法人カードのポイントは経費削減に役立ちますが、原則として会社の資産として扱います。私的に流用すると税務リスクが生じるうえ、インボイス制度のもとではポイント使用時の仕訳にも注意が必要で、つまずきやすいポイントといえるでしょう。
本記事では、法人カードのポイントの貯め方、使い道、会計処理、個人利用の注意点を解説します。
目次
- 経費決済は法人カードに一本化
- 従業員の法人カードを作れば、ポイントも貯まりやすい
- ポイントを効率的に貯めるその他の方法
- 貯まったポイントの使い道は?
- 法人カードのポイントは誰のもの?個人利用の可否と税務リスク
- ポイントは原則として会社の資産
- 個人利用が認められないケースとそのリスク
- 私的流用を防ぐ社内ルールの整備
- 法人カードのポイントと年会費の会計処理
- ポイント取得時は会計処理不要、使用時に処理する
- ポイント使用時の仕訳パターン
- インボイス制度下では値引処理が原則
- 年会費は経費計上できる
- 還元率1〜2%以上の法人カードは、ポイント還元率が高い
- 年会費と還元額の損益分岐を確認する
- ポイント還元と利便性で選ぶ法人カード
- おすすめのビジネスカード
- freeeカード Unlimited
- freee Mastercard
- まとめ
- 資金繰り・資金調達をサポート
- よくある質問
経費決済は法人カードに一本化
効率よくポイントを貯める第一歩は、経費決済を1枚の法人カードに一本化することです。決済用カードを1枚に絞ると、ポイントが早く貯まります。
法人カードで決済したい主な経費
- 出張費(飛行機代や宿泊費)
- 得意先との会食
- パソコンやカメラなどの備品購入
金額の大きい経費は忘れずにカード決済しましょう。広告費やクラウドソフトなどの定期支払いもカードにすれば、支払い忘れを防げます。シェアオフィス利用料や通信費、税金もカード払いが可能です。
経費計上の基準は「事業活動に関係があるかどうか」です。カード決済できる経費は、できるだけ法人カードで支払いましょう。
従業員の法人カードを作れば、ポイントも貯まりやすい
法人カードの多くは従業員カードを発行できます。発行するとポイントが貯まりやすく、経費精算が不要になり経理も効率化できます。
注意点は、貯まったポイントを個人利用できないことです。「福利厚生に使う」など使途を事前に伝えましょう。発行枚数に上限があるカードもあるため、申込時に確認します。
トラブルを避けるため、発行時は次の3点を社内規定に明文化しておくと安心です。
従業員カード発行時に明文化したい3点
- ポイントは会社の資産であり、私的利用は禁止する旨
- ポイントの使い道(福利厚生・備品購入・社員還元など)と承認フロー
- 万一私的利用が判明した場合の社内処分
ポイントを効率的に貯めるその他の方法
経費決済の一本化と従業員カード発行に加え、次の2つを組み合わせるとポイント獲得効率がさらに上がります。
ポイント獲得効率を上げる2つの方法
- カード会社のキャンペーン活用
- ポイントモール経由での購入
カード会社のキャンペーンでは、入会後の利用額に応じたボーナスポイントや、特定カテゴリの還元率アップを受けられる場合があります。ポイントモール経由でネット通販を利用すると、通常還元率に上乗せされることもあります。
法人カードによっては、税金や公共料金の支払いでもポイントが付与されます。納税額の大きい法人ほど効果が大きいため、法人カードを選ぶ際は「税金支払いがポイント付与対象か」を公式サイトで確認しましょう。
貯まったポイントの使い道は?
