勘定科目の基礎知識

年賀状の勘定科目は?はがき代や印刷代の処理方法、仕訳方法を解説例を紹介

監修 好川寛 プロゴ税理士事務所

年賀状の勘定科目は?はがき代や印刷代の処理方法、仕訳方法を解説例を紹介

年賀状の購入・作成にかかった費用は、事業に関連するものであれば経費にできます。

仕訳の際、年賀状・はがき代は「通信費」で処理されることが一般的ですが、使用目的や内容によっては「広告宣伝費」や「接待交際費」など、他の勘定科目が適切な場合もあります。

本記事では、年賀状を経費計上するときの勘定科目の選定基準や、目的別に分けた仕訳例を具体的に解説します。

さらに、年賀状が余った場合やお年賀を贈ったケースの処理、お年玉付き年賀はがきの取り扱いまで、会計処理のポイントを幅広く紹介します。

目次

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年賀状に用いる勘定科目

年賀状を購入した際の勘定科目は、「通信費」が一般的です。ただし、年賀状の目的によって勘定科目を変えたほうがよい場合もあります。

年賀状に関連する主な勘定科目は以下のとおりです。

年賀状に用いる主な勘定科目

  • 年賀状を購入した場合は【通信費】
  • 年賀状が期末に余った場合は【貯蔵品】
  • 年賀状の印刷代がかかった場合は【消耗品費】
  • お年賀(贈答品)を購入した場合は【接待交際費】
  • 宣伝の意味合いが強い場合は【広告宣伝費】
  • 印刷を外部に依頼する場合は【業務委託費】

勘定科目の使い分けは法律で明確に定められているわけではないので、 事業者が自由に決められます。ただし、一度決めた勘定科目や処理方法は毎期継続して使用する必要があり、原則として変更できません。

年賀状に用いる一般的な勘定科目を正しく理解し、自社のルールを決めましょう。

【関連記事】
勘定科目とは?仕訳方法や設定のポイントについてわかりやすく解説

年賀状を購入した場合は通信費

年賀状(年賀はがき)を購入したときは、通常のはがきや郵便切手と同様、一般的に「通信費」を用いて処理します。

「通信費」とは、電話・郵便・テレビ・インターネットなど、通信にかかる費用を支払ったときに用いる勘定科目です。

なお、年賀状を印刷した際にかかる費用が10万円以下の場合も、通信費としてまとめられます。

年賀状が期末に余った場合は貯蔵品

購入した年賀状(年賀はがき)が期末に余った場合、期中は「通信費」で処理し、期末に残った分を「貯蔵品」に振り替えます。「貯蔵品」とは、未使用の物品を資産として計上する際に使用する勘定科目です。

原則として、はがきは購入したときではなく使用したときに「通信費」に計上します。しかし、処理が複雑になるため、購入時にまとめて経費に計上する方法も認められています。

まとめて経費に計上する場合は、決算時に未使用分を「貯蔵品」に振り替える方法が一般的です。

年賀状の印刷代がかかった場合は消耗品費

年賀状を自社のプリンターやコンビニで印刷したときにかかった印刷代は、「消耗品費」の勘定科目で処理するのが一般的です。

一方、年賀状の印刷を印刷業者に委託する場合は、「外注費」や「支払手数料」などを用いて処理します。

「外注費」は、外部企業などに業務の一部を委託する際の費用を支払ったときに使用する勘定科目です。「支払手数料」は、商品やサービスに付随して発生する手数料などの費用を支払うときに使用します。

