クレジットカードの基礎知識

法人カードと個人カードの違いとは?メリットや審査のポイントを解説

法人カードと個人カードの違いとは?メリットや審査のポイントを解説

法人カードと個人カードの違いは、契約主体・引き落とし口座・利用目的の3つです。法人カードは事業経費の決済に特化しており、法人口座を引き落とし先に指定できるため公私の支出を明確に分離できます。会計ソフトとの連携で立替精算や仕訳の手間を削減でき、資金繰りの安定化にも有効です。

本記事では、法人カードを導入するメリットや注意点、審査の仕組みを解説します。自社に最適な選び方もご紹介しているので、個人事業主やスタートアップ企業を経営している方は、ぜひご覧ください。

目次

法人カードと個人カードの違い

法人カードと個人カードは、契約の主体や引き落とし口座、利用目的に違いがあります。両者の特徴を、下表にまとめました。

比較項目個人カード法人カード
契約の主体個人法人、または個人事業主
引き落とし口座本人の個人口座のみ法人口座、または代表者の個人口座
利用可能枠数十万〜100万円程度500万円以上、または個別の設定
おもな審査対象個人の信用情報・年収企業の財務状況・代表者の信用情報
追加カード家族カードのみ追加カード
支払い方法1回・分割・リボ・キャッシング原則として1回払い

個人カードは、あくまで個人の生活に関わる決済を目的としています。一方、法人カードは事業経費の支払いに特化したカードです。

審査の仕組み

法人カードの審査は、個人カードに比べてチェックされる項目が多く、基準が多層的になっています。カードを使う個人の信用情報だけでなく、法人の登記情報や、財務状況も対象です。設立直後で実績が少ない企業は、代表者個人の支払い履歴が重要視されます。

手続きには、発行から3カ月以内の登記事項証明書や、印鑑登録証明書が必要です。事前に、最新の書類を準備しておきましょう。

また、銀行系カードは設立年数や黒字決算を重視する傾向にあります。最近のIT系カードなどは、代表者の与信や、銀行口座の履歴が基準になるケースも少なくありません。

利用限度額の高さ

ビジネスでは、広告費の支払い・機材の導入など、高額な決済が頻繁に発生します。そのため、法人カードの利用限度額は、個人カードを上回るものが大半です。

個人カードの利用限度額は、数十万から100万円程度になります。一方、法人カードでは初期状態で数百万円、実績を積めば500万円以上の決済も可能です。

限度額に余裕を持つことで、急な仕入れやキャンペーン時の広告費増大にも柔軟に対応できます。販売のチャンスを逃さず、キャッシュフローの安定化も図れるでしょう。

法人口座を引き落とし先に指定できる

法人カードは、法人口座を支払い先に設定できるため、経理作業の透明性を確保できます。

法人カードなら、会社名義の口座から直接引き落とせるため、仕事と私生活のお金を明確に分離できます。公私混同を避けることで、税務調査時に事業支出である証明が容易になり、税務リスクの低減が可能です。

会計ソフトとAPIで自動連携すれば、カードの利用明細が直接データとして取り込まれます。領収書の束を見ながら手入力する手間・ミスを削減し、業務効率化にもつながるでしょう。

付帯サービス・優待特典が受けられる

法人カードには、ビジネスの現場で役立つ、特別なサービス・優待が付随しています。空港ラウンジ利用・海外旅行傷害保険などのトラベル特典や、ビジネスに特化した福利厚生サービスを優待価格で利用可能です。

また、下記のような、事業運営のコスト削減に直結する優待もあります。

  • オフィス用品の購入優待
  • 法律や税務相談の無料サービス
  • 経費精算システムの優待導入

上記の特典を活用すれば、年会費以上の価値を事業にもたらし、組織全体の生産性向上を図れます。

追加カードを発行できる

従業員に対して追加カードを発行すれば、立替精算の手間を減らせます。従業員が自腹で支払い、後から領収書を提出して現金を精算する作業は、従業員と経理担当者の双方にとって生産性を下げかねません。

しかし、追加カードを使えば、すべての支払いが法人口座から一括で引き落とされます。いつ・誰が・どこで何に使ったかを、即座にデータへ反映可能です。

個人カードの追加発行は、家族に限られます。しかし、法人カードは従業員への追加発行が可能です。従業員ごとに個別の限度額を設定したり、利用できる店を制限したりすることで、不正利用を未然に防げます。