ポイントの使い道はカードによって様々で、マイルやキャッシュバック、商品券・ギフトカードへの交換などがあります。オフィス用品や航空券の購入に使えば経費削減になり、商品券に交換して社員へ還元することもできます。
主な使い道と経費削減のしやすさ・会計処理の概要は次のとおりです。
<法人カードのポイントの使い道別の特徴>
| 使い道 | 経費削減のしやすさ | 会計処理の概要 |
|---|---|---|
| 利用代金への充当(キャッシュバック) | 高い | 値引処理または雑収入として計上 |
| オフィス備品・消耗品の購入 | 高い | 値引処理または両建処理 |
| 商品券・ギフト券への交換 | 中(社員還元・贈答に活用) | 貯蔵品/交際費 と 雑収入 |
| 航空マイルへの交換 | 中(出張費に充当可) | 交換時は処理不要、利用時に処理 |
| 提携先ポイントへの交換 | 中 | 雑収入または交換時点では処理不要 |
| 商品(家電・グルメ等)との直接交換 | 低 | 仕入高または消耗品費 と 雑収入 |
なお、ポイントには有効期限があるのが一般的です。期限を過ぎると失効するため、四半期ごとなど定期的にポイント残高と有効期限を確認し、計画的に使い切る運用が望ましいです。
法人カードのポイントは誰のもの?個人利用の可否と税務リスク
法人カードで貯まったポイントは、原則として会社の資産です。代表者や従業員が個人利用すると、税務処理や社内管理の問題が生じる可能性があります。
ポイントは原則として会社の資産
会社名義の法人カードで決済した経費に付与されたポイントは、会社に帰属するものとして扱うのが基本です。代表者個人のカードを事業用と個人用で兼用している場合は、事業利用分と私的利用分を区分して管理します。
個人利用が認められないケースとそのリスク
会社名義の法人カードで貯めたポイントを、代表者や従業員が個人利用すると、次のような問題が生じやすくなります。
個人利用で生じる主なリスク
- 代表者による個人利用
- 従業員による無断利用
- 役員報酬としての処理
代表者や従業員がポイントを個人利用すると、会社の資産を私的に使ったものとして扱われる可能性があります。利用ルールを決め、会社の経費削減や福利厚生など、使途を明確にしておきましょう。
個人事業主の場合も、事業用と個人用のカードを分けておくと処理が簡単です。
私的流用を防ぐ社内ルールの整備
ポイントの使い道は、社内ルールで明確にしておきます。
私的流用を防ぐ社内ルールの例
- ポイントは会社の資産であり、用途は会社の経費削減・福利厚生・社員還元に限定する
- ポイント利用の承認者と承認フローを明確にする
- ポイント利用履歴をカード明細などと一緒に保存する
- 従業員カード発行時に、利用ルールを書面で交付し誓約を取る
法人カードのポイントは原則として会社の資産です。私的利用を避け、承認フローと利用履歴を残す運用にしましょう。
では、ポイントを使用したときの仕訳はどうなるのでしょうか。次章でパターン別の会計処理を整理します。
法人カードのポイントと年会費の会計処理
法人カードのポイントは、貯めた時点ではなく使った時点で会計処理を行うのが原則です。使い道によって仕訳が変わるため、使用時の用途を都度確認します。あわせて、年会費は経費計上できるため処理を忘れないようにします。
ポイント取得時は会計処理不要、使用時に処理する
ポイントが付与されただけでは経済的価値がまだ実現していないため、原則として会計処理は不要です。商品・キャッシュバック・マイルなどに交換・利用した時点で、用途に応じた仕訳を行います。
実務上は、失効可能性や評価の難しさがあるため、使用時に処理する方法が一般的です。
ポイント使用時の仕訳パターン
ポイントの使い道別に、代表的な仕訳を整理します。原則は「値引処理」、現金化や商品交換は「雑収入」を使う点を押さえます。
<ポイント使用時の仕訳例>
| 使い道 | 借方 | 貸方 | 補足 |
|---|---|---|---|
| 利用代金から自動充当(値引処理) | 該当の費用科目 | 普通預金など | 値引後の金額のみを計上 |
| 利用代金から自動充当(両建処理) | 該当の費用科目 | 普通預金+雑収入 | 額面と値引額を分けて計上 |
| 商品との直接交換 | 仕入高または消耗品費 | 雑収入 | ポイント相当額を時価で計上 |
