はありませんが、事業用口座から支払いをしている場合は「事業主貸」の科目を用いた会計処理が必要です。

国民健康保険料は確定申告で社会保険料控除の対象となる

国民健康保険料は、経費にはできない費用ですが、確定申告で社会保険料控除の対象となります。所得税・住民税の計算で社会保険料控除として全額控除されるため、結果として節税につながるでしょう。

確定申告で社会保険料控除を受けるには、確定申告書の第一表と第二表にある「社会保険料控除」欄に合計額と内訳を記載します。

詳しくは別記事「国民健康保険料の控除はいくら?計算方法や確定申告の手順を解説」をあわせてご確認ください。

国民健康保険料には勘定科目「租税公課」は使えない

租税公課とは、国税や地方税、印紙税などの税金を処理する際に用いる勘定科目です。

一見すると国民健康保険料も租税公課として経費計上の対象に見えますが、実際には対象外となります。

勘定科目を誤って使用すると、税務署から修正指摘を受けるリスクもあるため、仕訳する際は必ず適切な勘定科目を用いることを心がけましょう。

よくある質問

個人事業主は国民健康保険料を経費にできる?

個人事業主が支払う国民健康保険料は、経費として扱うことはできません。ただし、社会保険料控除の対象であるため、確定申告時には忘れずに控除の申請を行いましょう。

詳しくは、記事内「国民健康保険料は経費にできる?」をご覧ください。

国民健康保険料の仕訳に使う勘定科目は?

国民健康保険料を事業用口座から支払っている場合は、「事業主貸」の勘定科目を用いて仕訳を行います。ただし、仕訳をした場合でも経費にはできないため、注意しましょう。

詳しくは、記事内「国民健康保険を「事業主貸」で仕訳するケース」をご覧ください。

国民健康保険料は租税公課になる?

国民健康保険料は、租税公課として会計処理できる費用ではありません。租税公課は、印紙代などの国税、地方税の仕訳に用いる勘定科目であり、保険料とは別のものである点を覚えておきましょう。

詳しくは、記事内「国民健康保険料には勘定科目「租税公課」は使えない」をご覧ください。

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まとめ

国民健康保険料に用いる勘定科目には、事業主貸があります。ただし、これはあくまでも事業用口座から保険料を支払った場合に行う会計処理で必要なものです。

国民健康保険料は経費として扱える費用ではないため、帳簿付けを行う必要はありません。なお、社会保険料控除の対象ではあるので、確定申告時には合計額を記載して、忘れずに控除を受けましょう。

監修 好川寛(よしかわひろし)

元国税調査官。国税局では税務相談室・不服審判所等で審理事務を中心に担当。その後、大手YouTuber事務所のトップクリエイターの税務支援、IT企業で税務ソフトウェアの開発に携わる異色の税理士です。

監修者 好川寛
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