副業等の収入は「20万円」という金額が確定申告をするかしないかの基準となっています。
確定申告のことは細かくはわからないし、「できることなら面倒だからやりたくない」という人も多いかもしれません。
しかし、副業の確定申告は、基本的なルールを押さえていればそれほど難しいものではありません。
この記事では、副業やフリーランス、パート・アルバイトなどの収入で確定申告をしなければならない金額の基本や、税金の額を決めるための基本的なルールについて解説していきます。
目次
- 副業の確定申告が必要になる「20万円ルール」とは?
- 副業の種類による確定申告の内容の違い
- ① 副業がアルバイトやパートの場合
- ② 副業がアルバイト・パート以外(クラウドソーシングや内職の場合など)
- ③ 副業でアルバイトやパートとそれ以外の両方をしている場合
- 確定申告をする場合は副業が20万円以下でも申告が必要
- 確定申告をするかは課税所得を計算して決める
- アルバイト・パートは控除額より所得が少なければ課税されない
- クラウドソーシング・内職の場合は売上から経費と控除を差し引いた額
- 払い過ぎの税金が戻ってくるかは確定申告でわかる
- アルバイト・パートの場合の還付
- クラウドソーシング・内職の場合の還付
- 副業の確定申告をカンタンに終わらせる方法
- 副業で確定申告をしない場合の住民税
- まとめ
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※2022年10月12日更新※
国税庁は2022年8月1日に「副業収入300万円以下は事業所得ではなく雑所得にする」とのパブリックコメントを提出しましたが、これに対して約7,000件もの意見が集まり、10月7日に大幅な修正案が発表されました。
修正案では「副業収入において、帳簿や請求書などを保存している場合は原則『事業所得』とする」とあり、帳簿や請求書などの保存をしていれば収入額にかかわらず、事業所得として認められるという内容です。
詳しくは国税庁の公表した【「所得税基本通達の制定について」(法令解釈通達)の一部改正(案)(雑所得の例示等)に対する意見公募の結果について】をご確認ください。
副業の確定申告が必要になる「20万円ルール」とは?
副業で確定申告する必要があるかどうかの基準の1つにいわゆる「20万円ルール」があります。
20万円ルールとは、副業の所得が20万円以下の場合は確定申告をしなくても良いというルールです。
このルールは、「副業がアルバイトやパートなのか」、それとも「アルバイトやパート以外なのか」によって少し内容が違ってきます。それぞれのケースを詳しく見ていきましょう。
副業の種類による確定申告の内容の違い
① 副業がアルバイトやパートの場合
本業がサラリーマンで、副業がアルバイトやパートの場合、アルバイトやパートの収入が1年間で20万円以下であれば確定申告の必要はありません。
② 副業がアルバイト・パート以外(クラウドソーシングや内職の場合など)
本業がサラリーマンで、副業がアルバイト・パート以外(クラウドシーソングや内職など)の場合は、副業の所得が20万円以下であれば確定申告をする必要はありません。
ここで注意しないといけないのが「所得が20万円以下」です。アルバイトやパートの場合のように収入ではありません。
所得とは「売上-経費」のことです。例え売上が100万円あったとしても、経費に85万円かかっていれば所得は差し引き15万円になるので、確定申告をする必要はありません。
③ 副業でアルバイトやパートとそれ以外の両方をしている場合
副業でアルバイトやパートとそれ以外の両方をしている場合は、上記①と②を足した条件です。
アルバイトやパートの収入とそれ以外の所得の金額を合計して、20万円以下であれば確定申告をする必要はありません。
副業をしている方で確定申告のやり方について詳しく知りたい方は、『副業をしている場合の確定申告はどうなる?副業の確定申告のやり方を解説!』をご覧ください。
確定申告をする場合は副業が20万円以下でもが申告が必要
20万円ルールはあくまで確定申告をするか、しないかという基準です。確定申告はするが、副業については申告しないということはできません。
