在庫管理は、必要な商品を必要なときに届けるために欠かせない取り組みです。管理が曖昧なままだと、在庫が足りずに販売機会を逃したり、反対に商品を持ちすぎて保管コストや資金負担が大きくなったりすることがあります。
また、在庫のズレは現場の作業負担を増やすだけでなく、顧客からの信頼にも影響しかねません。そのため、数量だけでなく、保管場所や入出庫の流れまで含めて整えることが重要です。
本記事では、在庫管理の基本から実務の進め方、効率化のポイントまでを整理して紹介します。
目次
- 在庫管理とは
- 在庫管理の必要性
- リスク防止
- キャッシュフローの改善
- 顧客満足度の向上
- 在庫管理のやり方
- 1.在庫の現状を把握する
- 2.入出庫のルールを決める
- 3.保管方法を整理する
- 4.入出庫を記録・運用する
- 効率的に在庫管理を行うポイント
- ロケーション管理を徹底する
- 入出庫の運用ルールを設ける
- 在庫データを可視化・分析する
- IoTで在庫管理をシステム化する
- 在庫管理システムを導入するメリット
- 余剰在庫と在庫不足の削減
- 管理業務の効率化
- ヒューマンエラーの防止
- 在庫管理システムを導入する際の注意点
- 導入コストがかかる
- 他システムとの連携性があるか
- まとめ
- 面倒な受注・外注管理をラクにするために、freee受発注を活用しよう
- よくある質問
在庫管理とは
在庫管理とは、企業が保管している資材や商品などを、市場の需要と供給に合わせて、適切に管理することです。具体的には、入出庫管理・棚卸・返品処理など、在庫の数や状態を把握しながら過不足なく管理する業務を指します。
在庫管理は、企業の経営に大きな影響を与える業務です。
たとえば、需要が高まったタイミングで在庫切れを起こせば商品が売れるタイミングを逃し、売上の損失につながります。反対に、在庫の量が需要を大きく上回った場合は、商品を廃棄しなければならなかったり、在庫を保管する場所を確保したりしなければなりません。商品によっては、品質低下を防ぐために温度や湿度調整が必要となり、追加で管理コストが発生してしまう可能性もあります。
市場を見極めながら、適切に在庫管理を行っていくことが重要です。
なお、Excelなどの表計算アプリを用いて人的にデータを入力する方法でも在庫管理は可能ですが、入力漏れや計算ミスなどのヒューマンエラーが発生しやすくなるというデメリットが発生します。在庫管理システムを活用することで、時間や労力をかけずに適切に在庫管理を行えるようになります。
在庫管理の必要性
在庫管理が必要である主な理由として、以下の3つがあげられます。
在庫管理の必要性
- リスク防止
- キャッシュフローの改善
- 顧客満足度の向上
それぞれについて詳しく解説していきます。
リスク防止
在庫管理を行ううえでリスクとなるのが「過剰在庫」と「在庫不足」です。
過剰在庫のリスク
過剰在庫の問題点としては、以下の4つがあげられます。
過剰在庫の問題点
- 保管先の確保
- 在庫の品質低下
- 在庫の劣化
- 在庫の時流の終わり
過剰な在庫を抱えることによってほかの製品や商品を保管する場所を確保できない恐れがあります。この場合、過剰分の在庫を破棄したり、追加で新しい保管場所を確保したりする必要があり、売上の損失やコストの増大を招きます。
また、材料や商品によっては空調などの設備が整った施設が必要となる可能性があることも、十分に留意しなければなりません。ほかにも、いわゆる「流行りの商品」や「季節ものの商品」は、一度販売のタイミングを逃すと市場に出回ることなくそのまま廃棄となるケースもあります。
在庫不足のリスク
需要の高い商品の在庫が不足すれば、顧客は同じ商品を他の販売先から購入します。売り逃すリスクが高くなり、利益を得るチャンスを失います。
経営者や管理する側からすれば「過剰在庫」と「在庫不足」がないようバランスよく管理することが理想です。しかし、現場ではいつでも供給できる状態を保ちたいので、余裕をもった在庫の確保や、コストを安くするために大量購入をしたいという心理があります。
そのため、過剰在庫の数値化や、商品の売れ行きを把握するなど、現場と管理側で情報の共有を行い、適切に在庫を管理することが重要です。
キャッシュフローの改善
適切な在庫の水準を保つことは、キャッシュフローの改善につながります。在庫は現金と同様に重要な会社の棚卸資産ですが、商品が売れるまで利益にならず、現金化することもできません。過剰に在庫があるにもかかわらず、自由に運用できる資金がなければ経営は圧迫されます。