| 金券への交換 | 前払金 | 雑収入 | 金券使用時に費用科目へ振替 |
| 商品券・ギフト券への交換 | 貯蔵品または交際費 | 雑収入 | 用途に応じて科目を選択 |
| キャッシュバック | 普通預金 | 雑収入 | 雑収入として計上 |
| 航空マイルへの交換 | 仕訳なし | 仕訳なし | マイル利用時に値引処理または両建処理 |
値引処理と両建処理は、いずれも法人税法上は容認されています。経費の実額を把握したい場合は両建処理、シンプルに済ませたい場合は値引処理を選ぶのが実務的な使い分けです。
インボイス制度下では値引処理が原則
2023年10月開始のインボイス制度では、ポイント値引きの取扱いが消費税の仕入税額控除に影響します。レシートにポイント値引後の金額が記載されている場合、その値引後金額をもとに仕入税額控除を計算します。
たとえばレシートが「商品代金10,000円・ポイント値引1,000円・支払額9,000円」なら、課税仕入れは9,000円(税込)で処理します。値引処理を選んでおくと、この取扱いと整合しやすくなります。
年会費は経費計上できる
法人カードの年会費は、事業のために支出した費用として全額経費計上できます。個人用クレジットカードの年会費は経費にできませんが、法人カードであれば「諸会費」または「支払手数料」の勘定科目で処理可能です。
仕訳例として、年会費11,000円(税込)を普通預金から引き落とした場合は次のとおりです。
<年会費の仕訳例(年会費11,000円・税込)>
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 諸会費 11,000円 | 普通預金 11,000円 |
ETCカードの年会費・発行手数料も、事業利用が前提なら同様に経費計上できます。
ポイントは取得時ではなく使用時に処理し、用途別に値引処理・両建処理・雑収入を使い分けます。インボイス制度下ではレシートのポイント値引後金額が課税仕入れの基礎になるため、値引処理を原則にすると消費税の過大控除リスクを抑えられます。
一方で、ここまで処理コストをかけてポイントを貯める価値があるかは還元率次第です。次章で還元率の目安と年会費との損益分岐を整理します。
還元率1〜2%以上の法人カードは、ポイント還元率が高い
法人カードが「お得」かどうかの目安の一つが、ポイント還元率です。還元率とは使用金額に対するポイントの割合で、100円あたり1円相当なら1%、2円相当なら2%です。一般的に1〜2%なら高還元といえます。
還元率が1%以下でも、空港ラウンジや保険など付帯サービスが充実したカードもあり、これらも選ぶ基準になります。
なお、ポイントが一切付与されない法人カードもあり、不正利用の防止や管理の簡素化を重視する場合の選択肢になります。
年会費と還元額の損益分岐を確認する
有料の法人カードを選ぶ場合は、年会費を還元額で回収できるかを事前に試算します。損益分岐の年間利用額は、次の計算式で求められます。
損益分岐利用額 = 年会費 ÷ 還元率
たとえば年会費11,000円・還元率1.0%のカードなら、年110万円(月約9.2万円)の利用で還元額が年会費と同額になります。月の経費決済額がこの水準を継続的に超える見込みなら、有料カードでも年会費を回収できます。
逆に経費決済が小さい個人事業主や設立直後の法人は、年会費永年無料のカードから始め、決済額が増えた段階で有料カードへ切り替えると合理的です。
還元率1〜2%は高還元の目安です。ただし、法人カードは空港ラウンジや保険など付帯サービスの充実度も合わせて評価します。有料カードは「年会費 ÷ 還元率」で損益分岐の年間利用額を試算し、自社の経費決済額が上回るかを確認しましょう。
ここで次に気になるのは、実際にどの法人カードを選ぶかです。次章でfreeeが提供する法人カードの特徴を整理します。
ポイント還元と利便性で選ぶ法人カード
法人カードは還元率だけでなく、申込のしやすさ・経理ソフトとの連携・追加カード発行の柔軟性など、業務効率に直結する要素も合わせて選びます。freeeが提供する法人カードは、利用明細の即時反映や領収書の自動添付など、経理業務との一体運用を前提に設計されています。
おすすめのビジネスカード
