勘定科目の基礎知識

弁護士費用の勘定科目はどれ?仕訳例や経費計上する際のポイントをわかりやすく解説

監修 好川寛 プロゴ税理士事務所

弁護士費用の勘定科目はどれ?仕訳例や経費計上する際のポイントをわかりやすく解説

弁護士費用は、支払手数料や支払報酬料などの勘定科目を用いて会計処理を行います。また、個人の弁護士と弁護士法人、着手金や預け金など、状況に応じた会計処理が必要になる点に注意しましょう。

本記事では、弁護士費用に用いる勘定科目や仕訳例について詳しく解説していきます。会計処理の注意点も解説するので、参考にしてみてください。

目次

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弁護士費用は経費にできる

事業にかかわることで弁護士に依頼をした場合、その費用は経費にすることができます。

経費として計上できる主な弁護士費用の種類とそれぞれの内容は、以下のとおりです。


弁護士費用の種類内容
着手金弁護士に依頼した段階で支払う費用
実費依頼内容の実行にかかる鑑定料や印紙代、交通費などの費用
報酬依頼内容が成功に終わった場合に支払う費用
手数料書類作成や各種手続きなどの依頼によって生じる費用
相談料法律や事件など、弁護士に相談する際にかかる費用
顧問料弁護士と継続的な契約を結んでいる場合、定期的に支払う費用

事業とは関係のない、個人的な依頼で発生した弁護士費用は経費として認められないので、注意しましょう。

弁護士費用に用いる勘定科目

上述したように、弁護士費用は内容によって種類が異なるため、勘定科目も変動します。

弁護士費用の仕訳をする際に用いる勘定科目は、主に以下のとおりです。

弁護士費用に用いる勘定科目

  • 支払手数料:報酬や着手金と手数料を一括で管理する場合
  • 支払報酬料:報酬や着手金と手数料を分けて管理したい場合
  • 支払顧問料:弁護士と顧問契約を結んでいる場合
  • 業務委託費:弁護士へ単発で業務を依頼している場合

支払手数料

支払手数料は、弁護士や税理士などの外部専門家への報酬・顧問料、金融機関への振込手数料を仕訳する際に用いる勘定科目です。

支払手数料は、弁護士費用だけではなく、取引の仕訳において広く用いられます。そのため、他の費用にも支払手数料の勘定科目を使っている場合は、混同しないように注意しましょう。

支払手数料は、弁護士への支払い頻度や金額が少ない場合に用いるのがおすすめです。支払手数料で一括管理することで、管理にかかる手間を省けるメリットがあります。

【支払手数料の仕訳例】

借方貸方
支払手数料100,000円普通預金100,000円

なお、支払手数料についてさらに詳しく知りたい方は、別記事「支払手数料の勘定科目はどう使う?仕訳例や混同しやすい経費も解説」をあわせてご確認ください。

支払報酬料

支払報酬料は、弁護士や税理士などの外部専門家へ報酬を支払った際に用いる勘定科目です。専門的な業務にかかる報酬以外に発生した費用も、支払報酬料としてまとめて経費計上できます。

依頼時に発生した交通費や印紙代などの費用は、備考欄で報酬金と分けて記載しておくと、後から仕訳帳を確認した際にわかりやすいです。

【支払報酬料の仕訳例】

借方貸方
支払報酬料100,000円普通預金100,000円

支払顧問料

支払顧問料は、主に弁護士と顧問契約を締結していて、継続的に依頼費用を支払っている場合に用いられる勘定科目です。支払報酬料と役割は似ていますが、顧問契約の有無にあわせて活用することで、よりわかりやすい仕訳ができます。

また、継続的に支払う固定費とスポットで支払う変動費を区別したい場合は、備考欄に内訳を記載しましょう。

【支払顧問料の仕訳例】

借方貸方
支払顧問料100,000円普通預金100,000円

業務委託費

業務委託費は、業務の一部をほかの法人や個人に依頼する場合に用いる勘定科目です。弁護士に依頼したい際にかかる費用を、業務委託費として計上することもできます。

ただし、弁護士以外にも業務を委託して支払っている場合もあるでしょう。この場合は、業務委託費にすべてまとめて計上してしまうと、なんの費用なのかわかりにくくなってしまいます。