また、維持費や経年劣化・市場価値の低下などによる利益の減少や在庫破棄のコストなどが発生する可能性があるため、不適切な在庫が多いほど、キャッシュフローは悪化していきます。在庫管理を徹底することで、キャッシュフローを改善し健全な経営ができるでしょう。
顧客満足度の向上
在庫が不足すれば、顧客が必要とするタイミングで商品の提供ができないため、同じ商品を他の販売先から購入されてしまう可能性があります。
適切な在庫管理を行い、顧客が必要なときに商品をいつでも提供できる状態にすることは顧客満足度を維持・向上するうえで重要です。ただし、長期間保管によって劣化した商品を渡せば信用を失うことになるため、品質のチェックも怠らないようにしましょう。
在庫管理のやり方
在庫管理を機能させるには、正しい順番で取り組むことが大切です。どれかひとつだけ整えても、他の部分が崩れていると効果は半減してしまいます。
以下の4ステップを参考に、すぐに着手できるところから始めてみましょう。
在庫管理のやり方
- 在庫の現状を把握する
- 入出庫のルールを決める
- 保管方法を整理する
- 入出庫を記録・運用する
1.在庫の現状を把握する
在庫管理を始める際には、どこに何がいくつあるかを正確に把握することが重要です。ここが曖昧なままでは、発注や出荷の判断をしても、帳簿上の数字と実際の在庫に差が出やすくなり改善につながりません。
まず行うのは「棚卸し」です。倉庫や店舗にある全商品の数量を実際に数え、帳簿上の数字と照合します。このとき、商品ごとに品番・数量・保管場所・入庫日を記録しておくと、後の管理がスムーズになります。
棚卸しは月1回や四半期ごとなど、定期的に実施する仕組みを作ることも重要です。不定期に行うだけでは差異が積み重なり、実態把握が難しくなります。
また、現場の担当者だけでなく、管理者も同じ数字を見られる状態にしておくことで改善点を共有しやすくなります。
2.入出庫のルールを決める
在庫の現状が把握できたら、次は「どのように商品を受け取り、どのように出すか」のルールを明文化します。担当者ごとにやり方がバラバラだと、記録漏れや二重入力などのミスが起きやすくなるためです。
たとえば、入庫時には納品書と商品を照らし合わせて数量を確認する、出庫時には古い在庫から先に出す、といった認識をそろえておくと、現場で迷いにくくなります。「先に入ったものから先に出す」運用は、在庫の滞留や品質低下を防ぐうえでも重要です。
また、誰がどのタイミングで記録するのかまで決めておくと、入力漏れも抑えやすくなります。「出荷後に入力する」「入庫直後に記録する」など、記録のタイミングを統一するだけで、在庫データのズレは大幅に減らせます。
3.保管方法を整理する
在庫管理では、保管方法を整理することも重要です。数が合っていても、必要な商品をすぐに見つけられなければ出荷準備に時間がかかり、確認ミスも起こりやすくなります。
そこで、商品ごとに置き場を決め、棚や倉庫の場所に番号や名前を付けて管理すると、どこに何があるかを把握しやすくなります。似た商品が混ざらないように並べ方をそろえ、古い在庫から先に出せる配置にしておくことも大切です。
さらに、破損しやすいものや期限管理が必要なものは、ほかの商品と区別して保管するのが安全です。よく動く商品を取り出しやすい場所に置けば、作業時間の短縮にもつながります。
置き場のルールが決まっていれば、新しい担当者にも引き継ぎやすく、教育の負担も軽くなります。
4.入出庫を記録・運用する
保管体制が整ったら、あとは日常の入出庫をルール通りに記録し続けましょう。どれだけ正しい仕組みを作っても、記録が徹底されなければ在庫データは実態からズレていきます。
記録の手段としては、紙の台帳・Excel・在庫管理システムなどが主に使われます。少品目・少量であれば紙やExcelでも対応できますが、商品数が増えるほどシステムの導入が現実的です。システムを使えば、入力と同時に在庫数が更新されるため、リアルタイムで在庫状況を確認できます。
また、定期的に帳簿と実物を照合する棚卸しを続けることで、記録のズレを早期に発見できます。「記録する→確認する→修正する」というサイクルを習慣化することが、在庫管理を長続きさせるポイントです。
効率的に在庫管理を行うポイント
在庫管理を効率的に行うポイントは、以下の4つです。
在庫管理を行ううえでの4つのポイント
- ロケーション管理を徹底する
- 入出庫の運用ルールを設ける
- 在庫データを可視化・分析する
- IoTで在庫管理をシステム化する
ロケーション管理を徹底する
