認印とは、印鑑登録がされていない印鑑のことを指し、書類において内容を確認したり承諾したりする意思を表す際に使用されます。
本記事では認印の定義や意味や認印と他の印鑑との違い、法的効力について解説していきます。
目次
認印とは
認印は、印鑑登録がされていない印鑑のことを指し、書類において内容を確認したり承諾したりする意思を表す際に使用されます。
銀行印もこのカテゴリーに含まれますが、通常は実印や銀行印以外の印鑑を認印と呼ぶことが一般的です。
また、認印は特定の機関に登録されていないため、実印や銀行印と比べると法的効力が弱いことが特徴です。認印で足りる書類は、法的に重要度の低い日常的な取引や手続きに関わるものが多いです。
認印を使える書類
- 宅配便の受取書
- 銀行口座の開設書類
- 簡単な契約書
- 領収書・受領書
- 就業に関する書類
- 住民票・印鑑証明の取得申請
認印と実印との違い
実印は市区町村の役所で登録が必要なより厳格な印鑑であるのに対して、認印は登録不要で日常的な契約や確認で広く使われる印鑑を指します。
契約書などの民間文書においては、実印と認印の間で法的な効力に差はありません。
しかし、不動産の登記や自動車の登録などの公的な手続きにおいては、実印とそれに対応する印鑑証明書が必要とされる場合があります。
そのため、認印ではこれらの手続きを進めることができないため、実印と認印の間には法的な役割の違いが生じると言えます。
通常、実印を使う際には、印鑑証明書と一緒に提示する必要があり、「本人が実印で署名した」という証明が求められる重要な手続きで利用されます。
具体的には、以下のような場合に使われるケースが多いです。
- 不動産や自動車の売買時
- 遺産相続手続き
- 住宅ローンの契約時
- 生命保険の加入時
実印は重要な個人証明の役割を果たしているので、1人につき1本しか所持することができません。
また、実印を作成できるのは原則15歳以上の人に限られており、誰でも簡単に持てるわけではありません。
さらに、見た目にも認印と実印には違いがあり、認印は誰が押印したかが明確にわかるように、読みやすい書体が使用されることが多いですが、実印は偽造や不正利用を防ぐために、複雑な書体で作られることが一般的です。
このように、実印は公的な場面で使われるので、個人の信頼を担保する重要な印鑑として、適切に管理することが大切です。
認印と銀行印との違い
銀行印は、金融機関での手続きで使う印鑑で、役所への登録は不要ですが、認印よりも法的効力が高く、偽造されにくいように作られています。
本人確認に使用される重要な印鑑であり、法的効力としては実印に次いで高いです。
銀行印が使われる主な場面としては、口座開設時や窓口での預金引き出し、クレジットカードの発行手続き、支店や氏名の変更手続きなどが挙げられます。
また、認印と銀行印にはサイズや書体の違いも見られます。
認印は比較的小さく、読みやすい書体が一般的ですが、銀行印は認印よりも大きめで、偽造や悪用のリスクを防ぐために複雑な書体が選ばれることが多くなっています。
銀行印には認印と同様に本数の制限がないので、複数の金融機関で別々の銀行印を所有することも可能です。
認印とシャチハタとの違い
シャチハタとは、インクが内蔵されているスタンプタイプのはんこで、認印として広く使用されているものです。
法的効力は低く、住民票の申請や履歴書、各種保険の手続きなどには使用することはできません。
シャチハタが使える書類や手続きについては、以下が挙げられます。
- 社内書類の確認
- 宅急便の受け取り
- 回覧
シャチハタの主な利点は、朱肉が不要で、繰り返し押印ができる特徴があるので、朱肉を必要とする従来の認印よりも手軽に使えることが魅力です。
しかし、公的な書類や届出の中には「シャチハタ不可」とされているものもあるため、そういった場面では、従来の朱肉を使った認印が求められます。
認印の用途、使用シーン
認印は、日常生活やビジネスの場で幅広く使用される印鑑の一種です。
個人が文書や契約書に対して承認や確認を行ったことを証明するために押される印であり、日本の社会やビジネス文化において非常に一般的な存在です。
具体的な認印の使用シーンについては、以下が挙げられます。
認印の使用シーン | 内容 |
---|---|
郵便物や宅配便の受け取り | 郵便物や宅配便を受け取る際認印を押すことで、正式に受領したことを証明します。 |
会社での事務手続き | 企業内での承認作業や書類の確認にも認印が使用されています。例えば、勤怠管理や経費精算の書類、会議の議事録、日常業務の中で交わされる簡易な書類などに認印が押されます。上司や同僚が、内容を確認したことを示すために認印を使うことが一般的です。 |