例えば、本業がサラリーマンではなく事業をしている場合や、本業がサラリーマンでも医療費控除を受けるために確定申告をしたい場合は、副業が20万円以下であっても確定申告書に記載する必要があります。
確定申告をするかは課税所得を計算して決める
サラリーマンの副業で確定申告が必要かどうかを説明しましたが、そもそも「税金を納める必要がない人」であれば確定申告は必要ありません。
納める税金がどれくらいあるのか、控除されたらどうなるのか、を確認するためには所得税を計算する必要があります。
<所得税計算の流れ>
- 所得金額(1年間の本業と副業の給料を合算)を求める
- 所得金額-所得控除=課税される所得金額
- 課税される所得金額×所得税の税率=納める税金
こちらも副業がアルバイトやパートなのか、アルバイト・パート以外なのかで少し内容が異なります。次項でそれぞれのケースを見ていきましょう。
アルバイト・パートは控除額より所得が少なければ課税されない
アルバイトやパートの給料には、例外を除いて経費が発生しません。その代わり、一定の控除は認められていますが、赤字になることはありませんので、所得金額は必ず存在します。
そのため、副業がアルバイトやパートで、納める税金のないケースは、所得金額-所得控除=課税される所得金額が0になる場合です。
つまり所得金額よりも所得控除が多いケースということになります。
所得控除とは、人が生活していく上で必要だろうと思われるものを控除するもので、配偶者や家族がいる場合などの人的の控除と、生命保険や地震保険の支払いなどの物的の控除があります。
少なくともその人が存在するという控除=「基礎控除」が48万円あるので、所得金額が48万円以下なら確定申告する必要はありません。
※なお、基礎控除額は令和元年分の確定申告までは、一律38万円でしたが、令和2年分より、納税者本人の合計所得金額に応じて以下のように変動します。
今回は分かりやすく48万円と記載しましたが、所得金額に応じて基礎控除額は変わってくるので注意が必要です。
クラウドソーシング・内職の場合は売上から経費と控除を差し引いた額
クラウドソーシングや内職は、「事業所得」または「雑所得」です。
事業所得や雑所得で納める税金がない場合は、所得金額や課税される所得金額が0の場合です。課税される所得金額はアルバイトやパートで働いていた場合と同じです。
所得金額が0となるのは、売上より経費(+青色申告特別控除)が多い場合です。
払い過ぎの税金が戻ってくるかは確定申告でわかる
税額ルールにも副業の種類ごとに注意点があります。
アルバイト・パートの場合の還付
通常、毎月のアルバイトやパートの給料からは、本業の給料よりも高い税率で所得税が天引きされます。
そのため、確定申告をすることで還付(税金が戻ってくる)を受けられる場合があります。
アルバイト感覚の仕事でも、契約方法が「委託契約」だった場合、報酬の支払いがされる際に、源泉所得税が天引きされている場合があります。この場合は、雑所得になりますので、経費も認められ次項で示す「クラウドソーシング・内職の場合の還付」になります。
クラウドソーシング・内職の場合の還付
払いすぎている税金の還付
クラウドソーシング・内職、委託契約のアルバイト、個人事業・フリーランスの場合は、前項のように先に売上から源泉所得税が天引きされている場合があります。
これは実は税金の前払いです。確定申告をすると、すでに支払った済の源泉所得税が戻ってくることがあります。
帳簿付け
青色申告でも白色申告でも、事業所得の場合は帳簿付けが義務付けられています。これは納める税金の有無に関わらず、必要になるので注意しましょう。
損失の繰り越し
青色申告をしている場合は、事業の赤字を翌3年間繰り越すことができます。赤字を繰り越すためには、確定申告をして毎年第四表を提出する必要があります。
翌3年の以内に利益が出ていれば、繰越欠損金(繰り越した赤字)を相殺することができます。翌3年以内に利益が出ている場合や、不明な場合は、念のために確定申告をしておいた方が良いでしょう。
保存義務
クラウドソーシングや内職は「事業所得」または「雑所得」になります。どちらの場合も確定申告をしていなくても、売上や経費の領収書を保存しておく必要があります。