また、印刷代を「通信費」や「広告宣伝費」に含めて処理しても問題ありません。

お年賀(贈答品)を購入した場合は接待交際費

お菓子などの物品をお年賀(贈答品)として贈ったときは、お中元やお歳暮と同様に「接待交際費(交際費)」を用いて処理します。

「接待交際費(交際費)」とは、仕入れ先や得意先などに接待や贈り物をしたときに用いる勘定科目です。

接待交際費として認められる条件や対象外の費用については、国税庁の最新情報を確認しましょう。

出典:国税庁「No.5265 交際費等の範囲と損金不算入額の計算」

宣伝の意味合いが強い場合は広告宣伝費

宣伝の意味合いが強い年賀状を大量に送付する場合は「通信費」ではなく「広告宣伝費」を使用します。

具体的には、年賀状にクーポンや粗品の引換券をつけたり、キャンペーンを告知したりするケースなどです。

「広告宣伝費」とは、製品やサービスを広く知ってもらうための宣伝にかかる費用を支出したときに用いる勘定科目です。

出典:国税庁「No.5260 交際費等と広告宣伝費との区分」

印刷を外部に依頼する場合は業務委託費

業者に年賀状の印刷を依頼した場合の費用は、業務委託費用に該当します。「業務委託費用」とは、自社の業務を外部に依頼する際に発生する費用のことです。

年賀状における業務委託費用はあくまで「印刷料金を支払う場合のみ」に使用する項目であり、年賀はがき代もあわせて支払う際の勘定科目は「通信費」です。

なお、業務委託費用ではなく「支払手数料」の勘定科目でも問題ありません。

外注に関するコストとしてひとまとめにしたい場合は「業務委託費用」、単発の業務として手数料に集約したい場合は「支払手数料」などルール化しておくとよいでしょう。

【事例別に解説】年賀状の仕訳

年賀状を購入したときや印刷したときの処理方法は、目的などによって異なります。そこで、具体的な仕訳例をいくつか紹介します。

【事例別に解説】年賀状の仕訳


  • 新年のあいさつ用に年賀状を100枚購入した場合
  • 印刷業者にクーポン付き年賀状のはがき代・印刷代を払った場合
  • 年賀状を100枚購入し、期末に5枚残った場合
  • 得意先に贈るお年賀(贈答品)を購入した場合
  • 年賀状作成ソフトを購入した場合
  • 年賀状が余った場合

