
電子印鑑は、パソコンやスマートフォンを使って電子文書に押印できる便利なツールです。主にPDFデータへの押印に用いられることが多く、紙の書類を扱う手間や印鑑を紛失するリスクなどを減らせるメリットがあります。
本記事では、電子印鑑の概要やPDFに押印する方法、電子印鑑を作成するにあたっての注意点、作成後にスタンプを編集する方法について解説します。
目次
電子印鑑とは
電子印鑑とは、PDFなどの電子文書に押印できる「データ化された印鑑」のことです。紙の文書に押印するハンコやスタンプといった従来の物理的な印鑑に対して、デジタル印鑑とよばれることもあります。
電子印鑑を使えばパソコンやスマートフォンから押印でき、データ保存されている書類を紙へ印刷する必要がありません。また、電子印鑑そのものがデータとして保存されるため、実物の印鑑にある物理的な紛失リスクもなくなります。
電子印鑑には、主に「印影を画像データ化したタイプ」と「印影の画像データに識別情報を保存したタイプ」の2パターンがあります。詳しくは関連記事をご覧ください。
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電子印鑑とは?法的効力や作成方法、メリットについて解説
PDFに電子印鑑を押印する方法
手順に沿ってPDFに電子印鑑を押印する方法を解説します。電子印鑑をPDF上で作成する方法とPDF以外のファイルで作成する方法の2種類があります。
PDF上で電子印鑑を作成・押印する方法
PDFは「Portable Document Format」の略称で、Adobe社によって1992年に開発されたファイル形式です。文書のレイアウトやフォント、画像をそのまま保持し、異なる環境でも一貫して表示できる特徴があります。
Adobe社が無料で提供しているAdobe Acrobat Readerをパソコンにインストールすると、電子印鑑の作成から押印までをPDF上で行えます。
Adobe Acrobat Readerを使った電子印鑑の作成・押印は次のとおりです。
STEP1:Adobe Acrobat ReaderでPDFファイルを開いて、メニューの「編集」から「環境設定」を選択する
STEP2:左の分類から「ユーザー情報」を開いて、電子印鑑に含めたい情報(必要な項目のみ)を入力する
STEP3:メニューの「ツール」から「スタンプ」をクリックする
STEP4:中央メニューの「スタンプ」より「電子印鑑」を選択し、希望の電子印鑑を選択する
STEP5:任意の場所でクリックし、電子印鑑を押印する
他のツールで作成・購入した電子印鑑をPDFに押す方法
電子印鑑を作成する無料のソフトウェアやアプリケーションを使う方法に加え、Excelを使ったやり方もあり、Adobe Acrobat Reader以外にもさまざまなツールで作成できます。
この場合、電子印鑑のファイル形式は「JPEG」や「PNG」になることが一般的ですが、原則として電子印鑑はPDF上で作成してもそれ以外のツールを使って作成しても問題はありません。
PDF以外のファイル上で電子印鑑を作成した場合にPDFファイルへ押印する方法を、Excelを例に紹介します。
STEP1:Adobe Acrobat ReaderでPDFファイルを開いて、メニューの「署名」から「入力と署名」を選択する
STEP2:中央メニューの「自分で署名」から「署名を追加」を選択する
STEP3:「画像」を選択し、無料のソフトウェアなどで作成した電子印鑑のデータを読み込んで「適用」をクリックする
STEP4:希望の場所でクリックし、電子印鑑を押印する
STEP5:位置やサイズを変えたい場合は、押印した電子印鑑をクリックして調整する
電子印鑑をPDF上で編集する方法
Adobe Acrobat Readerで作成した電子印鑑の氏名や社名は、あとから編集が可能です。
ただし、すでに押印したPDFにも編集後の内容を反映させたい場合は、PDF上から一度電子印鑑のデータを削除し、編集後の電子印鑑をあらためて押さなければなりません。
電子印鑑を編集し、押印済みのデータを差し替える手順は次のとおりです。
STEP1:PDFを開いてメニューの「ツール」を選択し、「スタンプ」をクリックする
STEP2:中央メニューの「スタンプパレット」を開いて電子印鑑のうえで右クリックし、「ユーザー情報を編集」を選ぶ
STEP3:電子印鑑に含めたい情報を編集し、最後に「完了」をクリックする
STEP4:電子印鑑に変更が反映されたら、希望の電子印鑑を選択する
STEP5:以前に登録されていた電子印鑑データを削除し、任意の場所でクリックして電子印鑑を押印する
電子印鑑を無料で作成する際の注意点
電子印鑑はAdobe Acrobat ReaderやExceなどさまざまなツールを使って無料で作成できます。しかしセキュリティ面に懸念があることから、無料で作成できる方法は社内での資料回覧などに使うよう用途を限定し、社外とのやりとりには他のより安全な手段を検討するのがおすすめです。
公文書や契約書など法的効力を必要とする書類には、無料で作成した電子印鑑を使えないこともあります。
