契約の基礎知識

タイムスタンプの仕組みとは?電子契約で必要な理由と活用方法を紹介

最終更新日:2022/06/10

監修 森川 弘太郎 弁護士(第二東京弁護士会)

タイムスタンプの仕組みとは?電子契約で必要な理由と活用方法を紹介

電子契約では、紙の契約書のように公証役場で確定日付印を取得するといった、「ある時点でその内容の文書が存在していた」と証明することができません。電子契約でその証明をするために用いられるのが「タイムスタンプ」です。

この記事では、タイムスタンプの役割や電子契約でタイムスタンプが必要な理由について解説します。また、電子サインとの違いや電子帳簿保存法との関係、活用方法についてもまとめました。

目次

タイムスタンプとは?

タイムスタンプとは、その時刻に電子データが存在していたことと、それ以降改ざんされていないことの2つを証明するものです。

信頼できる第三者である時刻認証局が文書にスタンプを付与することで、文書の存在と非改ざん性の2つが証明できる仕組みになっています。このタイムスタンプは電子契約を結ぶ際や電子データを保存する際に活用されます。

日本における時刻認証局(TSA)とは、一般財団法人日本データ通信協会の認定を受けた第三者の立場でタイムスタンプの発行を行う事業者のことで、郵送でいう郵便局の役割を担うものです。英語では「Time-Stamping Authority」と表記されるため、TSAと略されることもあります。

タイムスタンプの役割

紙の契約書を作る場合、一般的には、文書が本人の意思で作られたことを担保するために署名または押印が利用され、ある時点で文書が存在していたことを担保するために確定日付印を付与してもらう方法があります。

確定日付印とは、公証役場で公証人が文書に押す日付入りの印を指します。その印があることで、印を押された日にその文書がその内容で存在したことを公的に証明することができます。

電子文書を取り交わす電子契約の場合、署名・押印や公証役場にて公証人に契約書上に確定日付を付与してもらうといった方法が使えません。その代わりに使用されるのが、タイムスタンプや電子サインといったシステムです。

タイムスタンプの法的拘束力

誤解しやすいところですが、電子契約自体はタイムスタンプや電子サインがなくても有効です。タイムスタンプや電子サインなしで作られた電子文書も民事裁判で証拠として提出できます。

ただし、タイムスタンプや電子サインがない場合、確かに本人によって作られたことや、ある時点で文書が存在し以降改ざんされていないことの証明が困難なため、証拠としての証明力は強くありません。紙の契約書で例えるなら、100円ショップなどで購入できる認印が押されただけの確定日付印もない書類のようなものです。

一方、タイムスタンプや電子サインが施された契約書は、実印が押され、公証役場にて公証人による確定日付印が付与された紙の契約書と同様に裁判でも十分に有力な証拠となりうるのです。

タイムスタンプと電子サインの違い

タイムスタンプと電子サインは、どちらも電子契約の原本性を高めるためのものです。これらの違いは担保する内容にあります。

タイムスタンプ

文書がある時点で存在していたこと(存在証明)と、その時点以降改ざんされていないこと(非改ざん証明)を担保します。紙の文書の郵便記録や公証人の確定日付印にあたります。

電子サイン

文書が本人によって作られたこと(本人性)を担保します。紙の文書の署名・押印にあたります。

なお、電子サインとは、電子契約においてその電子データが本人によって作成されたことや内容に改ざんがないことを保証する仕組みの総称です。本人性を確認する方法の厳格さによって、一般的な「電子サイン」と電子証明書を使ってより厳格に本人であることを確認する「電子署名」の2種類があります。

電子文書はタイムスタンプと電子サインを付与することで、裁判で証拠として認められる力が高まります。

民事裁判のルールでは、電子文書が署名・押印のある紙文書と同じように「本人の意思に基づいて作成された」との推定を受けるためには、タイムスタンプと電子サインが付与されることが重要になります。

【関連記事】
電子サインとは?電子署名の違いと利用シーンについて解説

タイムスタンプが付与される仕組みと流れ

タイムスタンプの仕組みのポイントは、利用者から時刻認証局に送られるのは、元になるデータではなく、元データから計算されたハッシュ値のみだということです。ハッシュ値からは元のデータを復元できないので、元データの内容が時刻認証局に知られることはありません。