ロケーション管理とは、商品がどこに保管されているのか、保管先の場所を適切に管理することをいいます。
ロケーション管理の方法には、大きく分けて「固定ロケーション」と「フリーロケーション」の2種類があります。固定ロケーションが一般的ですが、現在はシステムを導入しながら、空いていればその場所を活用する「フリー」と「固定」を融合したロケーション運用も主流となってきています。
固定ロケーション
固定ロケーションとは、商品の位置を固定して管理する方法です。
常に同じ場所に同じ商品が置かれるので、比較的管理がしやすく、いま商品がどこで保管されているのかを把握しやすいというメリットがあります。しかし、商品の保管場所が固定されているので、仮にスペースが空いているタイミングでも、ほかの商品が置けないといったデメリットがあります。
フリーロケーション
フリーロケーションとは、商品の位置を固定せず空いている空間に保管を行っていく方法です。
空間を効率的に使えるので、多くの在庫を保管できます。ただし、商品の場所を把握することが難しいため、フリーロケーションの場合は在庫管理システムの導入がおすすめです。
入出庫の運用ルールを設ける
入出庫の運用ルールが明確でないと、担当者によって属人的な管理がなされ、他の人が引き継いだ際にどこに・何が・どれくらい保管されているかわからないといった状態を招いてしまいます。
そのため、入出庫時の手順を担当者全員で統一し、運用ルールを共有することが必要です。たとえば、商品が入庫したタイミングで速やかに、商品番号・保管場所・個数・担当者に関するデータを指定のシステムに入力するといったことがあげられます。
在庫データを可視化・分析する
在庫を効率よく管理するには、記録したデータを見える化し、定期的に分析することが大切です。数字を入力するだけで終わると、どの商品がよく動いているのか、どれが長く残っているのかを判断しにくくなります。
そこで、まず活用したいのが「在庫回転率」です。在庫がどれくらいの速さで売れているかを示す指標で、数値が低いほど在庫が滞留していることを意味します。定期的に確認することで、動きの鈍い商品を早期に発見できます。
あわせて「ABC分析」も有効です。売上や出荷頻度に応じて商品をA・B・Cの3グループに分類し、Aランクの主力商品には重点的に在庫を確保、Cランクは発注量を絞るといった優先順位の判断ができます。
このようにデータをもとに在庫を動かす習慣をつけることで、無駄のない管理が実現します。
IoTで在庫管理をシステム化する
IoTとは「モノのインターネット」といい、今までネットに接続されていなかったモノをインターネットにつなげ、クラウド上などでデータをリアルタイムにやりとりできる技術です。
棚や商品にセンサーやタグを付けることで、在庫データを計測できます。たとえば、設置すれば在庫の位置を把握できるようになる「ビーコン」や、商品を特定の場所に置くだけで在庫情報を取得できる「重量計」などです。
リアルタイムで在庫状況が把握できるため、過剰在庫や在庫不足の防止、作業の効率化やヒューマンエラーの予防などさまざまな恩恵を得られます。
在庫管理システムを導入するメリット
在庫管理システムとは、資材や商品の個数や状態・保管場所などを記録し、在庫を過不足なく管理するシステムです。在庫管理システムを導入するメリットは、主に以下の3つです。
在庫管理システムを導入するメリット
- 余剰在庫と在庫不足削減
- 管理業務の効率化
- ヒューマンエラーの防止
ここでは、それぞれのメリットについて解説します。
余剰在庫と在庫不足の削減
在庫管理システムを導入することによって、在庫数を正確に把握できます。
Excelや紙などで在庫管理をすることも可能ですが、手作業になるためヒューマンエラーのリスクは避けられません。また、在庫数に変動があるたびにデータを入力する必要があるため、在庫の数が増えるほどその作業は複雑化していきます。
在庫管理システムは、リアルタイムで在庫数や日付などが記録されます。発注点を設定しておけば「在庫がこの数を下回ったら通知する」といった自動アラートも設定でき、欠品を未然に防ぐ運用も実現できるでしょう。さらにクラウド化することで、複数の媒体かつ外出先からでも在庫の状況を確認できます。
管理業務の効率化
在庫管理システムを導入すると、これまで手作業で行っていた業務の多くを自動化・省力化できます。たとえば、棚卸し作業はバーコードスキャンで数量を一括取得でき、入力の手間を大幅に減らせるでしょう。
また、発注書や納品書の作成・管理もシステム上で完結するため、書類を探したり手打ちで転記したりする時間がなくなります。会計ソフトや受発注システムと連携できる製品であれば、在庫データが自動で共有されるため、部門をまたいだ情報のやりとりもスムーズになります。