特に青色申告者の場合は7年間保管しなければなりません。領収書やレシートは、月ごとに白紙に貼り付け、綴りのように保管するか、月ごとの封筒を用意してそこに保管するなどをしておきましょう。
初めて確定申告をされる方や確定申告について更に詳しく知りたい方は、『【初めての確定申告(2021年提出)】確定申告とは?やり方や期限、スマホ対応について』をご覧ください。
副業の確定申告をカンタンに終わらせる方法
年末調整をしている会社員でも副業をしていて、その副業の所得が20万円を超える場合には個人で確定申告が必要です。
確定申告には青色申告と白色申告の2種類がありますが、副業所得が「雑所得」に該当する場合は白色申告のみで青色申告は受けられません。
一方、副業所得が「事業所得」「不動産所得」に該当する場合は、青色申告が可能です。青色申告では、さまざまな節税メリットを受けることができる反面、事前の手続きや複式簿記での記帳が必要になり、白色申告に比べて申告準備に手間がかかります。
青色申告の準備や日々の記帳、申告書類の作成を楽にしたい方は、確定申告ソフト「freee会計」「freee開業」の活用がおすすめです。
ここからはfreeeを活用するメリットを、青色申告で確定申告を完了させるまでのステップにあわせてご紹介します。
青色申告するためのステップ1:開業届と青色申告承認書を作成・提出
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青色申告するためのステップ2:日々の記帳
青色申告する準備として、日頃から帳簿をつけることが重要です。青色申告では複式簿記での記帳が義務付けられているため、会計知識が必要になります。
しかし、freee会計を利用すれば、現金での支払いも「いつ」「どこで」「何に使ったか」を家計簿感覚で入力できるので、毎日手軽に帳簿づけを行うことができます。自動的に複式簿記の形に変換してくれるため、会計・経理の経験がない方でも安心して利用できます。
青色申告するためのステップ3:確定申告書類の作成・提出
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副業で確定申告をしない場合の住民税
副業による収入や所得が20万以下の場合は、確定申告の必要はありませんが、住民税の申告が必要です。住民税は所得に応じて計算されるため、確定申告と同時に完了するのが一般的です。
ただし、確定申告をしない場合は、別途住民税の申告が必要です。
副業している方で「副業と住民税の申告について」や「年末調整で気をつけるポイントについて」詳しく知りたい方は、『副業している人が年末調整で気をつけるポイント。確定申告が必要になる年収は?』をご覧ください。
まとめ
ここまで「副業をしている人が、確定申告をしないといけないのはいくらからなのか」について説明しました。簡単にまとめると、「副業が1年間でその収入が20万円以下の人」または「納める税金のない人」であれば確定申告をする必要はありません。
しかし、それぞれの場合で注意点もあります。確定申告をする必要があるかの判断は、課税対象となる所得金額がどれくらいかを計算する必要があります。
また、副業の種類によって勘定科目が変わることにも注意が必要です。フリーランスや副業での収入は雑所得として勘定分けされることになるので、この点に注意して確定申告や税金還付手続きを行いましょう。
フリーランス、副業といった働き方をゆくゆくは個人事業として本格的に開始することになれば青色申告も可能になります。その場合、控除額が多くなり大幅な節税につながりますので、この記事を参考に注意点も鑑みながら、確定申告するかしないかを決めましょう。
確定申告で青色申告を選択したい場合は、事前に青色申告承認申請書と開業届の提出が必要です。freee開業を活用すれば、ステップに沿って入力するだけで最短5分で必要書類が完成します。費用は無料です。
また、青色申告する場合も、白色申告する場合も、帳簿付けや経理作業が必要になります。freee会計などのクラウド会計ソフトを使用すれば、驚くほど速く、簡単に確定申告を行うことが可能です。なかにはスマートフォンのみで確定申告を完了した方も。 ツールを活用して、効率良く副業や確定申告を行いましょう。