クレジットカードの基礎知識

法人税はクレジットカードで納付できる|手数料・上限額・手順を解説

法人税はクレジットカードで納付できる|手数料・上限額・手順を解説

法人税は、国税クレジットカードお支払サイトを通じてクレジットカードで納付できます。ただし、決済手数料がかかり、1回あたりの納付上限もあります。

本記事では、法人税をクレジットカードで納付する手順、手数料、メリット・注意点を解説します。

目次

クレジットカードで納付できる国税の範囲

法人税のクレジットカード納付は、平成28年度税制改正により2017年1月4日から利用可能となりました。消費税・源泉所得税・相続税・贈与税など、ほぼすべての国税が対象です。

クレジットカードで納付できる国税は現在25項目以上にわたります。法人に関連する主な税目は以下のとおりです。

クレジットカードで納付できる主な国税(法人関連)

  • 法人税
  • 地方法人税
  • 消費税および地方消費税
  • 源泉所得税および復興特別所得税
  • 申告所得税および復興特別所得税
  • 相続税・贈与税
  • 印紙税(書式表示等の場合)
  • 登録免許税(特定の場合)

一方、法人住民税・法人事業税・固定資産税などの地方税は、国税クレジットカードお支払サイトでは納付できません。地方税は各自治体が提供する地方税お支払サイトやeL-QRを経由する別の仕組みで納付します。

出典:国税庁「クレジットカード納付の手続」

法人税をクレジットカードで納付する方法

法人税のクレジットカード納付は、国税庁長官が指定した納付受託者であるトヨタファイナンス株式会社が運営する「国税クレジットカードお支払サイト」から行います。納付の受付は24時間365日対応しており、税務署や金融機関の窓口に出向く必要はありません。

ここでは、利用可能なカードブランド・5ステップの納付手順・決済手数料の体系・1回あたりの上限額の4つに分けて整理します。

利用可能なクレジットカードブランド

国税クレジットカードお支払サイトで利用できるカードブランドは、Visa・Mastercard・JCB・American Express・Diners Clubの5ブランドが基本です。あわせて、運営元のトヨタファイナンスが発行するTS CUBIC CARDも利用できます。

法人カードと個人名義のカードのいずれも利用でき、納付者本人名義以外のカードでも納付が可能です。たとえば代表者個人のカードで法人税を支払うこともできますが、ポイント帰属や経理処理の整理が必要になります。

なお、デビットカード・プリペイドカードは利用できません。

出典:国税庁「クレジットカード納付のQ&A」

納付までの5ステップの流れ

国税クレジットカードお支払サイトでの納付は、以下の5ステップで完了します。事前に申告書(納付すべき税額がわかる書類)と利用するクレジットカードの用意が必要です。

国税クレジットカードお支払サイトでの納付5ステップ

  1. 国税クレジットカードお支払サイトにアクセスする
  2. 利用者情報と税務署名を入力する
  3. 税目(法人税)・課税期間・申告区分・納付税額を入力する
  4. クレジットカード番号・有効期限・セキュリティコードを入力する
  5. 入力内容を確認し、決済手数料込みの金額で納付を確定する

確定後はメールで納付受付通知が届き、カード会社の利用明細にも反映されます。一度成立した納付は取消ができないため、税目・税額・課税期間に入力ミスがないか、確認画面での点検が欠かせません。

e-Taxで電子申告を行った場合は、申告データから連携してお支払サイトに遷移する方式も利用できます。受信通知から「クレジットカード納付」を選ぶと、納付情報が自動入力されるため入力ミスを招きません。

決済手数料の体系と早見表

決済手数料は、納付税額に応じて段階的に加算されます。最初の1万円までは99円(税込)、以降1万円を超えるごとに99円が加算されます。

主要な納付額における決済手数料の目安は以下のとおりです。

<納付税額別の決済手数料早見表>

納付税額決済手数料(税込)実質手数料率
1万円99円0.99%
5万円495円0.99%
10万円990円0.99%
50万円4,950円0.99%
100万円9,900円0.99%
500万円49,500円0.99%
999万円98,901円約0.99%

