
「受注」という言葉は、ビジネスシーンではよく見聞きする言葉です。
営業担当者はもちろんのこと、製造・マーケティング・経理など、部署や部門に関わらず、社会人であれば知っておきたい用語です。
本記事では、受注の基礎知識や受注管理の流れ、知っておくべき関連用語、そして受注ミスを防ぐための3つのポイントについて解説します。
目次
受注とは
受注とは、注文を受けるという意味です。企業や個人から商品やサービスの注文を受けることを「受注する」といいます。
受注と売上の違い
受注と混同しやすい言葉に「売上」と「利益」があります。受注とは、売上が発生する可能性がある状態のことを指します。あくまでも可能性なので、受注後に何らかの理由でキャンセルが発生した場合、売上にはなりません。
一方の売上とは、商品や商品やサービスの販売によって得られた金額の合計を意味します。また、利益とは、売上から経費などを差し引いた残りの金額です。
受注が取引が完了していない状態なのに対して、売上そして利益は既に取引が完了している状態のことを指していることに注意しましょう。
受注と発注の違い
受注が注文を受けることであるのに対して、発注は注文をすることです。立場によって、「受注」と「発注」の使い分けが逆になりますので、注意が必要です。
発注について、別記事で詳しく解説していますのであわせて参考にしてください。
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発注書(注文書)の役割と注意点、作成方法をわかりやすく解説
受注管理が必要な理由
受注管理とは、個人や法人の取引先から注文を受け、商品やサービスを納品するまでの一連の流れを管理する業務のことです。
取引先からの注文内容を正しく把握し、在庫部門や生産部門と連携して、最終的に正しく納品する必要があります。
また、受注管理をすることで以下のようなメリットにもつながります。
ヒューマンエラーを防止する
納品までのプロセスには、窓口担当者や各部門の担当者など複数人が介在するため、ヒューマンエラーが発生しやすくなります。
ミスを防ぐためにも、各担当者が属人的に行うのではなくシステム化する必要があります。
顧客満足度の向上
受注管理の体制を整えることによって、納品までのリードタイムを短縮し、取引先が商品やサービスをすぐに利用できるようになり、顧客満足度の向上も期待できます。
受注管理の流れ
受注管理の流れは、「有形商材」と「無形商材」で異なります。
有形商材は現品を目視で確認できるのに対し、無形商材はサービスや広告など実際に目に見える商材ではないためです。
それぞれの受注管理の流れを解説します。
有形商材の場合
有形商材とは、目に見える形で品物がある商材のことで、以下のようなものが該当します。
<有形商材の例>
- 自転車
- 食料品
- 医薬品
- 家具
- 家電 など
有形商材の受注管理の流れ

1. 注文内容を確認し、見積書を作成する
注文を受けたら内容を確認し、必要に応じて見積書を作成します。なお、見積書は金額交渉などの理由により内容が変わった場合は、都度作成し直すようにしましょう。
2. 取引契約を締結する
見積もり条件に取引先の同意が得られたら、必要に応じて契約締結を行います。トラブル防止のため、商品の保証期間や納期、支払方法、支払日などをよく確認しましょう。
3. 在庫を確認し納期を連絡する
商品の在庫がない場合は、商品の生産に要する時間を考慮して納品予定日を連絡しましょう。また、商品の生産に必要な部品がない場合は、部品の取り寄せにかかる時間も考慮する必要があります。
4. 受注伝票や注文請書を作成する
在庫や納期を確認し出荷条件が整ったら、社内用に注文記録を残すための受注伝票を作成します。
必要に応じて、その受注伝票をもとに注文請書を発行し取引先へ送付します。注文請書の発行に法的義務はありませんが、納品ミスを防ぐために発行することがあります。
注文請書については、別記事「注文請書とは?記載すべき項目や収入印紙の必要性について解説」で詳しく解説しています。ぜひあわせてご覧ください。
5. 出荷し納品する
商品を出荷し、取引先に納品します。また、必要に応じて出荷指示書や納品書を作成します。
無形商材の場合
無形商材とは、形のない商品やサービス、情報のことで、以下のようなものが該当します。
<無形商材の例>
- システム
- Webサービス
- 金融商品
- 人材派遣
- 人材教育
- コンサルティング
- データ、プラットフォーム
- 広告 など
無形商材の受注管理の流れ

1. 注文内容を確認し、見積書を作成する
取引先から引き合いを受けたら、注文内容を確認し見積書を作成します。見積書の作成は基本的に一度ですが、他社と競合し取引内容に変更が発生した場合は複数回作成する必要があります。