こうして生まれた時間を、データ分析や顧客対応など、より価値の高い業務に充てられるのもメリットのひとつです。
ヒューマンエラーの防止
在庫管理システムの導入は、ヒューマンエラーの防止にもつながります。
手入力中心の運用では、数字の打ち間違い、記録漏れ、二重入力、確認忘れなどが起こりやすく、気づかないまま在庫差異が広がることがあります。ミスの原因を調べるために多大な時間と労力が必要となるうえに、売れ残りや売り逃しなどの機会損失や利益の減少から経営が悪化する可能性も否定できません。
その点、在庫管理システムを導入すれば、正確なデータを効率よく更新できます。「ハンディターミナル」や「RFID」といったデジタル端末が使われるため、直接数値を書く必要がなくなり、入力ミスといったヒューマンエラーの削減が期待できます。
在庫管理システムを導入する際の注意点
在庫管理システムには多くのメリットがある一方、導入前に把握しておくべき注意点もあります。
以下の2点を事前に確認しておくことで、導入後のトラブルを防ぎやすくなります。
在庫管理システムを導入する際の注意点
- 導入コストがかかる
- 他システムとの連携性があるか
導入コストがかかる
在庫管理システムの導入には、初期費用・月額利用料・運用にかかる人的コストが発生します。クラウド型のシステムであれば初期費用を抑えやすいものの、機能や利用者数に応じて月額料金が上がるケースもあり、費用の見積もりは慎重に行う必要があります。
また、導入後すぐに使いこなせるわけではなく、スタッフへの操作研修や既存データの移行作業にも時間とコストが必要です。特に商品数が多い場合は、データ移行だけで相当な工数が発生することもあります。
そのため、導入前には「現状の課題が本当にシステムで解決できるか」「費用に見合った効果が得られるか」を検討しましょう。小規模な事業者であれば、まず無料トライアルを活用して、自社の運用に合うかどうかを確かめることをおすすめします。
他システムとの連携性があるか
在庫管理システム単体を導入しても、会計ソフトや受発注システム・ECプラットフォームと連携できなければ、二重入力や転記ミスといった問題が残ったままになります。せっかくシステムを入れても、手作業が減らないという状況は避けたいところです。
たとえば、在庫データを会計ソフトに手動で転記している場合、連携機能があれば自動で同期されるため、入力の手間とミスを同時に減らせます。ECサイトの受注データと在庫システムが連動していれば、注文が入るたびに在庫数が自動更新され、在庫切れの見落としも防げます。
そのため、システムを選ぶ際は、現在使っているツールと連携できるかといったポイントを必ず確認しましょう。また、API連携やCSVインポートへの対応状況、連携実績のある外部サービスの一覧を事前にチェックすることが重要です。
まとめ
在庫管理は、商品数を確認するだけの作業ではありません。欠品や過剰在庫を防ぎ、顧客へ安定して商品を届けるために欠かせない業務です。
正確に進めるには、棚卸しで現状を把握し、入出庫のルールや保管方法をそろえ、日々の記録を継続することが重要になります。
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よくある質問
在庫管理に必要な項目は何ですか?
在庫管理に必要な項目は、少なくとも「何の商品が」「どこに」「いくつあり」「いつ入出庫したか」を把握できる内容です。具体的には、以下の内容を記録します。
在庫管理に必要な項目
- 商品名
- 品番
- 数量
- 保管場所
- 入荷日
- 出荷日
- 返品・破損の有無 など
在庫数だけでは不十分で、動きと状態まで追えることが大切です。記録項目を絞りすぎず、現場で確認に使う情報をそろえることが、差異や欠品を防ぐことにつながります。
在庫管理の4原則とは何ですか?
在庫管理の4原則とは、一般的に「在庫の所在がわかること」「在庫の数量がわかること」「先入れ先出しができること」「アクションのポイントがわかること」の4つのことです。
この4つは、それぞれが独立した考え方ではなく、正確で無駄の少ない在庫管理を支える基本としてつながっています。どこに何がいくつあるのかを把握し、古い在庫から適切に出庫できる状態を保ち、必要なタイミングで発注・補充を判断できれば、欠品や過剰在庫の防止につながります。
こうした状態を維持するためには、日々の記録と定期的な見直しを欠かさないことが大切です。