決済手数料は「納付額×約0.99%」とほぼ一定の比率になります。お支払サイト上にシミュレーション機能があるため、実際の納付前に手数料を確認できます。

なお、この決済手数料は仕入税額控除の対象となる課税仕入れではなく、納付受託者への手数料として支払うものです。仕訳上は「支払手数料」勘定で損金算入できます。

出典:国税庁「クレジットカード納付のQ&A」

1回あたりの上限額と1,000万円超の対応

クレジットカード納付は、1回の納付で1,000万円未満、かつ利用するカードの利用可能枠以下が上限です。すでに他の利用がある場合は、差し引いた残り枠が実質的な上限となります。

法人税額が1,000万円以上になる場合は、複数回に分けて納付します。たとえば法人税1,200万円なら999万円と201万円の2回に分けて決済する形が一般的です。

ただし、納付回数が増えると決済手数料も累進的に増えるため、高額納税ではダイレクト納付(e-Taxを利用した口座振替)や金融機関窓口納付のほうが手数料負担が軽くなる場合があります。

クレジットカード納付は、1回1,000万円未満・カード利用枠以内が上限です。超過分は分割納付で対応できますが、分割回数が増えると決済手数料も増えるため、高額納税ではダイレクト納付との比較が欠かせません。

法人税をクレジットカードで納付するメリット

法人税のクレジットカード納付には、ポイント還元・24時間対応・資金繰りの後ろ倒しという3つの実利があります。それぞれの効果を、金額や期間の具体例とあわせて整理しました。

クレジットカードのポイントが貯まる

クレジットカード納付では、利用額に応じて通常のショッピングと同様にポイントやマイルが付与されます。たとえば還元率1.0%のカードで100万円の法人税を納付すれば、1万円分のポイントが獲得できます。

ただし、決済手数料は約0.99%かかるため、ポイント還元率が決済手数料率を上回らなければ実質的な利益は出ません。法人カードの中には還元率が0.5%程度のものも多く、その場合は手数料負けになる点に注意が必要です。

ポイント還元率と決済手数料率の関係については、後述の「クレジットカード納付の損益分岐点と他納付方法との比較」で詳しく解説します。

24時間いつでも納税が可能

ネット環境があれば自宅から納税でき、銀行窓口の営業時間に制限されません。

税務署や金融機関の窓口受付時間(平日9時〜15時)を気にせず、深夜・早朝・土日祝日でも手続きを完了できるため、決算期末の繁忙期における経理担当者の時間負担を軽減できます。e-Taxで電子申告したあと、続けて納付まで完了させる運用も可能です。

引き落としまでのタイムラグで資金繰りに活用できる

クレジットカード納付では、納付手続きから実際にカード会社が口座から引き落とすまでに約1〜2か月のタイムラグが生じます。このズレは短期的な資金繰り改善に活用できるのです。

カード会社の「あとから分割」「あとからリボ」を使えば、引き落としをさらに後ろ倒しにもできます。ただし所定の分割手数料が別途発生します。お支払サイト側の決済は1回払いのみで、分割への変更はカード会社のサービスを利用する形です。

なお、引き落としを遅らせても納税義務は決済時点で完了しており、延滞税のリスクは決済日でいったん解消される点に留意します。

ポイント還元1.0%以上のカードなら、100万円納付で約100円の実質プラスになります。一方、0.5%カードでは手数料負けになります。引き落としまで約1〜2か月の猶予を作れますが、あとから分割を使う場合はカード会社所定の手数料も確認しましょう。

一方で、領収書が出ない・取消ができないなど現金納付にはない制約もあるため、次章でデメリットを整理します。

法人税をクレジットカードで納付するデメリットと注意点

クレジットカード納付には固有の制約があります。手数料負担に加え、領収書が発行されない・納付後の取消ができない・納税証明書の反映に時間がかかるなど、事前に把握しておくべき点を整理します。

