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掛取引における消込とは?消込のやり方と効率化の方法について解説

最終更新日:2022/10/25

原価計算とは?目的や種類、計算方法について解説

経理業務において、特に重要度の高い作業のひとつに「消込」があります。消込とは、取引における入出金情報と請求情報の突き合わせを行い、会計帳簿に記載された売掛金や買掛金を消す作業のことを指します。

消込を行う際には、入出金の情報を正確に読み取り作業をする必要がありますが、手作業で行うとヒューマンエラーが発生しやすく、作業ミスによるトラブルは会社の経営や信用問題に直結するなどのリスクが大きい業務でもあります。

本記事では、消込の業務内容や作業フロー、注意点や課題解決の方法などについて解説します。

目次

掛取引における消込とは

消込とは、取引における入出金情報と請求情報の突き合わせを行い、問題がなければ会計帳簿に記載された売掛金(債権)や買掛金(債務)を消す作業のことを指します。

入金消込

入金消込の仕組み

消込業務における入金消込とは、取引先から実際に入金された際の口座情報と、請求書に記載した請求額の突き合わせを行い、相違がなければ売掛金として帳簿に登録されているデータを消す作業のことを指します。

支払消込

支払消込の仕組み

支払消込とは、取引先に支払った金額と、請求書に記載された金額の突き合わせを行い、相違がなければ買掛金として帳簿に登録されているデータを消す作業を指します。

消込業務を正確に行うことにより、取引先からの未回収金の把握や請求金額と入金額の誤差を確認できるため、売上の計上において必須の作業となります。もし実際の入金額と請求額が異なっている場合や、そもそも入金がされていなかった場合には、取引先に確認の連絡や催促をする必要があります。

消込作業は取引先や案件の数が増えるほど煩雑になりやすい作業です。しかし、消込業務におけるトラブルは、取引先との信用問題や企業の資金計画や経営に影響が出る可能性があるため、経理担当者には特に慎重かつ正確な作業が求められます。

消込業務における勘定科目と仕訳

企業の取引における売掛金や買掛金といったお金の流れなどを記録したものを「帳簿(会計帳簿)」といい、消込業務においてはこの帳簿を使用して作業を行います。

取引は資産・負債・純資産・収益・費用の5つの勘定科目に分類され、記帳する際には取引の内容と共に勘定科目を記帳する必要があります。

<勘定科目の分類>

勘定科目の種類対象となるもの
資産 企業が所有する財産や将来的に収益をもたらすと予想されるもの

例:現金・商品・前渡金・土地・借地権・創立費など
負債 支払義務や返済義務のあるもの

例:支払手形・買掛金・短期借入金・長期借入金・退職給付引当金など
純資産 株主からの出資金や事業を通じて得た利益の蓄積等、
原則として返す必要のないもの

例:資本金・資本剰余金・利益剰余金・自己株式・新株予約権など
収益 商品の売買やサービスの提供などで企業が獲得したもの

例:売上・受取利息・受取配当金・雑収入・固定資産売却益など
費用 利益を獲得するために要した経費のこと

例:仕入高・給料・地代家賃・支払利息・手形売却損など

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帳簿に記帳する際には、取引におけるお金の流れを明確にするため、資産が増える「借方」と負債が増える「貸方」に仕訳を行ったうえで勘定科目に記帳します。

たとえば、支払いは後日行われる掛取引の契約で、取引先から10万円の商品の注文があった場合は以下のように帳簿に記帳します。

<注文時の仕訳>

借方貸方
売掛金(資産)100,000円売上(収益)100,000円

その後、入金があったタイミングで以下のように仕訳を行います。

<入金時の仕訳>

借方貸方
普通預金(資産)100,000円売掛金(資産)100,000円

売掛金である10万円が取引先より入金されたタイミングで、売掛金の勘定科目を変更します。このように、売掛金や買掛金の勘定科目の仕訳をすることが消込作業です。

消込業務の注意点とは

消込業務は、経理業務において重要度の高いものです。作業を行うにあたって気を付けるべき点には以下の3つがあげられます。

消込業務における注意点

  1. 取引先からの入金に誤りがないか確認を行う
  2. 取引先の企業名と入金元の企業名の突き合わせを行う
  3. 二重請求を起こさないようにする

ここではそれぞれの注意点の詳細について解説します。

1. 取引先からの入金に誤りがないか確認を行う

消込業務では、請求していた金額と取引先から入金された金額の突き合わせを行い、金額に相違がないかを確認します。しかし稀に、取引先に請求した金額とは異なる金額が入金されたり、そもそも入金がされていなかったりする場合があります。

いずれの場合も、まずは取引先に送付した請求書の内容を確認します。確認した上で取引先のミスだった場合は、正しい金額を改めて入金してもらう必要があります。個別対応が必要な取引先の場合は入金漏れなどが発生しないよう、事前に支払サイトを確認しておきましょう。

