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請求書発行システムとは?メリットや種類、選定のポイントを解説

最終更新日:2022/09/09

請求書発行システムとは?メリットや種類、選定のポイントを解説

請求書発行システムとは、請求書の作成・送付に関する業務を効率化するシステムです。請求関連業務はミスが許されないので、請求書発行システムを導入して自動化することをおすすめします。

本記事では、請求書発行システムの主な機能や種類、導入するメリットについて解説します。また、選定する際のポイントもまとめていますので、導入を検討されている方はぜひ参考にしてください。

目次

請求書発行システムとは

請求書発行システムとは、請求書に関する業務を効率化するためのシステムで、請求書の作成から送付、入金の管理といった一連のプロセスをシステム上で一元管理できるサービスです。

請求書を手書きやExcelなどで作成し、印刷・郵送するワークフローでは、顧客数が増加するにつれ次のような問題が発生します。

請求書の作成・発行を手作業で行うデメリット

  • 担当者の作業時間や手間が膨大になる
  • 記入すべき項目が多いため、記入漏れや内容の誤りが発生する
  • 担当者によって請求書の形式にバラつきがある場合、内容を確認する承認者の負担が大きくなる
  • 請求書は事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から5年間保存する必要があるため、紙の保管コストや探す手間が発生する

請求書に関連する業務は定型的でありながらミスが許されない業務のため、システムで自動化するメリットは大きいといえます。

請求書発行システムのなかには、請求書だけでなく、見積書・注文書・納品書・検収書・領収書などあらゆる帳票の作成や発行、送付が可能なものもあり、業務効率化につながります。

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請求書の書き方完全ガイド! 記載事項や文章の書き方を紹介します

請求書発行システムの主な機能

請求書発行システムには主に以下の機能が備わっています。

請求書発行システムの主な機能

  • 作成
  • 送付
  • 保管
  • システム連携
  • 入金消込の自動化

作成

請求書発行システムは、登録した取引先情報・取引内容・数量・ 金額など、請求書に記載が必要な情報を入力するだけで簡単に請求書を作成できます。

請求書のデザインはシステム内に保存されているテンプレートから選択でき、記載項目の編集もできるので自社仕様にカスタマイズすることも可能です。また、会計ソフトや基幹システムから出力されたCSVデータを読み込み、請求書を一括作成できるので作成にかかる時間を大幅に削減できます。

ほかにも作成した請求書をPDFで出力したり、同じ内容のまま納品書へ変換できたり、請求に関わる一連の業務を効率化します。

送付

請求書発行システムは、請求書を作成するだけでなく、メールや郵送で取引先に請求書を送付できます。

メールで請求書を送る場合は、取引先情報の登録やメールに記載する定型文の設定、送信時間の予約を行うことで自動的に送付されます。パスワードの設定も可能なので、セキュリティ面も安心です。

請求書を郵送で送りたい場合は、サービス提供会社が請求書を紙で出力したうえで封入し、取引先へ郵送する代行サービスもあります。請求書送付時の宛先間違いなどのヒューマンエラーの防止、請求書の印刷・封入・送付にかかる時間の短縮が期待できます。

保管

作成した請求書は自動的にシステム上に保管され、アクセス権限があればいつでも確認できます。また、取引先や品名、進捗ステータスなどで絞り込検索が可能なので、管理業務も効率化します。

システム連携

請求書発行システムの中には、自社で使用している会計ソフトや管理システムとAPI連携が可能なものがあります。それらのシステムと連携することで、請求書の発行や仕分けを自動で行えるなど、さらなる業務効率の向上が期待できます。

入金消込の自動化

金融機関と連携して請求書における消込を自動化できる請求書発行システムもあります。入金名義が一致しない場合は、一度手動で消込を行うことでAI(人工知能)が学習し、自動化が進んでいきます。

消込について詳しく知りたい方は、別記事「掛取引における消込とは?消込のやり方と効率化の方法について解説」をあわせてご確認ください。

請求書発行システムを使用するメリット

請求書発行システムを導入する主なメリットは以下の5つです。

文書管理システムを使用するメリット

  1. 作成時間の短縮
  2. 送付業務の手間削減
  3. ヒューマンエラーの防止
  4. リモートワークを推進
  5. 情報共有の効率化

作成時間の短縮

請求書発行システムは、必要な項目をシステムに入力していくだけで請求書を作成できるため、ExcelやWordなどで作成するよりも効率的です。また、複数のテンプレートが用意されており、自身で必要な項目を追加するなどの編集も容易に行うことができ、取引先に合わせて請求書の作成ができます。

請求書発行システムによっては、マスタ設定することで次回以降の取引データを自動で入力できたり、毎月の請求額が定額の請求書を自動で作成・送付できたりするシステムもあります。

このように請求関連業務を効率化するさまざまな機能が搭載されているため、時間的コストの削減につながります。

送付業務の手間削減

請求書を手作業で送付する場合、宛先間違いがないかチェックをしたり、請求書の印刷や封入をしたり手間がかかります。

請求書発行システムの郵送代行サービスを利用すれば、1通あたり150円〜200円程度で請求書の送付業務を委託できます。

また、取引先から承認を得られれば、紙で郵送するよりもメールに請求書を添付して送付する方がコストも削減できて効率的です。請求書発行システムなら、送信ボタンを押すだけで請求書を添付したメールが自動で送信され、請求書の再発行も容易になります。

