監修 税理士・CFP® 宮川真一 税理士法人みらいサクセスパートナーズ
    
        謝礼金を支払ったときは、「交際費」や「支払手数料」の勘定科目を用いて処理するのが一般的です。支払う状況によって勘定科目・処理方法が異なります。
        
        本記事では、謝礼金を支払ったとき、受け取ったときの勘定科目や仕訳例を紹介します。取引先に顧客を紹介してもらったときや、外部講師に依頼して講演会を開いたときなどに、ぜひ参考にしてください。
        
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目次
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謝礼金に用いる勘定科目
        謝礼金を支払った場合、事業にかかわるものであれば、一般的に「交際費」や「支払手数料」の勘定科目を用いて経費に計上できます。
        
        どのような意味合いで支払ったのかによって勘定科目や処理方法が異なるため、正しく理解しておきましょう。
		
		謝礼金を支払ったとき、受け取ったときの勘定科目を解説します。
    
謝礼金に用いる勘定科目
- お礼として支払った場合は【交際費】
 - 報酬の意味合いで支払った場合は【支払手数料】
 - 宣伝や販促のために支払った場合は【広告宣伝費・販売促進費】
 - 報酬として謝礼金を受け取った場合は【売上高】
 - お礼として謝礼金を受け取った場合は【雑収入】
 
【交際費】
        「お礼」の意味合いで謝礼金を支払った場合は、一般的に「交際費」の勘定科目を用いて処理します。
        
        「交際費」は、得意先や仕入先に接待や贈り物をしたときに使う勘定科目です。
		
		「交際費」として処理する謝礼金は感謝の気持ちを伝えるものであるため、労働の対価ではありません、そして、相手からの請求によって支払うものではありません。
		
		たとえば、イベントに出演してくれたアーティストに謝礼金を支払った場合が該当します。そのほか、顧客を紹介してもらった取引先に謝礼金を支払った場合などが該当します。
    
【支払手数料】
        「お礼」よりも「報酬」の意味合いが強い謝礼金は一定の基準があり、一般的に勘定科目「支払手数料」を用いて処理します。たとえば、外部から講師を招いてセミナーを開催した場合などが該当します。
        
        「支払手数料」は、商品やサービスに付随して発生する手数料や、専門家に支払う報酬を支払ったときに用いる勘定科目です。
    
【広告宣伝費・販売促進費】
モニターやアンケート調査などのお礼として謝礼金を支払う場合は、一般的に「広告宣伝費」や「販売促進費」の勘定科目を用います。
勘定科目「広告宣伝費」「販売促進費」とは
- 広告宣伝費:不特定多数の人に、商品やサービスを広く知ってもらうための宣伝にかかる費用を支払ったときに使う勘定科目
 - 販売促進費:商品やサービスの販売を促進する目的で、不特定多数の人に提供する商品サンプルやノベルティの費用を支払ったときに使う勘定科目
 
モニターやアンケート調査に協力した一般消費者に対する謝礼を交付する費用は、「交際費」には含まれないため注意しましょう。
【売上高】
        報酬として謝礼金を受け取ったときは、「売上高」を用いて処理します。
        
        「売上高」は、本業において商品を納品したり、サービスを提供したりしたときに収益を得た場合に使用する勘定科目です。
    
【雑収入】
        お礼として謝礼金を受け取ったときは、「雑収入」を用いて処理します。
        
        「雑収入」は、本業以外で得た収入(営業外収益)で、金額が低く、ほかの勘定科目に当てはまらないときに使用する勘定科目です。
    
【事例で解説】謝礼金の仕訳例
謝礼金を支払ったとき・受け取ったときの仕訳例を、いくつかのケースに分けて紹介します。
謝礼金の仕訳例
- 顧客を紹介してもらった取引先に謝礼金5万円を支払った場合
 - 講師に講演会の謝礼金を支払った場合
 - 売上とは別に謝礼金を受け取った場合
 
顧客を紹介してもらった取引先に謝礼金5万円を支払った場合
取引先から得意先を紹介してもらい、謝礼として5万円を支払ったときの仕訳は以下の通りです。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 交際費 | 50,000円 | 現金 | 50,000円 | 
講師に講演会の謝礼金を支払った場合
外部から講師を招いて講演会を開催し、講師が所属する法人に謝礼金20万円を支払ったときの仕訳は、以下の通りです。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 支払手数料 | 200,000円 | 現金 | 200,000円 | 
次に、個人事業主の講師に謝礼5万円を支払い、源泉徴収が必要な場合の仕訳を紹介します。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 支払手数料 | 50,000円 | 現金 | 44,895円 | 
| 預り金 | 5,105円 | ||
また、源泉徴収を差し引いたあとにちょうど5万円の謝礼金を支払うときは、以下のように処理します。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 支払手数料 | 55,685円 | 現金 | 50,000円 | 
| 預り金 | 5,685円 | ||
売上とは別に謝礼金を受け取った場合
取引先から、売上とは別に謝礼金5,000円を受け取ったときの仕訳は、以下の通りです。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 5,000円 | 雑収入 | 5,000円 | 
個人事業主が取引先(給与支払事業者)から謝礼金を受け取る際は、源泉徴収税が差し引かれます。源泉徴収税は、「事業主貸」の勘定科目を用いて仕訳しましょう。
| 借方 | 貸方 | ||
|---|---|---|---|
| 現金 | 8,979円 | 雑収入 | 10,000円 | 
| 事業主貸 | 1,021円 | ||
なお、「事業主貸」は事業用の資金でプライベートの支払いをしたときに用いる勘定科目です。
謝礼金を経費に計上する際のポイント・注意点
事業で謝礼金を支払ったときは、経費に計上できます。経費に計上する際、以下のポイント・注意点をおさえておきましょう。
謝礼金を経費に計上する際のポイント・注意点
- 対価性のある謝礼金は課税仕入れとなる
 - 個人に支払う謝礼金は源泉徴収の対象となる
 - 広告宣伝費に該当する場合は50万円以下なら源泉徴収の必要がない
 
