国税は、専用のオンラインサービスを利用することでクレジットカードによる納付が可能です。金融機関や税務署へ出向くことなく24時間いつでも手続きできるため、業務効率化や支払いタイミングの調整に役立ちます。
一方で、決済手数料が発生することや、税目によってはe-Taxの事前手続きが必要になる点など、運用上の注意もあります。また、クレジットカード納付は後払い取引となるため、会計処理では未払金を用いた仕訳が基本で、税目ごとの勘定科目の違いにも注意が必要です。
本記事では、国税のクレジットカード納付の仕組みや手順、手数料の目安、会計処理について解説します。
目次
国税をクレジットカードで納付できる仕組み
国税は、専用のオンラインサービスを利用することでクレジットカード払いが可能です。国税庁が指定する「国税クレジットカードお支払サイト」を経由し、決済事業者が税金を一時的に立て替える仕組みになっています。
国税のクレジットカード納付は、金融機関やコンビニではできず、インターネット手続きに限定されます。
24時間いつでも納付できる利便性がある一方で、納付額に応じた決済手数料が発生する点には注意しましょう。
クレジットカードで納付できる主な国税一覧
クレジットカード納付は、納付書による納付に対応した税目を中心に、多くの国税で利用できます。主な対象は、下記のとおりです。
クレジットカード納付の対象となる国税
- 法人税・地方法人税
- 所得税・復興特別所得税
- 消費税および地方消費税
- 相続税・贈与税
- 源泉所得税
- 酒税・たばこ税など
これらの税目は、本税だけでなく延滞税や加算税といった附帯税も含めてクレジットカードで納付できます。
なお、法人と個人事業主では納付する税金の種類やタイミングが異なります。主な内容を、下記に整理しました。
| 区分 | 主な税金 | 納付時期の目安 |
|---|---|---|
| 法人 | 法人税・消費税 | 決算後に申告・納付(原則2ヶ月以内) |
| 源泉所得税 | 原則翌月10日まで | |
| 個人事業主 | 所得税 | 翌年3月15日まで |
| 消費税 | 翌年3月31日まで |
源泉所得税などは手続きの流れが異なる場合があるため、事前に納付方法を確認しておきましょう。
クレジットカード納付ができないケース
すべての国税が同じ手続きでクレジットカード納付できるわけではありません。主に以下の点に注意が必要です。
クレジットカード納付の対象に関する注意点
- 印紙の貼付が必要な税金は対象外
- 源泉所得税など、一部の税目は、事前にe-Taxで納付情報の登録が必要
源泉所得税などは納付書が発行されないことがあり、その場合は専用サイトから納付することできません。e-Taxを経由し、手続きする必要があります。
また、1回あたりの納付額には上限があり、「1,000万円未満(決済手数料を含む)かつカードの利用限度額以内」に制限されています。
国税をクレジットカードで納付する方法
国税のクレジットカード納付は、「専用サイトから直接手続きする方法」と「e-Taxを経由して手続きする方法」があります。いずれの場合も、最終的には国税クレジットカードお支払サイトで決済を行います。
国税クレジットカードお支払サイトから納付する手順
専用サイトから納付する場合は、納付額がわかる書類とクレジットカードを準備して手続きを進めます。主な流れは下記のとおりです。
国税クレジットカードお支払サイトからの納付手順
- 専用サイトにアクセスする
- 注意事項を確認する
- 氏名・住所・税目・納付額などの納付情報を入力する
- クレジットカード情報を入力する
- 内容を確認し、納付手続きを確定する
この方法は、e-Taxを利用していない場合でも手続きできる点がメリットです。一方で、納付情報をすべて手入力する必要があるため、入力ミスには注意しましょう。
e-Taxを利用して納付する手順
e-Taxを利用すると、申告データをもとに納付情報が自動連携されるため、入力の手間を省いて手続きできます。主な流れは下記のとおりです。
e-Taxによる納付手順
- e-Taxで電子申告または納付情報の登録を行う
- メッセージボックスに届く通知からクレジットカード納付画面へ進む
- 内容を確認する(税目・納付額などは自動反映)
- クレジットカード情報を入力する
- 手続きを確定して納付を完了する
とくに源泉所得税などは、事前にe-Taxで納付情報を登録する必要があるため、この方法での納付が基本となります。
国税をクレジットカードで納付する際の手数料
国税をクレジットカードで納付する場合、納付額とは別に決済手数料が発生します。手数料は定額ではなく、納付額に応じて段階的に加算される仕組みで、おおむね1万円ごとに99円(税込)が上乗せされます。
主な手数料の目安は、下記のとおりです。
| 納付税額 | 決済手数料(税込) |
|---|---|
| 1~10,000円 | 99円 |
| 10,001~20,000円 | 198円 |
| 20,001~30,000円 | 297円 |