会計ソフトのfreeeでは、各クレジットカードブランドと提携した法人カードを提供しています。Webから申し込みが完結し、経理やバックオフィス業務を効率化する機能が付帯します。法人だけでなく、個人事業主にもおすすめです。
freeeが提供する法人カードについて、ブランドごとの特徴や特典をご紹介します。
freeeカード Unlimited
法人カードを選ぶ際は、freeeカード Unlimitedのように会計ソフト連携を前提にしたカードも選択肢になります。年会費や発行条件は、申込前に最新情報を確認しましょう。
経理業務を効率化する主な機能は次のとおりです。
freeeカード Unlimitedの主な機能
- 利用明細の即時反映
- 領収書の明細添付
- 目的に応じたカード発行
月初に明細が揃いやすく、提出された領収書を明細に紐づけられるため、照合作業を減らせます。従業員ごと・用途ごとにカードを発行すれば、立替精算の削減にもつながります。
freee Mastercard
freee Mastercardは、ライフカード株式会社が発行する事業用クレジットカードです。年会費や発行条件はカードの種類によって異なります。
freee Mastercardの主な特徴
- 年会費無料(一般カード)
- Web完結の申し込み
- 会計ソフトとの同期
freee会計にカード明細を同期できるため、経理処理を効率化しやすい点が特徴です。発行日数や付帯特典は、申込前に最新条件を確認しましょう。
まとめ
法人カードのポイントは、会社の資産として使い道と会計処理を決めておくことが大切です。経費決済を法人カードに集約すれば、ポイント管理と経理処理を進めやすくなります。
資金繰り・資金調達をサポート
この記事をご覧になっている方は、普段から資金繰りの状況についてチェックなさっているでしょうか。freee会計のユーザーアンケートによると、定期的に資金状況についてチェックしている方は約50%、確認の方法は預金残高通帳です。
キャッシュは企業存続の命綱です。キャッシュフローや今後の資金繰り予測などは会社経営の重要な要素の一つであり、資金調達は企業継続・繁栄の重要な手段です。
ただし、資金繰りや資金調達は難しい、よくわからない。そう思っている方も多いのではないでしょうか。
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資金を調達したいが、なにが自社に適した調達手段なのか、借入できる商品なのかがわからないという経営者の大きな悩み。最終的には税理士の言う通りにするがこれで良かったのか?と不安がつきまといます。
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よくある質問
法人カードのポイントは社長が管理しているのですか?
法人カードのポイントは原則として会社の資産です。社長名義のカードであっても、経費支出に対して付与されたポイントは会社に帰属します。社長個人の自由判断では使えず、用途は会社の経費削減・福利厚生・社員還元などに限定する必要があります。
従業員が在籍する場合は、使い道と承認フローを社内規定で明文化し、利用履歴を残すと管理しやすくなります。詳しくは「ポイントは原則として会社の資産」で解説しています。
法人カードで貯めたポイントはどのように仕訳しますか?
ポイント使用時に、用途別に仕訳を行います。利用代金から自動的に充当される場合は値引処理または両建処理、商品券への交換は「貯蔵品 / 雑収入」、キャッシュバックは「普通預金 / 雑収入」が代表的な仕訳です。ポイント取得時には会計処理は不要です。
インボイス制度下では、レシートのポイント値引後金額が課税仕入れの基礎になります。値引処理を原則にすれば、消費税の過大控除リスクを抑えられるでしょう。詳しくは「ポイント使用時の仕訳パターン」で解説しています。
法人カードで納税するとポイントは貯まりますか?
法人税・消費税・地方税などをクレジットカードで納付した場合、カードの種類によってはポイント付与の対象になります。ただし付与の有無や還元率は通常利用と異なることがあるため、申込前に各カード会社の公式サイトで確認しましょう。
なお国税のクレジットカード納付では、利用者負担の「決済手数料」が納付税額1万円ごとに99円(税込)かかります。還元額が手数料を上回るかを試算してから判断しましょう。詳しくは「ポイントを効率的に貯めるその他の方法」で解説しています。