決済手数料がかかる

最大のデメリットは、納付額に応じて決済手数料が発生することです。1万円ごとに99円が加算されるため、納税額が大きいほど手数料も比例して増えます。100万円の納付で9,900円、500万円の納付で49,500円です。

ダイレクト納付や金融機関窓口での現金納付なら手数料はかからないため、ポイント還元の有無と比較して判断します。

領収書が発行されない

クレジットカード納付では、紙の領収証書が発行されません。納付の事実は、お支払サイトからの納付完了通知メールおよびカード会社の利用明細で確認します。

入札参加資格申請や許認可手続きで「納税証明書」が必要な場合は、税務署に別途申請します。クレジットカード納付では納付情報が国税庁のシステムに反映されるまで最大3週間程度かかることがあるため、証明書の取得を急ぐ場合は現金納付や金融機関窓口での納付が確実です。

納付後の取消・修正ができない

クレジットカード納付は、決済が成立した時点で納付が確定します。税額の入力ミスや税目の選択ミスがあっても、お支払サイト側での取消はできません。

誤って多く納付した場合は、税務署で更正の請求や還付の手続きを行う必要があり、還付までに数か月を要します。決済前の確認画面で、税目・課税期間・税額を必ず点検します。

利用可能枠の制約と窓口現金納付の不可

法人税は金額が大きくなりがちですが、カードの利用可能枠を超える納付はできません。決算期前にカード会社へ利用可能枠の一時引き上げを申請しておくか、複数枚のカードで分割納付する運用が現実的です。

また、国税クレジットカードお支払サイトはオンライン専用のため、税務署・金融機関の窓口でカードを提示して納付することはできません。

クレジットカード納付では領収書が発行されず、納税証明書への反映にも時間がかかります。許認可申請等で証明書が急ぎで必要な場合は、金融機関窓口など別の納付方法も検討しましょう。

また、納付後の取消はできません。税目・課税期間・税額の確認画面が最終チェックポイントです。

手数料を払ってもポイント還元のほうが大きくなるのでしょうか。次章で損益分岐点を具体的に検証します。

クレジットカード納付の損益分岐点と他納付方法との比較

クレジットカード納付が「お得」かどうかは、ポイント還元率と決済手数料率(約0.99%)の差で決まります。ここでは還元率別の実質収支と、他の納付方法との比較を整理します。

ポイント還元率と決済手数料の損益分岐点

決済手数料率は実質約0.99%です。ポイント還元率がこれを上回れば実質プラス、下回れば実質マイナスとなります。

還元率別の100万円納付時の実質収支は以下のとおりです。

<ポイント還元率別・100万円納付時の実質収支>

ポイント還元率100万円納付時の手数料獲得ポイント実質収支
0.5%9,900円5,000円分-4,900円
1.0%9,900円10,000円分+100円
1.2%9,900円12,000円分+2,100円
1.5%9,900円15,000円分+5,100円
2.0%9,900円20,000円分+10,100円

還元率1.0%が損益分岐点です。法人カードの還元率は0.5〜1.0%帯が中心のため、保有カードの還元率を確認して判断します。マイル系カードは1マイルの価値(おおむね1.5〜2.0円)を踏まえた実質還元率での計算が基本です。

ダイレクト納付・スマホアプリ納付・現金納付との比較

国税の納付手段は複数あり、それぞれ手数料・上限額・利便性が異なります。

<国税の主な納付方法の比較>

納付方法決済手数料上限額ポイント還元領収書
クレジットカード納付約0.99%1,000万円未満カード次第なし
ダイレクト納付(e-Tax)無料上限なしなしなし
スマホアプリ納付無料30万円以下アプリ次第なし
金融機関窓口(現金)無料上限なしなしあり
コンビニ納付(QR・バーコード)無料30万円以下なしなし

30万円以下の少額ならスマホアプリ納付が手数料無料でアプリのポイント還元も得られ、有利になりやすいです。高額納税ではダイレクト納付が無料で上限もないため、手数料負担を避けたい場合の有力な選択肢になります。