金融機関での手続き | 認印は銀行などの金融機関でもよく使用されます。例えば、口座開設時や住所変更の手続き、振込依頼書、その他の各種書類に対して、顧客の承認が必要な場合に認印を使用することが一般的です。これにより、書類が正式に提出されたことを証明します。 |
個人間の取引 | 認印は、友人や知人との貸し借りや、物品の譲渡など、比較的軽い個人間の契約や取引にも使用されます。例えば、中古品の売買や借金の返済約束など、法的に大きな契約ではないものの、内容を証明するために認印を押して確認することがあります。 |
住民票や印鑑証明の取得 | 役所で住民票や印鑑証明などを発行してもらう際に、申請書に認印を押すことが求められる場合があります。特に、印鑑証明においては、登録された印鑑(実印)とは異なる軽い手続きに認印が使われます。 |
上記のように認印は幅広いシーンで使用されます。
認印の法的効力
認印にも一定の法的効力はありますが、実印や銀行印に比べて低いです。
公的な機関での印鑑登録が必要な実印や、銀行との契約で使われる銀行印とは異なり、認印は特別な手続きなしで簡単に使用できるため、日常の多くの場面で利用されています。
ただし、認印は法的効力が低いことが多く、重要な契約書や書類には使えない場合が多いため、注意が必要です。
認印が使われる具体的な例としては、以下のような場面があります。
- 書留郵便や宅配便の受け取り時
- サインの代わりとして書類に押印する場合
- 公的な書類の申請や届け出を行う際
- 書類に目を通したことを示す確認のための印
なお、認印には法的な効力がまったくないわけではなく、押印した場合にはある程度の効力が発生することもあります。
このように、実印を使用した契約のみが特別な法的責任を伴うわけではなく、印鑑以外の方法で合意した場合にも、法的責任が発生するため、契約を無視することはできません。
認印を押す際の注意点
認印は、日常的な手続きや書類への同意を示すために使用されるものですが、軽視することなく、慎重に取り扱うことが大切です。
認印を押す前には、必ず書類の内容を十分に確認しましょう。
書類に記載されている内容に同意したことを示すために印を押す行為は、口頭の同意よりも強い証拠力を持つことが多いからです。
内容に疑問や不明点があれば、まずは確認し、理解した上で押印をする必要があります。
例えば、契約書に認印を押すと、契約に基づく義務を果たさなかった場合に、損害賠償を請求される可能性が出てきます。
法的トラブルを避けるためにも、認印を押す前に内容をよく確認し、場合によっては法律の専門家に相談することが重要です。
認印を作るときのポイント
認印を作るときのポイントについては、以下の2つが挙げられます。
- 偽造に注意する
- 電子化する
それぞれのポイントについて解説していきます。
偽造に注意する
認印を作るときのポイントとして、偽造に注意することが挙げられます。
実際に、三文判は機械で大量に作られた印鑑であり、同じデザインの印影が多く出回っていることが特徴ですが、これらは第三者が自分になりすますことも簡単にできてしまうのも事実です。
このように、セキュリティの観点から考えると、信頼できる専門店で独自の認印を作成する方が安全と言えます。
電子化する
電子印鑑の印影データは、簡単に作成でき、時間やコストをほとんど必要としない点が大きな利点です。
特に、社内で使用する書類への押印では、信頼性よりもスピードが優先されることが多い場合があります。
実際に、リアルで押印することは減ってきているのも事実です。
このように、ビジネスで使用するのであれば、認印を電子化することによって、業務の効率を飛躍的に向上させることにつながります。
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電子契約で完結することで、郵送する切手代や紙代、インク代なども不要となり、コストカットにつながります。
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よくある質問
認印はどんなのでもいい?
認印には、サイズや印鑑の種類に厳格な決まりはなく、100円ショップのシャチハタも使用可能です。
実印や認印を銀行印の代わりにしてもいい?
偽造や悪用のリスクを防ぐために、実印や銀行印を認印代わりにせずに、別々の印鑑を用意することをおすすめします。
詳細は、記事内「認印と実印との違い」「認印と銀行印との違い」をご覧ください。
認印で足りる書類が知りたい
認印で足りる書類は、法的に重要度の低い日常的な取引や手続きに関わるものが多いです。
詳細は、記事内「認印とは」をご覧ください。
まとめ
認印とは、書類の内容を確認し同意する意思を表すために使用される印鑑です。
実印や銀行印ほどではないものの、法的効力を持つため、押印する際には書類の内容を十分に確認しておくことが重要です。
また、認印は日常生活で頻繁に使用されるため、その用途をしっかりと理解することが重要です。