ヒューマンエラーの防止

請求書発行システムは、入力ミスなどのヒューマンエラーを防止する機能も充実しています。

たとえば、先述した封入・送付業務を自動化する郵送代行サービスや請求書の自動作成・送付機能で送付忘れを防止、請求管理機能で未請求件数を視覚的に表示し請求漏れ・誤請求を防止できます。

請求関連業務のミスは、社内の損失だけでなく企業間の信用問題に繋がりかねないため、請求書発行システムの機能を活用し、ヒューマンエラーなどのミスが起こらないようにしましょう。

リモートワークの推進

請求書発行システムは、請求書をシステム上で保管・管理するため、インターネット環境さえあれば自宅や出張先など、社外でも請求関連業務を行えます。

場所を選ばず請求書発行業務を行えるので、社内のリモートワークを推進できます。

情報共有の効率化

請求書発行システムでは、1枚の請求書をチームや部署間で共有できます。また、経理担当者が作成した請求書を営業担当者が移動中に確認したりといったことも可能なので、請求書を確認するために会社に戻る必要がなくなります。

最新の請求書データを一元管理することで、効率的な情報共有が可能となります。

請求書発行システムの種類

請求書発行システムには以下の2つの種類があります。

  • クラウド型
  • オンプレミス型
それぞれの特徴やメリット・デメリットについて解説します。

クラウド型

クラウド型の請求書発行システムは、サービス提供会社のサーバーにアクセスしてシステムを利用します。インターネット環境があれば外出先や複数のデバイスからのアクセスも可能です

一般的に支払い方法は月額もしくは年額などのサブスクリプション方式で、オンプレミス型に比べて導入コストが低く、システム構築の手間がかかりません。

なお、システムに保管されている請求関連情報をサービス提供会社のサーバーに預けることになるため、情報漏洩のリスクが伴います。クラウド型の請求書発行システムを導入する際には、サービス提供会社のセキュリティ対策を十分に確認しましょう。

オンプレミス型

オンプレミス型の請求書発行システムは、自社で運用・管理するサーバーやPCにシステムを構築する導入形態です。自社のワークフローに合わせた自由なカスタマイズが可能です。

なお、自社でサーバーの保守や管理をしなければならないため、専門知識を持った技術者が必要です。また、買い切りや年単位でライセンスを購入することが一般的なので初期費用が高額になるケースが多いです。

請求書発行システムを選定するポイント

請求書発行システムを選定する際の主なポイントは以下の5つです。

どの範囲まで自動化するか

請求書発行システムの種類は多岐にわたります。導入後に後悔しないためにも自社の問題点や求めている機能を明確にしましょう。

たとえば、入金管理・未入金の催促・売上レポートの作成・入金消込機能など、どの業務をどこまで自動化するかによって選ぶべきシステムが変わります。

すでに導入済みの会計ソフトや基幹システムなどと連携することで、データ入力などにかかる時間を削減できます。郵送する請求書の量が多い場合は、郵送代行サービスがあるものを導入するなど、業務形態に合ったシステムを選定することが重要です。

自社に合った機能があるか

まずは、前述のクラウド型とオンプレミス型のどちらが自社の運用に合っているかを考えましょう。

外注が多い企業であれば案件単位で請求書など各種書類を作成・管理できるものを選択したり、毎月定額の請求書を発行することが多い企業であれば請求書の自動発行機能があるシステムを選択するなど、自社に合ったシステム選びが重要です。

また、請求書発行に営業担当者や上長の承認が必要だったり、紙の請求書で送付する取引先があったりと独自のワークフローが存在する企業もあります。それらのワークフローを実現できる機能があるかもシステム選定の際の重要なポイントです。

無料プランやトライアル期間を設けているサービスもあるので、導入前に実際に担当者に使い勝手を試してもらうことも検討しましょう。

システム連携は柔軟か

会計ソフトや基幹システムとの連携が可能な請求書発行システムが数多く存在します。

たとえば、CRM(顧客管理システム)と連携して商談情報をもとに請求書の作成し売上を計上できるもの、販売管理システムと連携して請求書を自動作成できるもの、銀行口座と連携して消込作業を自動化できるもの、会計システムと連携して仕訳データを作成できるシステムなどがあります。

システムを導入する前に自社のシステムと互換性があるか、連携が可能かを確認しましょう。

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電子帳簿保存法に対応しているか

これまでは決算関係書類や各種帳簿などの税務関係帳簿・書類を電子データで受け取った場合でも紙に印刷して保存することが認められていましたが、2022年1月の電子帳簿保存法の改正により、電子データで受け取った場合は電子データとして保存することが義務付けられました。

請求書発行システム導入の際は電子帳簿保存法に対応しているかを確認しましょう。

【関連記事】
電子帳簿保存法とは?対象となる書類や保存要件・方法について解説

インボイス制度(適格請求書等保存方式)に対応しているか

インボイス制度が開始される2023年10月1日以降は、適格請求書が発行された取引に限り仕入税額控除の適用が可能です。適格請求書とは、適用税率や消費税額の記載を義務付けた請求書のことです。

請求書発行システムを導入する際は、インボイス制度に対応しているかも確認しましょう。

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インボイス制度とは?2023年10月導入までに必要な対応をわかりやすく解説

まとめ

請求関連業務はヒューマンエラーが発生する可能性が高く、時間のかかる作業です。請求書発行システムを活用することでヒューマンエラーの防止、業務の効率化、コスト削減が期待できます。

請求書発行システムを導入する際は、自社に合った機能を持ち、費用対効果の高いものを選びましょう。

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