ハッシュ値とは、元になる原本データから一定の計算手順により求められる値のことをいいます。ハッシュ値には「元になるデータが同じであれば必ず同じ値となる」「元になるデータが少しでも変わるとまったく違う値になる」「ハッシュ値から元データを復元することはできない」という、3つの性質を備えています。


タイムスタンプの仕組み

1. 文書作成者(利用者)がタイムスタンプの付与を要求する

文書作成者(利用者)は電子文書のハッシュ値を計算し、それを時刻認証局に送ります。

2. 時刻認証局によるタイムスタンプの発行

時刻認証局は、受け取ったハッシュ値に時刻情報を偽造できないように結合した「タイムスタンプ」を発行し、利用者に送付します。この時点で電子文書が存在したことが証明されます(存在証明)。

3. 検証

原本データのハッシュ値とタイムスタンプに含まれるハッシュ値を比較します。数値が同じであれば、その時刻に存在し、以降改ざんされていないことが証明されます。

タイムスタンプと電子帳簿保存法の関係

タイムスタンプは、電子帳簿保存法との関係でも重要な意味を持ちます。

電子帳簿保存法とは、各税法で原則として紙での保存が義務づけられている帳簿書類に対し、一定の条件を満たした上で電磁的記録(電子データ)による保存を可能とすること、および電子的に授受した取引情報の保存義務などを定めた法律です。

電子データの保存には、下記の3つの方法があります。

<電子帳簿保存法で認められている保存方法>

  1. 電子的に作成した帳簿・書類をデータのまま保存すること
  2. 紙で受領した書類をスキャナなどで取り込んで、画像データとして保存すること
  3. 電子取引の情報をデータとして保存すること

2と3では、文書にタイムスタンプを付与することが「一定の要件」の中に含まれています。取引相手から紙で受領した請求書や領収書、契約書などをスキャナ保存する場合や、電子契約やメールなどのデータを電子データのまま保存したい場合は、タイムスタンプの付与が必須とされていたのです。

しかし、2022年1月以降、電子帳簿保存法の改正により要件が大幅に緩和され、タイムスタンプ付与までの期間は最長約2ヶ月+概ね7営業日以内となり、この入力期間内にその電磁的記録の保存を行ったことを確認することができるときは(クラウドシステム上の保存など)、タイムスタンプの付与に代えることができるようになりました。

【関連記事】
2022年1月改正!電子帳簿保存法とは?

タイムスタンプを利用する方法

タイムスタンプを利用するには、時刻認証局が直接運営するサービスを利用する方法と、タイムスタンプ機能が組み込まれた電子契約サービスを利用する方法があります。

時刻認証局のサービスを利用する

時刻認証局が提供しているサービスを探し、契約を結ぶことで利用できます。時刻認証局の一覧は、一般財団法人日本データ通信協会のウェブサイトで公開されています。

どの事業者を選んでも、電子帳簿保存法で求められるタイムスタンプの要件を満たしているので安心です。タイムスタンプに加えて電子サインなどのサービスも利用したい場合は、別途申し込む必要があります。

タイムスタンプ機能が組み込まれた電子契約サービスを利用する

電子契約サービスは各社からさまざまなものが提供されており、タイムスタンプ機能が組み込まれたものも少なくありません。

タイムスタンプ機能付きの電子契約サービスを利用すれば、タイムスタンプと電子サインをセットでスムーズに利用できます。ただし、サービス内容は事業者によって異なるため、契約の前にしっかり確認する必要があります。

まとめ

電子文書が署名・押印のある紙文書と同じように「本人の意思に基づいて作成された」との推定を受けるためには、タイムスタンプと電子サインが付与されることが重要です。

タイムスタンプ機能付きの電子契約サービスは、事業者によってさまざまな種類があるため、自社の目的に合ったタイプのものを選びましょう。

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監修 森川 弘太郎 弁護士(第二東京弁護士会)

東京弁護士法人 代表弁護士。IT法務、エンターテインメント法務、フランチャイズに特化した企業法務専門の法律事務所にて勤務した後、東京都内に3拠点の法律事務所(新宿東口法律事務所、立川法律事務所、八王子法律事務所)を構える東京弁護士法人を設立。東京弁護士法人は弱点のない総合型法律事務所を目指し、各弁護士が個人向け業務・法人向け業務、民事事件・刑事事件問わず横断的に案件を扱いながら総合力を高めつつ、弁護士によって異なる得意分野を持つことで専門性もあわせ持つ法律事務所となっている。

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