法人カードの種類

法人カードは、下記の2種類に分けられます。

法人カードの種類

  • ビジネスカード
  • コーポレートカード

ビジネスカード

ビジネスカードは、おもに個人事業主や中小企業を対象としたカードです。申し込み時に決算書の提出を求められないケースが多く、代表者個人の信用をベースに審査が行われます。

追加カードの発行枚数は、数枚から十数枚程度と、制限される傾向です。しかし、少人数の組織なら、十分な機能を網羅しています。創業間もないスタートアップやフリーランスでも比較的作りやすく、最初の1枚として選ばれやすいカードです。

コーポレートカード

コーポレートカードは、大企業や従業員数の多い組織向けの法人カードです。会社全体の財務状況や社会的信用をもとに、審査が行われます。あわせて、代表者の信用情報が確認されるケースも珍しくありません。

追加カードは、発行枚数に制限がない、あるいは数百枚単位での発行が可能です。加えて、部署単位での予算管理機能などが充実しています。利用データの分析機能も高度であり、大規模な組織におけるガバナンス強化と経費の可視化に最適なカードです。

法人カードのメリット4選

法人カードのメリットは、次の4つです。

法人カードのメリット4選

  • 立替払いや精算処理の手間を減らしやすい
  • 支払い時期を調整しやすい
  • 振込手数料の負担を減らしやすい
  • 支出の流れを見える化しやすい

立替払いや精算処理の手間を減らしやすい

従業員が支払いを立て替え、後から経費精算する作業は、業務の負担となります。法人カードを従業員に追加発行して配布すれば、煩雑な立替払いのプロセスを削減可能です。従業員は経費精算書の作成や、領収書の紛失といったストレスから解放され、重要な業務に集中できます。

さらに、経理担当者も小口現金の用意や、個別の振込手続きに追われることがありません。月次決算の早期化や、バックオフィス全体の業務効率化も期待できます。

支払い時期を調整しやすい

法人カードの魅力は、手元に現金を残しながら、資金繰りを改善できる点です。カードで決済してから、実際に法人口座から代金が引き落とされるまで、1カ月〜2カ月程度の猶予期間が生まれます。

先に必要な経費を支払ってから、顧客からの売り上げの入金を待つビジネスモデルにおいて、支払い猶予期間が資金繰りのクッションとして機能する仕組みです。実質的に、利息を払わずにお金を借りている状態になるため、手元に残った現金を広告投資・事業資金などへ回せます。

振込手数料の負担を減らしやすい

毎月の継続的な支払いを法人カード決済に置き換えることで、銀行振込の手数料を削減できるのも強みです。下記のような固定支出をカード払いに切り替えるだけで、振込手数料をゼロにできます。

  • インターネットの通信費
  • オフィスの公共料金
  • サーバー代
  • Web広告費
  • サブスクリプションサービス利用料

1件あたり数百円程度の手数料であっても、支払いの件数が増えれば、年間で数万円から数十万円の経費削減効果を発揮します。振り込みのために銀行へ出向いたり、ネットバンキングで一件ずつ情報を入力したりする手間も削減できるため、人件費の節約も可能です。

支出の流れを見える化しやすい

法人カードで決済した内容は、利用明細としてデータ化されます。会社のお金がいつ・誰に・どこで使われたのかを、正確に把握可能です。

また、会計ソフトと連携させることで、利用明細が自動的に取り込めます。経費の発生状況を経営者がリアルタイムで確認できるため、無駄な支出の削減・迅速な経営判断に役立つでしょう。

従業員にカードを貸与する場合でも、私的な流用や不適切な支出がないかを、管理画面から検知することも可能です。お金の流れが、データとして管理されることを従業員に印象付けることで、不正利用に対する心理的抑制力が働きます。

法人カードを使う際の注意点4つ

法人カードを利用する際は、下記の注意点を押さえる必要があります。

法人カードを使う際の注意点4つ

  • 年会費がかかる
  • 支払い方法に制限がある
  • ポイント還元率が低い
  • 不正利用のリスクがある

年会費がかかる

法人カードは、高い限度額や充実した優待を維持するため、基本的に年会費が必要になります。個人カードには永年無料のものが多い一方、法人カードは本カード・追加カードごとに数千円から数万円の年会費が必須です。

ただし、年会費は諸会費などの勘定科目で、全額を事業経費として計上できます。結果として、法人税の節税が可能です。得られる利便性やサービスが、年会費を上回るかを、自社の決済規模に照らし合わせて判断しましょう。