対価性のある謝礼金は課税仕入れとなる
        対価性のある謝礼金は、消費税を考慮して仕訳する必要があります。講演会の講師に支払う謝礼金などは対価を得て行うものであり、消費税の課税取引にあたるからです。
        
        なお、消費税の課税取引となるのは、以下の要件をすべて満たす取引です。
    
消費税の課税取引となる要件
- 国内取引である
 - 事業者が事業として行うものである
 - 対価を得て行うものである
 - 資産の譲渡、資産の貸付け、役務の提供である
 
個人に支払う謝礼金は源泉徴収の対象となる
謝礼金を支払う相手が「個人」である場合、源泉徴収が必要です。たとえば、以下のようなものが該当します。
源泉徴収が必要な報酬の例
- 個人に支払う講演料や原稿料
 - 芸能プロダクションを営む個人に支払う報酬・料金
 - 専門家(弁護士、公認会計士、司法書士など)に支払う報酬・料金
 
        名目が「謝礼金」であっても、実態が「報酬・料金等」であれば源泉徴収の対象になる点に注意が必要です。源泉徴収税(所得税および復興特別所得税)を差し引いて謝礼金を支払いましょう。
        
        例として、作家や大学教授などの個人に謝礼金を支払うときの計算方法を確認しておきましょう。源泉徴収すべき所得税および復興特別所得税の額は、支払金額が100万円以下なら10.21%、100万円を超える部分は20.42%で算出します。
    
| 支払金額 | 税額 | 
|---|---|
| 100万円以下 | 支払金額×10.21% | 
| 100万円超 | (支払金額-100万円)×20.42%+102,100円 | 
        ※求めた税額に1円未満の端数があるときは切り捨てます。
        
        ※司法書士などに支払う場合では、計算方法が異なります。
		
		たとえば、10万円ちょうどの謝礼金を支払いたい場合は、次のように算出します。
    
- 支払金額:100,000円÷0.8979=111,370円
 - 源泉徴収税額:111,370円×10.21%=11,370円
 
上記のように、源泉徴収税引き後の手取額で支払いたいときは、次の式で算出しましょう。
手取額÷0.8979=支払金額(税率が10.21%の場合)
        なお、「報酬・料金等」の額に消費税が含まれている場合は、原則として消費税の額を含めた金額が源泉徴収の対象です。
        
        ただし、請求書などで「報酬・料金等」の額と消費税額が明確に区分されている場合は異なります。この場合は、税抜きの額を源泉徴収の対象とすることが認められています。
    
広告宣伝費に該当する場合は50万円以下なら源泉徴収の必要がない
        アンケートのお礼などで個人に「広告宣伝のための賞金等」を支払った場合、金額が50万円以下なら源泉徴収する必要はありません。
        
        「広告宣伝のための資金等」を支払った際に源泉徴収すべき税額は、以下の式で算出します。
    
(支払金額-50万円)×10.21%
上記の通り、支払金額から50万円を差し引いた残額に対して、源泉徴収が必要です。
まとめ
        一般的に、お礼を伝えるために支払う謝礼金は「交際費」、講師などに支払う謝礼金は「支払手数料」を用いて処理します。
        
        ただし、支払う相手が個人の場合は、謝礼金の名目でも実態が「報酬」に該当すれば、源泉徴収が必要です。源泉徴収税額を計算し、差し引いた金額を支払いましょう。
		
		また、お礼として謝礼金を受け取ったときは一般的に「雑収入」を用いて処理します。ただし、報酬として受け取った場合は「売上高」を使用する必要があるため、注意が必要です。
		
		謝礼金を支払ったとき・受け取ったときは、支払う相手や状況に応じた勘定科目を使用し、適切に処理しましょう。
    
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よくある質問
謝礼金を経費に計上する際の勘定科目は?
        一般的に、お礼を伝えるために謝礼金を支払ったときは「交際費」、報酬の意味合いが強いときは「支払手数料」を用います。
        
		謝礼金に用いる勘定科目を詳しく知りたい方は「謝礼金に用いる勘定科目」をご覧ください。
    
個人に謝礼金を支払う際の注意点は?
        謝礼金を個人に支払う場合は、源泉徴収が必要です。名目が謝礼金でも、実態が報酬なら源泉徴収税額を差し引いて支払います。
        
        個人に謝礼金を支払う際の注意点を詳しく知りたい方は「個人に支払う謝礼金は源泉徴収の対象となる」をご覧ください。
    
監修 宮川 真一
岐阜県大垣市出身。1996年一橋大学商学部卒業後、税理士業務に従事し、税理士としてのキャリアは20年以上となる。現在は「100年先の“みらい”を創る。」税理士法人みらいサクセスパートナーズの代表として、M&Aや事業承継のコンサルティングを行う。
        
        