そのため、弁護士費用を業務委託費にまとめたい場合は、補助科目の「弁護士委託」を活用してわかりやすくしておくのが重要です。

【業務委託費の仕訳例】

借方貸方
業務委託費100,000円普通預金100,000円

【事例で解説】弁護士費用の仕訳

弁護士費用の仕訳は、法人に支払う場合と個人事業の弁護士に支払う場合で処理が異なります。以下では、各ケースごとの具体的な仕訳例をみていきましょう。

なお、今回は使用する勘定科目として支払手数料を採用しています。

弁護士法人へ費用を支払った場合

弁護士法人へ裁判費用の100,000円を支払った場合の仕訳例は、以下のとおりです。


借方貸方
支払手数料100,000円普通預金100,000円

また、郵便費用・謄写料・交通費・印紙代など、裁判にかかる費用を事前に預け、事件終了時に清算する場合は「預け金」で仕訳します。

預け金として50,000円を支払った場合の仕訳例は、以下のとおりです。


借方貸方
預け金50,000円普通預金50,000円

弁護士の業務が終わったら、実際に裁判にかかった費用を預け金から支払手数料へ振り替え、残額を普通預金へ戻し入れる必要があります。

裁判にかかった実費が30,000円であった場合の仕訳例は、以下のとおりです。


借方貸方
支払手数料30,000円預け金50,000円
普通預金20,000円  

個人事務所の弁護士に費用を支払った場合

個人事業事務所を開業している弁護士に費用を支払う場合は、源泉徴収しなければなりません。源泉徴収の金額は支払う金額によって、以下のように異なります。

【支払う金額が100万円以下の場合】


  • 報酬額 × 10.21 = 差し引かれる源泉徴収税額

【支払金額が100万円を超える場合】


  • (支払金額 - 1,000,000(円)) × 20.42(% ) + 102,100(円) = 差し引かれる源泉徴収税額

たとえば、裁判費用が100,000円であった場合の仕訳例は、以下のとおりです。


借方貸方
支払手数料100,000円普通預金89,790円
預り金10,210円

また、弁護士に支払う費用が110万円の場合は、以下のように仕訳します。


借方貸方
支払手数料1,100,000円普通預金977,480円
預り金122,520円

なお、弁護士が交通費などを立て替えて支払った場合、その金額が通常必要な範囲内であれば、源泉徴収の対象に含めなくても構いません。交通費以外にも、ホテルの宿泊費なども同様です。

弁護士費用を経費計上する際の注意点・ポイント

弁護士費用の会計処理では、以下のポイントに注意が必要です。

弁護士費用を経費計上する際の注意点・ポイント

  • 源泉所得の計算に注意する
  • 弁護士費用を源泉徴収しなくてもよいケースを知っておく
  • 同じ取引には同じ勘定科目を用いる
  • 弁護士には着手金を支払うケースがある
  • 弁護士には預け金としてお金を渡すケースもある

それぞれくわしく解説します。

源泉徴収の計算に注意する

所得税および復興特別所得税を源泉徴収する金額は、弁護士への支払金額(源泉徴収の対象となる金額)に税率をかけて計算します。支払金額別の計算方法は、以下のとおりです。

【源泉徴収の計算方法】


  • 100万円以下の場合:支払金額 × 10.21%
  • 100万円超の場合:(支払金額-100万円)× 20.42% + 102,100円

出典:国税庁「No.2792 源泉徴収が必要な報酬・料金等とは」

上記のように、支払金額が100万円以下の場合と100万円超の場合は計算式が違うので注意しておきましょう。

なお、源泉徴収について詳しく知りたい方は、別記事「源泉徴収とは?源泉徴収制度の基本や税額の計算方法などをわかりやすく解説」をあわせてご確認ください。

弁護士費用を源泉徴収しなくてもよいケースを知っておく

弁護士費用の会計処理では、源泉徴収をしなくてもよい場合を押さえておきましょう。以下のケースでは、源泉徴収を行う必要がありません。

【源泉徴収をしなくてもよいケース】


  • 弁護士法人に支払う場合
  • 支払う人が源泉徴収義務者に該当しない場合

依頼した弁護士が法人に所属する場合は、源泉徴収は行いません。また、弁護士費用を支払う人が源泉徴収義務者に該当しない場合も同様です。


出典:国税庁「No.2502 源泉徴収義務者とは」

同じ取引には同じ勘定科目を用いる

弁護士費用の勘定科目には、支払手数料や支払報酬料、企業によっては業務委託費や支払顧問料などが用いられます。

勘定科目の使用には明確なルールはないため、上記のどの勘定科目を採用するかは企業や個人の自由です。

ただし、会計は同一の処理を継続して行う「継続性の原則」に則って処理しなければなりません。そのため、以前行った取引で用いた勘定科目は、その後の同じ取引でも一貫して用いるようにしましょう。

なお、勘定科目について詳しく知りたい方は、別記事「勘定科目とは?仕訳方法や設定のポイントについてわかりやすく解説」をあわせてご確認ください。

弁護士には着手金を支払うケースがある

依頼する弁護士によっては、報酬の前に着手金を支払うケースがあります。着手金が発生する場合は、着手金を支払った時点で会計処理を行いましょう。

また、着手金についても法人と個人で源泉徴収の有無が変わるため、個人の弁護士の場合は源泉徴収を忘れないようにしてください。

弁護士には預け金としてお金を渡すケースもある

弁護士費用を支払う場合、実費の見込み額を含めた報酬を事前に渡すケースがあります。この場合は、支払を行ったタイミングで、預け金の勘定科目を利用した会計処理が必要です。

なお、業務完了後は、実費分を支払手数料へ振替し、残額は返金処理する形で仕訳しましょう。また、預け金は報酬として確定しているお金ではないため、源泉徴収を差し引かずに支払いできます。

よくある質問

弁護士費用を経費に計上する際の勘定科目は?

弁護士費用を経費計上する際は、支払手数料や支払報酬料が主に用いられます。また、場合によっては、支払顧問料や業務委託費を用いるのも可能です。

詳しくは、記事内「弁護士費用に用いる勘定科目」をご覧ください。

弁護士費用を支払うときの注意点は?

弁護士費用を支払うときは、源泉徴収や勘定科目の選び方などに注意しましょう。また、着手金や預け金の存在についても、知っておく必要があります。

詳しくは、記事内「弁護士費用を経費計上する際の注意点・ポイント」をご覧ください。

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まとめ

弁護士費用を経費として計上する際は、支払報酬料や支払顧問料を勘定科目に用いることが一般的です。支払う費用が少額な場合や勘定科目をまとめたい場合などでは、支払手数料や業務委託費を用いることもできます。

また、依頼する弁護士が法人なのか個人なのかによって、源泉徴収の必要性が変わってくるため、仕訳方法と合わせてよく確認しましょう適切な勘定科目を用いて仕訳し、スムーズに会計処理を進めることが重要です。

監修 好川寛(よしかわひろし)

プロゴ税理士事務所代表。20年以上のキャリアをもつ国税OB税理士。税務調査や複雑な税務判断に精通し、幅広い税務相談に対応。クライアントの事業を深く理解し、長期的な視点で最適な税務戦略を支援しています。

監修者 好川寛
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