| 30,001~40,000円 | 396円 |
| 40,001~50,000円 | 495円 |
| 50,001円~ | 10,000円ごとに99円加算 |
※実際の手数料は納付額に応じて計算されます。
たとえば60万円を納付する場合は、5,940円の手数料が発生します。この手数料は国ではなく決済事業者に支払うものであり、原則として納付後の取消しや返金はできません。
なお、この決済手数料は税金そのものとは異なり、事業に関連する支出であれば「支払手数料」として経費計上が可能です。ただし、個人の所得税や住民税など、そもそも経費にならない税金に紐づく手数料は、事業経費としては扱えない点に注意が必要です。
クレジットカードのポイント還元や、支払いタイミングによる資金繰りへの影響も含めて、コストとメリットを総合的に判断しましょう。なお、「国税クレジットカードお支払サイト」で決済手数料のシミュレーション計算が可能なため、参考にしてみてください。
国税をクレジットカードで納付した場合の仕訳・会計処理
国税をクレジットカードで納付した場合は、実際の資金の引き落としが後日になるため、「費用計上のタイミング」と「支払いのタイミング」を分けて処理することが重要です。個人事業主と法人では勘定科目や処理方法が異なる点に、注意しましょう。
なお、国税のクレジットカード納付に関する仕訳については、国税庁などの公的機関が統一的な処理方法を示しているわけではありません。そのため以下では、クレジットカード決済の一般的な会計処理と実務上の考え方に基づいて解説します。
実際の処理は企業の会計方針や取引内容によって異なる場合があるため、必要に応じて税理士などの専門家へご確認ください。
個人事業主の場合
個人事業主がクレジットカードで国税を納付する場合は、引き落とし口座が個人か事業用かによって処理が異なります。個人口座から支払う場合は、事業主が立て替えた扱いとなるため、「事業主借」を使って処理します。この場合、納付時に記帳すれば引き落とし時の処理は原則不要です。
ただし、税金の種類によって勘定科目が異なる点に注意が必要です。個人事業主が支払う主な税金は、下記のように分類されます。
| 税金の種類 | 勘定科目 | 取り扱い |
|---|---|---|
| 個人事業税・消費税 | 租税公課 | 経費として計上する |
| 所得税・住民税 | 事業主貸 | 経費にはならない |
たとえば、個人事業税や消費税をクレジットカードで納付した場合の仕訳は、下記のとおりです。
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 租税公課:100,000円 | 事業主借:100,000円 |
一方で、所得税や住民税は事業の経費にはならないため、同様の支払いであっても「事業主貸」で処理します。同じクレジットカード納付でも、税金の種類によって勘定科目や処理方法が変わるため、事前に確認しておくことが重要です。
法人の場合
法人がクレジットカードで国税を納付する場合は、納付時と引き落とし時の2段階で処理するのが基本です。納付時点では現金の支出がないため、未払の状態として計上します。
なお、法人税などの税金は「租税公課」ではなく、「法人税、住民税及び事業税」として処理するのが一般的です。納付時の仕訳例は、下記のとおりです。
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 法人税、住民税及び事業税:100,000円 | 未払金:100,000円 |
その後、カード会社からの引き落とし時に未払金を消し込みます。
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 未払金:100,000円 | 普通預金:100,000円 |
このように処理することで、費用計上のタイミングと資金の動きを正しく反映できます。
なお、法人税の会計処理は状況によって異なる点に注意しましょう。中間納付では「仮払法人税等」、決算時には「未払法人税等」を用いる場合もあります。
未払金を使う処理
クレジットカード納付では、「未払金」を使った処理が基本です。未払金は、すでに発生している費用について、後日支払う義務がある場合に使用する勘定科目です。
クレジットカード納付では、納付時点では現金が減少せず、後日まとめて引き落とされます。処理の流れは、下記のとおりです。
「未払金」を使った処理の流れ
- 納付時:費用計上 + 未払金計上
- 引き落とし時:未払金の消込
このように処理することで、「費用が発生したタイミング」と「資金が減少したタイミング」を区別でき、正確な会計管理が可能になります。
クレジットカード納付手数料の会計処理
クレジットカード納付では、税額とは別に決済手数料が発生します。この手数料は税金とは性質が異なるため、「支払手数料」として区分して処理するのが一般的です。
仕訳例は、下記のとおりです。
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 法人税、住民税及び事業税:100,000円 支払手数料:1,000円 | 未払金:101,000円 |