新年のあいさつ用に年賀状を100枚購入した場合

新年のあいさつ用に年賀状(85円)を100枚購入し、印刷業者に印刷代4,000円を払ったときは、以下のように仕訳します。

  
借方貸方
通信費8,500円普通預金12,500円
支払手数料4,000円

クレジットカードで支払ったときは以下のように仕訳しましょう。

▼ 年賀状の購入時

  
借方貸方
通信費8,500円未払金12,500円
支払手数料4,000円

▼ クレジットカード引き落とし時

  
借方貸方
未払金12,500円普通預金12,500円

なお、郵便局やコンビニで年賀状を購入した場合は、年賀状を送った段階で課税対象となります。切手・はがきと同様に、購入時は消費税の対象になりません。

ただし、年賀状を送付する段階ではなく、購入時に課税仕入れとして計上する方が一般的です。

印刷業者にクーポン付き年賀状のはがき代・印刷代を払った場合

年賀状100枚の印刷・はがき代15,000円を印刷業者に払ったときの仕訳例は、以下のとおりです。なお、広告・宣伝のためのクーポン付き年賀状を例とします。

  
借方貸方
広告宣伝費15,000円普通預金15,000円

年賀状を100枚購入し期末に5枚残った場合

年賀状(85円)を100枚購入し、期末に5枚残った場合の仕訳例を紹介します。

以下は、購入時に「通信費」で処理し、期末に残った分を「貯蔵品」に振り替える場合の仕訳です。

▼ 購入時

  
借方貸方
通信費8,500円普通預金8,500円

▼ 決算時

  
借方貸方
貯蔵品425円通信費425円

▼ 翌期首

  
借方貸方
通信費425円貯蔵品425円

購入時に「貯蔵品」として処理し、使用時に経費計上する場合は、以下のように仕訳します。

▼ 購入時

  
借方貸方
貯蔵品8,500円普通預金8,500円

▼ 使用時

  
借方貸方
通信費8,075円貯蔵品8,075円

得意先に贈るお年賀(贈答品)を購入した場合

得意先に贈るお年賀(贈答品)を現金で購入し、10,000円払った場合は、「接待交際費」を用いて次のように仕訳します。

  
借方貸方
接待交際費10,000円現金10,000円

年賀状作成ソフトを購入した場合

5,000円の年賀状作成ソフトを購入した場合は「消耗品費」か「事務用品費」を用いて以下のように仕訳をしましょう。

▼ 消耗品費で仕訳した場合

  
借方貸方
消耗品費5,000円現金5,000円

▼ 事務用品費で仕訳した場合

  
借方貸方
事務用品費5,000円現金5,000円

なお年賀状作成ソフトは、パッケージ版・ダウンロード版問わず「消耗品費」か「事務用品費」のいずれかで計上します。

「消耗品費」が用いられることが多いものの、はがき代・印刷代とは性質が異なるため同じ勘定科目として合算はできません。

年賀状が余った場合

年賀状が余った場合は、余った年賀状の金額を「貯蔵品」として仕訳するのが一般的です。

1枚85円の年賀状を100枚購入し、うち20枚(1,700円分)が余った場合の仕訳例を見てみましょう。

  
借方貸方
貯蔵品1,700円現金1,700円

なお、余った年賀状を切手や通常のはがきに交換した場合は、交換時の手数料を「支払手数料」として計上しましょう。

年賀状の会計処理のポイント

年賀状を会計処理する際、以下のポイントを押さえておきましょう。

年賀状を会計処理する際のポイント

  • 個人事業主が年賀状を購入したときも経費に計上できる
  • 年賀状は購入時の課税仕入れとして処理する
  • お年玉は基本的に経費計上できない

個人事業主が年賀状を購入したときも経費に計上できる

個人事業主でも、事業にかかわる年賀状なら「通信費」として経費に計上できます。

プライベートで送る年賀状は経費として認められないため、事業とプライベートの年賀はがきをしっかり区別しておきましょう。

なお、個人事業主が事業用の年賀状代をプライベートの資金から支払った場合は、「事業主賃」の勘定科目で処理します。

年賀状は購入時の課税仕入れとして処理する

年賀状の購入における消費税の取扱いは、購入場所や利用目的によって異なります。

郵便局やコンビニで年賀状や切手を購入した場合、原則として消費税は非課税です。郵便料金として使用する際に課税対象となることから、二重課税を防ぐために購入時の課税が免除されているためです。

ただし、自社で使用する目的で継続的に年賀状を購入する場合には、継続適用を前提に課税仕入れとして処理できます。

なお、金券ショップや民間の販売代理店から年賀状を購入した場合は、課税仕入れの対象となります。

お年玉付き年賀はがきで当選したら?

法人が年賀はがきの抽選で1等の現金30万円に当選した場合は、営業外収益として課税対象となります。

経理処理では「雑収入」などの勘定科目を使用し、正確に帳簿へ記載することが必要です。帳簿に記載せずに保管したり、用途を明らかにしないまま使用したりする行為は認められていません。

個人が同様に30万円を受け取った場合は「一時所得」として課税の対象となります。代表的な一時所得には、競馬や競輪の払戻金、生命保険の満期保険金、懸賞やクイズ番組の賞金などが該当します。

ただし、一時所得は年間で50万円を超えなければ課税されません。そのため、ほかに高額な一時所得がなければ、税金が発生しない場合もあります。

お年玉は基本的に経費計上できない

取引先の子どもや親戚に対してお年玉を渡した場合、事業との直接的な関連性が認められないため、経費として計上できません。「交際費」にも該当せず、原則として個人的な支出と判断されるでしょう。

一方で、企業が従業員に現金でお年玉を支給するケースでは「給与手当」もしくは「福利厚生費」として処理されることがあります。支給の目的が業務上の慰労や福利厚生に該当する場合には、適切に経理処理することで経費計上が可能です。

よくある質問

年賀状は経費にできる?

法人・個人事業主ともに、取引先や既存顧客など事業に関わる人へ送る年賀状は経費計上が可能です。

ただし、家族や友人のような事業に関係ない人へ送る年賀状は経費として認められないので、混在しないように注意が必要です。

年賀状を送る際の勘定科目は?

新年のあいさつで年賀状を送るときに用いる勘定科目は「通信費」です。ただし、年賀状の目的によってはほかの勘定科目を用いたほうがよい場合もあります。

詳しくは記事内「年賀状を購入した場合は通信費」をご覧ください。

お年賀(贈答品)を贈る際の勘定科目は?

お年賀(贈答品)を贈る場合は、「接待交際費」を用いて処理します。

詳しくは記事内「お年賀(贈答品)を購入した場合は接待交際費」をご覧ください。

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まとめ

年賀状のはがき代や印刷費用は、業務に関連するものであれば経費として計上できます。使用目的に応じて「通信費」「広告宣伝費」「接待交際費」など適切な勘定科目を選び、仕訳を行いましょう。自社で印刷する場合は「消耗品費」、業者へ委託する場合は「業務委託費」などの処理も想定されます。

年賀状の費用処理に関して法的な定めはありませんが、余った年賀状の貯蔵品計上やお年玉付きはがきの当選時の税務処理も含め、適正な会計処理を行いましょう。

監修 好川寛(よしかわひろし)

元国税調査官。国税局では税務相談室・不服審判所等で審理事務を中心に担当。その後、大手YouTuber事務所のトップクリエイターの税務支援、IT企業で税務ソフトウェアの開発に携わる異色の税理士です。

監修者 好川寛
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