電子印鑑に法的効力を持たせるには、印影データ内に捺印者や捺印日時などの識別情報が保存される必要がありますが、Adobe Acrobat Readerの無料版はこれらに対応していません。識別情報が保存される電子印鑑を使いたい場合は、有料プランで作成する必要があります。
書面の電子化を進めたい場合の選択肢
契約書の電子化を検討している場合におすすめなのは、電子契約システムの導入です。電子契約の導入には、次のようなメリットがあります。
電子契約システムを導入するメリット
- 収入印紙が必要ない
- 郵送費用を削減できる
- 契約締結までの所要時間を短縮できる
- 文書の管理や保管を効率化できる
- コンプライアンスの強化につながる
電子契約システム「freeeサイン」は、契約の面倒なプロセスをまるっと効率化できるサービスです。好みの印影を自身で作成できる機能や、手持ちの印影画像をそのまま使える機能もあります。
まとめ
電子印鑑は、パソコンやスマートフォンなどから電子文書に押印できるツールです。電子印鑑を活用すれば、紙の文書へ押印する手間が省けたり、印鑑を管理するリスクを減らしたりできます。電子印鑑は無料でも作成できますが、無料で作成した電子印鑑は法的効力が必要な場面で使えないこともあります。
必要に応じて、要件を満たす機能を備えた有料のツールや電子契約サービスの利用を検討しましょう。
契約にまつわる業務を簡単にする方法
契約書の作成や押印、管理など、契約にまつわる作業は多岐に渡ります。リモートワークが普及した近年、コミュニケーションを取りづらくなってしまい、契約締結までに時間がかかってしまう場合や、押印のためだけに出社しなければいけない...なんてケースも少なくありません。
そんな契約まわりの業務を効率化させたい方には電子契約サービス「freeeサイン」がおすすめです。
freeeサインはインターネット環境さえあれば、PCやスマホで契約書作成から締結まで、契約にまつわる一連の業務を完結できます。さらに、過去の契約書類はクラウド上で保存できるので、紛失や破損の心配も解消します。
契約周りのさまざまな業務をクラウド上で完結!

契約書を簡単に作成!
契約によって書式が異なるので、一から作成すると工数がかかってしまいます。 freeeサインでは、テンプレートを登録し、必要な項目を入力フォームへ入力するだけで簡単に契約書を作成できます。
社内の承認作業がリモートで完了!
freeeサインでは、契約書の作成依頼から承認にいたるまでのコミュニケーションもオンラインで管理・完結。ワークフロー機能は承認者の設定が可能なので、既存の承認フローをそのまま電子化することができます。
文書に応じて電子サイン・電子署名の使い分けが可能!
電子契約サービスの中には、どんな文書であっても1通送信する度に100~200円程度の従量課金が発生するものも少なくありません。freeeサインでは、従量課金のない「電子サイン」と従量課金のある「電子署名」のどちらを利用するかを、文書の送信時に選択できます。
重要な契約書や、後に争いが生じる可能性が高い文書には「電子署名」を利用して、より強固な証跡を残し、それ以外の多くの文書には「電子サイン」を利用するといった使い分けができるので、コスト削減につながります。
電子契約で契約書作成にかかる手間・コストを削減
電子契約にすると押印や郵送、契約管理台帳へのデータ入力の必要がなく、契約に関わる手間が大幅に削減されます。さらに、オンライン上での契約締結は印紙税法基本通達第44条の「課税文書の作成」に該当しないため、収入印紙も不要です。
電子契約で完結することで、郵送する切手代や紙代、インク代なども不要となり、コストカットにつながります。
過去の契約書もクラウド上で保存してペーパーレス化
紙ベースで契約書類を作成すると、紛失や破損の恐れがあります。また、管理するための物理的なスペースを確保しなくてはなりません。また、電子帳簿保存法の改正でPDFでの保管にも制約が発生します。
freeeサインでは、過去の契約書もPDF化してタイムスタンプ付きで保存ができるので、今まで紙やPDFで保存していた契約書も一緒にクラウド上で管理することができます。クラウド上で管理することで紛失や破損の恐れも解消され、社内間での共有も楽になります。
気になる方は、無料登録でも書類の作成や電子締結ができる「freeeサイン」をぜひお試しください。
よくある質問
PDFに電子印鑑を押す方法は?
押印したいPDFファイル上で「署名の追加」を選択することで押印できます。署名の追加を行うまでの手順は、Adobe Acrobat Readerで作成した電子印鑑と、無料のソフトウェアやExcelなどで作成した電子印鑑とで若干異なります。
詳しくは記事内の「PDFに電子印鑑を押印する方法」をご覧ください。
PDF上の電子印鑑はどうやって編集する?
PDFのメニューから「ツール」を選択し、「スタンプ」から「スタンプパレット」を開き、電子印鑑のうえで右クリックし、「ユーザー情報を編集」を押すと編集が可能になります。
詳しくは記事内の「電子印鑑をPDF上で編集する方法」をご覧ください。
電子印鑑を無料で作成する際の注意点は?
無料で作成した電子印鑑はセキュリティ面でリスクがあるため、法的効力が必要とされる文書には使用できない可能性があります。
詳しくは記事内の「電子印鑑を無料で作成する際の注意点」をご覧ください。