ポイント還元目的でカード納付を選ぶなら、保有カードの還元率が0.99%を上回る場合に絞り込むのが合理的です。

損益分岐点は還元率1.0%です。0.5%カードは100万円納付で4,900円のマイナス、1.5%カードなら5,100円のプラスになります。30万円以下はスマホアプリ納付、高額納税はダイレクト納付が手数料面で有利になりやすいため、ポイント目的でカード納付を選ぶなら還元率1.0%以上を目安にします。

ここまでで納付手続きと判断軸は整理できました。次に経理処理面で押さえるべき仕訳パターンを確認します。

クレジットカード納付の仕訳と勘定科目

法人税の納付と決済手数料は、それぞれ別の勘定科目で処理します。仕訳のタイミングは「納付サイトで決済した日」を基準とするのが一般的です。

法人税本体の仕訳

法人税は、決算時に「法人税、住民税及び事業税」として費用計上し、未払分を「未払法人税等」として負債計上しています。実際にクレジットカード納付した際は、この未払法人税等を消し込みます。

決算時の仕訳例(法人税100万円を計上)は以下のとおりです。

<決算時の仕訳例>

借方金額貸方金額
法人税、住民税及び事業税1,000,000未払法人税等1,000,000

クレジットカードで納付したときの仕訳例は次のとおりとなります。

<クレジットカード納付時の仕訳例>

借方金額貸方金額
未払法人税等1,000,000未払金(カード会社)1,009,900
 支払手数料9,900

カード会社から引き落とされたときの仕訳例は以下のとおりです。

<カード会社からの引き落とし時の仕訳例>

借方金額貸方金額
未払金(カード会社)1,009,900普通預金1,009,900

決済手数料の損金算入と消費税の扱い

国税クレジットカードお支払サイトの決済手数料は、納付受託者への対価として「支払手数料」勘定で損金算入できます。

ただし、この決済手数料は消費税法上の課税仕入れに該当しないため、仕入税額控除の対象にはなりません。仕訳の際は不課税取引として処理します。会計ソフトで自動仕訳のルールを設定する場合、税区分は「不課税」を選びます。

法人税本体の納付は課税仕入れに該当せず、決算時にすでに費用計上済みのため損益には影響しません。

まとめ

法人税のクレジットカード納付は、ポイント還元・24時間対応・資金繰りの後ろ倒しが利点ですが、決済手数料約0.99%・1,000万円未満の上限・領収書非発行・取消不可という制約もあります。

法人カードの還元率が1.0%以上で納付額が1,000万円未満なら利用価値があります。還元率0.5%程度や納税証明書を急ぐ場合はダイレクト納付・窓口納付、30万円以下ならスマホアプリ納付が有力です。

freee会計なら法人カードの明細を取り込んで自動仕訳に変換でき、納付から引き落とし管理までを一つのフローで完結できます。

よくある質問

法人税以外にクレジットカードで支払える税金は?

法人税のほかに、消費税・地方消費税、源泉所得税、申告所得税、相続税、贈与税など、25項目以上の国税が国税クレジットカードお支払サイトで納付できます。一方、法人住民税・法人事業税・固定資産税などの地方税は、各自治体が用意する地方税お支払サイトやeL-QRを経由する別の仕組みでの納付です。

詳しくは「クレジットカードで納付できる国税の範囲」で解説しています。

法人税をクレジットカードで支払うデメリットは?

主なデメリットは、決済手数料(1万円ごとに99円・約0.99%)の発生、1回1,000万円未満の上限、領収書が発行されない、納付後の取消ができない、納税証明書の反映に最大3週間かかる、の5点です。

詳しくは「法人税をクレジットカードで納付するデメリットと注意点」で解説しています。

法人税をクレジットカードで支払うとポイントは付きますか?

通常のショッピング利用と同様、カード会社の規定に従ってポイントやマイルが付与されます。ただし、決済手数料率(約0.99%)よりカードのポイント還元率が高くなければ実質的な利益にはなりません。法人カードは還元率0.5〜1.0%帯が中心のため、利用前に保有カードの還元率を確認します。

詳しくは「クレジットカードのポイントが貯まる」で解説しています。

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