税金と手数料を分けて記帳することで、費用の内訳を明確に把握できます。なお、少額であれば「雑費」として処理できますが、継続的に発生する場合は科目を分けたほうが管理しやすくなります。
ポイント・分割払いを利用した場合の処理
クレジットカード特有の処理として、ポイントや分割払いの扱いにも注意が必要です。ポイントを利用した場合は、値引きとして処理するか、「雑収入」として計上する方法があります。どちらを採用するかは、社内ルールとして統一しておくことが重要です。
また、分割払いやリボ払いを利用した場合に発生する利息は、税金とは別に「支払利息」として処理します。引き落とし時の仕訳例は、下記のとおりです。
| 借方 | 貸方 |
|---|---|
| 未払金:100,000円 支払利息:1,000円 | 普通預金:101,000円 |
このように元本と利息を分けて処理することで、費用の内容を正確に把握できます。
国税をクレジットカードで払うメリット・デメリット
国税をクレジットカードで納付する主なメリット・デメリットは、下記のとおりです。
| メリット | デメリット・注意点 |
|---|---|
| ・ポイントが貯まる(※1) ・支払いを先延ばしできる ・24時間納付できる(※2) ・自宅で完結できる | ・決済手数料がかかる ・領収書が発行されない ・納付できる金額に上限がある ・手続き後は取消・変更ができない ・カードの還元率・利用限度額に注意する |
※1カードによっては対象外・還元率が異なる場合があります
※2メンテナンス時間を除く
クレジットカード納付は、時間や場所に縛られず手続きできる点や、ポイント還元・支払いタイミングの調整といったメリットがあります。とくに、資金繰りを意識したい場合には有効な手段です。
一方で、決済手数料が発生するため、還元率によってはコストが上回る可能性があります。また、国税庁からの領収証書は発行されません。そのため、カード利用明細や手続き完了画面などで納付内容を確認・保存する必要があります。さらに、納付額に上限があるなどの実務上の制約もあります。
クレジットカード納付は利便性が高い一方で、証憑の管理方法や納付方法に制約があるため、事前に運用ルールを整理しておくことが重要です。
まとめ
国税は、専用サイトを利用することでクレジットカードで納付できます。24時間いつでも手続きでき、支払いタイミングを調整できる点がメリットです。一方で、決済手数料が発生するほか、領収書が発行されない、納付額に上限があるなどの注意点もあります。
また、クレジットカード納付は後払い取引となるため、会計処理では「未払金」を使った仕訳が基本です。個人事業主と法人で処理方法が異なる点や、手数料・ポイント・分割払いの扱いも含めて、正しく理解しておくことが重要です。
利便性だけで判断するのではなく、手数料と還元率、資金繰りへの影響を踏まえたうえで、自社にとって最適な納付方法を選びましょう。
なお、クレジットカード納付は取引が複数段階に分かれるため、仕訳や消込処理が煩雑になりやすい点も課題です。こうした会計業務の負担を軽減するには、「freee会計」のようなクラウド会計ソフトの活用が有効です。クレジットカードや銀行口座と連携することで、明細の取り込みから仕訳作成までを一元管理でき、日々の経理業務の効率化を図れます。
よくある質問
国税をクレジットカードで納付する方法は?
国税は、「国税クレジットカードお支払サイト」から納付できます。手続き方法は「専用サイトから直接行う方法」と「e-Taxを経由して納付情報を連携する方法」の2つがあり、どちらも最終的にクレジットカードで決済を行います。
なお、源泉所得税など一部の税目は、事前にe-Taxで納付情報の登録が必要です。
詳しくは、記事内「国税をクレジットカードで納付する方法」をご覧ください。
クレジットカード納付をした場合の仕訳はどうなりますか?
クレジットカード納付は後払いとなるため、原則として「未払金」を使って処理します。
法人の場合は、納付時に税金の費用と未払金を計上し、引き落とし時に未払金を消し込みます。なお、法人税などは「租税公課」ではなく、「法人税、住民税及び事業税」で処理するのが一般的です。
個人事業主の場合は、引き落とし口座や税金の種類によって処理が異なります。個人事業税や消費税は「租税公課」、所得税や住民税は「事業主貸」で処理する点に注意が必要です。
詳しくは、記事内「国税をクレジットカードで納付した場合の仕訳・会計処理」をご覧ください。
クレジットカード納付の手数料は経費として処理できますか?
クレジットカード納付にかかる決済手数料は、税金とは別の費用として「支払手数料」で経費計上するのが一般的です。少額であれば「雑費」として処理することも可能ですが、継続的に発生する場合は科目を分けると管理しやすくなります。
詳しくは、記事内「国税をクレジットカードで納付する際の手数料」をご覧ください。
参考文献
▶︎ 国税庁「クレジットカード納付の手続」