2. 取引契約を締結する
提示した見積もり条件に取引先が合意した場合は、必要に応じて契約書を取り交わします。契約は両者の合意があれば原則として口頭でも成立しますが、両者の認識の齟齬を避けるため、文書で残すことを推奨します。
3. 指定の納品方法で納品する
見積書や契約時の指定の納品方法で納品します。人材育成やコンサルティングの場合は、契約内容に応じたサービスを提供します。
受注後のお礼メール例文
受注したら、できる限り早くお礼のメールを送りましょう。お礼メールの内容はもちろんですが、鮮度も重要です。どんなに素晴らしいお礼のメールでも日数が空いてしまうと真剣さが伝わりません。
ここでは、お礼メールの例文を紹介します。
件名:ご注文のお礼 |
株式会社〇〇〇 〇〇〇部 〇〇〇様 お世話になっております。株式会社△△△、営業部の△△△でございます。 この度は、弊社製品の「〇〇〇」をご注文いただき誠にありがとうございます。 早速、手配をさせていただき、○月○日○時○分にご指定の場所に納品させていただきます。 到着まで今しばらくお待ちくださいますようお願い申し上げます。 ご不明な点、ご質問等ございましたらご遠慮なくご連絡ください。 今後も貴社のご期待に沿えるよう努力してまいります。 以上、メールで恐縮ですが、ご注文のお礼とさせていただきます。 |
受注管理に関連する用語
ここでは、受注管理で知っておくべき専門用語を紹介します。
MOQ
MOQとは、Minimum Order Quantityの略で、発注可能な最小数量のことです。
たとえば、見積書に「MOQ:10pcs」と記載されている場合は、10個以上なら1個単位で発注が可能ですが、9個以下では発注できません。
SPQ
SPQとは、Standard Packing Quantityの略で、発注可能な最小単位のことです。
たとえば、見積書に「SPQ:10pcs」と記載されている場合は、10個/20個/30個といった10の倍数単位でしか発注できません。
SNP
SNPとは、Standard Number of Packageの略で、梱包材1つあたりに梱包する商品の数量のことです。
たとえば、見積書に「SNP:10pcs」と記載されている場合は、梱包材1つにつき10個の商品が梱包されています。
間違えて使うと大きなトラブルが起こる
MOQやSPQ、SNPなどの用語を間違えると、思わぬコスト増や経費倒れといった重大なトラブルに発展する可能性があります。見積書などに記載する際はよく確認しましょう。
受注管理でミスを防ぐ3つのポイント
最後に、受注管理でミスを防ぐ3つのポイントについて紹介します。受注でのミスは取引先からの信頼度を失うことにつながります。
フローを可視化する、販売管理システムを利用するなど、適切な体制を整えることが必要になってきます。
受注から納品までのフローを可視化する
受注から納品までのフローは、誰がどのフェーズを担当し、誰が窓口となり、どのツールを使用するのかなどを明確にし、社内で共有する必要があります。
特に、新しいサービスや商品の場合はフローが曖昧になりがちで、受注はしたものの、納品までの工程で止まってしまうケースも少なくありません。
そのようなトラブルを未然に防ぐためにも担当者やフローは可視化し、進捗を共有できるようにしましょう。
Excelやスプレッドシートで管理しない
Excelやスプレッドシート等の表計算ソフトを用いて、受注管理を行っている企業は少なくありません。Excelセルに入力できる値を制限することができますが、基本的にはどのような値でも入力できるため、入力ミスが発生する可能性があります。
ヒューマンエラーの発生は、Excelやスプレッドシートで受注管理することのデメリットです。また、Excelやスプレッドシートはデータ量が多くなると操作性が悪くなります。
販売管理システムを活用する
販売管理システムとは、受注管理を効率化するためのシステムです。
販売管理システムを導入することで、取引先ごとの状況を簡単に把握することができ、業務にかかる工数削減につながります。また、受注確認やお礼メールも自動化できるので、ヒューマンエラーの削減を期待できます。
さらには、ペーパーレス化により、紙代や印刷代などの消耗品コストを削減できます。
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販売管理とは?目的や流れ、販売管理システム導入のメリット、選び方を解説
まとめ
受注に関する基本的な内容や受注管理の流れ、知っておくべき専門用語、ミスを防ぐ方法などを紹介しました。
受注管理は複雑でミスが発生する可能性もありますが、販売管理システムを導入することでヒューマンエラーを減らすことができ、業務の工数削減も期待できますので、ぜひ検討してみてください。