支払い方法に制限がある

多くの法人カードは、支払った代金が、翌月一括で引き落とされます。原則として、1回払いの運用が必要です。ただし、近年は一部のカードで、後からリボ払いや分割払いを選択できるケースもあります。

また、キャッシング機能が付帯していないカードも多いため、現金の借り入れを前提とした資金調達には利用できません。支払日にまとまった資金が引き落とされることを前提に、残高不足にならない資金計画が必須です。

ポイント還元率が低い傾向がある

法人カードは、ポイントの還元率が個人カードに比べて低めに設定されています。個人カードがポイントのお得さを競うのに対し、法人カードは管理システムの高度化・ビジネス優待にコストをかけるためです。

選定の際は、ポイント還元率だけでなく、事務作業の削減によるコストの解消に目を向けるましょう。また、獲得したポイントの帰属や、私的利用の扱いについては、会計処理上のルールに準拠する必要があります。

不正利用のリスクがある

従業員にカードを貸与する場合、管理体制が不十分だと、私的な買い物やルールの逸脱が起こるリスクもあります。不正利用を阻止するには、明確なカード利用規定を策定し、従業員へ周知徹底することが不可欠です。

具体的には、利用できる金額の上限設定・利用目的の限定・領収書提出期限の義務化などを、規定に盛り込みましょう。カード会社の管理画面を定期的にチェックし、支出の妥当性を監査することで、不正利用リスクを最小限に抑えられます。

法人カードを選ぶポイント

法人カードを選ぶ際は、自社の状況で申し込めるか、実務に役立つ機能が備わっているか確認しましょう。創業期なら、代表者の信用のみで申し込めるカードが適しています。

また、将来の事業拡大を見据えて、増枠やデポジットによる限度額の拡張ができるかもポイントです。経理効率化のため、自社の会計ソフトとAPI連携でき、明細が自動反映される機能も必要でしょう。

従業員にカードを持たせる場合は、追加カードの発行手数料や、細かな権限設定機能が求められます。

法人カードの申し込み方法

法人カードの申し込みは、オンライン手続きが主流です。事前に必要書類をそろえてデータ化しておくことで、発行までの期間を短縮できます。

法人の場合は、申し込みに下記の書類が必要です。

法人カードの申し込み方法

  • 登記事項証明書
  • 印鑑登録証明書
  • 代表者の本人確認書類
  • 法人口座の情報

審査をスムーズに通過させるため、書類の不備をなくすことが重要です。事業実態を証明するために、自社ホームページを充実させておくのも有効でしょう。設立直後の場合は、自社のフェーズに合った1社に絞って申し込むことで、審査通過の可能性を高められるケースもあります。

まとめ

法人カードと個人カードの違いを正しく理解し、ビジネス専用の決済基盤を整えることは、経営の健全化と効率化において重要です。法人カードを導入すれば、煩雑な立替精算や現金管理のストレスから解放され、経営者が事業の成長に集中できます。

また、法人口座からの直接決済による公私分離は、税務署や銀行からの信頼性を高めます。実績が乏しい設立直後の会社やフリーランスでも、自社の状況に合ったカードを選べば、スマートな経理体制の構築が可能です。アナログな経理から卒業し、データに基づいた現代的な経営へと踏み出しましょう。

よくある質問

法人カードと個人カード、どっちがお得?

ポイント還元率を比較すると、個人カードが有利な場合もあります。しかし、ビジネス全体の効率を優先するなら法人カードの活用が最適です。

法人カードの導入は、経費精算の手間の大幅な削減に役立ちます。領収書の整理や入力作業に費やす人件費などの隠れたコストを抑制可能です。

詳しくは記事内「法人カードと個人カードの違い」で解説していきます。

個人事業主に法人カードはいらない?

個人事業主が法人カードを活用すると、複数のメリットがあります。たとえば、確定申告の際に、個人カードの明細から経費を抽出するのは、膨大な時間がかかるでしょう。専用カードで公私を分けることは、税務調査への備えや、税理士への説明コストを抑えるのに有効です。

詳しくは記事内「法人カードのメリット4選」で解説していきます。

審査に落ちたらどうすればいい?

審査に落ちた場合は、代表者個人の信用情報の回復を待つか、審査基準が異なる別のカード会社を検討しましょう。また、銀行口座の残高を担保にするデポジット型カードや、入金した金額までしか使えないプリペイド型カードを検討する方法もあります。

このようなカードは、審査基準が緩かったり、審査なしで発行できたりするため、信用情報が低い場合に有効です。

詳しくは記事内「審査の仕組み」で解説していきます。

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