2. 入金元の口座名義と取引内容の突き合わせを行う

企業によっては請求書を送った企業の名義と、入金に使われた口座の名義が異なるケースがあるので、消込業務を行う際には注意が必要です。事前に入金する口座名義を確認しておくと、消込漏れなどのトラブルを防ぐことができます。

また、同じ企業と複数の取引を行っている場合は、どの取引に対する入金なのかを確認するようにしましょう。取引名や支払サイトを事前に把握しておくことによってスムーズな消込業務を行えます。

3. 二重請求を起こさないようにする

消込作業を忘れる消込漏れを起こすと、すでに取引先から入金されているにもかかわらず再度請求をしてしまう「二重請求」を起こす可能性があります。

二重請求は取引先からの信用を無くす可能性や、自社の売上情報などにも影響が出るおそれがあるため、消込業務を行う際は特に注意が必要です。

消込業務を行う方法

ここでは、消込業務を実際に行う方法について解説します。

Excelで消込業務を行う

Excelは導入コストが低いため、多くの企業の経理業務で利用されているツールです。関数やフィルター機能を利用することによって、自社で管理しやすいようにカスタマイズできるといったメリットもあります。

しかし、Excelで消込業務を行うと、入金情報と請求額に相違がないかを目視で確認したり、担当者がExcelに入出金情報を手作業で入力したりする必要があるため、入力ミスや確認漏れといった作業担当者によるヒューマンエラーが発生しやすくなります。

また、Excelを使うためにある程度の知識やスキルをもった担当者が必要であるために、作業が属人化しやすいというのも欠点のひとつです。

システムを導入して消込業務を行う

会計ソフトやツールでは、消込業務を含んだ経理業務の作業を効率化できるほか、手作業で発生するリスクを回避してくれるといったメリットがあります。また、ほかの基幹システムやツールとの連携も可能なので、直感的な操作で入出金管理が可能になるため、作業工数を大幅に削減し、属人化も防ぐことができます。

しかし、システムの導入や運用・管理自体に費用が発生したり、担当者が使えるようになるための教育が必要であったりと、導入コストが高いというデメリットがあります。

消込業務の課題と解決策

消込業務は経理において複雑かつ重要な作業であることから、さまざまな課題が存在します。ここでは、消込業務における課題と解決策について解説します。

消込業務における課題とは

作業ミスによるリスクが大きく担当者の業務負担が大きい

消込作業は、企業の経営にも直接関わる非常に重要な業務のひとつです。

消込漏れなどが発生すると取引先との信頼関係にも影響するおそれがあるため、経理担当者は正確な消込業務を求められます。しかし、当然消込業務と並行して通常の経理業務も行わなければなりません。月末や年末に集中しがちな消込業務は、担当者にとって大きな負担となります。

作業が属人化しやすい

消込作業はその作業の性質から、正確で対応力や経験のある社員に任せられることが多く、属人化しやすいリスクがあります。

作業が属人化すると作業を分担して行うことができなかったり、引継ぎを行うことが難しかったりと、担当者への負担が大きくなる原因になります。

消込業務における課題解決にはシステム導入がおすすめ

システムを導入する代表的なメリットは以下の4つです。

システムを導入することによるメリット

  • ヒューマンエラーを防止できる
  • 作業効率が向上し情報の正確性が上がる
  • 複数名による運用が可能になるため属人化が解消される
  • リアルタイムな経理情報を確認できる

システムを導入することによって消込業務における作業を効率化し、経理担当者の負担を軽減できます。ここではそれぞれのメリットについて解説します。

ヒューマンエラーを防止できる

システムを導入することによって、これまで手作業で行っていた売掛金や売上といった入力作業が自動化されます。また、目視による入金額の確認や、入力ミスや記入漏れといったヒューマンエラーを防止できるようになります。

作業効率が向上し情報の正確性が上がる

手作業でしていた入力や計算の作業が自動化されることで経理業務の作業効率を向上できます。

導入するシステムによっては、請求額と入金額に相違がないかの判断をしたり、自動で消込を行なったり一部の業務をシステムが代わりに行ってくれます。取引先や案件の数が多い企業ほど、恩恵が大きいといえます。

複数名による運用が可能になるため属人化が解消される

上述したとおり、消込業務は知識や経験のある担当者に任せられることが多いため属人化しやすい業務のひとつです

システムを導入することによって、業務の自動化に加えて直感的な操作で誰でも消込業務を行えるようになるため、属人化を解消し経理全体の作業効率が上がることが期待できます。

リアルタイムな経理情報を確認できる

システム導入することで、銀行口座と連携し入金情報のデータを自動取得できます。これにより。リアルタイムで入出金の情報を確認することができるようになります。また、クラウドにデータを保存できる機能が備わっているシステムであれば、外出先からでも確認が可能です。

まとめ

消込業務は、手作業で行うと業務負担が大きいだけでなく、トラブルが発生しやすく、取引先との信頼関係や会社の経営にも関わる重要度の高い業務です。これらのトラブルや課題を回避し、経理業務の効率化を図るためにも、自社の使用用途にあったシステムを導入することをおすすめします。

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